「オレンジ・ランプ」39歳で若年性認知症に!でも乗り越えられない壁なんてない。 | 『Pickup Cinema』

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(C)2022 「オレンジ・ランプ」製作委員会

2023年製作/99分/G/日本 監督:三原光尋 出演:貫地谷しほり、和田正人、伊嵜充則、山田雅人、赤間麻里子、赤井英和、中尾ミエほか 配給:ギャガ 劇場公開日 2023年6月30日

自動車販売店のトップセールスマン・只野晃一(和田正人)は39歳。妻・真央(貫地谷しほり)や二人の娘と共に充実した毎日を過ごしていた。

しかし、顧客の名前や顔を忘れたり、待ち合わせを忘れるなどの異変が続き、夫婦で病院を受診。診断は「若年性アルツハイマー型認知症」だった。

驚き、戸惑い、不安に押しつぶされそうになっていく晃一は、退社を決意する。一方、心配する真央は愛する晃一のためにできる限りの世話をしようとする。

しかし、ある日、元気に人生を歩む“認知症の先輩たち”と出会ったことで、二人の意識は変わる。

「認知症になったからって人生は終わりなんかじゃない」「工夫して生活することで諦めなくていいことがいっぱいある」と気づくことで、二人を取り巻く世界も変わっていった。

39歳で若年性認知症と診断された夫と妻の9年間を描いた物語。実話をもとに優しさに満ちた夫婦の希望と再生が描かれている。

モデルとなった丹野智文さんは、認知症と診断された10年後の現在も会社勤務を続けながら、認知症本人のための相談窓口の活動や自身の経験を語る講演などを行っている。

観客の私たちは、夫婦や周囲の人々の姿を見て、認知症への偏見を捨て「たとえ認知症になっても、人生をあきらめないために何をどうすればよいのか」のヒントを得ることになる。

オレンジ色は、日本では認知症のシンボルカラーとして使われていて、タイトルの「オレンジ・ランプ」は、認知症になっても安心して暮らせる社会づくりを表している。

2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると予想される日本。決して他人ごとではない。「家族や自身のその時」のために観ておくべき作品ではないだろうか。