「犬部」 小さな命を救いたい! 社会を変えようと、一途な思いで駆け抜けた青年たちの16年。 | 『Pickup Cinema』

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(C)2021「犬部!」製作委員会

2021年製作/114分/G/日本 監督:篠原哲雄 出演:林遣都、中川大志、大原櫻子、浅香航大ほか 配給:KADOKAWA 劇場公開日 2021年7月22日

北里大学の獣医学部に実在したサークル「犬部」を元に描いた、青春“犬ラブ”ムービー! と聞くと、人間と犬との絆を描いた感動作?と思われがちだが、それだけではない。深く考えさせられる社会派ドラマの部分も大きく、見応えのある作品だ。

もちろん、仲間との青春の日々や、その後の友情も描かれているが、現代日本が抱える社会問題の一つ「動物愛護」をきっちりと描き、観る人々に現状を知らせ、何をすべきかを訴えかけている。

主人公の花井颯太(林遣都)は、22歳。青森県の大学の獣医学部生だ。子どもの頃から犬が大好きだった颯太のアパートは保護犬や猫でいっぱい。目の前の命を救いたいという一心で保護活動を続けている。

ある日、颯太は通学途中の道で1匹の実験犬を見つけて保護する。それをきっかけに友人の柴崎涼介(中川大志)やよしみ(大原櫻子)らと動物保護サークル「犬部」を設立し、里親募集や譲渡会などを開き、動物まみれの青春を駆け抜けていく。

16年後、獣医師となっても一途な気持ちで動物保護活動を続けていた颯太が、ある日、逮捕される。報道で知ったかつての仲間が集結するが、そこに柴崎の姿はなかった。

芝崎は獣医師の免許をもちながら動物愛護センターに就職し、現状の殺処分を変えようとしていたが志半ばでセンターを後にしていた。

保護猫や犬たちの去勢手術をボランティアでする獣医師たち、譲渡会で高齢犬を迎え入れる不登校の少女…。何より颯太の志の高さに圧倒される。

「行き場のない犬や猫の命を救いたい!」という思いで動物と向き合ってきた青年たちの16年間と、徐々に変化してきた社会。一方で加熱するペットブームの影などを描き、命の尊さを訴えかける。