日本の学校教育のアクティブラーニングは転換期?

 

アクティブラーニングは「古い」のか?

まず、「古い」と言われる背景を整理しましょう。

· 形骸化の問題: アクティブラーニングという言葉だけが一人歩きし、「グループワークや発表をすればアクティブラーニング」という表面的な理解で終わっているケースが少なくありません。


· 手段の目的化: 対話や活動そのものが目的化し、「何を学び、どのような力を身につけるのか」という本質的な学びの質が伴わないことが問題視されています。


· 教師の負担: 準備や進行、評価に多大な労力が必要であり、教師の負担が増大している面もあります。

 

 

そもそも、教師がどんな教育のことをアクティブラーニングと呼ぶのかを勉強すらしていない、つまり教える側のアップデートがきちんと行えていないことがあります。さらには、教師を研修などで教える立場の人が、そのプロジェクトをマネージメントできていないとも揶揄されています。

つまり、アクティブラーニングの理念そのものが古いのではなく、その実施方法や解釈に課題が浮き彫りになった段階と言えます。


次の時代の教育方法(進化形)として検討されているもの

アクティブラーニングの課題を乗り越え、より深い学びを実現するために、以下のような手法や概念が注目され、実践され始めています。

1. 主体性と社会との接続を重視するアプローチ

プロジェクト型学習(PBL: Project-Based Learning)の深化
  · 従来のPBLをさらに発展させ、単なる学校内の課題解決ではなく、地域や社会のリアルな問題に取り組む「社会貢献プロジェクト」や「起業家教育(アントレプレナーシップ教育)」との融合が進んでいます。
  · SDGsをテーマにしたプロジェクトはその典型例です。


パフォーマンス評価(Performance Assessment)
  · テストの点数だけではなく、プレゼンテーション、作品制作、ポートフォリオなど、生徒が学んだ過程や成果を多面的に評価する方法です。アクティブラーニングの成果を適切に測るための評価方法として不可欠です。

 

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2. テクノロジーを駆使した個別最適化と創造性の育成

EdTechを活用した個別最適化学習
  · AIドリルやアダプティブラーニングシステムを用いて、一人ひとりの習熟度やペースに合わせた学びを提供します。これにより、知識の定着部分は効率化し、教師は対話や思考を深める活動(=本質的なアクティブラーニング)に集中する時間を確保できます。

STEAM教育
  · Science(科学), Technology(技術), Engineering(工学), Arts(芸術・リベラルアーツ), Mathematics(数学)の頭文字を取った教育概念です。
  · 「Arts」が加わることで、単なる理工系教育ではなく、創造性(クリエイティビティ)やデザイン思考、美的感覚を統合した問題解決力を育成することを目指します。プログラミングとアートを組み合わせた制作活動などが例です。

3. 学びの空間と協働の在り方の革新

探究型学習(Inquiry-Based Learning)
  · 教師が一方的に問いを与えるのではなく、生徒自身が問いを立て、仮説を立て、調べ、議論し、表現するという一連のプロセスを重視します。アクティブラーニングの核心を「探究」に置くことで、より深い学びを実現します。
 

協調学習(Collaborative Learning)
  · 単なる「グループワーク」から一歩進み、メンバー同士が互いに教え合い、刺激し合い、相乗効果(シナジー) を生み出すことで、個人では到達できないような理解や成果を目指す学習形態です。役割分担や相互評価の仕組みが重要になります。

 

 

文部科学省の動向: 「社会に開かれた教育課程」

国の方針も、これらの流れを後押ししています。「主体的・対話的で深い学び」(アクティブラーニングの理念)は依然として重要視されつつも、それをよりリアルな社会と結びつける方向へ進化しています。

· 「カリキュラム・マネジメント」 の充実:各学校が地域のリソース(人材・施設・企業など)を活用し、特色ある教育課程を編成することが求められています。

· 「高等学校基礎学力テスト(仮称)」「大学入学共通テスト」 でも、知識・技能に加え、思考力・判断力・表現力を評価する問題が導入されています。これが学校教育の方法を変える大きな要因となっています。

 

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まとめ

日本の学校教育は、「形骸化したアクティブラーニング」から、「テクノロジーとリアルな社会課題を結びつけた、より深い探究と創造の学び」へと進化しようとしている段階です。

次のキーワードは、

· 個別最適化 × 協働学習
· STEAM教育・プログラミング思考
· プロジェクト型学習(PBL)・探究
· 社会との連携(SDGs, 地域貢献)
· パフォーマンス評価


と言えるでしょう。これらは独立したものではなく、相互に組み合わさりながら、これからの教育を形作っていくと考えられます。

国際バカロレア(IB)と日本の探究学習:グローバルスタンダードから見る日本の教育の現在地


探究心こそが、未来の革新を生む原動力だ。

はじめに:世界と日本の探究学習
 

国際バカロレア(IB)教育が世界中で注目を集めています。スイスで生まれたこの教育プログラムは、150を超える全世界の国と地域にIB認定校があり、日本国内でも100校以上のIB認定校でプログラムが実施されています。

一方、その教育理念やアイデアを日本式に組み立てた「探究学習」という言葉が日本の中高教育現場では当たり前に使われるようになりました。しかし、IB教育と日本の探究学習は本当に同じものを指しているのでしょうか? この問いに向き合うことで、世界で通用する人材を育成するための日本の教育の現在地と未来が見えてきます。

 

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国際バカロレア(IB)とは何か?その本質的な特徴

IB教育は1968年に、外交官や国際機関職員の子どもたちがどの国でも大学進学できるようにするというニーズから誕生しました。現在では、単なる国際的な大学入学資格以上のものとして認識されています。

 

基本的には英語で全てを学習するカリキュラムですが、各国のニーズから、日本では主に日本語で学ぶ日本語IBと言われるコースがあります。この場合でも英語で教科を学ぶ必要があり、完全に英語がいらないわけではなく、普通の高校と比較してもかなり高い英語力が必要です。

 

先にもうしますが、英語でも日本語でもコースに関わらず第二外国語(選択言語)の学習がコースとして必須になります。そこで、日本語を選択し、最終試験を行う場合、日本語のIBDPの最終試験採点官は世界中でたった10名程度です。その10名の質が非常に問題視されております。採点官は同時に学校で教える教師であり、それだけで問題があることは想像できるでしょう。採点官が日本語で国語を教えたことがない、日本語の教師資格がない、日本語力が不十分、採点官同士で横のつながりがある、恋愛関係にあるなど、採点に疑義が生じやすい、また、不正の温床があるといわれています。毎年数名の保護者がIB運営本部に連絡し、不審な点があったことや、教師の質に関して問題提起を行いますが、現状IB運営本部はかなりの予算をかけて法律問題に取り組み、一切の問題提起に耳を貸さないと言われています。つまり、全ての問題は学校側にあり、学校側に訴訟リスクを押し付ける手法で、IB運営団体は守られています。一方で、それを問題点として、改革がはじまり、現在5か年計画として言語の教科改革を主体とした、IB改革が行わています。これは主にIBDPの改革です。小中学校向けカリキュラムの大幅な変更ではありません。想像してみてください。小さな団体が検定試験を運営し、その検定試験対策を行うのもその団体の教師。その教師が試験官、採点官を行い、採点結果は数学のような明快な答えがなく曖昧。それが「Japanese」(教科としての「日本語」)をはじめとした、言語などの授業です。

さて、IB教育の本質は、「知識の応用」 にあります。あるIBスクールでは、小学6年生の課題として、環境問題についてのプレゼンテーションが課されました。生徒たちは数か月かけてリサーチを行い、インタビューをビデオ編集し、アンケートを作成・分析し、ポスタープレゼンテーションを実施します。このプロジェクトには、知識の獲得だけでなく、批判的思考、コミュニケーション、協働作業といった多様なスキルが統合されています。

 

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IBの評価システムも知識を正確にアウトプットするだけではなく、その後の再構成やクリエイティビティを重視するのです。これはまさに、実社会で求められる「知識の応用」能力そのものです。

日本の探究学習の現状:SGH/SSHと「総合的な学習の時間」

本にも従来の知識偏重型教育とは異なるアプローチがあります。スーパーグローバルハイスクール(SGH) やスーパーサイエンスハイスクール(SSH) は、その代表的な例です。

また、「総合的な学習の時間」 が2002年から導入され、既に20年以上が経過しています。しかし、日本の教育システム全体としては、試験(特に大学入試)での正解が教育のゴールとして設定されがちです。このため、探究学習も「受験にどう役立つか」という枠組みで評価され、その真の価値が十分に発揮されていない面があります。

IB教育と日本の探究学習の比較表
 

比較項目    国際バカロレア(IB)では
教育の目標    10の「学習者像」に示された全人教育 

評価方法    知識の応用、創造性、批判的思考を評価 

学習方法    教科横断的な探究型学習 
グループ作業    小さい頃から実施、成績に反映、リーダーシップと協調性も評価
社会との接点    公開プレゼンテーションなど実社会を意識 


 

比較項目    日本の探究学習では
教育の目標 「主体的・対話的で深い学び」 の実現
評価方法     知識の正確な理解と表現を評価
学習方法    教科横断的なアプローチと活動的な学習
グループ作業      実施されるが、評価方法が不明確な場合が多い
社会との接点     学校内での活動に留まりがち

 

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日本の教育の強みと課題
 

日本の教育には確かな強みがあります。国際学力調査(PISAなど)において、日本の生徒は数学、科学、読解力の分野で高い成績を収めていることは紛れもない事実です。全国一律のカリキュラムによって、地域や家庭環境にかかわらず一定の学力水準が確保される点も評価できます。

しかし、これらの強みは裏返せば課題にもなります。均一性を重視する余り、各生徒が持つ独自の才能や興味が十分に尊重されず、個性が埋もれがちになってしまうという指摘があります。また、知識の伝達に重点が置かれる一方で、学んだ内容を実践や創造的な形で発信する機会が十分ではないともされています。

日本の教育が向かうべき方向性
 

日本の教育が世界で通用する人材を育成するためには、いくつかの変革が必要です。

評価方法の多様化
知識の再生産だけでなく、創造性や批判的思考力を評価する方法を開発することが急務です。IBの評価方法は多くの示唆に富んでいます。例えば、グループワークでの貢献度や、実社会の問題解決能力をどのように評価するか、といった観点から見直す必要があります。

 

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教員の役割の変化
教員は知識の伝達者から、学びのファシリテーターへと役割を変える必要があります。IB教育では、教師は答えを教えるのではなく、生徒自身が問いを見つけ、探求するプロセスを支援します。このような教員の養成と現職教育が不可欠です。

大学入試改革との連携
高校段階の教育改革は、大学入試改革と連携して初めて効果を発揮します。文科省は既に、「学力の3要素」(①知識・技能、②思考力・判断力・表現力、③主体性・多様性・協働性)をバランスよく評価する入試への転換を打ち出しています。この方向性をさらに推進する必要があります。

IB教育との対話と適応
IB教育をそのまま導入するのではなく、日本の文化的・社会的文脈に合わせて適応させることが重要です。日本語DP(ディプロマプログラム)は、日本の学校に適した形で国際バカロレアを導入するための重要な取り組みです。日本語DPは、日本語での科目毎のガイドライン整備や、日本語による試験実施のための基盤整備が進められてきました。

 

 

成功事例に学ぶ:日本のIB教育の実践
日本では現在、公立・私立を問わず、IBの教育理念を取り入れた学校が増えています。これらの学校の実践から多くを学ぶことができます。国際系のコースがある学校はIBカリキュラムとインターナショナルスクールを研究しています。

学費の面からも公立のIB校は人気が高く、授業料はほぼ無料で質の高いIB教育を提供しています。また、日本語DPを導入する公立校は英語に多少不安がある生徒にも人気で、IB校としてかなり高度な探究型学習の機会を提供しています。

 

MYP(中等教育プログラム)からDP(ディプロマプログラム)に進む全寮制の学校という選択肢もあります。

 

 

おわりに:多様な学びの未来に向けて
国際バカロレアと日本の探究学習を比較することは、日本の教育の特色と課題を浮き彫りにします。どちらか一方が正しいのではなく、双方の強みを活かしつつ、より多様な学びの場を創造していくことが重要です。

文部科学省は2018年までに200校、2020年までに200校以上のIB認定校を目標として掲げていました。このような数値目標も重要ですが、それ以上にIB教育の本質的な理念や方法論を日本の教育全体にどう浸透させていくかが問われています。悪いところは変えて、良いところはそのまま。

私たちは多様な才能と学びのスタイルを認め合う社会を築く必要があります。世界の複雑さを理解し、そのことに対処できる生徒を育成する——これはIB教育の目的であると同時に、これからの日本の教育全体が目指すべき方向ではないでしょうか。

変化の時代において、教育の役割は知識の伝達ではなく、自ら学び、考え、行動する力を育てることにあるのです。
 

SSHの「しょぼい研究」は無意味? 高校生の探究学習が本当に目指すもの
 

「探究心こそが、未来の革新を生む原動力なのか」

高校の研究は大学レベルではない? それでいいのではないか
 

「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の生徒の研究内容がしょぼい」「大学レベルではない」という意見を耳にすることがあります。確かに、大学の研究プロジェクトに参加する場合と比べれば、高校生の研究のレベルは高くないかもしれません。

しかし、どれだけの大学生が自分で何かを考え、ゼロから研究を始められるでしょうか?「全くないところからの出発」 ーーこれはどの教育段階においても最も困難な挑戦です。

SSH校では、科学研究を通じて探究心と論理的思考力を育むことに主眼が置かれています。例えば、スーパーサイエンスハイスクールに指定されている札幌の学校では、科学研究の基礎を学び、実践する教育が行われています。

 

 

 


論文執筆の現実 高校と大学のギャップ

論文のイロハを知らない大学1年生が、卒業までにしっかりとした論文を書けるようになるのはどのくらいの割合でしょうか? 多くの大学、多くの学部において、現実には卒業論文の質は決して高くない場合も多いのです。

この点で、高校や中学時代から探究学習として研究をし、まとめる練習をすることには大きな意義があります。例えばある学校ではSGH(スーパーグローバルハイスクール)やWWL(ワールドワイドラーニング)コンソーシアムの拠点校として、探究学習をカリキュラムに組み込み、研究成果を英語でプレゼンテーションする機会を設けています。

多様なレベルの生徒への対応 教育の本質
 

SSHの研究内容は、確かに優れたものもあれば、何を研究してよいかわからず、雛形や実例とほぼ同じ内容で終わる生徒もいます。

しかし、優れた教育機関では、下のレベルに合わせるのではなく、上位の生徒には学校や大学がサポートを提供しています。その考えをもとに、2025年度から高校に国際教養コースを新設し、生徒のニーズや意欲に応えるカリキュラムを構築する学校もあります。

 

 

受動的学習から能動的探究へ 大学入試も変化中

「研究することは無駄だから、詰め込み勉強して大学入試対策をすべき」という意見は確かに存在します。

しかし、それでは不十分だからこそ、大学が総合型選抜を多く取り入れ、文化的な課外活動や研究実績などを考慮し始めているのです。

変化の悪いところだけを見て「変化をしない方が良い」という考え方は、従来の教育を硬直化させてきた大きな理由の一つと言えるでしょう。

研究と探究が高校教育のキーワードに
 

今後は調整こそ必要ですが、「研究すること」 つまり授業を受け身で聞くだけではない能動的学びが、中高、特に高校教育のキーワードになっていきます。

SSHに指定されている学校では、大学と連携した研究プログラムを提供している場合もあります。また、国際バカロレア(IB)認定校では、探究型の学習が教育の中心に置かれています。

 

 


もちろんSSH指定にも問題があり、その煩雑な報告手順など、教師の負担になるばかりで効率もわるく、学校側が認定取り消しをもとめることも多くあります。未だにファックスを利用する学校教育現場において、いろいろと時代にそった改善は必要です。

SSHにおいて、生徒が将来大学で研究を行うかどうかは重要ではありません。重要なのは、探究心を育み、自ら問いを立て、解決策を模索するプロセスを通じて、社会が求める思考力と主体性を身につけることです。また、それらを表現し、意見をもって発表し、それをベースに議論ができること。今の高校生で自然と議論ができる生徒はごくごく一部です。

変化の時代における教育の役割は、知識の伝達ではなく、自ら学び、考え、行動する力を育てることにあるのではないでしょうか。

教科書などの範囲を指定して、それを覚え、その中から応用問題までを解くだけの学生には到達できないところがあることを知らせるのが探究なのかもしれませんね。

 

16歳で高認合格なら共通テストが受験可能!?

海外インター校卒業から日本の大学を受験する際にも活用できる選択肢


「高等学校卒業程度認定試験(高認)に16歳で合格すれば、大学入学共通テストを受けられる」という話を聞いたことがあるでしょうか。この情報は基本的に正しいですが、いくつか重要な注意点があります。高認制度を活用すれば、高校在学中でも大学受験の道が開けるだけでなく、海外に住む日本人や外国人の方々にも新たな選択肢が生まれます。

高認試験の年齢要件と共通テスト受験資格
16歳で高認に合格した場合、確かに大学入学共通テストの受験資格は得られます。これは文部科学省が定めた制度で、高認に合格すれば「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある者」と認められ、共通テストを受験できるようになります。

ただし、注意すべき点がいくつかあります。

高認の受験資格は16歳以上であれば誰でも持っていますが、合格しても高校卒業資格にはなりません。

 

 

16歳で高認に合格した場合、実際に大学に入学できるのは18歳に達してからです(大学入学資格の年齢制限)

共通テストは高認合格後、毎年1月に実施されます。

高校在学中の受験体験としてのメリット


高校3年生で本番の共通テストを受ける前に、実際の試験を体験できることが最大のメリットです。

時間配分や問題の傾向を実践的に学べる

現在の自分の実力と目標点のギャップを客観的に把握できる

本番の緊張感を事前に体験することで、翌年の本番で実力を発揮しやすくなる

特に「自分の実力を客観的に知りたい」という目的であれば、非常に有効な手段と言えるでしょう。

 

 

海外在住者にとっての高認と共通テストの活用方法

海外に暮らす日本人や外国人が日本の大学を目指す場合、高認と共通テストの組み合わせは確かに有効な手段です。

 

現地の高校を卒業する前に高認に合格しておけば、共通テスト【国語】を受験し、その得点で日本語力、日本の大学に出願する道が開けます。2科目受験で【国語】と【英語】を受験するか、英語の変わりに数学を選択することも可能です。

海外在住日本人の場合


インターナショナルスクールに通う日本人学生が、現地で高校教育を続けながら日本の大学受験を目指す場合、高認合格は日本の大学受験資格を得る確かな方法となりますが、多くの大学では海外インター校・現地校を卒業している日本人・外国人に対する入試枠があります。勘違いされやすいのですが、これは外国人だけを対象としていません。日本人もその入試を利用できます。この場合でも、日本語力証明をもとめられ、日本語能力試験を受験する必要がありますが、それだけではアピール不足です。つまり、アピール材料として活用するものがあれば、合格へ近づきます。

 

 

外国人の場合

日本語能力を証明するには日本語能力試験(JLPT)N1またはN2レベルが一般的に要求されますが、共通テストの国語科目で一定以上の得点を収めることも、日本語能力の証明として有効です。特に難関大学では、共通テストの国語の成績は高い説得力を持ちます。

総合的なアピール材料として


海外で学ぶ学生にとって、高認合格と共通テスト受験は単なる「受験資格」以上の意味を持ちます:

日本の教育システムを理解している証拠となる

日本語での学力試験に対応できる能力を示せる

自主的に学習を進める姿勢と能力を証明できる


特にインターナショナルスクールに通う日本人学生にとっては、海外での経験と日本の教育への適応力を同時にアピールできる貴重な機会となります。

 

 

おわりに

高認試験を16歳で合格し共通テストを受験するというルートは、従来の高校経由の受験とは異なる選択肢です。これは特に、海外に住みながら日本の大学への進学を考えている方々にとって、非常に現実的な方法となり得ます。

ただし、この方法を考える場合は、各大学の入学要件や出願時期、必要な書類などを事前にしっかり確認することが不可欠です。また、日本語能力の証明が必要な場合は、日本語能力試験の受験も併せて計画することをお勧めします。

多様な背景を持つ学生が増えている現代、高認と共通テストの組み合わせは、自分の可能性を広げる有効な手段の一つと言えるでしょう。

 

帰国生入試は不公平か?大学が求める多様性とアドミッションポリシーの真実
 

【行動が重視される現代社会で、単一の物差しでは測れない人材価値】

「帰国生入試枠があるから、一般受験枠が削られる。不公平だ」—— こんな意見を耳にすることがあります。一見もっともらしいこの主張ですが、実は大学入試の仕組みと大学が求める人材像を理解すると、この考え方には根本的な誤解があることがわかります。以下に話を続けていきます。

【ご注意:私のブログは海外帰国生、海外帰国子女、海外インター校の話しがメインです。とくに、大学受験においては、高校で日本に帰国して受験されるパターンより、海外インター校を卒業して日本の大学を受験するパターンのサポート記事が多いです。かなり特殊ですが、グループ内でその他のいろんな記事もまとめてこちらで掲載しています。】

帰国生入試と一般入試は別々のレーン


まず理解すべきは、帰国生入試と一般入試が異なる選考基準で行われ、異なる人材を評価する別々の選抜方法だということです。

例えば、某国立大学の帰国生入試は「特別選考入試」の第二種に分類され、出願資格も「現地校で現地のカリキュラムを現地語で修了」した者に限られます。これは一般入試とは完全に別のルートです。

同じように、多くの大学では一般選抜と総合型選抜の中の「帰国生選考」を明確に区分しており、評価の重点も異なっています。一般選抜では「知識・技能」「思考力・判断力」を重視するのに対し、帰国子女選抜では関心・意欲と表現力や主体性、課外活動における自主的な研究実績とその内容を特に重視すると明記されています。

これはつまり、帰国生入試と一般入試の受験者は、別々の審査基準で評価されているということで、同じ土俵で競っているわけではありません。学校教育上からみても全く異なる生徒が合格対象となり、それらの日本的な教育からは得られない生徒を同じ学部学科内で一定数獲得するための入試です。

 

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大学が求める多様な人材像

現代の大学が求めているのは、画一的な学力だけを持つ学生ではありません。アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)を読めば、それが明確にわかります。

明治大学のアドミッションポリシーには、「世界の課題に関心をよせ、その解決にむけて挑戦する意欲のある人」を受け入れると記載されています。単純に受験勉強だけを行って、入試で高得点であれば該当するとは思えませんね。

清泉女子大学は「自国の文化と異文化を理解し、地球市民として困難な状況下にある人にも手を差し伸べ、他者と共に生きる姿勢を持った女性」を求めています。

成蹊大学は「希望する専攻分野のみならず、広く自然・社会・文化に旺盛な好奇心がある」人材を求めています。

これらの資質を評価するためには、多様な選抜方法が必要なのです。

帰国生が備える特別な資質
 

帰国生入試で評価される要素は、一般入試の学力検査だけでは測りにくい能力を含みます。

海外の教育環境で身につけた異文化理解力、語学力、国際視野、適応力—— これらは大学がグローバル人材を育成する上で貴重な資質です。

 

それらの学生と、一般入試枠の学生は大きく特色特徴がことなり、まじりあって能力を引き出しあい、大学での学びや研究を活性化してくれることとなります。

帰国生入試では、書類選考に加えて、小論文や面接などが重視されます。例えば小論文では「海外体験を活かし、その体験を理解し、自分のものとして活用しているか」「志望学部(学科)に関係する知識と、様々な社会問題に対する明確で論理的な意見・考えを持っているか」などが問われます。

面接でも「海外生活で得たもの」「滞在国と日本の比較」「将来の展望」などが質問され、単なる知識ではなく、思考力や表現力、国際的な視点が評価されます。この質問を同じ判断基準・評価基準で日本の生徒にすることは無理があります。たとえ海外研修旅行・修学旅行・語学留学などで海外経験が数回あっても、明らかに質問内容としては無理があります。

 

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選抜方法の目的と意義

大学が多様な選抜方法を設けているのには、理由があります。それぞれの選抜方法には、異なる目的と意義があるのです。

一般選抜は、主に知識や技能、思考力を評価することを目的としています。学力だけを評価する方法ですね。しかし、過去問など、一定の傾向があることが多く、その一定の傾向を必死で勉強した中での学力という多少の特色が残ってしまうことが多いです。受験科目の問題もあります。全ての大学で4科目か、それ以上の科目の試験があるわけではありません。つまり、その科目だけの学力を見るだけで大学としては十分なのか?ということですね。大学はそれをふまえて、入試科目を設定します。

 

一方、帰国生入試をはじめとする特別選抜は、多様な背景や経験、国際性などを評価することを目的としています。

このように選抜方法を多様化することで、大学は単一の尺度では評価できない多様な人材を受け入れることができるのです。

 

これに「不公平」という声をあげる方がいますが、大学自体がいろいろな人材(学生)を欲しいのであり、義務教育ではない場所において、一律公平な入学選考は必要とされていません。つまり、一般入試枠が50名あるのであれば、公平か不公平かは、その50名の枠だけで論じられます。10名枠が他の入試形態に置き換わり40名に減少されたとしても、40名の枠というチャンスが一般入試に与えられているだけです。10名枠を取られることは不公平ではありません。これは私立大学・国立大学ともに同じことです。

社会の仕組みを理解する力
 

「帰国生入試があるから自分が不合格になった」という主張は、実際の選考プロセスを誤解しています。

一般選抜では、ほぼ受験者の得点順での選考が行われています。つまり、帰国生入試の存在が一般選抜の合否に直接影響することはありません。得点が低いから不合格になっています。

大学入試は学力のみを評価する場ではなく、大学が求める多様な人材をどのように選抜するかという大学の判断が反映された制度です。多様という言葉も勘違いされがちですが、スポーツ推薦で入学する学生はこの多様な種類の1つです。学習においても、入試に対する勉強をしっかり行い入試で高得点を取る学生を一定数確保しつつ、それ以外の学習側面、つまり研究をしてきた学生や、特定の科目に強い興味をもち学習してきた学生なども欲しい人材となります。これは、過去に一般入試と推薦入試だけだった時代から世界が変化していき、そんな学生だけでは大学として生き残れないという時代の変化から行われています。過去の入試のままで、優秀な人材が大学でも勉強・研究を行い、実績を残しているのであれば、変化が必要なかったと言えます。

 

この複雑な社会の仕組みを理解できなければ、大学が求める「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」(これは文部科学省が定める「学力の3要素」の一つです)を備えているとは言えません。

多様性が創造する価値


大学は単に知識を伝達する場ではなく、多様な背景や価値観を持つ学生が交流し、互いに刺激し合い、新たな知を創造する場です。

帰国生はその国際的な経験や異文化理解力によって、教室に多様な視点をもたらします。これは大学の教育環境全体にとって貴重な財産です。

実際、清泉女子大学のディプロマ・ポリシー(学位授与方針)には「他者とつながり、お互いを知り、お互いを認める力」が掲げられています。これは現代社会で不可欠な能力であり、多様な学生が交流する中でこそ育まれるものです。

 

👇受験ストレスでチックになる生徒が2割です。

 

帰国生入試を「不公平」と考えるのは、大学入試の本質を見誤っています。同時に大学という場所を勘違いしているとも言えます。大学入試は単なる学力コンテストではなく、大学が多様な人材を選抜するための多角的なシステムです。同じ入試方式に統一する必要もなければ、もし統一しても大学にとってマイナスになるだけと言えます。

それぞれの選抜方法には固有の目的と意義があり、帰国生入試は国際的な経験や異文化理解力といった一般の学力試験では測れない資質を評価するためのものです。

私たちは、自分とは異なる背景や経験を持つ人々の価値を認め、多様性がもたらす豊かさを理解できるようになる必要があります。それは大学が求める人材であるだけでなく、複雑化した現代社会を生きる私たち全員に必要な姿勢なのではないでしょうか。

早稲田大学と慶應義塾大学が帰国子女入試(帰国生入試)の枠組みを大きく減らす背景には、主に3つの大きな理由があるとされています。以下の表に、その革新的な理由をまとめました。

理由    具体的な内容


国の教育改革の流れ

 

知識偏重ではなく「思考力・判断力・表現力」や「主体性」を多面的に評価する「高大接続改革」 の一環。旧来の帰国生入試は「ステータス」による選抜の色が強く、この新しい評価の考え方と合わなくなってきた。

 

評価の軸の変化

 

「帰国生であること」という「ステータス」 から、個人が持つ「経験と能力」 そのものを評価する方向へ転換。海外経験や語学力は国内の学生も身につける時代であり、より厳密に個人の力を問うたい大学の意向。

 

👇海外の学校より、国内の国際バカロレア校と言われていますね。

 

入試制度の効率化と統合

 

一般選抜、推薦、帰国生入試など複数の制度を維持するのは非効率。帰国生が持つ強み(国際経験、語学力など)は、「総合型選抜」 の枠組みで十分評価できるため、これに統合する動きが進んでいる。

 

各大学の具体的な変更点
 

早稲田大学と慶應義塾大学では、具体的に以下のような変更が行われます。

早稲田大学:
2025年度以降、複数の学部を一括して受験できた「複数学部共通募集」を停止しました。

これにより、大学全体としての「帰国生入試」は事実上なくなりますが、教育学部などでは独自の帰国生向け入試を継続する学部もあります。また、政治経済学部の「グローバル(海外就学経験者)入学試験」のように、実質的に帰国生が主要な対象となる入試も新たに設けられています。

海外から帰国して高校は日本。日本の高校から帰国生枠として受験するより、海外の高校を卒業して、海外から日本の大学を選んで入学する生徒に着目しています。


慶應義塾大学:
2025年度から、文学部、商学部、看護医療学部、薬学部で帰国生入試を廃止。

さらに、帰国生に絶大な人気を誇るSFC(総合政策学部・環境情報学部) も、2026/2027年度入試を最後に直接的に帰国生だけを対象とした入試を終了する予定です。複雑になりすぎた入試枠組みの簡素化と、他の入試枠組みの生徒との比較を容易にするためです。

 

👇インター校受験の手続きと対策をまとめた本です。

 

まとめ

今回の変更は、単に「帰国子女枠」が減ったというだけでなく、大学入試そのものが「どんな環境にいたか」から「そこで何を学び、どのような力を身につけたか」を個人単位で厳密に見る時代へと大きくシフトしていることを示しています。

この動きは早慶に限ったものではなく、日本の大学入試全体の趨勢となりつつあります。受験を検討されている場合は、志望大学の最新のアドミッションポリシーや募集要項を必ず確認するようにしてください。

なお、噂に惑わされることなく、疑問・質問は各大学の入試課へ問い合わせしましょう。基本的にEmailでの質問にたいして、数日内に返信がいただけます。