医学部医学科を目指す高校1年生へ|今から始める「合格へのロードマップ」
夢は、計画という階段を一歩一歩登るとき、現実に変わる。


はじめに:医師という夢への第一歩

 

医学部医学科への進学は、高校1年生からの計画的で持続的な努力が何よりも重要です。「まだ1年生だから」と油断していると、あっという間にライバルたちに差をつけられてしまいます。逆に言えば、この時期から正しい準備を始めれば、大きなアドバンテージを得られるのです。

本記事では、高校1年生が「今」から始めるべき医学部受験対策を具体的に解説します。

 

 

 

※インター校の場合は、卒業前の3年間、国際バカロレア生の場合はIBDPが始まる1年前からの話しです。日本でいう高校1年生です。


学習面:苦手を作らない「基礎学力」の完成
 

数学の基礎固め
計算力の徹底強化

毎日15分でいいので、計算問題を解く習慣をつけましょう。

計算のミスは学校での試験や、最終的に入試での得点に影響してきます。
因数分解、二次方程式、三角比などの基本公式は「体で覚える」まで反復を。
図形問題への慣れは、同じ問題の繰り返しによってつくります。
医学部受験では空間把握能力が問われるとも言われます。幾何的なセンスを磨いておくことは重要です。

 

 

英語は「読む・書く・聞く・話す」のバランス

単語力の早期構築
高校1年終了までに語彙力を徹底的に高めていきましょう。特に化学・生物分野の英語もしっかりと学習。
毎日の努力が必要です。毎日とにかく何かを読み、知らない単語を調べ、記憶する繰り返しです。そして、それを常に復習。

新しい単語を使って作文。その作文を記憶するまで声をだして読み上げます。作文にすることで、単語だけの記憶の無駄を省きましょう。

多読の習慣化
やさしい英語の本やニュース記事を毎日読む習慣を。医学関連ニュースは常に目を通します。親が協力して、医学関連ニュースを日本語・英語(翻訳機能での訳文も)でまとめて、印刷して定期的に渡してあげましょう。

 

 

理科は「概念理解」を優先
物理:公式の暗記ではなく、現象の理解に重点を置く
化学:モル計算などの基本計算を確実にマスターする
生物:用語の暗記だけでなく、生命現象のつながりを理解する

※選択科目で生物をとらない生徒が多いですが、大学入学するとすぐに生物科目がはじまります。受験対策が優先ですが、英語に関しては生物領域を学習することで、新しい単語にふれることができます。


課外活動:医師に求められる「人間力」を養う

日本の生徒は課外活動機会が少ないですが、総合型選抜であれば課外活動は重要です。

海外生の場合は充実した課外活動が学校の成績と同様に重要です。

国内生とはことなる対策が必要です。課外活動といっても、部活だけでは不足します。

特に海外生(海外インター校から日本の大学受験)に関しては、課外活動は必死で充実させましょう。多少強引でも医療に関連させる努力が必要です。

 

 

ボランティア活動への参加
医療系ボランティアがなくても大丈夫ですが、病院での体験はほぼ必ず必須になります。学校に相談しましょう。

インター校では医学部志望者へのサポートとして、病院内ボランティアなどを紹介しています。

病院内の清掃活動が無理なら、患者が利用するような近隣公園の掃除をしてでも、関連付けしておきます。福祉施設でのお手伝いなど、病院でなくても人と関わる活動が重要です。

これは、月1回でも継続的に参加することがポイント

医療に関する情報収集
医療ニュースへの関心はかならず必要です。親が協力して、ネットニュースで医療関連ニュースをあつめ、ファミリーチャットで共有しましょう。
毎日1本、医療関連のニュースを読む習慣を。
気になる記事はノートにまとめ、自分の意見を書く練習を。
医療ドラマと現実の違いを考える。エンターテインメントとして楽しみつつ、現実の医療とはどう違うかを批判的に考える視点を持ちましょう。

 

 

日常生活で心がけるべきこと
規則正しい生活リズムの確立。
睡眠時間をしっかり確保し、集中力を高める。
毎朝同じ時間に起きる習慣が、受験期の体力管理につながります。

情報整理能力の養成
ノートの取り方を工夫する。
学習内容を自分なりに図解する練習が、医学の複雑な概念理解に役立ちます。
コミュニケーション能力の向上。家族や友人との会話を大切に。医師には患者さんの話をしっかり聞く力が不可欠です。

長期視点での計画立て
高校1年時の目標設定
主要3科目(英語・数学・国語)の基礎固め
定期テストでは平均80点以上をキープ
苦手科目を1つも作らないことを最優先に
高校2年への布石
高校1年の終わりまでに、理科2科目(物理・化学または化学・生物)の選択を決める志望大学の入試科目を確認し、必要な科目に早期から取り組む

 

 

モチベーション維持のコツ
医師という職業を身近に感じる。
知り合いの医師がいる場合は、話を聞かせてもらう。
親の病院通いについていく。

大学のオープンキャンパスに参加し、医学部の雰囲気を感じる。

小さな成功体験を積み重ねる
今日覚えた10個の英単語、解けた数学の問題など、小さな達成を認めて自分を褒める。
学習記録ノートをつけ、自分の成長を「見える化」する。

保護者の方へ|お子様を支えるためのアドバイス
プレッシャーを与えすぎない。
医学部受験は長期戦です。焦りは禁物。
学習環境の整備を。
集中して勉強できる物理的な環境を整えてあげることが何より重要。
精神的なサポートを。
挫折しそうなとき、相談に乗ってあげられる存在であることが最も大切です。

 

👇高校1年から総合型選抜に向けた対策をとるための本です。

 

おわりに:焦らず、着実に一歩ずつ
医学部合格への道は長いように感じるかもしれません。しかし、高校1年生の「今」から始めるべきことは、特別な勉強ではなく、基本的な学習習慣の確立と医師としての人間性の基礎づくりです。
毎日コツコツと積み重ねた努力は、必ず2年後、3年後の大きな力になります。まずは目の前の勉強をしっかりと、そして医療への興味を忘れずに、一歩一歩前に進んでいきましょう。

「医師になりたい」というあなたの夢が、確かな目標となるよう、今日から始められることを少しずつ実践していってください。

大学生の必須スキル?運転免許の重要性と「大学1年」が最高の取得時期である理由
 

免許証は、地方大学生の「足」である。─そしてそれは、可能性を広げる「翼」でもある。

はじめに:大学生と運転免許証の切っても切れない関係
 

社会人にとって運転免許証は、「持っていて当たり前」の資格です。大学生においても、地方大学に通う学生にとってはその重要性は高いものです。「大学生のうちに取っておこう」という漠然とした考えではなく、「大学1年生の夏休みに取得する」 ことには明確なメリットがあります。大学入学がそうそうに決まっている場合は、大学入学前の2,3月に免許証取得を考えましょう。遅くても大学1年の終わりから2年が始まる4月までに取得を目指しましょう。

引き続き、大学生、特に地方大学生における運転免許証の重要性と、最適な取得時期について解説します。

なぜ大学生に運転免許証が必要なのか
 

地方大学生の「足」としての役割
 

地方大学の多くは、キャンパスが郊外に立地しています。最寄り駅からバスで20分、なんてケースも珍しくありません。

公共交通機関の限界

夜間の運行がない
土日・祝日は本数が激減する
バス停から自宅やアルバイト先までさらに距離がある

運転免許証は、こうした「交通の不便さ」を解消する最も現実的な解決策です。車があれば、時間に縛られず、自分のペースで移動できるようになります。

アルバイト選択肢の拡大
 

飲食店のホールスタッフやコンビニエンスストアの店員など、駅前や市街地のアルバイトは競争率が高い傾向にあります。一方で、車での通勤が可能になると、選択肢が一気に広がります。

配送ドライバーのアシスタント
郊外型スーパーやショッピングモールでの販売
家庭教師(車で生徒の自宅まで訪問)
農業アシスタント

これらのアルバイトは時給が高い傾向があり、より効率的に収入を得ることができます。

就職活動でのアドバンテージ
 

「免許:要普通車運転免許」
求人情報でこのような記載を目にしたことはありませんか?特に、営業職や技術職での現場業務では、運転免許証を必須条件としている企業が少なくありません。

企業が運転免許証を求める理由
顧客訪問や出張業務に対応できる
緊急時の対応ができる
社会人の基礎スキルとして自己管理能力の証明になる

大学在学中に運転免許証を取得しておくことで、就職活動の選択肢を狭めることなく、むしろ広げることができます。

大学1年生の夏休みが最高の取得時期である理由
 

時間的余裕の最大化
大学1年生の夏休みは、大学生活で最も長く、かつ自由に使える時間です。

授業の課題や試験準備に追われることが少ない
サークルやアルバイトもまだ本格化していない
まとまった時間を確保しやすい

大学生活の質的向上が早期に実現
 

早期に運転免許証を取得することで、その後の大学生活の質が向上します。

2年生以降のアルバイト選択肢が広がる
サークル活動(合宿や遠征時の荷物運搬など)で重宝される
友人関係の広がり(ドライブや旅行の計画が立てやすくなる)

心理的余裕の形成
 

「運転免許証を取らなければ」という心理的負担を早期に解消できることは、その後の大学生活において大きなメリットになります。

就職活動が近づく2年生後半になって焦って取得する必要がない
単位取得や専門科目の勉強に集中できる

短期集中で取得するためのプランニング
 

教習所選びのポイント
通学型 vs 合宿型

通学型:大学の近くや実家の近くで、自分のペースで進めたい人向け
合宿型:短期間で確実に取得したい人向け(2〜3週間で取得可能)

大学生割引の有無
多くの教習所が大学生向けの割引プランを用意しています
夏休み限定の「学割キャンペーン」を実施している場合も

スケジュール例:大学1年生の夏休み
【7月上旬】
教習所の資料請求・見学
大学(生協)を通した申し込み(割引適用の場合も)

【7月下旬〜8月】
教習所通いを開始
仮免許取得(卒業検定前半)

【8月下旬〜9月上旬】
卒業検定(後半)
運転免許証取得

 

👇受験、海外大学、医学部、留学、帰国子女などがキーワードの情報サイト。

 

運転免許証取得にかかる費用と対策
運転免許証の取得費用は25〜35万円が相場です。大学生にとっては大きな出費ですが、以下のような対策があります。

教育ローンの利用
アルバイトとの併用(取得後、車を使ったアルバイトで費用を回収)
実家からの支援

大学生の「親のすねをかじる」から「自立の第一歩」へ
運転免許証の取得は、大学生が「受動的」な立場から「能動的」な立場へ移行するきっかけになります。

車の運転は、自分で判断し、責任を持って行動することを要求されます。これは、社会人として自立するための重要なトレーニングでもあるのです。

 

 

運転免許証は大学生の「自由へのパスポート」

大学生、特に地方大学生にとって、運転免許証は「便利な資格」ではなく「生活の基盤を支える重要なツール」 です。

大学1年生の夏休みという時間的余裕がある時期に短期集中で取得することで、その後の大学生活の質が大きく向上します。アルバイトの選択肢が広がり、人間関係が豊かになり、就職活動でも有利に働くことができます。

「大学生のうちに」ではなく、「大学1年生の夏休みに」──この明確な目標を持って、運転免許証の取得を計画してみてはいかがでしょうか。

あなたの大学生活を、より自由で充実したものにする「パスポート」を、この夏、手に入れましょう。

中古車購入後に想定される継続的な費用


免許証は「運転する資格」に過ぎず、実際の移動の自由を手に入れるには、車自体と、それを維持するためのコストが必要です。中古車を購入した場合、初期費用以外に以下のようなランニングコストが発生します。

 

 

1. 駐車場費用
自宅や大学の近くに駐車場を確保する必要があります。地方であっても、アパートやマンションに附随する駐車場は月額5,000円〜1万円程度が相場です。大学構内や最寄りのコインパーキングを利用する場合は、さらに費用がかさむ可能性があります。

2. 自動車保険費用
自動車を所有するには、法律で加入が義務付けられている「自賠責保険」に加え、任意で「任意保険」に加入するのが一般的です。特に若年層(大学生)は保険料が高くなる傾向があり、免許取得直後は年間で20万円程度を見込んでおく必要があるでしょう。

3. 燃料費
日常的な通学や買い出し、ちょっとしたドライブにも燃料代がかかります。ガソリン価格の変動はありますが、月々の走行距離に応じて5,000円程度は想定しておくと安心です。

4. メンテナンス・消耗品費用
車は精密機械ですので、定期的な点検と部品交換が必要です。オイル交換やタイヤ交換、ワイパーやバッテリーなどの消耗品の交換費用が発生します。これらを合わせると、年間で数万円程度の出費は避けられません。新車を購入し、保証期間であればほとんどメンテナンス費用はかかりません。

5. 車検費用
車検は、新車の場合初回が3年後、その後は2年ごとに受ける必要があります。中古車の場合は2年ごとです。購入時に車検期間が残っているかによって、初回の車検時期は異なります。車検時には点検整備や消耗部品交換が必要となるため、一度で10万円かそれ以上の費用がかかることも珍しくありません。これは大きな出費となるため、前もって資金を準備しておくことが大切です。

6. 自動車税
自動車を所有しているだけで、毎年「自動車税」が課税されます。排気量によって異なりますが、一般的な軽自動車で約10,000円が目安です。

 

 

まとめ:車の維持には「まとまった資金」の確保が不可欠

このように、中古車を購入する初期費用が10万円〜30万円程度と安価であったとしても、駐車場、保険、燃料、メンテナンス、車検、税金など、維持するためには年間で少なくとも20万円前後、場合によってはそれ以上のコストが継続的に発生します。

したがって、免許取得と車の購入は、単なる「移動手段の確保」ではなく、継続的なコストを負担できるかどうかという家計管理の観点からも、慎重に計画を立てるべき重要な決断なのです。アルバイト収入などでこれらの費用を賄える見通しが立ってから、実際の購入を検討することをお勧めします。

 

現在、さらに今後は、地方国立大学医学部と都心の大学の医学部を卒業した場合、医師としての生涯年収に大きな差は生じないと考えてよいでしょう。

 

現在、医師の給与は「出身大学」ではなく、キャリアの選択によって大きく変わります 。

以下の表は、医師の年収の大まかな目安です。

項目・おおよその年収目安・主な要因
 

初期研修医 (卒後1-2年)約450〜500万円/年勤務先(大学病院は低め、市中病院は高め)や地域によって左右される。過疎地の市町村特別募集は給与が高い傾向にある。
 

勤務医 (キャリア中期)約1,200万〜1,500万円/年診療科、役職、勤務先の経営母体によって大きく左右される。
 

開業医・約2,500万円/年診療科(自由診療の割合)や経営手腕(開業資金が大きいため、開業医2世代目が有利)

 

 

給与を決める本当の要素
 

卒業後の給与は、以下の要素によって形成されていきます。

【勤務先の種類】
大学病院:研究や教育に重きを置くため、給与は比較的低めとなる傾向があります 。例えば、大学病院の勤務医の平均年収は約1,200万円とされています。しかし、昨今の大学病院赤字経営により、年収にかなりの抑制があります。

市中病院(民間病院):臨床診療が中心となるため、大学病院と比べて給与水準が高い傾向があります 。医療法人の勤務医の平均年収は約1,500万円とのデータがあります 。黒字経営であること、医師の平均年収が高めの病院を選ぶこと。


診療科
診療科による年収の差は非常に顕著です。以下の例は、給与の下限額の平均を比較したものです 。

高収入傾向の診療科:美容外科(約1,800万円)、美容皮膚科(約1,550万円)、産婦人科(約1,420万円) 。美容系は飽和になりつつあります。

比較的低収入傾向の診療科:小児科(約1,220万円)、麻酔科(約1,200万円)、病理学(約1,050万円) 。小児科は少子化にもかかわらず医師も少なく激務と言われます。

キャリアの選択

開業:収入アップの最も明確な道の一つです。開業医の平均年収は約2,500万円と、勤務医の平均を大きく上回ります 。ただし、経営リスクも伴います 。

役職の向上:病院で部長や科長などの管理職に就くことで、役職手当がつき、年収が向上します 。

地域:生涯年収そのものに大きな差はありませんが、地方では医師確保のため、初期の給与や各種手当が高く設定されている傾向があります 。

 

 

💡 キャリア設計のアドバイス

卒業後のキャリアを考える上では、給与だけでなく、自分がどのような医師になりたいかというビジョンが重要です。

キャリアの起点として:臨床医としての経験を積み、収入を安定させながら専門性を高めたい場合は、市中病院が一般的です 。

研究者や専門医を目指して:大学病院は、高度な研究や専門医取得を目指すための環境が整っています 。長期的なキャリアのために、一時的に収入が低くても大学病院を選ぶ医師も多くいます。

収入を最優先するなら:開業や、高収入が期待できる診療科(美容外科など)を選択する道があります 。また、医師不足が深刻な地方の病院では、高額な年収を提示する求人も少なくありません 。

 

👇医学科の近道として、理系科目の充実した国際バカロレア校を選ぶこと。

 

💎 まとめ

繰り返しになりますが、「地方国立」か「都心」かの出身大学による給与差はほとんど無視できます 。重要なのは、卒業後にどのようなキャリアを歩むかというあなた自身の選択です。

給与面では、勤務先(大学病院 or 市中病院) と 診療科 が大きな影響を与えます。

長期的なキャリアと収入を考えるなら、開業や管理職を目指す道もあります。

ご自身がどのような医師として働きたいか、そのビジョンに沿って大学選びやキャリア設計をされるとよいでしょう。
 

さらに、ここでは比較対象にいれていませんが、英語ができる場合は海外を視野に入れることが一般的になっています。海外もアメリカだけではなく、多くの国があります。日本の大学卒業後取得した医師免許(資格)ですぐに医師として働くことができない場合でも、手続きや手順をふむことで数年で正式な資格がえられ、収入や生活が日本とは比較にならないほど安定する場合もあります。

 

国立大学の学習環境改善:24時間利用可能なスペースはなぜないのか
 

学びたい意欲はあるのに、場所がない

それが日本の大学生の現実。

はじめに:大学生の「学びたい」を阻むもの


日本の国立大学には、24時間利用できる図書館や自習スペースがほとんどありません。多くの大学では夜9時頃には閉館し、朝まで学習できる環境が整っていないのが現状です。

一方、アメリカをはじめとする海外の大学では、早朝から深夜まで利用できる自習室や、24時間開いている図書館や自習スペースが珍しくありません。この違いはどこから生まれるのでしょうか。本記事では、日本の国立大学における学習環境の課題と改善策について考えます。

 

👇学校ストレスでのチック。その対処。家族でがんばって乗り切る方法。

 


なぜ日本の国立大学に24時間利用できる施設がないのか

管理費・光熱費の問題


国立大学は2004年の法人化以降、運営費交付金が年1%程度のペースで減少し続けています。自民党の政策の一環ですね。これにより大学経営は厳しさを増しており、施設の維持管理費や光熱費を削減せざるを得ない状況です。

24時間施設を開放すると、当然ながら光熱費や設備の維持管理費が大幅に増加します。特に老朽化した建物の多い国立大学では、これらのコスト負担が重くのしかかります。

 

ここで覚えておきたいことは、「老朽化した建物が大学」だということです。現状、これをメンテナンスする予算がありません。つまり、多くの国立大学では老朽化した建物を建て替えたり、耐震補強したり、改築改装する予算が不足しています。

セキュリティ上の課題

大学キャンパスは多くの場所で基本的に開放された空間であり、不特定多数の人の出入りを完全に管理することは容易ではありません。深夜帯に施設を開放するには、警備員の配置や入退館管理システムの導入など、セキュリティ対策が不可欠です。

しかし、こうした対策には多額の費用がかかり、財政難に悩む国立大学では十分な対策が講じられないのが実情です。学生証や入館証のデジタル化は進みましがた、それだけでは安全対策として不十分です。

人員配置の難しさ
 

24時間施設を運営するには、職員の深夜勤務やシフト制の導入が必要ですが、人員配置の面でも課題があります。国立大学では人件費が支出の約60%を占めており、追加の人員を配置する余裕はほとんどありません。

 

 


日本の大学における学習環境の現状

限られた開館時間
 

例えば、浜松医科大学附属図書館の開館時間は、授業期で平日9:00~20:00、土日は10:00~17:00までとなっています。試験前など学習需要が高まる時期でも、夜遅くまで学習できる環境が整っていません。これでは朝勉も不可能ですね。例えば、通学バスの混雑をさけて早朝に大学に到着しても、空調は切れている、座れる席は外のベンチだけ。悪夢です。

学習スペースの多様化
 

一方、大学側も従来の図書館とは別の形で学習環境の整備を進めている動きがあります。神戸大学では、キャンパス内に「ラーニングコモンズ」や「学生ラウンジ」などの多様な学習・休息スペースを設置しています。

岡山大学でも「学修支援スペース」や「リフレッシュスペース」を設け、学生の自主学習をサポートしています。しかし、これらのスペースも深夜まで利用できることは稀です。

進化する大学図書館の役割
 

近年の大学図書館は、単なる図書の貸し出し場所ではなく、学生の自主的な学びを支援する機能が重視されています。千葉大学の「アカデミック・リンク・センター」のように、図書館を核として「空間」「コンテンツ」「人的支援」を有機的に結合した学修支援基盤を構築する大学も現れています。

しかし、これらの先進的な取り組みも、24時間利用可能ではない点では同じ課題を抱えています。

海外の大学との比較
 

海外、特にアメリカの大学では、24時間利用可能な図書館や学習スペースが一般的です。これは、大学が学生の学習環境整備を最優先事項と位置づけ、十分な財政的裏付けがあるからです。

日本の国立大学が同等の環境を整備できない背景には、先に述べたような財政的制約に加え、政府の教育投資の不足が指摘されています。2024年のOECD調査によれば、日本の公的支出の中で教育が占める割合は7.1%と、OECD加盟37カ国中3番目に低い水準です。

 

 


現状を変えるために必要な対策

政府の支援と教育投資の拡大
 

国立大学の財政基盤を強化するためには、運営費交付金の削減傾向に歯止めをかけ、教育環境整備のための特別予算を措置する必要があります。

日本では高等教育に対する公的支出が先進国の中でも特に低く、これが大学の施設整備や学習環境の充実を妨げる主要因となっています。政府は教育を「未来への投資」と位置づけ、高等教育予算の抜本的拡充を図るべきです。


大学の経営努力とリソースの再配分
 

大学側も、経営の効率化を進め、節約したリソースを学生サービスの向上に振り向ける努力が必要です。例えば、一部の国立大学では施設の一部を時限的に24時間開放する実験的取り組みも始まっています。

段階的なアプローチ
 

いきなり全ての施設を24時間開放するのは難しくても、試験期間中のみ夜遅くまで開放する、キャンパス内の一部エリアを24時間学習スペースとして整備するなど、段階的なアプローチが現実的です。

学生の自主的な学習環境の創出
 

大学側の対応を待つだけでなく、学生自身が自主的に学習環境を創り出すことも重要です。例えば、千葉大学のアカデミック・リンク・センターでは、学生が自主的にグループ学習を行えるスペースが設けられています。

 

👇国際バカロレアは、大学へ総合型選抜で入学する近道。

 


おわりに:大学生が学びやすい環境を目指して


日本の国立大学に24時間利用できる学習スペースがない背景には、財政的制約やセキュリティ上の問題など、複合的な要因があります。しかし、大学生が十分な学習環境を確保できないことは、個人の学びの機会を制限するだけでなく、日本の将来の知的財産を損なう危険性もあります。

政府の教育投資の拡大と大学の経営努力、そして学生自身の積極的な関与によって、より良い学習環境を築いていく必要があります。大学生が「学びたい」と思った時に、いつでもアクセスできる学習環境の整備は、社会全体で取り組むべき課題なのです。

私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、改善を求める声を上げていくことが、現状を変える第一歩となるでしょう。

 

総合型選抜と大学入学共通テストによる一般入試:二分化される「学力」の新しい定義
 

新しい学力観が、受験生の未来を拓く

はじめに:二分化する学力評価
 

2021年度から大学入学共通テストという方式が始まり、一方で総合型選抜を実施する大学は毎年増加、その枠による定員もかなり増えています。推薦入試をいれると、半数以上が総合型選抜での入学枠になります。

 

一見すると知識偏重型の共通テストと、多面的な人物評価を重視する総合型選抜という二つの異なるアプローチが並存する状況は、矛盾しているように見えるかもしれません。

しかし、この二つの並存は、社会が求める「学力」の定義そのものが多面的で複雑なものに変化していることを示しています。大学が「テストができる生徒」だけでなく「自ら道を切り開く生徒」を求める背景には、どのような社会の変化があるのでしょうか。

 

👇総合型選抜での大学受験の手引きと言ってもよいでしょう。帰国子女向け。

 

高大接続改革が目指すもの


この変化を理解するには、国が進める「高大接続改革」の本質を理解する必要があります。文部科学省はこの改革について、グローバル化の進展や技術革新などに伴い、社会構造が急速に大きく変革する中で、予見の困難な時代の中で新たな価値を創造していく力を育てることが必要だと説明しています。

このために掲げられたのが「学力の3要素」です。

知識・技能(自分で疑問に感じたことを解決できる能力)

思考力・判断力・表現力(説明、ディベート、議論できる力、正しい道を見つける力)

主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性や協調性といった社会性)


高大接続改革は、高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜の3つを一体として改革し、これらの要素を育成・評価しようとするものなのです。

 

👇定番です。国際バカロレアに興味をもったら。

 

大学入学共通テスト:知識から思考力へ

かつてのセンター試験は「知識・技能」の修得ができているかを問う出題がほとんどでした。これに対し、共通テストでは「思考力・判断力・表現力」を問う問題が増加しています。

共通テストが評価する学力
 

2023年度の共通テストでは、資料・グラフ・地図など多様な資料を読み解き、必要な情報を瞬時に読み取って知識と組み合わせ、答えを見つける力が求められました。

例えば世界史では知識を問う問題が減少し、資料の読解力+知識を問う問題が増加しています。国語では生徒同士の話し合いにおける空欄を補う設問が出題されるなど、文章の内容を理解し、複数の文章や資料の要点や関連性を読み取る必要があります。

「探究活動型」への移行
 

大学入試センターによると、2026年実施の共通テストでは教科横断的な情報活用能力がさらに重視される見込みです。

センター試験が「一人学習型」、2023年共通テストを「クラス学習型」と定義するなら、2025年からは「探究活動型」の出題形式になることが進みます。これは、主体性のある生徒自身の探究活動を想定した形式へと移行することを意味しています。

 

👇チック症だと知ることから始め、イジメられないように早めに対処する方法。

 

総合型選抜:多面的な人物評価

一方、総合型選抜は、受験生の能力・適性や学習に対する意欲などを時間をかけて総合的に評価する入試方式です。

総合型選抜が評価する学力


総合型選抜では、エントリーシートなどの提出書類に加え、面接や論文、プレゼンテーションなどを通じて、受験生の主体性や多様な人々と協働して学ぶ態度を評価します。研究をおこなっていた(おこなっている)生徒はその研究資料や成果や発表論文・ポスターなどを提出できます

一般選抜が学力試験を軸に選抜するのに対し、総合型選抜では書類審査を厳密に行い、それを確認するための面接や、学力を測る内容の小論文といった評価が中心となります。また、各大学が独自の出願条件を設定できる点も特徴です。

多様化する選考方法
 

総合型選抜には主に3つのパターンがあります:

選抜型:国公立大学や難関大学に多い。小論文やレポート、長文の志望理由書などを課し、その内容をもとに面接を行う。

対話型:私立大学に多い。複数回の面接・面談を実施し、本人の意欲や志望動機、人物評価などを重視。

実技・体験型:総合選抜を強化している大学。模擬授業やセミナー、実験などへの参加を出願条件とし、提出したレポート・課題などをもとに選抜。

 

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アドミッションポリシー:二つの学力評価をつなぐもの

共通テストと総合型選抜という二つの異なるアプローチをつなぐのが、アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)です。

3つのポリシー
アドミッションポリシーは、文部科学省が定めている3つのポリシーのうちの1つです。3つのポリシーとは

ディプロマ・ポリシー:どのような力を身に付ければ学位を授与するのかを定める方針。

カリキュラム・ポリシー:ディプロマ・ポリシーの達成のために、どのような教育課程を編成するかを定める方針。

アドミッション・ポリシー:入学者を受け入れるための基本的な方針で、受け入れる学生に求める学習成果(学力の3要素)を示すもの。

です。これらの内容は募集要項にも大学のホームページにも書かれていますが、多くの生徒・保護者は読んでいません。偏差値だけで受験を決めているからです。


アドミッションポリシーの実際
 

アドミッションポリシーは、大学が求める学生像を具体的に示した指針です。例えば明治大学のアドミッションポリシーには、「世界の課題に関心をよせ、その解決にむけて挑戦する意欲のある人」を受け入れると記載されています。

しかし、アドミッションポリシーは「うちの大学に入るにはこれだけの力・素質を持っていてほしい」という最低ラインを示すものであり、その条件を満たすことは"必要"であっても、それだけで"合格"が保証されるわけではありません。また、その条件とマッチしない生徒は成績に関係なく除外されてしまうことも多くあります。

 

👇海外大学を考えているなら、お早めに。

海外大学 合格の 手引き

 

社会の変化と学力の再定義


二つの学力評価が並存する背景には、社会の大きな変化があります。

予測困難な時代に対応する人材
 

文部科学省は、グローバル化の進展や人工知能技術をはじめとする技術革新などに伴い、社会構造も急速に、かつ大きく変革しており、予見の困難な時代の中で新たな価値を創造していく力を育てることが必要だと指摘しています。

こうした時代には、自ら問題を発見し、他者と協力して解決していくための資質や能力が不可欠です。かつてのように確立された知識を習得するだけでは対応できなくなっているのです。

大学教育の質的転換
 

大学教育自体も大きな転換期を迎えています。2017年度には「三つのポリシー」の公表が義務化され、これに基づく大学教育の質的転換が図られてきました。

授業では教員が知識を伝達するやり方から、「アクティブ・ラーニング」 の手法を採り入れ、「何を学ぶ」から「どのように学ぶ」へと変化しています。このような教育方針の転換が、入学者選抜方法の多様化にも反映されているのです。これは、幸か不幸か、コロナが蔓延したことで世界的にずいぶんと転換、そして変化していきました。

新しい学力観が求めるもの


これからの時代に求められる学力は、知識の量だけでなく、知識を応用する力と社会と協働する力の両方を兼ね備えたものと言えるでしょう。

両方の学力をバランスよく
 

共通テストが評価する「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」、そして総合型選抜が評価する「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」これら学力の3要素をバランスよく備えた人材が理想であり、これからの時代に求められています。しかし、そんな人材は私立トップ校の早稲田大学・慶応大学でも少数です。東京大学でも全員がそんな人材になることはありません。

共通テストと総合型選抜の並存は、いずれか一方の学力観が正しいというものではなく、両方の視点が重要であることを示しています。ただし、本来は共通テストはもう少し簡単な内容であるべきだと言われていますが、テストの得点によって生徒を選別するためにはテストを難化させ、得点の幅を活用するしかないと言われています。

 

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高校教育への影響

この変化は高校教育にも影響を与えています。2022年度から施行される新学習指導要領では、「総合的な探究の時間」 が必修となり、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することが目標とされています。

おわりに:二つの学力観を架橋して
 

大学入学共通テストと総合型選抜。現在のこの二つの並存は、社会が求める人材像の変化を反映しています。単に「テストができる生徒」ではなく、「自ら道を切り開く生徒」 を大学が求める背景には、予測困難な時代を生き抜くために必要な力の変化があります。また、学力順に入学させることが公平だという意見が根強いために、それを排除しにくいことがあります。

しかし、私たちは、画一的な評価基準で生徒を測るのをやめ、多様な才能と学びのスタイルを認め合う社会を築く必要があります。共通テストと総合型選抜という二つのアプローチは、それぞれが異なる角度から生徒の可能性を照らし出す灯火なのです。

変化の時代における教育の役割は知識の伝達ではなく、自ら学び、考え、行動する力を育てることにあるのではないでしょうか。