いつまでも女々しくて・・・ -102ページ目

いつまでも女々しくて・・・

20年連れ添った妻を自死で亡くした男(hiro)の日記

妻が逝ってから1ヶ月過ぎた辺りで、どうも上の子が俺に対する態度が反抗的だ。
はじめは、この大変な状況の中で頑張って学校に行ってるから
仕方が無いのかなと思っていたのだが
何かにつけて反抗してくるもんだから、ある日

もうしかして、ママは俺のせいで死んだと思っているのか?

黙っている。
下の子にも問うた(怒らないから正直な今の気持ちを聞かせてと)
下の子は全然そんなこと思ってないと。
上の子は俺に対して敵意をむき出した目で見る。
どうやらそういうことらしい。

ショックだった。
今まで何を見て育ってきたんだろうこの子は・・・

一応言い分を聞いてやったが、とても俺にとって説得力の無いことばかり。

じゃあママが勝手におかしくなって勝手に死んでったのかい!
俺はそうだとこたえ
息子の母親への思いに対して、全て正論をぶつけて行き場をなくしたら
そういう物言いがママを追い詰めたんだ、という目で睨んでくる。

そうか、確かにママを殺したのは俺だな


息子がそんなふうに思っているなんて、とても悲しかった。

でもどう思われようとも、やるべきことはやらなくてはな。
ただこの日から、俺がいつどうなっても大丈夫なように
やれなくなったときのために準備を始めた。

 

 

 

気分は最悪で身体もいうことをきかないが
子供達を学校に行かせなくてはならない。
下の子は給食が出るからいいがお兄ちゃんには弁当をつくらなくては。

弁当は、妻が生前一人では何もできなくなってからは二人でつくっていた。
俺が料理して、妻が弁当箱に詰めるといったように。
でも今日から俺一人でつくらなきゃ・・
っていうか、すべてのことを俺一人でやらなくては・・

そんなんで気負ってつくっているもんだから
安っぽいドラマのように
たった今つくったばかりの弁当をひっくりかえし・・・

子供たちに気付かれないように、泣きながらつくりなおしたっけ・・・



なんで・・
なんで妻はいないのか
なんで俺はこんなことをやっているのか
なぜ救ってやらなかった
なぜできなかった
妻は死んでしまったのに何でおまえは生きてるんだ

俺も消えてしまいたい

 

 

一週間どうやって過ごしたのかまるで覚えていない。
ただ寝られなかったのと、ほとんど何も食べられなかった。

あと涙腺が壊れたのだと思う。
毎日ずっと泣いていた。(子供たちのほうがしゃんとしてた)

いろんな人も来たと思う。
どうやって対応したんだっけ?

そうそう本家の人が来たときにもめたんだよ。
例の告別式の夜に家を空けたこと。

はじめは大変だったねと気遣ってくれていたのが
突然、あんたここに座りなさい と

ああ、自殺の責任を問い詰めたい
それが言いたくて来たのかと
そんなことはいつでも覚悟していたけど
言い合いになれば、妻のほうの落ち度が暴露されていくだけで
恥をかくのはあんたたちなんだけどね・・

そしたら

あんた、焼き場から帰ってきたあと家をあけてどこ行ってた?

はぁ? そっちかよ?
このときに当然義父が守ってくれるもんだと思ったら
本家には頭が上がらないみたいで一言もなく・・



結局このあと大もめにもめて、さんざんな初七日だった。
一応義理は通したから、今後一切関わらない二度と会わない
縁を切るということにしたんだが

もうこれ以上俺を痛めつけないでくれよ・・・
たのむから

 

 

通夜より葬儀告別式が辛かった。

火葬場までのバスの中
妻との別れのとき
炉に入れられるとき
灰となって出てきたとき
骨を骨壷に入れるとき
その骨を抱えまたさっきのバスに
家に戻ってきたとき

でも・・とても辛かったのだけど
考える間もなく事はあれよあれよと勝手に進んでいき
ちょっとおかしい表現だが
きちんと悲しんであげることができないまま終わってしまった。
そんな感じであり、それがまた辛さを増幅させている。

そして悪いことは重なるもので
妻がなくなった2日後に俺の叔母が亡くなって・・
とても世話になった人なので、通夜に出席したかったが
この日に家をあけるのはまずいよな。
あまりにも間が悪い。

でも義父が「ママは俺が見てるから行ってこいよ」と言ってくれた。
ありがたかった。(このときは)
息子たちに、行くなら3人で、行かないほうがいいと思うなら3人とも行かない
どうしたい? って聞いたら
息子たち二人とも、叔母ちゃんにはとても世話になったから顔だけはみたいということで
義父の言葉に甘えて3時間だけ家をあけることにした。

ところがこの件で妻側の親戚と後々大きくもめることとなり
守ってくれるはずの義父にも裏切られた。
ただでさえ落胆している俺は、更に深いどん底へ蹴落とされ
人生最悪の日々を送ったのだった。


でもこれがきっかけで親戚連中とは縁が切れたので
俺にしてみれば、今ではかえって良かったと思ってる。

 

 

 

通夜と葬式は
死因が死因なため、親兄弟だけで自宅でやりたかった。
しかし義父が親戚中を呼んでしまい

親兄弟だけでって言ったでしょう!
来るっていうのに断れるか!
断れよ!

こんなやり取りがあったっけ。

でも結局みんな来て、狭い我が家に50~60人来たのかな?
香典袋を数えればわかるか・・

まあ床が抜けなくてよかった。



集まったのは9割以上妻の親戚だ。
ウチの家庭状況を知ったのか、誰一人として俺に文句は言ってこない。
それでも身内が自殺したんだ、俺に対する目つきは何か言いたげだ。
言ったのは病院で義弟だけだが
それも通夜に入る頃には、俺にとても献身的にしてくれた。

事実、俺が妻側の親戚で唯一信じているのはこの義弟ただ一人である。
はっきりいって他はどうでもいい。
それに妻が自殺する原因のいくつかがこの人らにあると思っているので
恨みの対象者でもある。

だからと言って死ぬほどのことではない。
やはり一番の怒りの対象は、我が妻である。

来るはずのない親戚たちが来て、だんだん大きい葬式になりそうだ。
そんな中、俺が一番心配していたのはお金だった。

生活費は全て妻に渡していたので、財布に入っていたお金は数千円だ。
ウチにいったいどれだけあるのかも知らない。
いや知っている。
あるわけがないのだ。
貯金なんて使い切ってしまっているのはわかっている。

どうしようと落胆していたら
皮肉にも、集まってほしくない親戚の香典で全て賄う事ができたのさ。