がん治療を受ける判断基準 | 子供と離れて暮らす親の心の悩みを軽くしたい

あなたは、医者から「すぐに手術をしないとガンが転移してしまい手遅れになる」、といわれたらどうしますか?

 

ガンであるかどうかは、細胞診断や病理診断など検診で見つかります。しかし、このガンであるかどうかの診断は、診断医によってばらつきがあります。

 

ある人は乳がんと診断されました。マンモグラフィーや超音波検査、細胞診断などをおこないましたが、その診断医が下した結論が乳がんであるというものでした。

 

しかし、他のガン研究病院にセカンドオピニオンとして検査してもらうと、良性であるという診断結果でした。

 

グレーゾーンで判断が難しい症例ならわかりますが、明らかに違いがわかるような場合でも、残念ながら誤診がおきてしまっています。

 

また、誤診した担当医に検査の経緯を報告しても、「誤診したのは自分ではない。診断医が誤診したのだ」、といって全く反省をしない医者もいます。

 

ガンであるかどうかを判断するのは、細胞診や組織診の診断医なので、患者さんの担当医は、診断医の判断をそのまま鵜呑みにして患者さんに伝えているだけの場合が多いのです。

 

これでは、一体だれを信じてよいのかわからなくなってしまいます。

 

大きな病院では、細胞診断や病理診断を自前で行いますが、地方の中小の病院では、外部の業者に委託して診断してもらうので、患者さんが誤診した診断医と直接確認をとることが難しいです。

 

では、どのようなところで治療を受けたらよいのでしょうか?

 

「手術の症例数と手術の成績や安全性は相関する」と世界的に言われています。

 

手術をたくさん行っている病院では、それだけ経験値も上がり、安全性も高くなるということです。

 

このようなことはどの業界でもいえることでしょうが、医療もその例外ではないということです。

 

しかし、日本の多くの大学病院ではこの症例数を公表することに消極的です。

 

これは、大学病院での症例数が、実は意外と少ないということがばれれてしまうのが怖いからだと思います。

 

症例数が少ないということが公になると、患者の数に影響がでてきてしまうので、多くの大学病院では症例数を隠したがるのでしょう。

 

たとえば、大手の大学(国家資格)受験予備校では、どの大学(国家資格)に何人の合格者を出したかということを積極的に公表しています。

 

その数が多ければ多いほど、予備校の評価になりますし、生徒数に影響を与えるからです。

 

隠したがるということは、数が少ないからだということを明らかにしているようなものです。

 

また、治療を始める前に、疑問に思うことを素直に医者に聞くことがとても大事なこととなります。質問に親切に丁寧にこたえてくれる医者を探すことがとても大切です。

 

手術のリスクはないでしょうか?

手術の後遺症はどうなのでしょうか?

リンパ節を取ってしまうとどうなってしまうのでしょうか?

おなかはどのように切るのでしょうか?

いつごろ動けるようになるでしょうか?

などなど。

 

時間をかけてゆっくりと納得がいくまで質問をして話を聞きます。

 

そのような手順をふんでから治療に入ると、治療結果も比較的良い方向に向かうでしょう。

 

しかし、医者によっては、全く患者さんの質問に答えようとしない人もいます。それどころか怒り出すような医者もいます。

 

あなたは抗がん剤治療しか治る方法はないのです。

早く手術をしないと転移してしまいます。

今すぐにここにサインしなさい。

私の治療方針に不満でもあるのですか?

など。

 

患者さんを脅迫して追い詰めていくような医者からは離れたほうがよいでしょう。

 

実際、米国在住の知人で乳がんになった人がいますが、手術して胸を切り取った際に、リンパ節の細胞を取り病理検査しました。その検査結果、リンパ節にも小さなガンが見つかりました。

 

6週間以内に抗がん剤治療をしないと、転移が進行するのでここにサインしなさい、と医者から一方的にしかも高圧的に言われました。

 

急にそんなことを言われても判断に困るから、他の医者の意見も聞きたい(セカンドオピニオン)というと、それは良いといわれました。

 

しかし、6週間以内に抗がん剤治療をしなければならない、という脅迫観念が植え付けられてしまった上に、次の予約をとるのに3週間以上も待たされてしまったため、時間的余裕が無く、結局、その医者の言われるまま、その方は抗がん剤治療を受けることとなりました。

 

脅迫観念を植え付け、さらに時間的に追い詰めていって、患者さんに考える余裕を与えない医者。これは医者の戦略なのでしょうか?

 

たとえば、早期発見された大腸がんの方がいます。病理検査をした結果、ガンの深さが粘膜の下(sm)まで達していたとします。

 

リンパ節の転移がない可能性は80%、ある可能性は20%。

 

この場合、多くの外科医は手術をして大腸を切り取り、リンパ節も取ることを進めます。(郭清)

 

しかし、手術の結果、リンパ節への転移が無く、大腸にもがんがのこっていなければ、患者さんにとっては切られ損となってしまいます。

 

リンパ節に転移している可能性が20%。この場合、切るべきか、切らないべきか、の判断は、患者さんの価値観によって異なってきます。

 

年齢や家族構成によってもかわってくるでしょう。

 

このような場合、あなたは医者から一方的に「あなたは手術する道しか方法はありません」「手術しないとあなたは100%治りません」「早く手術しないと転移してしまいます」などと脅迫されてしまったらどうしますか?

 

おそらく混乱してしまうでしょう。恐怖のために歩けなくなってしまうかもしれません。思考が停止してしまって、何も考えられなくなってしまうかもしれません。

 

何しろ、あなたの命がかかっているのですから。

 

でも、あわてる必要などないのです。じっくり腰をすえていろいろな人に相談してみてあなたの考えをまとめていったらよいのです。

 

転移すると脅かす医者は避けたほうがよいです。そのような恐怖観念を植え付ける医者のいうことは、信じる必要などありません。

 

いろいろなデータをつかい、専門用語をならべて説明するかもしれませんが、ほとんどの場合、何の根拠もありません。

 

現在のがん治療に100%というものはないのですから。医者のいわれるままに治療を受けたとしても、治るか治らないかは、”やってみないとわからない”のです。それが、現代のガン治療なのです。

 

 

あなたの担当している医者に、「セカンドオピニオンを聞きにいきたいので、私の診療情報やレントゲンフィルムを提供してほしい」と素直に聞くのです。

 

本来、あなたの診療情報はあなたのものです。病院のものではありません。

遠慮する必要などないのです。

 

多くの人は、そんなことをしたら意地悪をされてしまう、と考えて遠慮して言えません。

 

多くの医者は、高圧的な態度で患者を精神的に拘束(ドクターハラスメント)

してしまっているので、患者さんは何もいえないのでしょう。

 

先程の米国の乳がんの方も、他の医者の意見を聞けなかったので、本当に6週間以内に抗がん剤治療を受けなければならなかったのかどうかわからないと言ってました。

 

精神的にも肉体的にも大きな損害をあたえてしまう抗がん剤。仕事も休みがちになり、経済的にも大きな打撃を与えてしまいます。さらに寿命にも大きな影響がでてきてしまいます。

 

抗がん剤治療を受けるか受けないかの判断は、人生の中で大きな選択です。

 

にもかかわらず、その選択は、医者からの一方的な脅迫により行われてしまっているのです。

 

あなたの疑問や質問に親身になって応じてくれる医者を探すこと。いろいろな意見を聞いてじっくりと自分の考えをまとめていくこと。医者からの脅迫観念におびえずに、あなたが納得した治療を行うことがとても大事です。

 

参考図書

「ドクターハラスメント」 土屋繁裕著 扶桑社