昨日の記事にも書きましたが、映画の撮影がスタートしており、現在Cirebonという街に滞在しております。

 

 

実はまだ撮影現場へは行けてなくて、撮影の順番を待っている状況です。

基本的には部屋から出られないので、早速朝食が部屋に運ばれてきて、これを頂きました!

 

 

中身はチキン、目玉焼き、干し魚、揚げ豆腐、テンペ、きゅうりのスライスでした。

おいしゅう頂きました、テリマカシ。

 

さて、今日はまた少しインドネシアの映画買いについて書いてみたいと思います。

 

 

驚かされた「FFI 2019」最優秀主演男優賞受賞俳優からの一言

 

先日、新型コロナウイルスのPCR検査を待っている時に、今回共演させてもらう「Muhammad Khan」という俳優さんと話をしていました。

 

Muhammad Khan」と言えば、「Film Festival Indonesia 2019(FFI 2019)」で最優秀主演男優賞を獲得した俳優さんです。

当時28歳だった「Khan」くんは映画界でもまだまだ無名の存在で、この受賞は驚きを持って迎えられ、様々なメディアで記事になりました。

 

出演作品は「Kucumbu Tubuh Indahku(邦題:わが素晴らしき肉体の記憶、英題:Memories My Body)」

先の「FFI 2019」にて最優秀長編映画賞、最優秀監督賞、最優秀助演男優賞などを総舐め、合計8冠を獲得した作品です。

 

この映画、男性間の恋愛、いわゆる「LGBT」を主題の一つに掲げたことで賛否両論が巻き起こった作品で、当初はインドネシアで公開中止を望む署名を行う団体が現れるほどでした。

しかし蓋を開けてみれば、「FFI 2019」で8冠。

素晴らしい作品なので、是非機会があれば一度観てみてください。

 

ちなみにこの映画の中で「大人になったジュノ」を演じているのはこの主人公ジュノの実際のモデルにもなった現代舞踊家のリアント氏。

僕の10年来の友人です。

いや、友人と呼ぶのもおこがましいくらいの世界に名を馳せる超一流の舞踊家さんなのですが、なぜかよく飛行機の中や空港でばったり会うことが多く、再会を喜んでいます。

#今年はそれもコロナでなくなってしまいましたが(涙)

 

ちなみに、このリアントさんと一緒に新型コロナウイルスのロックダウン中に星野源さんの「うちでおどろう」で一緒に映像を創らせてもらいました。

是非、観てみてください!

 

そして、この主人公ジュノの青年時代を演じたのが先述の「Muhammad Khan」くんでした。

 

「FFI」と言えば、日本で言う「日本アカデミー賞」に値するものだと先日記事に書きました。

 

 

この「FFI 2019」で最優秀主演男優賞を獲得した「Khan」くん、ワークショップからそれはそれは素晴らしく、演技について、演じると言うことについて僕もたくさんのことを彼から学ばせてもらいました。

まさに演じるということを生業にし、生き甲斐にしている俳優さんです。

 

 

そんな「khan」くんが先日の会話の中で、

 

「このままだと俳優業だけで食べていくことは難しい」

 

はっきりと言っていて、僕はそれにとても驚きました。

 

 

想像してみてください「日本アカデミー賞」の最優秀主演男優賞を獲得した俳優さんが、その次の年に「俳優だけでは食べていけない」ということになりますかね?

恐らく、それは考えにくいと思います。

#不倫とかしたらもしかしたらありえるかもしれんけど

#ってかあれを寄ってたかって叩いているのも意味わからんですけどね

#当人同士の話なんだからほっといたれや

 

 

もちろん、今年は新型コロナウイルスの影響で普通ではない年にはなっていますが、Khanくんがこう発言した意図は何も今年に限った話ではなく、インドネシア映画界全体に関わることでした。

 

 

◆インドネシア映画界の現状:日本との比較◆

 

「Khan」くんの「インドネシアでは映画だけで食べていくのは難しい」という発言の真意は、インドネシアの映画制作本数と制作費の限界にありました。

 

インドネシアと日本の1年間の国産映画上映本数を比べてみると、

 

インドネシア:130本

日本:689本

(2019年データ)

 

となっています。

圧倒的に少ないんですね。

「Khan」は日本のこの国産映画上映本数も知っていて、インドネシアは比較的高い出演料が期待できる商業映画に出演するチャンスは圧倒的に少ないと話していました。

 

一部のトップ俳優・女優たちがそのほとんどの席を占めてしまう。

日本ももちろんその傾向はあるわけですが、制作本数が非常に多い為、一部のトップ俳優・女優だけで全ての作品を撮影することはできず、当然他の人にもチャンスが回ってくると。

インドネシアはその本数自体が少ないため、その分チャンスも日本ほど多くはない。

そこが難しいところだと。

 

そして、興行収入の面でも2019年日本で最も稼いだ映画は「天気の子」だったわけですが、こちらの動員数は1000万人を超えていて、興行収入は133億円を突破しています。

一方、インドネシアで2019年最もヒットした映画は「Dilan 1991」という映画で、動員数は525万人で、興行収入は約15億円です。

 

動員数と興行収入の差に注目してください。

動員数は約半分ですが、興行収入は0が一つ違います。

この数字が表すものは?

 

そう、まずチケット一枚あたりの単価が違うのです。

インドネシア映画は基本的に300〜600円くらいで映画が観れてしまいます。

心地いいソファで、プライベートシアターのようなVIP席ですらせいぜい1500円くらいです。

ですが、このVIP席は一館で多くても10席くらいなので、この価格での多くの動員は見込めません。

 

インドネシアの人口は日本の人口のおよそ倍です。

それを考えると、この価格設定でもインドネシア人にとって映画館に足を運ぶということがまだまだ日本人に比べて一般化していないということもできるかもしれません。

 

もちろんインドネシアの主要な都市では所得もどんどん上がっており、映画館に遊びに行くことも割と普通にはなってきていますが、田舎に行けばまだまだチケットを買って映画を観るということは特別なことなのかもしれません。

 

この辺りは違法アップロードの映画や違法DVD・VCDの流通とももちろん関係があることではあるので一概には言えませんが、動員数と興行収入の数字から現実的にこういう状況にあるということはわかってもらえるかと思います。

 

まあとは言え、お隣のマレーシアの2018年国内興行収入トップが10億円届かないくらいなので、人口が遥かに少ないインドネシア以外の東南アジアの国々はさらに厳しい環境なのかなと想像しています。

 

その辺り、全く詳しくないのでいつか誰か詳しい方に聞いてみたいです。

 

ということで、今日はインドネシアの映画界についてまた書かせてもらいました。

それでは、良い日曜日を。

 

皆さんにとって、今日が昨日よりちょっとでもいい日でありますように。

 

撮影頑張ります!

 

#写真左が「Khan」くん、右は女優の「Sonia」ちゃん!

 

ひろ。

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友情はまるで「さなぎ」!!