中日との三連戦
どうも昨年の巨人を見ているような4月2日の初戦だった。
先発の山崎伊織は危なげない投球でこのまますんなり勝つのかと思いきや、まさかの同点延長の末中川が2戦連続の負け投手となる本塁打献上、という最悪な負け方だった。
まあ山崎は力で抑え込むタイプではないし、まだ少しスタミナ面では不安もあったので7回3失点ならば上々と言ってもいいくらいだ。
今後の課題として勝ちパターンで次に渡せる投球にこだわって欲しいところだが、それでも投球内容を考えればつくづく勝ち星に恵まれない投手だと思う。
2戦目はメンデスが悪すぎたのでどうしようもなかったが、それにしてももう少し得点力は上がらないものだろうか。
流石に新人の佐々木や浅野らに期待し過ぎるのも酷だとは思うが、せっかく与えられたチャンスはものにして欲しいものだ。1番が先陣を切ってもらわなければ攻撃に流れが生まれないのだ。
点の取れない理由のひとつが岡本である。
昨年とは違ってチャンスで廻ってくる場面が多いにも関わらずことごとく三振や凡退しているのだ。
昨年はホームラン王に輝きながら打点がそれ程多くないことからも分かる通り、ここ一番という場面には意外に弱い一面がある。
今年は打点にこだわりたいと取材に答えていたのだが、まだ課題を克服出来るまでは時間がかかりそうだ。
もっとも、今年に関しては今の巨人に岡本以外に怖い打者がいないという事情があることは確かだ。
坂本も丸もいるとはいえ、投手に対して威圧感を与える程の迫力は現状感じられない。
相手バッテリーからすれば、岡本だけに集中出来るのでかなり厳しく攻められるのだ。
やはり中田やウォーカーといった強打者が抜けたのは非常に痛かったとつくづく思うのである。
好材料としては赤星や萩尾ら先発メンバーに選ばれていなかった選手がきちんと結果を出していることだろう。
3戦目は初戦とよく似た状況となったが、そこは流石のスガコバと言うべきだろうか。
菅野の方は以前ほどの迫力は無いとはいえ、ストレートは昨年に比べればかなりよくなっており、やはり要所で決めるスライダーのキレと精度は見事だ。
ランナーを出しても次で併殺を取れる技術は素晴らしい。特に一死一塁の場面でピッチャー脇の打球を捕りかけた菅野は途中で敢えてスルーすると、二塁吉川に捕らせて併殺にしたのである。
実は初戦でも同じ様な場面があったのだが、無理に捕ろうとした山崎伊織はそれを弾いてしまいピンチを拡げる事に繋がってしまった。
そういった部分が経験の差であり、勝てる投手の技術なのだとつくづく思ったのである。
抑えの大勢の投球は素晴らしい。ストレートは160km/h連発で、フォークのキレは抜群。何より前回抑えて少し安心したのか、今回は自信たっぷりで投げ込んでいる印象だ。
オープン戦ではまだ上から投げることを意識していたのが今回はほぼ横手投げになっており、以前のもっとも良かった時の状態に戻った感じだ。
腕の振りが柔らかくしなやかになり、球の出所も分かり難くなったのでは無いだろうか。
そして今回はやはり小林のリードが光っていた。
菅野の持ち味を十分生かした配給も勿論だが、大勢に左打者のインコースへの真っ直ぐを何度も要求していた。
大勢もまだ左打者への苦手意識が残っているのかなかなかインコースに投げきれてはいなかったが、それでもどんどん真っ直ぐで押しこんでいく大胆な配球は流石である。
大勢の球はシュート成分が多い分伸びは出ないので、球速の割には空振りは取りにくい。
恐らく小林もそれをわかった上でファールでカウントを稼ぎ、フォークで三振を奪っている。
何よりも投球のテンポが非常に良いのだ。
球を捕球してすかさず返球し、迷うことなくサインを出す。
ミットを構えるのも早いし、しかも余計な動きも少ないのだ。
調子が良い投手にとっては余計な間を取られることもなく気持ちよく投げられるし、打者にしてみれば考える余裕もなく打ち難い。
最近では大城のリードも悪くはないと思うのだが、私は大城の構えるのがワンテンポ遅いのがどうしても気になる。特に大勢や戸郷の様な比較的ポンポンと投げるタイプとはあまり相性は良くないと思うのである。
初戦と3戦目の展開はよく似ていた事もあり、どちらに転んでもおかしくない試合だった。負け越しはしたが最後に良い勝ち方をしたのは救いだった。