あまり〝ぶろぐ〟るほどの情報でもないが、FB、xなどひとまとめにお知らせするために。

 

サクラXV完敗を受けてのぶろぐをアップした後、日本時間10日夕方にレスリーHC、齊藤聖奈ほか数名がオンライン会見でメディア対応。HC、選手とも、少なくともオンラインという対応上は、「完敗」を素直に受け入れ、世界7位との格差を感じている印象だった。

 

経験豊富な50キャップホルダーも、土曜日のパフォーマンスではアイルランド(初戦の相手であり、当然今回のRWCプール突破のためのターゲット)には勝てないと淡々と語っていた。

 

日曜のぶろぐに追加するべき情報としては、レスリーが語っていた(半分こちらからの悪意のない誘導尋問でもあるが)相手チームが、サクラのアタックをスローダウンさせようと、あらゆる手段を講じてきたこと。ラックで、おそらく意図的に膝をつくなどして球出しを遅らせてきたという。つまり、本番でも、そのようなグレーゾーンで日本の強みを消してくるのは明白だ。

 

サクラが自分たちのモメンタムを作り出せなかった一因は判ったが、本質的なゲームの質としては、昨日のぶろぐと課題は変わらない。相手が何をしてこようが、自分たちのスピードをどうクリエートしていくかのテーマに挑んでいくしかない。

 

参考までに、ラックスピード(ラックから何秒でボールを展開しているか)のスタッツが象徴的だった。

 

 

▼Ruck Speed

      JPN            ITA

0-3秒   24%          38%

3-6秒  ★66%          46%

6秒—      10%          16%

 

 

選手も、ブレークダウンでの2人目、3人目の寄り、相手のサポーターを剥がすプレーなど、接点でさらに精度、クオリティーを上げなければいけないと比較的冷静に敗戦からの「学び」を語っていたのは、すこし安心もした。チャンスどころ、攻めどころでの精度の悪いパスも、球出しの段階で重圧を受けたことも起因(一部)だとも聞いた。

 

だが、それでも重要なのはイタリーでの「学び」をイングランドでどう結果に結び付けるか。準備は2週間だ。

 

ラックスピード以外にも、スタッツにはあからさまな敗因が浮かび上がるので、すこし紹介しておこう。

 

          JPN               ITA

パス       177回   178回

キャリー      81回     153回

ランメーター   122m    360m

ラインブレーク    4回     8回

タックル回数   191回     97回

タックル成功率    87%      93%

 

 

そして前回ぶろぐで分かりづらい数値を書いたので、こちらの22m内侵入時の得点レートも

 

JPN  2.1点

ITA    3.6点

 

この数値で顕著なのは、パス回数でほぼイーブンなのに対して、ボールキャリー、ランメーター、ラインブレークとあらゆるアタック要素で「完敗」の数値を出し、タックル成功率もスタンダードとしては悪くない数値だが、相手に大きく差をつけられていることだ。サクラが、いかにいいアタックを見せられていないのかを窺い知れる数値でもある。

 

 

 

 

本日お邪魔した案件を、すこしお知らせ程度に。

 

我がお散歩エリア圏内の武蔵小山で行われたのは、こんなセミナーだ。

 

「デフラグビーに学ぶ、きくチカラ」

~2026年に東京で国際大会を初開催!「世界一の連携」の作り方~

 

サブタイトルも入れるとかなり長いが、つまりデフラグビーから学ぶべきものがあるという企て。〝セミナー〟と名乗ると昨今すこしいかがわしい、水晶でも売りつけられそうだが、平たく書けば実技も伴う講演会。講師はデフ日本代表〝クワイエットタイフーン〟の柴谷晋ヘッドコーチ(HC)。ラグビー関係者の中では、知る人ぞ知る存在だが、簡単に紹介すると、自身大学時代から聴覚障害も負いながら、東芝ブレイブルーパス等でアナリストを務め、ライターとして活躍してきた。

 

因みに主催者はSRU。え? これも何やら怪しい秘密結社?? はたまたスコットランドラグビー協会か。ううむ、近からずも――と言いたいところだが地理的には、見事なまでに近からず。ムサコ・パルム商店街も支配下に治める「品川区ラグビーフットボール協会(つまりSRU)」の第20回セミナーとして行われた。このSRUを立ち上げ、運営で奮闘するのが理事でもある成見宏樹くん。長らく現場で共にラグビー取材を続け、現在は別担当ではあるが、楕円愛に満ちた心優しき男だ。

 

で、講演だが、我々のようないわゆる健常者に対して、聴覚障害を持つ人たちがどのような困難を日常感じているか、そしてラグビーでは――。というテーマを、上手く話してくれる。その中で、聴き手として痛感するのは、いかにコミュニケーションが大事か。そこは、無理矢理こじつける訳じゃないが、先日アップした日本一チームについてのコラムにも通じる。

 

聴覚に頼れないクワイエットタイフーンのメンバーなら、我々が日々コミュニケートツールとして使う声、音声を抜きのまま組織として成長しようとしている。仲間が後方にしかないないラグビーでは、他競技以上に難しさがあるのは明白だが、彼らは旺盛なチャレンジを続けている。そして、講演したHCは「想像力」の領域までチーム強化をしようとしているのだ。

 

残念なのは、来年、このようなチャレンジャーたちの〝ワールドカップ〟2026年 WDR 7s WORLD CHAMPIONSHIP(第3回デフラグビー7’s世界大会)が日本で開催されることの告知はほとんどなされていない。確かにデフラグビーは独立した特定非営利活動法人「日本聴覚障碍者ラグビー連盟(JDRFU)」が参画する大会であり、「クワイエット――」も、その連盟傘下の代表チームだ。だが、いつも「ファミリー」という言葉を乱発させるJRFUにとっても〝家族〟の一生に一度かも知れない晴れ舞台を、どう応援していくかは重要なテーマではないか?

 

 

もちろん、水面下ではJRFUも前向きで、まだ公式なリリースはないものの、デフ大会の上位戦は、彼らの挑戦に相応しい都会の一等地にある会場を用意する〝らしい〟。だが、いまの時点で協会だけではなく、メディア、行政(自治体)、社会全体が、この大会へ向けた関心度を高める動きがもう少し活性化してもいい。「クワイエット」が許されるのはチーム愛称だけで、告知、認知度アップは大騒ぎしていい。

 

脇道に逸れたが、「聞こえない」からこそ、クワイエットタイフーンHCも、仲間たちもわれわれ以上にコミュニケーションの難しさ、そして大切さを知っているのが、彼らの素晴らしいところ。そして、その活動を知り、感じるのは、そのようなコミュニケーション、繋がりの大切さは、聴覚を越えて我々にとっても重要なことであり、障害の無いラガーメンにとっても、再認識し、より高めていけるフィールドでもあるように感じさせられたセミナーだった。

 

事前には、今回のセミナーを基に、柴谷くん、デフラグビーの取り組みをコラムにしようとも考えていたが、先々の取材、出稿ネタを踏まえて、さらなる深掘りも求めて来月の代表キャンプあたりで掘り下げを考えている。

 

 

 

惨憺たる敗北——

 

そんな表現は15-33のスコアには厳しすぎるだろうか。

しかし、頭の中にこんな言葉が浮かんだ80分だった。

 

ワールドラグビーランキング7位と11位なら、そこまで悲観する数字ではないのかも知れない。だが「スタイル」という観点からみると、やはり厳しいゲームと受け止めざるを得ない。

 

以前のぶろぐでも触れたように、サクラの女子たちは明らかに進化している。フィジカリティー、スキル、ゲーム理解。だが、試合の進め方は正直つまらない。表現を変えると、あまりにオーソドックスだ。1次フェーズでボールを大外まで運んだアタックが、このゲームで何回あっただろうか。勿論、外に振り回せばいいというものではない。だが、だからといって、ほぼほぼフィジカル&ストレングスで上回る相手にセンターポイントで教科書通りのアタックを仕掛けるのも、いい手にはみえない。予定調和のアタックが相手防御にとって十分なプレッシャーになってないのは、PC画面からも滲む。

 

 

(参考までに)

 

 

ここまでのテストマッチを見ても、モールを強みにするのは明らかだが、それも自分たちの首を絞めることになるかも知れない。この日もマークしたトライ3本中2本を、敵陣レッドゾーンから迷わず押し込み奪ったが、相手に嫌悪感を抱かせる武器かと考えると、どうだろうか。相手反則→PK→敵ゴールライン前ラインアウト、そしてトライ。スコアもしたが、出来なかったケースも同じようにある。

 

スコアしたとしても、この得点方法は時間がかかりすぎる。時間がかかっても、スコア出来ればいいという考え方もあるが、参考までにイタリアの先制トライはキックオフからの流れでキックボールを手にしてから1分あまりでミッドフィールドからの連続攻撃でスコアしているが、所用時間は1分あまり。そこでスコアされてから、日本が敵陣に攻め込み、反則を奪い、タッチに蹴り出し、モールを押して最終的にスコアするまでに数分、十数分がかかれば、「スコア効率」という観点から深刻な問題になる。

 

ましてや1点でも優位に立ち、競り勝つことが重要なワールドカップのような舞台では、スコアされれば短時間でしっかりと奪い返す、リードを奪えば着実に加点してアドバンテージを広げていくのがセオリーとされる中で、スコアまで時間がかかることのリスクは考えなけれならない。

 

そして、ボールを保持して攻めても、3シーズン前ならイッキに加速してボールを動かすようなシチュエーションでパス精度が驚くほど低く、何度も無理なパスでボールを落とすシーンを連発した。地力に勝る相手は、果敢に防御のギャップを突いてワン・オン・ワンでクリーンヒットされるのを避け、ラックシチュエーションでもキャリアーが必ず1歩でも前に倒れようとして、結果的にモメンタムを継続したのに対して、サクラの攻撃は単調過ぎた。そして、多用したキックも、先制トライでも明白なように、しっかり相手がカウンター攻撃を事前に用意してきているにも関わらず、80分間何度も蹴り上げ、攻め込まれていた。

 

相手も、相当粗いチームで、ハンドリングエラー、反則を山積させていた。おそらくRWC8強クラスの相手だったら、そのミスが要因で完敗していたほどのディシプリンの低さだったにも関わらず、ダブルスコアで敗れた。すこし数値を紹介しておくと反則数は日本の10に対してイタリア13と、若干優位だったにもかかわらず倍以上のスコアを許している。22mライン突破は手元のメモで6対9。トライを奪ったレートに換算すると日本の33%に対して勝者が55%と、この日の勝負を物語っている。

 

貼り付けた以前のぶろぐでスペインとの国内最終戦に触れたが、あの試合で敗者が見せた勝とうとする旺盛なパッションも、残念ながら次の試合でサクラは体現できなかった。これもぶろぐで触れたが、イングランドの本番ではどのチームも人生全てを賭けるようなプレーで挑んでくる。数人の選手は、その日本との差も感じているのだが、前哨戦の地ではそんな必死さも、やはり相手が上回った。

 

大会目前の戦術の変更は、チーム自体が崩壊する恐れも十分になる。勿論、技術上もメンタル上も。だが、このまま、いまの予定調和のようなラグビーで、アイルランド、NZとどう互角以上の闘いが出来るのかは、今からでも真剣に考える必要はある。修正なしという指をくわえたままキックオフを待つのは、あまりにもリスクが大きすぎる。

 

繰り返しになるが、サクラは赤いバラではない。フィジカル、スキルで大幅な進化を遂げたとはいえ、その領域でトップ8クラスの相手から完璧なアドバンテージを奪えるわけじゃない。百歩譲って予定調和のラグビーをベースにしたとしても、何で優位性を創り出せるのか。密かにレスリーが準備してるのであれば、この文章も杞憂に終わるのだが…。

 

 

夕方のオンライン取材対応で聞いてみよう。

 

 

もう大分〝旬〟を過ぎたハナシだろうか? 昨季最強チームのコーチングコーディネーターのお話しを、ようやくアップした。

 

「ようやく」というのも、カレンダーを睨みつつの取材、作業となったが、アップするタイミングを「ジャパン」×「森田」の天秤にかけざるを得なかったからだ。後者を書き始めた時に、桜のジャージー(予備軍込)が動き出した。それと同時に、Cコーディネーターの話がそこそこ長尺になるという想定は、インタビューしながらも容易に想像は出来ていた。

 

「どちらを先に」は取材時点での懸案ではあったが、優勝ネタにライブ性がなかったこと、つまりすこし時間を空けての〝振り返り〟でというコラムとしての扱いだったのに対して、代表戦は試合明けの週にという原則だった。これを踏まえて、コーディネーターものを後回しと判断した。

 

 

 

 

 

インタビューは、予定していた時間を遥かに超過したが、森田CCの壮大な昨シーズンのストーリーは〝聞き応え〟のあるものだった。小生の拙文で伝わらない部分はお許しいただきたいが、〝府中の狼〟がいかにして勝ったか、シーズンを通しての進化、チームの信念を、若きCCが熱く、雄弁に語ってくれた。伝えたい言葉が次々と溢れ出し、一つの情報をすべて語り切る前に、次の情報が口を突くようなインタビューだった。その語りからは、このチームがいかに王者に相応しい取り組みを、シーズンを通して継続してきたかを実感させられた。

 

なので、こちらの「ぶろぐ」であまり冗長に書く必要はないだろう。おまけとして、コラムではすこし舌足らずという部分もあったので触れておこう。

 

森田CCも触れている決勝戦での個々のプレーの詳細までは書き切れなかったのは、コラムの本来の趣旨であるこのCCの取り組みやチームの足跡を優先したためだ。具体的なプレーの詳細まで書くと、さらに冗長になってしまうと判断した。

 

後編文末の「日本人コーチ」については、書き上げた後に足したもので、コラムの幹となるテーマではないが、ここまで1人の日本人コーチにスポットを当てたのであれば触れておくべきと判断して、極力圧縮して書き足した。その分、長々と書き込むことは回避したが、CCとして奮闘する森田くん以外にも、実際にチーム強化に手腕を発揮し、可能性を秘めた日本人は間違いなく存在している。ロビーさんの後継という大役を任された金沢篤、スピアーズのフィジカルゲームに外にボールを振ってフィニッシュする洗練さを加えていく田邊淳という〝野武士〟との接点があるダブルアツシはじめ「これから」を感じさせるコーチは、府中のCC以外にも野心を滾らせている。

 

勿論、彼らがそのままエレベーター式でチームのトップとしての座も、能力も保証されている訳ではない。だが、森田CCで例えれば、彼がこの6シーズンで自らを磨き上げた努力(そこには当然チームの多大なサポートがあった)と同等のチャレンジを、向こう3年、6年と続ければ、期待感は想定以上のものになるかも知れない、否なるだろう。

 

コラム中では、かなりネガティブな表現にはなったが、森田くんを始め若き〝アルゴノーツ〟が、世界へと舵を漕ぎ始めているという現実が、日本ラグビーの新たな局面を築き始めようとしている。

 

 

 

あまりダンマリも良くないので、女ジャパンについても書き残しておこう。

 

「過去最強」

 

そんな礼讃の空気感の中で、チームは〝無敵艦隊(とはいえ世界ランク13位、日本は11位)〟に2戦2勝。さらにポジティブな空気が色濃くなる中で、27日にはイングランド行きのメンバー32人が発表された。

 

メンバーは既にご確認の方も多いだろうし、こんな顔ぶれだろう。経験値の高い選手、つまり前回大会までの苦杯を味わってきたメンバー、そして2000年以降に生まれた選手たちも、経験者組に食い込んできている。素材だけではなく、新任S&Cコーチらの取り組みもあり、フィジカル面、スピード面などのパフォーマンスも、〝桜〟は確実にステップアップしてきている。なので、冒頭に挙げた礼讃は決して絵空事でも、単なる空気感でもない。

 

だが、それだけで世界最高峰の鎬を削る大会を勝ち抜いて行ける保証はない。勝ち抜く可能性は高くなっているかも知れないが、だからと言ってサクラXVは〝RWC一日乗車券〟を貰ったわけではないのだ。

 

パンデミックのとばっちりもあり、2022年に開催された前回RWCニュージーランド大会。プール戦勝利、あわよくば決勝トーナメント進出を期待されたサクラだったが、プール戦でことごとく敗れた。

 

対カナダ    5-41

対USA          17-30

対イタリー   8-21

 

善戦しても勝てない。手が届きそうで届かない。大会直前にNZに12-95と大敗したこともブレーキになってしまったという選手の声もあるが、「それでも1勝くらいは」という期待は見事に打ち砕かれた。2大会連続でプール戦全敗という苦難の旅を続けている。

 

この苦難のトンネルは世界最高峰の舞台に留まらない。

 

【WXV2 2024】

対南アフリカ           24-31

対スコットランド  13-19

対ウェールズ           10-19

 

HCレスリーさんの下で強化が進んだのは間違いない。JRFUも、そのHCを更にサポートしようと投資も続けてきた。ワールドラグビーから派遣されたサイモン・ミドルトン(ハイパフォーマンスアドバイザー)も含め、FW担当マーク・ベイクウェル、BK担当の〝バンジー〟ことべリック・バーンズ。錚々たる経験値、キャリアを誇る指導陣がレスリーを支えてきた。

 

大袈裟にいえば必勝態勢で臨むレスリー・ジャパン2度目の世界挑戦。勝利のための堀はかなり埋め立てられているのは間違いないのだが、繰り返しになるが、勝つための切符も免罪符も手にしてはない。

 

「期待されながらことごとく勝てないのは何故か?」

 

それがわかりゃ天才監督ではあるが、女ジャパンにつて考えると、この思いが後頭部辺りを堂々巡りする。

 

もしかしたら、正解ではなくともかなりいいヒントになる光景が、昨宵(26日)の秩父宮で観られたのかも知れない。

 

象徴的だったのは、前半14分の日本代表#10山本実のコンバージョン失敗に見られた。

角度のない左隅からのキックではあったが、キックモーションに入った大塚に対して、身長157㎝のスペイン#9アネ・フェルナンデス・デ・コレスが、壁に思い切り投げつけられたゴムボールが跳ね返って来たようなスピードでチャージ―を仕掛け、山本の蹴ったボールはクロスバーに当たりインフィールドへと跳ね返った。

 

スペインのアネさんが、どんな俊足かは知らない。だが、彼女のあの全身からスピードを絞り出そうとするような走る姿を見れば、誰でも彼女が持てる脚力、筋力、全身をフル稼働させてチャージに走ったのは判るはずだ。

 

そして、この小さな#9が見せたパッションは、胸にライオンが綴られたジャージーを着た15人全員が持っていた。まだまだ主導権争いの続く中でも、ボールポゼッション、テリトリーと苦戦を強いられたスぺインだったが、まさにライオン並みの寧猛さで桜のジャージーに何度もラッシュアップディフェンスを浴びせてきた。あまりの勢いに、自分の体のコントロールが出来ず、ブレークダウンで自立できないオフフィートを連発したが、「連敗して国に帰れない」という一途な思いだけは伝わった。

 

この試合から得るものがあるとすれば、ここではないか。

 

「おめおめ負けて帰れない」。

 

負けた言い訳はいくつでもある。相手を騙し、サポーターを騙し、自分自身をも騙す言葉は。

 

でも、そんな湧き出る言い訳ではなく、自分自身と代表チーム、そして国を背負って戦うという誇りと責任。それらが、ライオン女たちを突き動かしていた。

 

スキルレベルはもう一歩だ。ラインアウトの不安定さ、イージーにボールから目を離したノックオン…。粗探しせずとも課題は明白だった。だが、あの何度でも繰り返したラッシュアップして桜のジャージーに襲い掛かった気迫、いや藁をも掴もうとする必死な思い。こんな抽象的、感情的な領域のプレーが、世界最高峰の舞台で勝つには必要じゃないか。そんな思いで、刻々と涼しさを取り戻す秩父宮でのゲームを見守った。

 

ある選手は、試合後のミックスゾーンでこう話した。

 

「スペインは第1戦から変わっていた。必死さに立ち上がりプレッシャーを受けた」

 

ある選手は、この日のRWCメンバー発表会見でも、こう話す。

 

「ワールドカップになると、どの相手もいつものテストマッチではない力を出してくる」

 

では、自分たちはどうか?

 

当然彼女たちも、自分やチーム、これまで積み上げてきたもの、努力への誇りもロイヤルティーも、どの参加国に負けていない。だが、この形骸化しつつあるとはいえ平和主義国家を謳う国の善良な市民たちは、「テストマッチ=全てを賭けた戦争」という殺伐とした、血なまぐさい程の殺し合いという観念がどこか欠けている。

 

そんな抽象領域の勝負の一端を、地力的にはもう一歩だったライオン女たちが、少なくとも第2戦であからさまに見せてくれた。あのパッション、自分をコントロール出来ない程の必死さ、激しさで相手に突き刺さろうとする闘志…。あの汗だくで、形振り構わない姿を、ラグビー母国で桜のジャージーが見せることが出来れば、数年越えられそうで越えられないままの壁の向こうの景色が見えるかも知れない。

 

スペイン戦のパフォーマンスで、本番はますますアイルランドとのプール初戦が勝負になった。ここで勝てば2勝、そして〝山〟が動くかも知れない。だが、負ければ…。

 

だからこそ、薄暮の秩父宮でビジターが見せてくれた全てを賭けたようなパッションを、エメラルドのジャージーに浴びせて欲しい。

 

最後に、すこしだけプレーについて。

 

繰り返すが、桜の乙女は間違いなく進化している。フィジカリティー、スキル、戦術理解…。でも、試合運びに〝過激さ〟はない。過激というのは、22年RWC前のオーストラリア戦のようなパフォーマンスだ。確か史上初めての勝利だったか? その過激さというのは、サイズとパワーに物を言わせて相手がブレークダウンでプレッシャーを掛けてきた時には既にボールがパスアウトされている、グラウンドの縦軸に一瞬たりともボールを止めないようなラグビーだ。個人的には「百姓一揆ラグビー」と呼ぶ。

 

今のジャパンは、22年より強くて、上手くて、賢い。でも、どこまで相手が嫌がるラグビーをしているだろうか…

 

 

桜の乙女たちよ

イングランドで一揆を起こせ