〝日吉〟時代からお付き合いのある熊谷の新HCに話を聞いてきた。

 

8月に連続掲載した府中の首脳陣に引き続き、リーグワン強豪のコラムになったが、彼らの取り組み、そして言葉の中に、勝てるチームになるためのヒントがたくさん散りばめられている。

 

 

 

 

それ以上に、インタビューした面々が、〝挑戦〟という海原に、自ら漕ぎだしていることを称えたい。彼らは、様々な立ち位置の中で、リスクも覚悟の上で自分が思い描く「自分がどうなりたいか」にチャレンジし、それなりのものを掴み、その先に勝利という成功を目指している。

 

エディーが十数年も前に「日本のコーチなんて、いい選手集めて安心している」と詰った〝回答〟をそれぞれが示そうとしているようにみえる。

 

 

(押し売りながら、参考までに)

 

 

ラグビー国内3連覇監督から社長へ 東芝上層部も後押し「30億規模のクラブに…」見据える進化とビジョン――BL東京・薫田真広新社長昨季、ラグビー・リーグワンで連覇を果たした東芝ブレイブルーパス東京の薫田真広新社長に話を聞いた。前身の東芝府中での現役時代から国内トップ選手として活躍。監督、部長、GM等を歴任して、8月1日からGM兼務で事業会社のトップに立った。監督としては2004年シーズンから3連覇を果たすなどチームを国内最強に導いた指導者が、経営面でもどう“最強チーム”を更に進化させる…リンクthe-ans.jp

 

 

最初に森田佳寿CCを扱った際に、若干危惧したのは「彼一人が、日本人コーチの中で際立って特別な取り組みをしていると思われないか」というものだった。その時に頭に浮かんだのが、今回の金沢篤であり、コラムには登場頂いていない田邉淳だ。

 

勿論、これまでも沢木敬介や藤井雄一郎という日本を代表するコーチが、いまも活躍しているが、幾度かコラム、SNS等で触れてきた「情報」がさらに重要となる中で、新たなコーチに求める資質を積み上げようとしているのが前述の3人だ。まだ、こちらの取材が至らず、名前を挙げるべきコーチもいるかも知れないが、現状で主だった新たなコーチのステージに登ろうとしているのは彼らだろう。

 

金沢HCについては、森田CCに比べるとこれから結果を出していく立場ではあるが、ロビーさんからの6シーズンに渡る「学び」、ルーツ校で培った経験を、どうミックスして新たなHCとしてスタイルを構築するかを楽しみにしたい。どこまでの成功を収めるか、意地が悪いが、この3シーズン同様に目指すピナクルに辿り着けないのか…。いずれにせよ、あれだけの才能溢れる選手を率いて頂点を目指す挑戦から得るものは少なくないはずだ。

 

コラムで紹介したコーチたちを奉ろうという思いは毛頭ない。重要なのは、彼らに続こう、彼らを乗り越えて、更に上の世界に辿り着こうという野心を持ったコーチが、そして、そんなコーチを育てようというチームが、どこまで増えていくか。そんなケミストリーがこの極東の島国で起これば、楕円球の世界の楽しみも増えることになるだろう。

 

現状は、有名選手をかき集めようというマインドが多数かも知れない。リーグワン及び参入チームには、まだまだ、どことなく幼さを感じる。産声を上げてから4シーズンを終えたばかりと考えれば、それも無理のないことかも知れないが、どこまで、どれだけのチーム、どれだけのコーチが〝新たな水平線〟を見たいと思うのか。日本ラグビーのアルゴノーツは楕円の大海原へ挑戦の船を漕ぎだしたばかりだ。

 

 

 

PNCものは、大会トータルでのコラムと軌道修正。なので、途中経過という意味合いでカナダ戦をすこしメモ書きしておこう。

 

 

夏のウェールズ・シリーズをドローで終えた後の最初のテスト。

                                                   

「キョウハゼンブワーナーネ」

 

会見スタート前のエディーさんのおどけぶりが、この試合の評価と受け止めた。勿論、コメントは人生初主将を勝利で飾ったスキッパーをいじったものだ。

 

その新米主将に、メンバー23人中ノンキャップ4人、1桁キャップ8人という若い布陣で57-15快勝でのPNCスタート。指揮官としては、安堵の気持ちもあったとは思うが、スタジアムを出て夜風に吹かれての帰路は、モヤモヤした思いに包まれた。

 

開始3分でNo8ファカタヴァ・アマトがPK速攻からの先制トライ(ゴール)と幸先いいスタートを切ったものの、立ち上がりからポール・ウィリアムズ・レフェリーの笛が鳴り続けた。前半だけで、10-17ビハインドのメイプルリーフスの反則5に対してブレイブブロッサムスは8個の反則を積み上げた。

 

エディーは「ウェールズ戦以降試合から遠ざかっていた影響もあった」とチームの実戦でのコンビネーションの不十分さや力みも響いたと話したが、ゲームの主導権を握るために重要な序盤でなかなかゲームをオーガナイズ出来ないのは、段階的に上位国と対戦する「これから」への深刻な課題でもある。前後半トータルの反則数は敗者の1.5倍の12個。特に前半笛を連発させたことは、新米リーダー・ワーナーを筆頭に、ウィリアムズの笛の傾向に上手くアジャスト出来なかったという猛省材料だ。前半のスコア17-10は、23年ワールドカップ出場を逃したチーム相手では負けに等しい数字だった。

 

後半15分のアマトの2本目のトライ、直後のワーナー主将の独走あたりでメイプルリーフスがガス欠になって勝負は決まってしまった。快勝に多くのメンバーがにこやかに引き上げる中で、13キャップながらすでに中堅になろうとするSH藤原忍も顔を顰めた。

 

「この(前半の)試合をやったら、強豪にはやられますね」

 

確かに世界ランク13位が24位を圧倒した80分間だった。だが、手元のメモで前半でジャパンが相手22mライン内へ侵入したのは7回。だが、スコアをして自陣に返って来たのは3回(2トライ、1PG)に過ぎない。対する敗者は2回の侵攻で1トライ、1PGと効率性では勝者より上だった。

 

この前半のスコア決定力の差は、指摘した反則数と、これは新生エディージャパン始動からの課題でもあるすこし無理な状況でのパスによるハンドリングミスが響いた。敵陣ゴール前でのラインアウトミスも、相手次第では致命傷に成り兼ねないものだった。ちなみにジャパンの失点は、自陣ゴール前マイボールラインアウトのミスから逆にカナダにラインアウトモールを押し込まれたトライ(ゴール)と、カウンター攻撃からゴール前に攻め込まれてのノットロールアゥエーでと、自分たちのミスから許したものだった。

 

「ミスなら修正すればいい」。こんな意見もあるだろうが、主導権争いの大事な時間帯に自分たちのミスでスコアチャンスを逸して、同様にミスで相手にスコアを献上したのが前半の有様だ。前半でいえば、浅く蹴ってマイボールにしようと狙ったキックオフも相手に簡単に捕球を許した。ここは、カナダのスキルの低さで、深刻な状況には陥らなかったが、上位国相手にはまだまだ熟成が必要だと印象付けた。

 

後半修正してしっかり勝ち切れたのは「めでたしめでたし」だったが、おそらく決勝で当たるフィジー(世界ランク9位)、そして10月のワラビーズ(同6位)、そして欧州でのスプリングボクス(同2位)、そしてシャムロック(同3位)と段階的に上がっていく強豪との対決では、かなり厳しい戦いを強いられることになる。

 

目を向けるべきは、若手の経験値を上げるにはもってこいの世界24位とのテストや、その24位にやられた次週の世界18位、準決勝で当たるアイランダー辺りの〝弱い者いじめ〟ではなく、年末に行われるRWC2027のドローに影響する世界ランキングをどこまで上げることが出来るか、或いはどこまで下げずにいられるかだ。

 

勿論、テストマッチという重要な試合で若手投資が出来るPNCのメリットはあるが、「初主将快勝発進」などと浮かれるよりも、立ち上がりから40分間で起きたことを冷静に考えるべきだろう。

 

その一方で、日本が武器とするべきアタック面では、これから完成度を高めていけば武器になりそうな萌芽も見れた。SO李承信の外側にフラット気味のラインを敷き、ここからダイレクトにポイントを作る、内返し、バックドアの深いラインからのオープン、そして大外への飛ばしパスと、バリエーションのあるアタックを創り出そうと意図しているように見えた。そこにバックローのサポートを加えれば、アタックの厚みは更に増していく。真新しい戦法というよりは、ジャパンのスピードを生かしながら、そのバリエーションの多さで相手防御を惑わせ、防御の何処にスペースを生み出させようという試みと感じ取れた。

 

防御でも、前半20分からの自陣ゴール前で2回連続でラインアウトモール、そしてライン攻撃を封じ込んだのは、世界20位台相手には十分守り切れるのは証明した。ちなみに2回目のモールでは、サイドを崩そうとした相手HOの懐に小さなWTB石田桔平が喰らいいてタッチへと押し出している。その後のマイボールラインアウトミスからの先に触れたトライ献上は反省材料ではあるが、この防御を段階的にレベルが上がっていくこれからのテストマッチでどこまで見せられるかも注目だ。

 

選手個人にスポットを当てると、やはり派手なタックル、ジャッカルで魅せたのはFLベン・ガンター。タックル回数(15)、うち完璧に相手を封じ込んだドミナントタックル(3)、ボールターンオーバー(4)とコンタクトエリアでチーム最高数値を叩き出した。ガンターが〝陽〟のプレーで活躍したが、地味に仕事を続けたのはLOで出場したワイサケ・ララトゥブア。常にボール近くを走り続け、ラックスイープなどのランナーのサポートプレーで仕事人ぶりを発揮。ボールキャリーはスピードが武器のNo8アマトの9回に次ぐFW2位の8回を数えた。彼のワークレートを生かすには、ベストポジションがバックローか? 

 

BKではWTB石田桔平が、自慢の快足を飛ばす派手なランこそ多くはなかったが、ボールキャリー(15)、キャリーメーター(85)、ラインブレーク(4)、完璧に相手を抜く突破(4)と気を吐いた。本人は前半2度のトライチャンスをフィニッシュ出来なかったことを課題に挙げたが、エディーは「自分からボールを貰いに行くプレーで終盤トライを獲ったのは評価出来る」と、サインプレーも含めた終盤3分での2トライを評価した。

 

 

 

さてはて、8月最後の週末は、皆様どのように?

散歩がてら杜の都にでも!

東京からでも、まだキックオフに十分間に合います。

というのも、どうやら客の入りは「…」。

 

2万弱という座席数からすると〝埋まり感〟に達するのも難しいかもという現状のようです。なので、是非2時間の旅で笹蒲鉾も満喫できる町へ起こしやす。

 

で、試合ですが、本チャンはまた試合後にということで、前哨戦扱いの短文を。

この試合、短絡的に書けばMust Win。

メイプルリーフスにアドバンテージがあるとしたら、こちらシリーズ開幕戦に対して、彼らは1週間前のカルガリーからスタートしていること。しかも、34-20と最近のリーフスにしては、かなりいいパフォーマンスと評価したい80分を経験している。

 

昨日(金曜日)は朝の仙台中心部で28℃。体感では、爽やかな気候にも助けられさらに低温を感じさせたが、ゲームデーは同じく町中で33℃。これがどう両チームのパフォーマンスに影響するか…。

 

以前にもどこかで書いたが、ゲームは若いジャパンの試金石になる試合という位置づけで観たい。桜のジャージーの先発15人の総キャップ数140という数字が、その経験値の低さを物語る。スターターのノンキャップはCTBチャーリー1人だが、ベンチではPR小林賢太、HO佐藤健次、CTB廣瀬雄也がデビューを狙う。他にも1桁キャッパーが9人という編成だ。いわばジャパンXV、ジュニアジャパンと称してもいい顔ぶれを、人生初主将を担うLOワーナー・ディアンズ、No8ファカタヴァ・アマト、CTBディラン・ライリーというコアメンバーがセンターラインを固める。

 

その一方で、相手のカナダは、先週の米国からの勝利でランクを一つ上げたとはいえ世界で24番手のチーム。過去には2007年、11年大会とワールドカップで2大会連続で引き分けた〝好敵手〟ではあったものの、そのドローも含めて2005年を最後に9戦無敗(7勝2分け)の相手だ。歴史的な背景を見ると、1991年RWCでのベスト8から長期低落傾向が続いてきたと評価していいのだが、1週間前のカルガリーではちょっとした〝異変〟も見られた。

 

 

前日練習後には釜石市から福来旗がメイプルリーフスに贈呈された。昨季

も贈られたようだが、チームはそれを毎回ツアーに帯同しているという。

来季以降もNPCで来日が続くと、数年後には旗の持ち運びがチームの重大

に‽?? それ以上に深刻に考えるべきは、2019年に〝預かり〟となっ

のナミビア戦。すでに6年が過ぎて実現できないまま「開催実現を」

        が続く。           

 

 

米国との〝北米ダービー〟は常にマッシヴな肉弾戦がベースになるが、この日のリーフスはブレークダウンで、自分たちが必要な範囲内のスピードで球出しを出来ていた。ライバルの〝トランプ王国〟としては、さらなる重圧でスマッシュしたかったが、そこはリーフスが上だった。ボールが動けば、その扱い、スキル、サポート、ムーヴは、過去にもカナダが上というゲームは何度もあったが、この日も、スペースを見つけて、そこへボールを運ぶ術ではやはり一枚上だった。おそらく、そこには伝統プラス、新HCスティーヴ・ミーハンのコーチングが影響しているのだろう。母国オーストラリアはもちろん、フランス、イングランド、そして東大阪とBKコーチを中心に仕事を続けてきた経験豊富な指導者が、一匙「洗練さ」を落とし込んだのが今季のリーフスの姿と感じている。

 

なので、仙台での80分は、ヤングブロッサムズが地力でランク24位を圧倒出来るのか、はたまたリーフスが前週のように自分たちのテンポを確保した上で、気の利いたボール繋ぎ、サクラの防御を崩し、スペースを突けるかが1つのポイントになる。そこで、昨年の新生エディージャパン始動から傾向が見られる、窮地に必要以上に浮足立つ課題を露呈するとゲーム展開は予想外の方向へと流れていく。もし、このような状況に陥れば、初心者マークのスキッパーの役割も重きが増していくことになる。

 

メンバーを見ると、まずヴィジターはNo8タイラー・アルドロンの欠場は残念だ。桜のジャージーに、主将を務めるFLルーカス・ラムボールと共に重圧を掛ける能力のあるストロングキャリーを欠いた戦いになる。PNCが、リーフスにとっては2027年への予選を兼ねることで必死さが違うという声もあるが、逆にジャパン戦後の闘いを考えてタイラーに無理をさせなかったのなら〝予選〟だったことがサクラのジャージーにはプラスに働いたことになる。

 

赤白ジャージーに目を向けると、強力なバックロー+新主将がフィジカル、運動量でチームに主導権をもたらす期待感はすこぶる高い。SH藤原忍は相変わらずラインスピードを上げてくれるだろう。

 

「プラスα」を期待したのはオープンWTB石田桔平

 

 

 

 

チームが宮崎に籠っていたため、前日ゲームリハーサルで久しぶりにナマ桔平を見たが、従来も筋肉質だった小さなボディーが、さらにマッシヴなフォルムになっているように感じた。練習前のショートダッシュのしなやかな加速感、体もストレングスと同時に十分に柔軟性を湛えているようにみえた。過度な期待感かも知れないが、休養中のジョネの好敵手になれる資質はあるだろう。そのランを見て感じるのは、ジョネとのポジション争い以上に「ポスト堅樹」という姿だ。

 

医道を進むトライゲッターとタイプは異なれど、あのゴムボールのような弾力性のあるラン、ステップを、どうアピールしていけるか。167㎝75㎏というハードルはあるが、どう乗り越えていくのか。相当高い壁はあるが、堅樹が乗り越えたように後に続く資質は十分にある。

 

まずは、失礼ながらマストウインの相手との戦いで、期待に応えるランをどこまで見せられるか。仙台での出来がその先のメンバリングに直結して、次は空飛ぶ魔術師、ワラビーや世界王者へと、挑戦権を持ち続けるためにも、結果に拘りたい80分が始まろうとしている。

 

Ⓒ東芝ブレイブルーパス東京

 

 

8月1日付で株式会社「東芝ブレイブルーパス東京」の社長に就任した薫田真広の単独インタビューをコラムにアップした。

 

就任が決まってすぐさまオファーをかけて、かなり早めに実現したインタビュー。リーグワン最強チームのトップというよりは、「PからGO」で一世を風靡した東芝府中時代から、国内最強HO、勝負師として長らくピッチ、そして酒場での付き合いがあった男の「新たな挑戦」への思いを聞いてみたいという気持ちで連絡をとった。

 

当然、その時点で出稿準備中だった同じチームのコーチングコーディネーターの物語りとの兼ね合いも思案の為所だったが、森田くんコラムは「シーズンの振り返り」が主要なお題だったのに対して、新監督モノは「これから」がテーマ。この2つのコラム抱き合わせで、リーグ盟主の過去・未来を語るものと解釈して、8月は〝ルーパス月間〟となった。

 

で、「これから」を語ってもらったコラムだが、若干の後悔・反省の念も残しながらの出稿となった。それは「インタビュアー」としての力不足だ。取材対象から何を引き出すか――これこそ究極の仕事だが、そのエリアをどこまで達成できたか。

 

 

 

 

この〝府中の酒豪〟とは、ピッチでも酒場でも、会えば「ラグビーをより良くしたい」という共通認識の元、結果的に協会、チーム、日本ラグビー全般へ向けた厳しい議論を交わすのが常なのだが、今回のインタビューも多分にこの流れへと傾いてしまった。

 

勿論、新社長という立場で、そして、これまでのGMという立場で積み上がった「不安」「疑問」「憤り」を正直に語ってくれたのだが、今回のコラムの本来の趣旨を踏まえれば、もっとチーム、会社をどう持っていくかという組織のトップとしてのファンダメンタルな課題やターゲットを、新社長の言葉として引き出すのが重要なインタビューだった。

 

なので、アップしたコラムでも、リーグや日本ラグビーについてもかなり言及があり、これからルーパスがどうなるのか、何にチャレンジしていくのかという疑問には、十分に応えられていないのも認めざるを得ない。

 

 

 

 

そんな中でも、選手、コーチとして「勝負師」と謳われてきた男が、何を考え、どんな思いで新たなポストに挑むのかが、すこしでも伝われば幸いである。森田CCインタビューでも周知の通り、このチームが組織として構築してきたもの、常に国内ラグビーを牽引してきたトップランナーとしての伝統や価値観、そして矜持は、多くのチームの「これから」にとっても示唆に富んだものだ。

 

その一方で、コラム作成中には、一時はルーパスの対抗馬として国内最強を争ったこともあるチームの厳しいニュースも聞こえてきた。ルーパスが事業化へと猛進する一方で、この〝轍〟は全てのチームが進んでいくのは到底難しいというメッセージを突き付けられた。

 

リーグワンを軸とした日本ラグビーの新時代は、まだ夜明け以前だと考えるべきだが、その中で、先ずは府中の群狼が先駆的に取り組んでいるものにスポットを当てたのが今回のコラムだ。その〝成功者〟としての取り組みを確かめた上で、では、〝そうじゃない〟方はどんな思いでラグビーと向き合っているのか。そんな声も拾っていくことが重要だとも感じている。

 

 

 

 

エディーさんのセレクションに関するブリーフィングは8月14日なので、今日は〝紙切れ一枚〟のリリースだけ。

 

昨季同様に、〝重鎮〟マイケルは代表活動に関しては秋までの充電と、同時に7日に行われたエディーさんのブリーフィングでも触れていた「リーダー探し」も、この8、9月のPNCシリーズのテーマの一つにはなりそうだ。

 

(ご参考までに)

 

 

そんな観点でメンバーを見ると〝ポスト・マイケル〟は、なかなかに思案が必要な作業とも思える。

 

齎藤直人が当初予定通り所属チームでの準備に専念。姫野和樹の復帰も待たれるところだが、そうなるとプレーヤーとしての信頼感、実力、エディーも拘る試合に常時出れるという条件で考えれば、適材の断トツはこの男のように思える。

 

ジャック・コーネルセン

 

もちろんキャプテン経験のあるNo8アマトという選択は非常に現実的でもある。我々メディア、もしくはファン以上に選手、コーチからの信望の篤い選手であり、テビタ・タタフが不在の中では#8でのプレー時間も伸びそうだ。だが、世界でも異彩を放つレベルの〝ボス猿(猿呼ばわり失礼)〟を代表の顏にするには、我儘を言えばコーネルセンクラスがほしい。

 

だが、果たしてジャックが桜のジャージーのスキッパーになるのか――と考えると、どこまで現実的かは疑わしい(独り突っ込み独りボケのようで恐縮だが)。昨春日本に戻って来たエディーの、これまでの言動、ゲーム、テンポラリーなキャプテン指名をみても、我々以上に「日本人」を指名する傾向がある。「日本人」というのが何を意味するかは、昨今の永田町界隈でも議論のあるところだが、寛容さの尊重と差別を拒否する楕円球の世界で定義すれば、それは「日本で生まれ育った選手」。マキシもその範疇ではあるだろうが、この〝括り〟で考えればテンポラリーキャプテン経験者のFL下川甲爾、HO原田衛の名も浮上する。

 

エディーさんは、先のブリーフィングでも「2015年RWCでの廣瀬(俊朗)、リーチの役割が大きかった」旨を語っている。その語り口からは、当時のリーダーの人選をポジティブに考えているように受け止めたが、もしそうであれば、2027年にマイケルに求めるのは「主将」という肩書きではないという可能性が高まる。昨年の代表HC復帰から取り組む世代交代という大きなミッションの一環には、次世代のリーダー発掘も重要なテーマなのだろう。

 

では、それなら〝2027年のリーチ〟は誰になるのか…。個人的には、「2027年のリーチはリーチ」と考えるが、エディーの口調からは《新しいリーダーとそれを支える経験豊富で信望のあるリーチ》という構図が見え隠れする。

 

そのような〝条件下〟で誰がポスト・マイケルなのか。結論から書くのも味気ないが、現状のままなら今回不在の#9が最も近い存在であり、実力だろう。そこに、先に触れたファウルア、甲嗣らが続く。原田のリーダーシップはなかなかのものだが、相当契約交渉が抉れない限り南半球での挑戦が、彼の喫緊のチャレンジになる。〝原田主将〟がテンポラリーではなく現実的になるとしたら、それは2、3シーズン待つ必要があるかも知れない。

 

2027年へ向けたリーダー選考の顔ぶれは、マイケルのような現在コアメンバーという存在と下川ら次世代(という表現が適切か?)とが混じり合いながらのレースになるが、心密かにリーダーとして期待するのは〝24歳ノンキャップの男〟奥井章仁だ。

 

彼の場合は次世代を通り越して次々世代のリーダーと考えるのが適切かも知れない。だが、どこかの機会に改めて紹介するが、今春の菅平で行われたJTSキャンプでの彼の振る舞いは、まさに将来のスキッパーの資質を湛えていた。当然、178㎝、105㎏というサイズとの戦いという厳しいハードルがある。〝常にプレーできる選手〟という条件を、どうクリアしていけるかは、このタイプの選手が常に背負わされる十字架のようなものだが、今回、他の日本選手を押さえて実績のある下川と共にスコッドに生き残ったことが、微かながらかも知れないが、その可能性を示していると考えたい。

 

今の奥井に求めるのは、スキッパーではなく、いかに桜のジャージーに喰らいついていけるかだが、今回のセレクション同様に、投資のし甲斐のある存在なのは間違いない。あわよくば、PNCクラスの相手とのテストでプレータイムを掴み、揉まれることで、サイズのハンデを背負いながらのサバイバルを1歩進めてほしい。水面下では諸々〝障害〟があると聞く北米ツアーでは、その可能性が膨らむかも知れない。

 

もちろん、先に挙げた〝候補〟以外にも、この2シーズンでの進化、大化けでスキッパーの座に近づく素材は少なくない。ワイカトでどう成長するかが注目のLOワーナー・ディアンズ、まだまだテストラグビーでのプレータイムを重ねることが最優先のFLティアナン・コストリー、原田を追う存在のHO江良颯、BKに目を向ければ、どのステージでも主将を担ってきたWTB/CTB長田智希と、リーダーとしての資質に溢れる素材は十分揃っている。

 

誰もが、先ずはポジション争いという過酷なレースを乗り越えた上で、2027もしくは2031へどうチームを牽引するポストに辿り着くか。代表セレクションと並走する、もう一つの注目の、そして楽しみなレースになる。