いつも「どんなことや?」と自分に突っ込みながら、ついつい使い勝手のよさから使っている言葉だが…
てなことで、ジャパン戦士39人+XV(フィフティーン)9名が「合宿参加メンバー」として発表されましたな。
先日、PNCの「おさらい」コラムをアップしてので、そちらも踏まえて、2日のメンバー発表会見にもすこし触れておきましょう。
39人の顔ぶれをみると、PNCスコッドは追加招集も含めて32人。エディーも会見で「同じようなメンバーを揃えている」と認めているが、新規、PNC以前からの復帰メンバー7人の内訳をみるとリーチ、7月の代表合宿メンバーWTB植田和磨ら〝復帰組〟が4人、そして初招集はLOハリー・ホッキングス、タイラー・ポール、デーヴィッド・ヴァンジーランドの3人みだった。8、9月のPNC期間に負傷離脱者が続出して、若手が追加招集さていたことも背景にはある。
常に代表入りを期待されてきたホッキングスに注目する方も多いと思われるが、このメンバー表で興味深かった(「!」ってカンジで)のは、むしろ同じセカンドローのタイラー・ポールだ。195㎝、111㎏というサイズはもちろんデカいが、200㎝級も居並ぶテストラグビーでは断トツではない。持ち味は、サイズで相手を圧倒するパワーや高さではなく、接点での激しさとワークレートだ。
このヒトについては、以前のぶろぐ https://ameblo.jp/hiro3387/entry-12906089921.html でほんの一言触れているのだが、浦安市から近所の船橋市に引っ越してから初めてのシーズンの、ブレークダウンでの容赦のない激しさ、しつこさで、個人的にはかなり代表入りを嘱望していた男だ。勿論エディーさんも代表規定のクリア(2020年来日)と昨季パフォーマンスを評価しての招集だろうが、指揮官自身「今まで手薄だったLOのところを厚くしたかった」と語っている通り、ホッキングスの高さ∔タイラーのフィールドプレー&局地戦と、異なるキャラクターを持つセカンドローを新たに揃えている。
これでワーナーとハリーという2m台のカードがワンペア揃ったが、世界を眺めるとRCスナイマンのような巨人もいる一方で、世界では「高さ」以外の価値をLOに求め始めているようにも思える。9月13日に行われた「ラグビーチャンピオンシップ」ワラビーズvsロス・プーマスも、両チームのLO4人全てが200㎝を切っていた。時代は高さも求めながらだが、機動力でどこまで戦えるかを2列目に求めているように感じている。パワー依存ではなく、スピード、ワークレート、持久力で強敵を凌駕しようというジャパンが、新たに200㎝未満のLOを招いたことに注目したい。勿論、所属チーム同様、バックローとしての使い道も選択肢になるだろう。PNC期間中にはFLベン・ガンターもLO挑戦に意欲を見せている。以前から同じ主張をしてきたリーチ、実際に代表でも2列と3列を兼務するジャック・コーネルセン、ワイサレ・ララトゥブア、そしてタイラーの同僚で新加入のバンジーランドも含めて、2027年へ向けて2、3列のユーティライズが進みそうだ。
再招集組も含めて、今回のメンバーでノンキャップは8人。タイラーもその一人だが、もう1人注目しているのはSO小村慎也。7月の合宿以来の代表スコッド復帰になった司令塔だが、PNCで李がかなり独走態勢に入り始めた中で、戦況は〝#10 レース〟は〝2番手グループ〟がどう形成されていくかが焦点になろうとしている。つまり2番手、もしくは3番手争いだ。
小村については、ボールを持つ以前、持ってからの「視野」にスペシャルなものを感じさせる10番という印象だ。キックでのゲームコントロールにも長け、180㎝、92㎏というサイズもSOとしては悪くない(ちなみに承信は176㎝、86㎏)。もちろん、まだまだ「経験値(積み上げ)組」だが、承信の次、もしくは承信の座を奪う男としての資質は十分に備えている。今のところ選外のスピアーズのSO押川敦治も小村に負けない可能性を秘めていると感じているが、現状、代表で「投資組」を2枚入れる人数的な余裕はない。小村がジャパンXVも含めたゲームや、代表合宿で何を学び、自分を成長させることが出来るかに当面は期待しよう。それにしても、23年の主力だった松田力也、そして李、小村、押川も含めると、全員百草団地に具ラウドがある大学出身というのも感心する。
選手個人にスポットを当てる文字数が増えてしまったが、今回のメンバーをザッと眺めて最初に頭に浮かんだこと、否、実はすでにPNC期間中に朧気ながら既に浮かんでいたのは、先日のぶろぐでも触れた強化(セレクション)のカレンダーだ。
「代表セレクションは〝集める〟時間帯から〝削る〟時間帯に変わってきた(のか)」
こんな思いが何度も頭に浮かんだ。詳細は過去ぶろぐを読んでいただきたいが、まだチームは熟成途中ではあるが、PNCを戦った(もしくはPNC前まで代表に参加していた)メンバーが積み上げた戦術やチーム理解、李承信が「PNCを(準決勝まで)しっかりタフなゲームを勝ち抜いた自信もあるし、アウエーの中で一緒に過ごして、チームとしてオン、オフフィールドでしっかりコネクション出来ている。そういう意味でも去年と比べて、雰囲気だったり、チームのモメンタムがある」と語っていたように、各々の人間性までにも及んでいる相互理解を踏まえると、ここから新たなメンバーが0からチームの戦術、細かなコンビネーション、相互理解を蓄積していくのは相当困難な作業であり、時間がかかるものになるのではないかという憶測が強まる。
もちろん(ぶろぐでも触れた通り)今回のメンバー会見でも、エディーにこんな質問をぶつけてみた。
「(要約)PNCを経てチームの進化を考えると、ここから新たに代表に入ってくるのは難しいと感じるが、実際、強化のカレンダーはどの位置まで来ているのか」
実は、ここは自分の質問が拙く、聞きたいことの趣旨が上手く伝えられなかったと反省しているのだが、エディーの答えはこんなものだった。
「まずワールドカップまで2年あって、そこまで(概ね)30のテストマッチがある。完全体をどこで目指すかといえばワールドカップでの1戦目で、それが全体のプロジェクトの流れです。でも今はどちらかというと波乗りしている感じで、波に乗ってるところは素早く加速していくが、あまり並みに乗れていないときは進捗がゆっくりになるような状況だ。PNCでは間違いなく成長を感じました。けれどもそれは一直線で、右肩上がりで順調に成長することはないと思っています。いい方向に向かっている感触はあります」
最低限得られたアンサーは、強化の進捗というよりも、パフォーマンスが上がり下がりを繰り返す中で、なんとか前に進んでいるという感触だけだったが、エディーの言葉を聞きながら、我ながら質問の〝舌足らず〟さを痛感した。「W杯までの強化カレンダーの現在地」「強化はメンバーを集める段階から、絞り、戦術を固める段階に転じているのか」つまり「ここから代表入りは相当な狭き門か」という質問は十分に伝わらないままの質疑応答になってしまった。
昨今の日本代表のQ&Aで難しいのは、「質問は1問のみ」という、どこぞの不祥事(系)会見でもあったやり方が横行していることだ。勿論これは、より多くの記者に質問機会を与えるための配慮なのでやむを得ない部分はある。しかしその一方で、いまや指揮官にある程度内容がある話を聞き、コメントを引き出すためには「会見」では不可能だという状況でもある。以前なら質問〝一球目〟が外角低めに外れても、二球目にストライクゾーンを突く質問へと軌道修正して、的を得た、つまり聞きたいものを引き出せたのだが、今回の会見は一球の暴投で終わってしまったようなものだった。
このようにメンバーセレクションとチーム強化のカレンダーというテーマでは、エディーの胸中(というよる脳中)にあるものを引き出せなかったのだが、〝副産物〟のような興味深いコメントは聞くことが出来た。
先のコメントに続けて、エディーはワーナーのキャプテンシーについて語っている。
「PNCで何を感じたか、学べたかというと、若いチームだったがワーナーのキャプテンシーには脱帽しています。彼は本当に落ち着いていて、冷静で、次のプレーをしっかりと考えている。しかも、それに基づいて周りの選手を引き寄せることが出来るキャプテンでした。いまの若い選手は、自分も意見を言いたいとか、参加型でやりたいと思っているようだが、そこで見事に皆を引き寄せて、求心力持ってチームを進めてくれたと思う。なので彼の貢献度、影響力は非常に強かったと思います」
▲2027年へ向けて、こんなリーダー陣で突き進むのか
かなり長々と礼讃を続けたのだが、続けて興味深いフレーズが聴こえてきた。
「これからリーチが入ってきて、彼もワーナーのサポートに入ってくると思うが、具体的なキャプテン発表は後日になります。本当に主将としてのワーナーは、チームの状況をうまく把握出来ていた。PNC(おそらく決勝戦の意味)のハーフタイムで、下手したら50点くらい引き離される展開になってもおかしくない状況にもかかわらず、ワーナーのリーダーシップだったり、求心力で、選手がくじけずに戦い続けていた。ワーナーだけじゃなく、(李)承信のリーダーシップもあったので、そこらへんはポジティブな兆しが見えていると思うし、成長をみせているところです」
重要なのは、このコメントの冒頭の部分だ。「リーチもワーナーのサポートに入ってくる」。これが言い違い、聞き違いでないとしたら、これからの秋の〝本チャン〟ツアーも、PNCのままワーナーをトップに置いて、リーチはそのサポート役に回ると解釈することが出来る。
以前も触れたが、個人的には、まだまだリーチの対レフェリー、対対戦相手、対自チームという関係性の中での存在感、交渉力などには、過去にキャプテン経験のない23歳のワーナーはまだまだ及ばないという印象を抱いていた。だが、当たり前ながら大事なのはこちらの印象ではなく、エディーがどう見ているか、どう考えているのかだ。発言を素直に解釈すれば、リーチはワールドカップ2年前でゲームにおけるボスの座から1歩後退して、プレーを続けながら2015年の廣瀬俊朗が演じた役回りに回るということなのだろうか。
▲長らく見てきたこういう会見も見納めか…
この日、エディーは12月3日に行われることが発表された2027年ワールドカップ組み合わせ抽選会について、「今はランキングのことではなく、オーストラリア戦(10月25日、東京・国立)に集中している」と語ったが、前回プール戦敗退のチーム、しかも相当に若返っているチームがトップ8以上に勝ち上がるためには、抽選会でのアドバンテージは掴みたいはずだ。
2027年大会は、参加国が4増えたこともあり新たなフォーマットが採用される。従来5チーム×4組(プール)という枠組みが4チーム×6組と変更される。そのために12月の抽選会では、ワールドラグビーランキングで12位までが各プールの1位、2位グループにシード分けされることになる。つまり、12月を迎えた時点で世界12位以上に入れば、同じプール内の対戦相手はランク下位が2チームになる。だが、もしランクが13位以下なら、下位の相手1チーム、上位(12位以上)が2チームという編成のプールで、各組2位以上もしくは3位中ベスト4番手以上の成績を目指すことになる。
現在日本はワールドラグビーランキング13位。秋のテスト5試合であと1ランク上がれば、2年後の本チャンで決勝トーナメント進出(ベスト16)がかなり現実的になる。対戦相手は全て上位チーム。南アフリカ戦まで決まってしまい、ランクの上がり下がりを危惧する声も、我々メディアの中でも強い。だが、対戦相手のランクをみれば、日本の〝真上〟の12位ウェールズ、そのまた上の11位ジョージアと、ランキングを上げるために最も倒しやすい相手と2試合が組まれているのが最大のポイントだ。
基本的にはアウエーの試合が大半のため不利な面もあるのだが、ホームで勝つよりもアウエー戦で勝利するほうがランキングを決めるための試合毎のポイントでは優位になる。アイルランドのような最上位国にアウエー戦で負けてもマイナスポイントは大きくないが、実力が近いウェールズ、ジョージアに勝てれば、抽選会目前で一気に捲るチャンスと考えるべきだろう。だからこそ、若手育成を続けるエディージャパンだが、今回のツアーは勝てるメンバー、勝てる編成、勝つための最適なスキッパーで、とりわけカーディフとトビリシのテストは臨まなくてはいけない。
先ずはPNCで見せたパフォーマンスをさらに伸ばして、ジョー・シュミットの下で復調著しいワラビーズ相手にどこまで戦えるか。打倒12位、11位を見据えた戦いぶりに注目しよう。
















