私は盆梅観賞について、云々できる知識は持ち合わせていないが、愛好家たちが手塩にかけて育てた様々な品種が美しい花を咲かせている姿を見て楽しむことはできる。会場へ一歩入ると、満開の花をつけた古木、巨木がずらりと並び、中には推定樹齢400年と伝えられるものもある。樹齢だけでなく堂々たる風格、樹形の妙、鉢との調和と一鉢一鉢に異なる世界が感じられ、ある種の感動を覚える。なお、各会場とも写真撮影は自由なので、一つ一つじっくり観賞しながら、デジカメ、ビデオ撮影も楽しむことができる。
たにぐみ盆梅展
古の里に春を呼ぶ盆梅は、早春のこの時期に美しさが満開になる。この盆梅展には、紅梅や白梅、さらにはしだれ梅など愛好家たちが丹精込めて育て上げた梅の盆栽が、約100点並び、さまざまな品種が美しい花を咲かせ、梅のほのかな香りに包まれる。樹齢200年とされるものや、花の咲き方が独特なものなど、様々な梅の姿を観賞することができる。
たにぐみ盆梅展の幟旗、看板、展示会場の全景。会場は「たにぐみさん」の名で親しまれる西国三十三番満願霊場谷汲山華厳寺の仁王門に近い門前町にある、旧谷汲観光資料館である。

会場入り口の屋外展示大鉢とポスター。 盆栽が世界的にも人気が高まっているということもあり、ポスターには英文表記もある。商店街も一丸となって盛り上げるこの盆梅展には、外国の観光客も足を運んでくれるのではないか。

館内の様子。

しだれ梅5鉢。

小さいながらも、どっしりとした古木3鉢。

左から白牡丹、紅梅、野梅。

紅梅・白梅の蕾、花弁をズームアップ。

岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積 旧谷汲観光資料館のMAP
第72回長浜盆梅展
昭和27年から始まり今年で第72回目を迎える長浜盆梅展は、歴史・規模ともに「日本一の盆梅展」として親しまれている。約300鉢の中から開花時期に応じて入れ替えを行い、常に見頃の盆梅を約90鉢展示している。梅の盆栽ながら、2m以上の巨木や樹齢400年を超す古木など他所では見られない銘木を展示していて、一足早く春を感じさせてくれる。会場の慶雲館は国の名勝に指定されている格調高い純和風建築物と広大な庭園で、見事な盆梅との競演を楽しめるのは長浜盆梅展ならではの魅力である。
慶雲館の表門、看板、本庭の池泉回遊式庭園内にある大灯籠。大灯籠は推定重量20tという自然石の趣ある石灯籠である。

会場本館入り口とポスター。会場の慶雲館は明治20年(1887)、明治天皇行幸に際して地元の名士が建てた迎賓館で、命名は初代内閣総理大臣の伊藤博文という。入館券を購入、スリッパに履き替えて入場するが、入口と出口が違うので靴はビニール袋に入れ持ち運ぶ。会場には一息つけるお茶席コーナーや長浜の名物を揃えたお土産コーナー、出口付近にはミニ盆梅の販売コーナーがある。

館内の様子。本館の純和風の座敷に並んだ盆梅は圧巻!中には天井に届きそうな大きさのものまで。

長浜盆梅展を代表する盆梅「不老」。不老と名がつけられるだけあって、推定樹齢が400年と最も年齢を重ねている。八重紅色、高さ約240cm、直径は約60cmで、斜め45度ぐらいの角度で育っているので、支え無しでは倒れてしまいそうだ。名前に相応しい見た目とポテンシャルを兼ね備えている盆梅で、思わず見入ってしまう。

長浜盆梅展を代表する盆梅「芙蓉峰」。約800kgの最重量を誇り、推定樹齢は350年。八重咲き紅梅、高さ245cm。勇壮な幹と紅梅の花が赤富士を連想させることから命名したという。

初時雨(左)は八重咲き薄桃色、樹齢80年、高さ280cm。清麗(右)は枝垂れ梅(桃色八重咲き)、推定樹齢40年、清流の流れに似た姿から命名したという。枝垂れが細い幹の一か所から出ている面白い樹形だ。

夢響は一重白梅、推定樹齢200年。公募による命名で、夢の中でここち良い音色を奏でているように感じさせてくれると説明書きにある。

左上から時計回りに喜神乃誉、蓬莱、源月、ささなき。

盆梅と切り絵のコラボを熱心に撮影する入館者。切り絵は滋賀県米原市在住の切り絵作家・早川鉄兵氏の作品で、当盆梅展と切り絵とのコラボレーションを企画展示している。

滋賀県長浜市港町2-5 慶雲館のMAP
第40回鴨の里盆梅展
今年で40回目を迎えるこの盆梅展は、梅の花の咲き具合に合わせて最大約150鉢を展示している。当展の特徴は他の盆梅展と違い、愛好会のメンバー23人がそれぞれ独自の方法で自宅で育てており、様々な個性や思い入れにより、面白みある作品が並ぶことである。推定樹齢300年の老木をはじめ、一刀両断されたかのように太い幹が左右に割れたもの、幹の中央に大きな穴が空いたものなどもあり、その個性が見所となっている。探梅(早咲きの梅)、賞梅(咲きそろいの梅)、送梅(散りゆく梅)と変わりゆく梅ならではの3回の見どころを、何度でも楽しめる「入場フリーパス」も発売されている。
グリーンパーク山東内すぱーく山東の会場全景と入り口、右下は館内に設定された盆梅を背景に記念写真を撮るスペース。

ポスターのモデルになった盆梅「不動」とポスター。

館内の様子。期間中は300鉢余りの中から厳選し、早咲き、中咲き、遅咲きと開花時期に合わせてローテーションで約130鉢程度を展示するため、何度訪れても飽きることがない。

古木3鉢で、中央は「横山」と命名され、幹の中央に大きな穴が空いた独特な樹形をしている。

左は「武蔵」と命名された鉢で、太い幹が左右に割れ根元部分には空洞ができているが、左右とも花を付けており、やはり植物の生命力は強い。右は「鴨池」と命名された鉢で、幹の表皮だけを残し木の棒に支えられながらも花を付けている。

地元愛好家23名が自宅で育てた盆梅を持ち寄り展示し、中には推定樹齢300年の老木もあり、長浜盆梅展とは異なり会員それぞれの個性が表現された作品が並ぶ。

綺麗にディスプレイされたミニ盆梅の展示コーナー。

白梅、紅梅の花弁をズームアップ、写真下段は、一本の木に咲く紅白の花弁をズームアップ。

滋賀県米原市池下80番地1 グリーンパーク山東内すぱーく山東のMAP