北アルプス最難関ルートに挑む③【西奥ルート核心部、ジャンダルムへ】 | HIROのブログ

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山歩き、写真を撮ることが趣味です。家では2匹の猫を溺愛しています。




続き。


夜明け前に西穂山荘を出発して
西穂高岳に到着しました。

西穂高岳までが一般コースで
ここから先が熟練者向きの難路になります。



ところで私は
今までどんな難コースを歩いた時も
首からミラーレス一眼カメラを下げて
いつでも写真を撮れるようにして
歩いていましたが
今回はカメラはザックの中です。
これから相当厳しい場所を歩くので
歩行に集中する為に
カメラは出さずに行きます。
この日の写真は全てスマホで撮影です。




西穂高岳を過ぎると

コースは更に険しくなります。

この先には高く険しいピークがそびえています。

あの険しい稜線のどこに道があるのだろうか?


ここがP1ですね。




注意喚起の標識。




西穂高岳を過ぎて最初のピークに到着です。

ここが赤岩岳であろうか。


ここから西穂高岳を振り返ります。









あのピークに向かって進んで行きます。





険しい岩綾帯を歩きます。




ペンキの印を頼りに進みます。




この先も小さなピークを幾つも越えていきます。












更に進んで行きます。




















このピークが間ノ岳です。




越えてきたピーク。




これから進むコース。
あの険しいピークに
少しずつ近づいています。




槍ヶ岳が見えました。

今回の登山で初めて見る槍です。

いまさら気付きました。





この稜線は

遥か槍ヶ岳に続いています。







鎖場。






写真中央に

岳沢小屋が見えます。


前前回のブログで書いた

先日、熊が出没した小屋のテント場は

あの小屋のテント場です。

それ以来、岳沢小屋のテント場は

封鎖されているようです。








険しいアップダウンが延々と続きます。







逆層スラブですね。

ここも難所のひとつですが

岩は乾いていて

鎖もあるので

特に怖くは無かったです。











岩場を通過するのに夢中でしたが

足もとには

所々に高山植物の花が咲いています。






越えてきた稜線。




荒々しい岩場を歩いてきました。




時々、槍ヶ岳が望めます。





朝から眺めている

あの険しいピークが目の前です。

これから向かうジャンダルム、奥穂高岳は

あのピークの向こう側にある為に

こちら側からは見えません。



そして到着したピークが






天狗の頭です。


ここまでは順調に来れました。

ネットで動画等を見ると

怖そうな映像がたくさん出てくるので

内心ビビっていましたが

ここまでは怖さよりも

楽しい岩綾歩きでした。


こうして写真を見返して見ると

とんでもない場所を歩いているように見えますが

ここまでの感想は


散々脅かしておいて

思ったよりも余裕だな。


そんな余裕をかましていました。


しかしこのコースの核心部は

ここから先でした。


更に進んで行きます。




山頂付近に

ビバーク適地がありました。




また大きく下ります。


このコース、平坦な場所はほぼありません。

ひたすらアップダウンを繰り返します。




大きな岩が重なった稜線を歩きます。





急な岩場を下ります。

鎖が張られた岩場は

それほど恐怖は感じませんが

鎖が無い箇所もあり

僅かな下りの岩場でも

足もとはスパッと切れ落ちているので

凄い難所に変わります。

小屋泊まりの軽装であれば

それほどでは無いかもしれませんが

私は宿泊道具を一式背負った重装備です。

バランスを崩したら一巻の終わりです。


3点支持の基本を忠実に守って通過しました。




下りきった鞍部が天狗のコルです。
ここで一息入れます。




石垣の跡があります。




ここは以前は避難小屋だったようです。




岳沢に向かうルート。

このコース、唯一のエスケープルートです。

道はかなり険しいようですが。

遥か下から登って来る登山者が見えます。





付近に咲く花。

風が強いので花がブレています。



行動を再開します。

朝から眺めている

険しいピークの登りはここからです。

気合いを入れていきます。




急な岩場を登り返します。

振り返ると

先ほど越えてきた天狗の頭。




飛騨側。








振り返ります。

凄い場所を歩いています。

両側は切れ落ちています。




トラバースする箇所もあります。

断崖絶壁の上のルートです。

ルートを外さないように

慎重に進みます。


この辺りでうっかりルートを外れてしまい

急に前に進めなくなりました。

周囲をよく観察して

正規のルートを発見、

なんとかルートに復帰しました。






急登です。

岩の角を掴みながらよじ登ります。



この辺りで奥穂高方面からの登山者と

すれ違いました。

西穂高岳方面に向かう登山者とすれ違ったのは

その方だけでした。










だいぶ登ってきました。







まだまだ険しい登りは続きます。










どうやらあの険しいピークを越えたようです。

そこからは念願のあのピークが姿を現しました。

これがジャンダルムです。

このアングルから見るジャンダルムは

レアですね。





帰宅して写真を見返してから気付きましたが

ジャンダルムの左側に槍ヶ岳が見えました。






山頂部分を拡大すると

あの有名な標識が見えます。





さぁ、ジャンに挑みます。




ここから奥穂に向かうには

ジャンの右側を巻きますが

シャンに登るには左側に進みます。

ここにザックを置いて

空身でジャンに向かいます。




ジャンに向かうコース。
岩にもジャンと書かれています。
左側にトラバースしてから登ります。



岩の斜面を登ると

そこは…


幾多の試練を乗り越えた

登山者だけが逢える

天使が棲む場所



ジャンダルムに到着です。

念願の天使にご対面です。




奥に見えるピークが

奥穂高岳です。

この景色を見るのが

長年の夢でした。

念願が叶った瞬間です。





写真中央の稜線の鞍部に

穂高岳山荘が見えます。





槍ヶ岳に続く稜線。




動画を撮影しました。



絶景を満喫したところで

ザックをデポした場所に戻ります。





ザックを回収しました。

ここからはジャンの右側(信州側)

をトラバースします。




谷沿いには雪のブロックが残っていました。




トラバースを終えた所から振り返ります。

断崖絶壁の上の細いトラバースですね。

もちろん足もとはスパッと切れ落ちています。





この先も全く気は抜けません。

次はロバの耳です。







何度もジャンを振り返ります。
ガスを纏ったジャンは迫力が増します。




険しい岩場が続きます。





この辺り、鎖が張られていない岩場を

下りました。

断崖絶壁の上のコースなので

足もとは遥か下まで切れ落ちています。

滑落したらあの世行きです。

凄い高度感を感じながら

全神経を集中させて

3点支持の基本を忠実に守りながら下ります。


私的にはここが今回のコースで

一番の難所でした。



通過後に撮影。





再びジャン。





笑ってしまうぐらい

凄い所を歩いています。







休憩できるピークの上に出ました。

ここまで来たら奥穂高岳は目の前ですが

この先には最後の難関、馬の背があります。



ここまで来て

私は急に疲れがどっと出ました。

水分は補給しながら歩いていたのですが

どうやらシャリバテのようです。

空腹を感じました。


ここは休憩を入れます。

5個入りパックの菓子パンを一気に全部食べて

ジュースで喉を潤します。

少しすると

体力が回復してきました。

胃に食べ物が入ると力が出ます。

まだ腸からエネルギーを吸収した訳ではないのに

不思議ですね。


空腹さえ満たせば

まだまだ余裕で歩けます。

一気にHPが回復しました。



休憩していると、馬の背を下りてくる登山者が

見えます。

すれ違う時に少し言葉を交わしましたが

奥穂からジャンを往復するそうです。


この先も相当険しいので

気をつけて行ってほしいものです。





この間、10分位であろうか。

体力が回復したところで

最後の難関、馬の背に挑みます。


ガスが出ると、より険しく見えます。





ここはナイフリッジで高度感があり

非常に怖い所だと聞いていますが

ホールドできる岩はしっかりあり

登りでは怖さを感じずに

あっけなく通過しました。


鎖が無い岩場なので

下りならば相当に怖かったかも知れません。



今回のコースは登り基調で

危険な場所は大体登りです。

もしコースを逆に歩いていたら

だいぶ難易度は増すと思われます。





馬の背の上から振り返ります。

ガスに包まれているのが残念です。




さて、奥穂は目の前です。

難所は全て突破しました。


ここから奥穂の山頂までは

ビクトリーロードですね。



注意喚起の標識。



奥穂高の山頂に到着です。

ここは本邦第3の高峰、

北アルプス最高峰です。


奥穂高に登ったのは今回で2回目ですが

前回同様に今回もガスの中でした。

今回も奥穂高からの眺めは

見ることができませんでした。



山頂は私の貸し切りでした。





無事に難関を踏破できた御礼をこめて

穂高神社の嶺宮に

参拝しました。







山名案内板から


晴れていればジャンダルムが見えて

達成感に浸れるところでしたが

しょうがないですね。


天気が崩れる前に

無事にここまで来れただけで良しとします。

険しい岩場を通過中に雷雨にでも遭遇したら

目も当てられませんからね。



今朝の出発前に


憧れるのはやめましょう。


なんてつぶやいていましたが

その憧れを全て越えてきました。




私が今回、難関と呼ばれる

西穂高岳から奥穂高岳のコースを歩いてみて

踏破するのに大切なことは


⚪︎長時間集中力を切らさず歩く体力、精神力。


⚪︎3点支持の基本を忠実に守る。


この2点ですね。


険しい岩稜を長時間歩くコースですので

それ相応の脚力が必要です。

憧れだけは決して踏み入れては

いけないコースですね。

集中力が切れたら

ひとつのミスが命取りになります。


ここでミスしたら死ぬな…


そんな場所がひたすら続きます。

スタミナが切れると

身体が思うように動かなくなり

集中力が切れて

それが事故に繋がります。



鎖が張られていない岩場が幾つもあるので

岩場の歩き方の基本を

完全にマスターした方だけが

歩くことが許されるコースですね。



日頃からトレーニングを重ねて

身体づくりをして

北アルプスでも有名な難所を

ひと通り経験してから

満を持して挑みたいコースですね。


要はこのコースに挑む前の

準備が大切ですね。




奥穂高岳からのジャンダルムのピストンならば…


そう思う方もおられるようですが

確かに奥穂高岳からは目の前に見えて

距離は短いものの

相当険しいコースで

ひとつのミスが文字通り命取りのコースなので

岩場の歩き方の基本を

完全にマスターした

登山者のみに許されるコースですね。


一般登山道の岩場で難儀しているレベルの

登山者は行ってはいけない場所ですね。


それに高所恐怖症の人は

やめておいた方がいいですね。

相当な高度感のある場所を通りますからね。







吊尾根方面を見ると…

何か動くものがいます。




雷鳥でした。

難関を突破した私を祝福するように

雷鳥が姿を現しました。







さて、穂高岳山荘まで下ります。

山荘の手前はかなりの急斜面で

鎖、ハシゴが連続する危険な個所ですが

今日、ここまで歩いてきた私には

余裕過ぎて全く怖さを感じませんでした。

一般コースとは次元が違う所を

歩いてきましたからね。

完全に感覚が麻痺していますね。





下りてきました。






穂高岳山荘にて到着です。







一瞬ガスが一部切れて

涸沢方面が見えました。








テント泊の手続きをしました。





ツエルトを張ります。

稜線のテント場なので風は強いです。

なるべく風を避けられそうな場所を選びましたが

それでも風でツエルトが煽られます。


ここは地面に石、岩が混じっているので

ペグがまともに刺さりません。

岩でツエルトの四隅、張り綱を固定しました。



昨日は雨でツエルトはずぶ濡れなので

設営することによって

ツエルトを広げて乾かします。








ツエルトに潜り

ワイルドターキーをチビチビ飲ります。


難関を踏破してきた

勝利の美酒ですね。




穂高岳山荘でお弁当を注文しました。

夕方5時に出来上がりました。

せっかくなので

暖かいうちに頂くことにします。




あっと言う間に完食しました。





そして山行2日目が暮れていきます。





続く。