日本の頭脳の源泉に光と闇を見た | hirochanのブログ

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僕は予備校界に身を置いて東大・京大に多数の生徒を合格させてきました。
更に灘高校をはじめ鉄緑会や浜学園と言った天才・秀才が集まる集団に出向き研鑽を重ねてきました。

しかし今回、三河湾を臨む愛知県蒲郡市の岬にとんでもない日本の頭脳を育成する教育機関「海陽中等教育学校」の実情を知るに至りました。

これから綴ることは、僕自身の「海陽中等教育学校」についての研究と僕の同僚で静岡県の校舎で数学の教鞭をとる家城隆幸氏からの伝聞です。


「海陽中等教育学校」は2006年4月、トヨタ自動車・JR東海・中部電力をはじめとする80以上の企業の200億円にのぼる出資のもと創立されました。
建学の精神は「次世代のリーダーを育成する。」です。
校長は歴代東大名誉教授が就任しています。
初代は伊豆山健夫(物理学 東大教授退官後開成高校校長に就任)現在は中島尚正(機械工学)が就任しています。
イギリスのパブリックスクール「イートン校」をモデルにした全寮制で、寮をハウスと呼び、寮監のことをハウスマスターと呼んでいます。
1フロアごとに20名の学生が生活を共にしています。
各フロアには日本を代表する各分野の企業から派遣されてきた「フロアマスター」が共生して社会人の先輩として幅広く生徒の生活を支援しています。

何故全寮制なのか。
中島尚正校長はこうコメントしています。
「私は30年間、東大で教授をしてきましたが、やはり、東大生は変質してきました。
学力の面では30年前と変化がないと思います。
もしかしたら知識面では上かもしれない。
ですが、人間力という面では劣ってきている。
上手に他者と折り合いをつけて協力関係を結べない生徒が増えた印象を持っています。」
つまり人間力を培うための全寮制なのです。

また「海陽中等教育学校」は日本一学費の高い中等学校でもあります。
年間費用280万円(内授業料70万円)の中には食費、寮費もろもろが含まれています。
これらの費用がすべて免除される特別給費生が一学年120人中20人います。


生徒の質はと言うと特別給費生は灘中より狭き門で偏差値75位あります。
その下に特待生と一般生がいますが、一般生の偏差値は60位のようです。

「海陽中等教育学校」生の1日は6:30の起床から22:30の就寝までの16時間で、その内自由時間は18:00〜20:00の2時間だけです。

英語・数学・国語の主要3教科の授業時間は公立学校の約2倍、主要5教科について言えば学習指導要領の1.4倍の授業時間を割いています。

恵まれた環境と言える一方、生徒からするとハードで馴染めないストレスの溜まりやすい環境とも言えるのです。
その結果、約1割の生徒が脱落していくそうです。


灘・開成が超一流校ならば「海陽中等教育学校」の特別給費生は超超一流と言わざるを得ません。

いよいよその領域の話に入って行こうと思います。

まずは
桜田晃太郎くん
灘中合格を辞退して「海陽中等教育学校」の特別給費生を選びました。
今年2020年東京大学の推薦入試合格者73人の内の1人です。
しかも最難関の医学部に合格しています。

彼はおそらく今「日本一の天才」だろうと言われています。
科学オリンピックの各分野のメダルを総なめしているのです。
今年のセンター試験でも数学IAは20分、IIBは30分で全て暗算で答えを出してしまったそうです。
授業中はもっぱら数学パズルのような積木で遊んでいたそうです。

彼にしてみれば「勉強して東大に入るのは当たり前」
くらいの感覚に違いありません。


兒玉太陽くん
彼も「海陽中等教育学校」の特別給費生です。
国際数学オリンピック金賞に輝いています。
兒玉くんは京都大学の理学部の特色入試で16.2倍の高倍率を勝ち抜いて合格しています。
今年は兒玉くんの他にも2名京都大学特色入試の合格者が「海陽中等教育学校」から出ています。
彼も桜田くん同様天才肌です。

杉谷くん
関西出身の杉谷くんは灘中合格を蹴って「海陽中等教育学校」の特別給費生になりました。
彼等にとっては「海陽中等教育学校」と同じ愛知県にある東海中などは受験するに値しないレベルなのです。
杉谷くんは中3で「海陽中等教育学校」を去り灘高に入り直しています。
そして今年首席で灘高を卒業したそうです。
彼は京都大学医学部に進学予定です。
今年の東大理科三類のトップ合格は灘高生だったと言うことですから、杉谷くんはそれより出来ると言うことです。
杉谷くんは桜田くんや兒玉くんと違って勉強家らしいです。


「海陽中等教育学校」の特別給費生という怪物を見てきましたが、「海陽中等教育学校」の全寮制が目指している「真のリーダー教育」とは正直少しズレを感じざるをえませんでした。
特別給費生と全寮制が言わば「光と闇」を構築しているように思えてなりません。

僕の提案ですが「海陽中等教育学校」は特別給費生のような「出来過ぎる生徒」をむしろ排除した方が良いのではないかと思うのです。
特別給費生を廃止して年間学費を150万円くらいまで引き下げ、足りない部分は企業から引き続き出資してもらえないかと言うことです。
そして生徒個人個人の個性と努力によって建学の精神である「次世代のリーダーの育成」に取り組んでもらいたいと思うのです。