先日、シャンゼリゼ通りやエッフェル塔近くを走りながらパリを横断するメトロ9番線に乗っていた時のこと。
それなりに混んでいる車内。死んだ魚の眼をしながら揺られていると、エレガントなポンチョにヴィトンのバッグを身につけたアジア人の女性が乗り込んでくるのが見えた。
「(素敵なお召し物ですね...)」一瞬意識を取り戻した後、また死んだ魚に戻ってぼ〜とすること数分。車内がなんだか騒がしくなってきたことに気づく。
それなりに混んでいるので、どこで何が起きているのかはっきり分からない。野次馬根性でキョロキョロしていると、騒ぎの真ん中に先程のアジア人女性がいるのを発見した。
どうやら財布をすられたらしい。パリのスリの典型、パーカーを着た恰幅の良いティーンエイジャーの移民の女の子と対峙している。
車内の視線は一点集中。アジア人女性が、「アナタ私の財布盗ったでしょ!」とスリに詰め寄る。
周りを囲まれ、逃げることもできないスリ。ふてこい表情で突っ立っていたけど、そのうちぶすっと財布を差し出した。
これで一件落着!かと思いきや中の現金が抜かれていたらしく、アジア人女性またキレる。そこからはもう激しかった。
「WHAT THE FUCK !!!!!」
「YOU ARE STUPID !!!!!」
車内中にこだまする、怒りの絶叫。だいたい揉め事があったら誰かが首を突っ込んでくるのに、この剣幕に気圧されてかみんな息を潜めて見守るだけ。
ひたすらに連呼される2つのフレーズ。そのうちスリの方も逆ギレのブチギレ。すごい形相で何事かを叫んだかと思うと、メトロが停車しドアが開いた瞬間すっていたお金を床にぶちまけ、弾丸のように駆け出していったのだった..。
お金は無事回収。全額戻ってきたらしい。おばちゃんたちが次々に、「私もこの路線ですられたことあるわよ!」「あたしなんて2回もよ!!」とスリとの戦いに勝利したアジア人女性に声を掛ける。みんな、もうちょっとスリ対策して乗った方がいいんじゃない?と思いつつ...
数々のスリとの戦いを見て聞いてきたけど、今回の件からもやはり、最後まで戦う姿勢が大事らしい。
まだ財布を盗まれたことはない私。イメトレはばっちり!
「スリとの実戦に期待!」
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