巻き込まれ体質な私の友人、しばらく会わないうちに、また一段とハイレベルな事件に巻き込まれていた。


ある日の深夜、日本の友人と電話するためにアパートの出入り口の前で電話していたそうだ。部屋の中は壁が薄く、隣人に嫌がられるらしい。


住んでいるのはパリ北部、屈指の治安の悪さで有名な場所だ。


チラリと通りを見ると、ひとりの男が足早に近づいて来る。



「あ、やばいかも。」



急いでオートロックの出入り口のドアコードを入力するが時既に遅く、いきなり顎をぶん殴られ、地面に引き倒されたらしい。


必死に抵抗していると、「どうしたどうした」と別の男が近づいて来る。助けが来たかと思いきや相手方のグルで、二人の男からボコボコに殴られる。


しまいには首まで締められ、「ぐえぇ」となりながら相手の股間を握り潰し、なんとか抜け出したものの、男達は友人のスマホを奪って逃走。


血の気の多い友人。負けじと全速力で追う。危険で有名な北駅に向かって、犯人を追いかけ爆走していると、丁度バス停に止まったバスから警察官達が降りてくる。


友人に、



「今走っていった男達を追っているのか!」



と尋ねると、即座に駆け出して行ってくれたらしい。元々治安の悪い地区。夜は巡回の警察官が多く、対応が早かった。 
 

電車の終電の時刻は既に過ぎている。犯人は絶対にバスで逃げるはず、と北駅に到着しているバス全て集めて停車させチェック。大捕物が始まったらしい。


ほどなくして犯人確保。SIMカードは抜き取られて捨てられていたけど、本体は無事返ってきたのだった。


その後パトカーに乗って警察署まで行き被害届を提出。病院に行って診断書を出してもらったりと大変だったらしい。



「いい経験させてもらってるよ〜!」



と、白い歯を見せ笑う友人。



チーン「相変わらず凄すぎる...!」






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お月様