フランスの郷土料理として、ガイドブックにも載っていたりする「オニオングラタンスープ」。


たまねぎの薄切りをバターでじっくり炒めて煮込む。スープの上にトーストしたバケットを浮かべてチーズをまぶし、オーブンで温めたら完成だ。


以前日本から旅行に来た友人も、レストランへ行くと開口一番「オニオングラタンスープが食べたい!」と言っていた。


玉ねぎもバターもバゲットもチーズも、どこでも安価で手に入る。なんでこんなもんをみんなありがたがって食べるんじゃろ?と長年思っていた、そんなオニオングラタンスープ。




先日、講演会に参加した帰りにカフェに寄って一杯やったところ、同席していたフランス人マダムがオニオングラタンスープを注文した。観光客だけじゃなくて現地人もお店で食べるんだなぁ。


ぼんやり眺めていると、マダムはスープの入っているでっかい壺型の器を平皿から下ろし、スープに浮かべてあった、これまたでっかいトーストを平皿に載せ、ナイフとフォークで食べ始めた。



チーン「(なんと!)」



フランス人が、パスタをナイフでぶった切りながら食べ始めるのを見た時も驚いたけど、今回もなかなかに驚く。


確かにスープ皿の載せてある平皿ってのは常々疑問だった。こぼしたスープを受け止めれるように載せてあるのか?なんて思っていたけど、スープの中に入っているモンをわざわざ取り出して、ナイフとフォークで食べるための皿だったとは..。


これがフレンチスタイルなんか?パリジェンヌスタイルなんか?ちょっとドキドキしながら、マダムのお食事を見守る。その時からオニオングラタンスープが頭を離れない。


その後、高校の同級生が突如パリに訪れシャンゼリゼ通りでお夕飯を食べることになったので、オニオングラタンスープを注文してみた。一口頂いたりしたことはあったけど、自分で頼んだのは初めてだ。


レストラン「l'Alsace」
年中無休でAM7:00〜AM4:00まで営業。ド観光地なのに良心的なお値段(特にランチ)なので使い勝手が◎



ついに届いた、オニオングラタンスープ。





焦げ目のついたチーズがなんとも美味しそう。スプーンを入れると、どろりとスープが溢れてしまうくらいにたっぷり入っている。


猫舌なので、警戒しながらひとくち。



チーン「あったかい...。」



もう12月。どこの通りもイルミネーションは完璧。建物の中では着々とクリスマスツリーの飾り付けが始まっている。ヒエヒエの身体を優しいたまねぎのお味が温める。


浮かんでいるバゲットは3切れ。先日のマダムみたいに、私も平皿にバゲットを移してナイフとフォークで食べようか!どうしようか!


何食わぬ顔で同級生と会話しつつ、頭の中で逡巡する。


なんとなく気恥ずかしさが勝って、結局今回はおとなしくスプーンで解体しながらいただく。実行に移すには、まだまだパリジェンヌ力が足りないようだ。


食べても食べても減らない、オニオンスープ。優しいお味とはいえ、バターで炒めてたっぷりチーズの入っているカロリー爆弾だ。深い壺型の器の底が見えてきた頃には、満腹感すら感じ始める。まだ前菜なのに!



調べてみると、オニオングラタンスープはフランス発祥じゃなくてイタリアはフィレンツェからやってきただとか、古代ローマ時代からあったとか、はたまたルイ15世が編み出した食べ物だとか、いろんなことが書いてある。


たまねぎとバターがあれば作れるのだ、そりゃいろんな国から生まれちゃうだろう。もちろんご家庭でもできる。一度家で作ってみたことがあるけど、気が短いので「薄くスライスしたたまねぎをキャラメル色になるまでじっくりバターで炒める」という工程がかなり厳しかった。


個人的にはこの、真っ白で深い器で食べる事に意味があったりする。大袈裟で、正直食べにくい。お家でスープを飲む用にわざわざ買う予定は一生ない。この器が平皿に載せられ、デンッと眼の前に置かれると、なんだか特別な物を食べ始めるような気持ちになれるのだ。

大容量オニオングラタンスープボウル



いろんな人のオニオングラタンスープ体験記を読んでみると、「ある日カフェで見た、オニオングラタンスープと白ワインを頼み、読書にふけるマダムが忘れられない。以降真似している。」と書いている方がいた。


白ワインにオニオングラタンスープ。ふうむ、確かにおしゃれだ。私も今度やってみようか。



チーン「パリジェンヌへの修行は続く!(?)」





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星 


お月様