フランス人のおっちゃん2人と一緒にお喋りしていた時のこと。
おっちゃんの一人はめちゃくちゃによく喋るので、私は基本的に聞き役に徹している。
話は流れ流れて、気づけば臓物の話になっていた。
するとおっちゃん二人が急に慌てて、
「いかんいかん!臓物の話なんて聞くんじゃない!!」
と騒ぎ始めた。なんのこっちゃ。
2人で何やらごちゃごちゃと話し、お次にこう質問された。
「アンドゥイエットは食べたことあるか?!」
アンドゥイエットとは、豚の腸や胃を細かく刻んで詰めてある、豚モツソーセージだ。モツ特有の独特な風味があるが、普通に美味しい。
「あるよ!悪くなかった!」
ほおぉ〜ん、という顔をし、また2人で何やらごちゃごちゃと話し始める。
「じゃあエスカルゴは?!」
「あるよ!好きだよ!」
エスカルゴといえば、マリエを思い出す。
エスカルゴ用の皿が家にあって、ある晩スーパーで買ってきたエスカルゴをオーブンで温め夫婦で食べていた。
フランス人って、家でエスカルゴ食べるんだぁと感心した記憶がある。
おっちゃん2人は私の返事になぜだか少し引いたような顔をし、「まぁエスカルゴは上手に料理されてるやつあるしね..」なんて言って、次に勢いよく、
「じゃあカエルは?!」
と聞いてきた。
「あるよ!(アレ、あったっけ?)」
反射的にあると返事してしまったが、どうだっけ?思い出せない。鳩は食べた。
まあ鶏肉みたいなもんだとよく聞くし、きっと食べれるだろう。
「彼女はよく教育されてるな...」
おっちゃん達の勢いが失われる。
昔、漫画「美味しんぼ」で読んだ。
フランス人と主人公・山岡士郎が、どちらの国の方が美味いもの知っているかでよく戦っていたようなイメージがあるが、その中で「日本人は臓物の食べ方を知らない!」とフランス人シェフにこき下ろされ、山岡士郎が至高のモツ煮を用意しフランス人をギャフンと言わせる。というような回があった気がする。
美食の国、フランス。フランス人のプライドとして、「オレラにしか味わえない食べ物がある!」というシチュエーションの方がテンションが上がるのかもしれない。
頭をフル回転させ、思い出す。
「あ、でもブダンは好きじゃない!」
ブダンとは豚の血でできた赤黒いソーセージだ。食べてみる気にもならない。無理。
おっちゃん達が勢いを取り戻す。「あれは確かにな!」なんて言ってキャッキャしている。
「白ブダンは食べたことあるか?!」
白ブダン、なんだそれは。
「あれはもっと食べやすいから!」
ふぅん、そうなんだ。白ならいけるかも。今度食べてみよう。
「果てのない食への探求は続く...」
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