フランス人は粉もんが結構好きらしい。
シャガールの美しい天井画で有名なオペラ座ガルニエ宮の近くにある日本人街にはたこ焼き屋があり、かなり繁盛している。
お好み焼き、焼きそばも置いてあり、そこそこいい値段だ。
粉もんに1000円も出すのがどうしても許せなくて一度も食べたことはないが、どうやら美味しいらしい。
家に友人を招いてご飯を食べることがたまにあるのだが、たこ焼きは楽でいい。
何を作るか迷いに迷って、Amazon.frで至急調達したたこ焼き器を今でも重宝している。
テーブルにたこ焼き器を載せてパフォーマンスを始めれば、フランス人もイタリア人もみんな大喜び。
写真をバシャバシャ取り始め、竹串を持たせてやればおっかなびっくりひっくり返したりしていい思い出になる。
広島のオタフクソースをかければなんだって美味い。好き嫌いが激しく、醤油も辛すぎて無理というフランス人も、オタフクソースをかけたたこ焼きは美味い美味いとバクバク食べた。
今ではパーティーの時は2台のたこ焼き器をフル稼働だ。
ある時リュドヴィックからオーダーを受けた。
「わし、あれ食べたいんや。アレ。miso soupってやつ??」
一時期会うたびオーダーされた。
どうせならオーソドックスな味噌汁を飲んでほしい。私の中でのオーソドックスは豆腐&ワカメだ。
だがしかし豆腐もワカメもそこら辺に売っていない。わざわざ遠出して買いに行かねばならない。
面倒だったのでたこ焼きを作って持っていった。
リュドヴィックも、その彼女のアンヌも初めて見るたこ焼きを物珍しそうに見つめていた。
「これたこ焼き。日本の名物だよ。」
おっかなびっくり、怪訝そうな顔をしながらリュドヴィックが一口食べる。
「.....................。」
なんとも言えぬ、すごい顔をしていた。ノーコメントだった。
「美味しいわよ」なんて言いながらアンヌがパクパク食べている横で、しきりに無言で首を横に振り続けるリュドヴィック。
結局リュドヴィックにミソスープは一度も作ってやらなかった。
ちょっと悪かったかな。ごめんよリュドヴィック
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