パリは寒い。
秋に移住したのだが、10月で既に部屋は極寒。冬は地獄。私と下宿仲間のめぐちゃんは常に寒さと戦っていた。
「パリは日本と違ってセントラルヒーティング式!部屋ごとじゃなくて廊下まで丸ごと暖めるからあったかいのよ!」
「パリの建物は日本と違って石造り。気密性が高いから暖かいんだよね。」
「どこがじゃ!」
セントラルヒーティング運用の権限はボーマン邸の女王マリエに握られている。
本格的に寒くなっても、部屋の暖房器はペタペタと触ってほんのり暖かい程度。
めぐちゃんいわく、私の前にボーマン邸に下宿していた女の子が「寒すぎる!」とマリエに抗議したが、聞く耳持たずだったそう。
そんなわけでボーマン邸の下宿人は、それぞれ小さな電気ヒーターを買って過ごしていた。
光熱費込でかなり高い家賃を払っていた私達。ここぞとばかりにガンガンヒーターをつける。
ところがマリエはそれを許さない。何某かの理由をつけて部屋に訪ねて来る。バレないように3センチだけドアを開けて応対するも、隙間から漏れる暖かい空気を察知され「この部屋暑すぎるわよ!!」などと文句をつけられる。
フランス人の知人いわく、
🥖「フランスで適温とされてる室内の温度は16℃〜20 ℃だからね...。温度計を買ってきて一度部屋の温度を確かめてみるといいよ!」
「絶対16℃もない!マリエの体感温度どうなっとるんじゃ!」
かくして、私とマリエの電気ヒーターを巡る戦いは二冬続いた。
ちなみに...
部屋を退去する日、
「あなた冬は電気ヒーターつけてたでしょ。冬の間の数カ月、上がった分の電気代払としてデポジットはもらっとくわよ!」
ニッと歯を見せて笑うマリエにそれなりの金額をしっかりと徴収されたのだった...
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