85 要介護認定通知書が届いた | プレ介護アドバイザーはまじゅんのおしゃべりサロン

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健太が中央包括支援センターに、

デイサービスの利用の件を相談に

行ったのが土曜日、その次の週の

水曜日には、中央包括の看護師の

早川さんから、健太の同級生の

ケアマネジャー田中みどりを通じて、

2か所のデイサービスの見学予約を

入れてくれたと返事があった。

 

2か所とも健太の自宅の近くで、

一つは10人以下のアットホームな

事業所、もう一つは、最初に健太が

飛び込みで入った30人以上の

大きな事業所だった。

 

デイサービスの見学時間は、1つ目

が午後2時から、2つ目が午後3時

からになっていた。

 

みどりが言うには、デイサービスは、

午前9時から10時ぐらいに利用者

さんが集まって、午前中は入浴、

その後昼食を取るので、少し落ち着く

のが午後2時ごろ、午後3時ごろに

おやつを食べて、午後4時ごろから

帰宅の送り出しが始まる。

だから、午後の2時から4時ぐらいが

ゆっくり見学できる時間帯だそうだ。

 

早川さんは、ちゃんとその辺を考慮

して、見学予約を入れてくれたよう

だった。

 

見学の予定は組めたが、まだ認定通知が

届かず、健太は母親の君江にどう切り

出そうかと迷っていた。

 

すると、運よく金曜日に認定通知が

届いた。

君江は、市役所から何やら難しい文書が

自分宛てに届いたと思ったようで、封を

開けずに健太の帰りを待っていた。

 

金曜日の夜、珍しく午後7時ぐらいに

健太が帰宅すると、夕飯の席に着く

なり、君江は封筒を健太に見せた。

 

「市役所からこんなものが来ていた

けど、なにかしらね?」

 

封筒には確かに「要介護認定通知書」と

印刷されていた。

健太は、急いで開けたいと思ったが、

そこは平静を装って言った。

 

「後でゆっくり見るよ。まずはメシに

しよう」

 

夕飯を済ませた後、健太は封筒を君江の

前で開けた。

中には、認定通知書と、前に要介護認定

申請書と一緒に提出した介護保険被保険

者証と介護保険負担割合証が入っていた。

そして、結果は「要支援2」で、負担

割合は1割だった。

 

母親が心配そうに健太の顔を見つめている。

健太は、がっかりした顔を見せる訳にも

いかない。それに、明日のデイサービスの

見学に母親を連れて行く相談もしなければ

ならない。

 

ゆっくりと書類を読んでいるフリをし

ながら、健太はどうやって説明しようか

と頭の中をフル回転させた。

 

「おふくろ、この前、75歳の健康診断や

家庭訪問を受けただろう」

 

「そうね。楓も来てくれたわね」

 

母親はちゃんと覚えていてくれた。

 

「その結果を市役所で検討して、おふくろ

にはデイサービスを使って、色々な人と

おしゃべりしたりする時間を多くとった方

が良いですよ!ていう結果を送って来た

んだよ」

 

健太は、以前みどりが言っていた言葉を

思い出しながら、何とか説明した。

 

「そう言えば、うちに来てくれた人も、

一人で過ごす時間が長いから、色々な人と

お話する時間を取るようにって言ってたわ」

 

母親の言葉を聞いて、健太はこれで行ける!

と思った。

 

「そうだろう。それで、おふくろの場合は、

週に2回デイサービスに行くようにって

市役所から言ってきたんだよ。ほらここに

要支援2って書いてあるだろう」

 

健太は、認定通知書を見せながら説明した。

 

「あら、そうね」

 

母親の君江は納得したようだった。

健太は、こじつけでもなんでも、母親が

デイサービスに楽しく行ってくれさえ

すれば良いと思った。

 

「そこでなんだけど、おふくろ。明日の

午後、週に2回行くことになるデイ

サービスの見学に行こうと思うんだ。

みどりが、おふくろのために選んで

くれたデイサービスが2か所あるから、

一緒に見に行ってくれるよな」

 

健太は、君江の顔色をうかがいながら

言った。

 

「あら、みどりちゃんが選んでくれたの。

それじゃあ、行かなきゃ申し訳ないわね」

 

そう言いながらも、君江は息子と出かけ

られるのが嬉しそうだった。

 

「それじゃあ、明日の午後1時半に車で

出発するからな」

 

健太はそう言うと、一度自分の部屋に

入った。そして、今度はゆっくりと封筒

に入っていたものを見た。

認定通知書と一緒にもう一枚、文書が

入っていた。

 

それには、S市内の地域包括支援センター

20か所の一覧表が載っていて、

「介護保険サービスの利用を希望される

時は、お住まいの地域を担当する地域

包括支援センターにご相談ください」

と書かれていた。

 

「結局みどりに頼むことはできないのか」

そうつぶやきながら、健太は認定通知の

結果をみどりにLINEで報告をした。

 

健太! ちょっとがっかりだね!

 

TO BE CONTINUED・・・