岸田内閣の発足後、内閣支持率が
最低の45%に急落した。毎日新聞
世論調査によると、7ポイントもの下
落で、不支持率は10ポイントも増加
し46%になった。要因は新型コロナ
ウイルスによる感染拡大が止まらず
ワクチンの3回目接種が進んでいな
いことである。ところが、政府の分科
会などから「オミクロン株はピークア
ウトが近い」との見方が出ているが
死者数は高止まりし、1日150人以
上が続く。とても危機感を緩める状
態ではない。世論は政権の「コロナ
無策」にようやく厳しい評価を下し始
めた。
テレビメディアが北京五輪一色の映
像を過剰にたれ流す裏で、東京、大
阪など都市部のコロナの検査陽性
率は世界基準の10倍に近い40%を
超えた。実に2人に1人が陽性とい
う深刻さである。自分の出身地の
香川は新規感染者数は過去最多
の1日400人を超え、岩手や福井
なども最悪の数を更新した。沖縄
や北海道でも再拡大の兆しがあり
、全体では高止まりしている状態
に見える。
それなのに、岸田文雄首相は3月
から水際作戦を緩和、さらに17道
府県のまん延防止期間の延長を
3週間から2週間に縮めようとして
いる。どちらも政権浮揚につなげ
る思惑ばかりが透けて見える。異
常に高い陽性率を抑えるため、政
府が検査数を増やさないための通
知まで出していたと報じられた。
これほどの爆発的感染拡大を招い
た政治責任は、ワクチンの3回目
接種の遅れが最大要因になったこ
とは、もはや否定できない。世論調
査でも接種を「遅いと思う」と答えた
のが63%にのぼっている。失敗を
認めて教訓を生かすのが本来の政
治の務めのはずだが、この政権も
「安倍・菅政権」と同じように事実の
隠蔽か偽装ばかりが目立つ。野党
の追及不足のせいで、来年度予算
案の国会通過が早くも見えてきた。
このまま検証もなく失政続きの政権
運営が認められれば、また同じ誤り
が繰り返しそうで暗然とする。政権
を監視する勢力の衰退ぶりは目を
覆うばかりである。
腐臭が漂う自公政権の体質がまた
露骨に表れたのが、自民党京都府
連が国政選挙前に候補者から集め
た現金を地元議員にばらまいていた
スキャンダルだ。河井元法相夫妻
による大型買収事件に続く買収事
件だが、手口はより狡猾にみえる。
ばらまかれた金はいったん自民党京
都府連を通し、選挙に関わる金銭の
授受を禁じた公選法の適用逃れが
明白だ。京都の弁護士グループは自
民党府連会長の西田昌司参院議員
ら50人を買収容疑、被買収容疑で刑
事告発する方針だ。府連の内部文書
には「マネーロンダリングをする」との
記述があり、買収意図があったこと
は隠せない。
舞台になった2016年の参院選挙で
候補者だった二之湯智・現国家公安
委員長は960万円を自分の選挙区
支部から府連に寄付したと認めてい
るが、「政党活動の趣旨でやましいこ
とはない」と弁明しているが、京都府
連は国政選挙のたびに、候補者から
集めた金を地元議員にばらまいてい
た。総額は1億円を超え、告発を受
ける検察は十分捜査を尽くす責任が
ある。
もし府連を通すという「悪知恵」にひ
るんで、立件を見送るならばまた広
島の事件のように、その威信はさら
に落ちて法治国家を崩壊させた「共
犯」に見られるだろう。
【2022・2・21】