平野幸夫のブログ -8ページ目

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

岸田内閣の発足後、内閣支持率が

最低の45%に急落した。毎日新聞

世論調査によると、7ポイントもの下

落で、不支持率は10ポイントも増加

し46%になった。要因は新型コロナ

ウイルスによる感染拡大が止まらず

ワクチンの3回目接種が進んでいな

いことである。ところが、政府の分科

会などから「オミクロン株はピークア

ウトが近い」との見方が出ているが

死者数は高止まりし、1日150人以

上が続く。とても危機感を緩める状

態ではない。世論は政権の「コロナ

無策」にようやく厳しい評価を下し始

めた。

テレビメディアが北京五輪一色の映

像を過剰にたれ流す裏で、東京、大

阪など都市部のコロナの検査陽性

率は世界基準の10倍に近い40%を

超えた。実に2人に1人が陽性とい

う深刻さである。自分の出身地の

香川は新規感染者数は過去最多

の1日400人を超え、岩手や福井

なども最悪の数を更新した。沖縄

や北海道でも再拡大の兆しがあり

、全体では高止まりしている状態

に見える。

それなのに、岸田文雄首相は3月

から水際作戦を緩和、さらに17道

府県のまん延防止期間の延長を

3週間から2週間に縮めようとして

いる。どちらも政権浮揚につなげ

る思惑ばかりが透けて見える。異

常に高い陽性率を抑えるため、政

府が検査数を増やさないための通

知まで出していたと報じられた。

これほどの爆発的感染拡大を招い

た政治責任は、ワクチンの3回目

接種の遅れが最大要因になったこ

とは、もはや否定できない。世論調

査でも接種を「遅いと思う」と答えた

のが63%にのぼっている。失敗を

認めて教訓を生かすのが本来の政

治の務めのはずだが、この政権も

「安倍・菅政権」と同じように事実の

隠蔽か偽装ばかりが目立つ。野党

の追及不足のせいで、来年度予算

案の国会通過が早くも見えてきた。

このまま検証もなく失政続きの政権

運営が認められれば、また同じ誤り

が繰り返しそうで暗然とする。政権

を監視する勢力の衰退ぶりは目を

覆うばかりである。

腐臭が漂う自公政権の体質がまた

露骨に表れたのが、自民党京都府

連が国政選挙前に候補者から集め

た現金を地元議員にばらまいていた

スキャンダルだ。河井元法相夫妻

による大型買収事件に続く買収事

件だが、手口はより狡猾にみえる。

ばらまかれた金はいったん自民党京

都府連を通し、選挙に関わる金銭の

授受を禁じた公選法の適用逃れが

明白だ。京都の弁護士グループは自

民党府連会長の西田昌司参院議員

ら50人を買収容疑、被買収容疑で刑

事告発する方針だ。府連の内部文書

には「マネーロンダリングをする」との

記述があり、買収意図があったこと

は隠せない。

舞台になった2016年の参院選挙で

候補者だった二之湯智・現国家公安

委員長は960万円を自分の選挙区

支部から府連に寄付したと認めてい

るが、「政党活動の趣旨でやましいこ

とはない」と弁明しているが、京都府

連は国政選挙のたびに、候補者から

集めた金を地元議員にばらまいてい

た。総額は1億円を超え、告発を受

ける検察は十分捜査を尽くす責任が

ある。

もし府連を通すという「悪知恵」にひ

るんで、立件を見送るならばまた広

島の事件のように、その威信はさら

に落ちて法治国家を崩壊させた「共

犯」に見られるだろう。
                       【2022・2・21】

新型コロナウイルス感染による国

内の1日の死者がついに最多の

236人になった。大阪は特に悲惨

だ。40人を超える全国一の深刻さ

である。既に緊急事態宣言を出す

べき危機的事態なのに、ためらい

続ける吉村洋文府知事は「高齢者

対策を」と国にげたを預ける無責

任さである。国会で政府の無策を

ただすべき野党第一党の立憲民

主も立ち位置が定まらない。フラ

フラし後手続きの政府をアシストし

ている様相である。闘うべき相手

を見失った野党に展望はなく、既

に衰退への道を歩み始めている

ようにみえる。

こんな弛緩した政治がはびこる責

任は与野党共にある。第一に岸

田文雄首相にリーダーシップがな

いことがあげられる。「ミスター検

討」と万事先送り体質が指弾され

ているのに、その自覚がなく右顧

左眄ばかりの答弁が目立つ。昨

秋からの国会で岸田首相が「検討

」を口にしたのは60回にものぼると

今朝の朝日新聞が指摘していた。

野党の質問にもあいまい答弁を繰

り返し、先延ばしてかわす習癖が

ついてしまたようだ。

昨年末からワクチンの3回目前倒

し接種の遅れを追及されても、無

能な堀内詔子ワクチン担当相や

後藤茂之厚労相が官僚の作った

作文をまるで人形のように答弁を

する姿を2カ月以上もずっとかば

い続けてきた。河野太郎前担当

相から8カ月後接種を「完全に厚

労省の間違いだった」と批判され

てしまう始末だ。そもそも当初の

調達遅れを自ら招いた河野前担

当相にそんな批判を言う資格など

ないはずだ。「どの口が言うか」と

いう思いにさせられるが、厚労官

僚批判だけは当たっている。一事

が万事である。度重なる「コロナ失

政」は最大の国難の舵取りができ

ない岸田政権の全体体質を表し

ている。

野党にとっては攻めどころ満載の

国会なのに、まるで存在感がない。
特に第1党の立憲新執行部は早く

も党の土台まで揺るがせている。

国会で野党同士の連携を強める

時に、維新を入れて共産を排除し

た4会派を作ろうとした。政権の顔

色ばかりをうかがう維新や国民と

組むことで合意してしまった。衆院

選で勝利できなかったとはいえ、

市民連合の仲介で共産やれいわ

と組んだ候補が多く当選したのに

、それを無視した形だ。共産の小

池晃書記長が「野党としての立場

が根本から問われる」と抗議した

のは当然だろう。

政局の行方を決めかねないこん

な重大な判断を下したのは泉健

太代表だったのか。共産やれい

わからのクレームを受けて、立憲

執行部はたった1日で維新などと

の4会派の枠組みを撤回した。何

という定見のなさか。そもそも自

公政権の補完勢力である維新と

タッグを組むなど衆院で立憲に投

票してくれた支持者への背信にほ

かならない。馬淵澄夫国対委員

長が共産とれいわに「配慮を欠く

行動で、不快な思いをさせてしま

った」と謝罪したというが、謝るべ

き相手は支持者や野党に期待し

ている人たちではないのか。

毎日新聞によれば、小川淳也政

調会長もあわてて「インターネット

で支持者の反発は強い。心配を

かけて申し訳ない。さまざまな党

と適切な距離で関係を構築する」

と釈明したというが、それで収ま

るはずがない。立憲という政党の

土台が壊れているという危機感が

なければ、再生はない。今回、維

新を入れた4会派への路線転換

を指示したのが、泉代表ならば

、早くも代表選挙による交替も論

議されてもおかしくない。

低調な国会質疑だが、質疑から

逃げまくっていた岸田首相が18日

の衆院予算委に久しぶりに出席

するという。5千人が救急車をた

らい回しにされ、1日200人もが

死亡するという悲惨な医療崩壊

を招いた岸田政権の政治責任を

厳しく問わないとしたら、野党など

存在する意味などない。
          【2022・2・16】


この2年間で最悪の数だ。新型コ

ロナのオミクロン株の感染拡大に

よる死者は全国で連日150人を

超えている。政府はまん延防止期

間を延長するぐらいしか何の防止

策も打ち出せない。先進国中最下

位の3回目ワクチン接種率も上が

らない。、岸田文雄首相ら関係閣

僚らはもう無能を通り越して、その

存在自体が害毒をもたらしている

様相である。こんな危機的状況を

もたらした政治責任を糾弾すべき

メディアも五輪報道ばかりにうつ

つを抜かし、本来の使命を忘れた

かのようだ。

昨年末からこのブログで「更迭せ

よ」と求めていた堀内詔子ワクチ

ン担当相が、また衆院予算委員

会で驚くべき発言をした。政府と

自治体の連絡調整を担う厚労省

のリエゾンチームが52人から13

人に縮小されたことを「報告をう

けていない」と答弁したのである

。自治体へのワクチン配給の遅

れを非難する声が相次いでいる

ことから、前任の河野太郎担当

相がツイッターで「私だって仕事

できないよ」とかばったことから

発覚してしまった。自分が所管

する官僚の人数さえ、まったく

把握していなかったことが、改

めて浮かび上がり、言葉を失う

ほどだ。

岸田政権下で、これほど爆発的

感染拡大を招いてしまったのは、

野党が指摘するように総裁選に

よる政治空白後もコロナを楽観

視していたことに他ならない。P

CR検査を徹底しなかった水際作

戦と米軍基地からの染みだし。そ

れに急がれたブースター接種を「

第2回目接種から8カ月後以降」

と頑強に拒んできたことが、現在

の最悪の状況をもたらした。

3カ月前の臨時国会の質疑をまだ

鮮明に覚えている。欧米の例を紹

介しながら、早期のブースター接

種を求める野党議員に堀内担当

相は官僚の作成した答弁書をそ

のまま読み上げながら「政府は8

カ月後以降に決めている」と一点

張りの答えを繰り返していた。こ

の時期はイスラエルで4回目の

接種が進んだというニュースが流

された時期だったので、ずっと「な

ぜ日本ではできないのか」と疑問

に思わせ続けた。

今になって判明したのが、厚労省

の医系技官が勝手に収束を判断

し岸田首相以の閣僚がその危う

さに気が付かず、うのみにしたか

らだった。これに堀内担当相の無

能ぶりが重なってワクチンの調達

失敗を招き、今も解消できていな

い。この失敗につけ込むように小

池百合子東京都知事は「スピード

感の違いがストレスフル」「モメン

タムが少しずれている」と政権批

判した。自身の無策を棚にあげて

「どの口が言うか」と思わせが、そ

の指摘ははずれていない。

何より岸田首相の政治責任は重

大だ。昨年秋の臨時国会の衆院

予算委で、立憲の長妻昭コロナ対

策本部長が「次の感染拡大に備え

て、春以降大阪で多かった自宅療

養にされて死亡したケースを詳細

に調べ、二度と同じことが起きな

いように報告してもらいたい」と岸

田首相に注文していた場面を鮮明

に覚えている。この時、岸田首相

は「同じようなことが起きないよう

に調べる」と通り一遍の答えをして

いたのだが、その後詳細な報告が

出された気配はなく、長妻議員の

指摘が現実化してしまった。

全国で自宅療養者は今月初めに

40万人を超えた。国民皆保険の

国で、医者の診察も受けられない

「医療崩壊状態」に陥っているの

が現実である。また毎日数千人

が救急車で3回以上たらい回し

にされている。自分がその身に

なったらと思うと、寒気を催す。

岸田首相は当初から頑なに否定

していた「毎日100万回接種」を

言い始め、東京都と大阪府と共

同で計1千床の臨時医療施設の

設置を明らかにした。これが付け

焼き刃であるのは、看護職員を

確保できていない実情をみれば

明白だ。

後手後手が続いた「安倍・菅政権

」以下と言いたぐらいの対応ぶり

だが、それでも内閣支持率は少し

下がったといっても、まだ50%台

をキープしている。これ以上災禍

をエスカレートさせないためにも、

政権の存続が問われるくらい有

権者がもっと厳しい視線を向け

なければならない。
          【2022・2・11】

「愛国心はならず者たちの最後の

砦である」。石原慎太郎元東京都

知事の訃報を聞いて、18世紀の

英国の詩人、サミュエル・ジョンソ

ンの警句が頭に浮かんだ。数々

の差別発言や暴言を吐きながら

も、保守層から強い支持を受け

続けた生涯だったが、これほど言

行不一致ぶりを見せつけられた政

治家を知らない。今は礼賛報道ば

かりが目立つが、かつて「天下の

暴言男」と呼ばれたのは、戦後民

主主義を否定しナショナリズムを

駆り立てた「ならず者」に例えられ

ても仕方ない面があったからだろ

う。反対意見に罵詈雑言を投げ

つける「ネトウヨ」がSNS上で跋

扈する現在の風潮の下地を作っ

た先駈けでもなかったか。

サミュエル・ジョンソンだけでなく

多くの古今の賢人が愛国主義の

害毒について言及している。「愛

国主義という卵から戦争が生ま

れる」(モーパッサン)、「ナショナ

リズムは幼児の病気である」(ア

インシュタイン)……。いずれも

偏狭な政治信条によって民主

主義による批判を認めず、やが

て専制政治や戦争を招きかね

ない警鐘であった。石原氏が政

治家として残した最大の負の

遺産は「尖閣諸島を東京都が買

う」と言い出し後の国有化を主導

したことだ。以来日中関係は一

挙に悪化し「戦争の芽」をもたら

した。

石原氏は気に食わない相手には

平気で「シナ」「ババア」などと罵倒

し、よく薄ら笑いをしていた。「作家

だから」が口癖で、常に自分の言

動がもたらした政治責任からは逃

げ続けた。政治史に詳しい中島岳

志・東京工業大教授が先日、共同

通信に寄稿した評論によると、石

原氏は戦後当初、社会党左派を

支持し、再軍備に反対していた。

憲法改正にも反対で「コスモポリタ

ン的で開放的な今の憲法の明る

さがいい」と表明していたという。

しかし、作家として評価される始め

ると「戦後的価値の創造」を追求し

たあげく、国家主義に傾倒していっ

た。自分が知らなかった「石原前史

」であり、その極端な変節ぶりに改

めて驚く。検証すると、「自分だけ

が特別」という優生思想にとらわれ

その「幼児性」は安倍晋三元首相

ら右翼政治家と共通する。

晩年、石原氏は維新の橋下徹氏

に自分を重ね「僕は橋下君を首相

にしたい」「若い頃のヒトラーにそっ

くり」とまで言って評価したのである

。維新政治はそんな石原氏の偏

狭な価値観を見事に引き継いでい

るようにみえる。一例を挙げれば

、吉村洋文大阪府知事は大阪市

長時代、長年友好都市関係を維

持してきた米国・サンフランシスコ

市が韓国の従軍慰安婦像の撤去

要請を断ったことから、提携関係

を一方的に断ってしまった。石原

氏の歴史修正主義とレイシズム

が継承された表れでもある。

石原氏の民主政治に対する「罪状

」には他に、新銀行東京の破綻、

唐突な築地市場の移転、海外で超

高級ホテル宿泊などの豪遊、息子

の絵画購入などがあり、特に都政

私物化は枚挙にいとまがないほど

で、発覚すると「メディア攻撃」も際

立った。

こんな「石原DNA」を大阪で引き継

いだ維新政治は今惨状をもたらし

ている。コロナの感染拡大が東京

以上に深刻だ。人口が半分にも満

たないのに、大阪の死者数はつい

に東京と同じ3000人を超えてしま

った。テレビ出演を繰り返して「や

ったふり」をしても結果は「吉村失

政」と言うしかない。大阪市は1月

末から2月2日までの8日間の感

染者数を計上していなかった。実

に1万2700人もの感染者を隠し

ていたことになる。松井一郎市長

は「今の人的資源では対応が難

しい」と言い訳をしているが、予め

危機を予測して体制を整えておく

のが市長の責務ではないか。

メディアは「石原礼賛」報道をして

いる時でない。こんな人命軽視が

まかり通る維新政治を厳しく監視

・追及する責務がある。
                 【2022・2・6】

菅直人元首相が「橋下徹氏はヒトラ

ーを想起させる」と維新政治を批判

した。明確な論拠を挙げない唐突さ

が否めず、松井一郎大阪市長らの

「立憲攻撃」に口実を与えてしまっ

た。「維新政治」の危険性を主張す

るなら、ヒトラーを持ち出すことより

「ファシズムの芽」をはらんでいるこ

とを明快に指摘し、もたらした害毒

を具体的に問うべきだった。


ふだん辟易するくらいテレビに登場

する橋下氏が映ると、瞬時にチャン

ネルを切り替えることにしている。な

ぜなら、その場限りの言説を放ち、

常に無責任さが際立つからだ。昨

秋にはコロナ感染の第五波が予想

以上に急速に収束したとき、専門学

者に「責任を取れ」と迫っていた。視

聴者の共感を得るための思考と弁

舌ばかりに見えよく邪さを感じる。そ

もそも、知事選立候補で名前が挙が

った時から、嘘だらけだった。「2万

%出ない」と言いながら、ぬけぬけと

当選してしまった。以来、安倍・菅政

権にすり寄り、補完勢力として動いて

きた。米軍ヘリ・オスプレイや福島の

原発事故の汚染水受け入れなどに

ついての発言は一際安倍政権への

迎合ぶりが目立った。

市政では、まずいわれなき職員労組

攻撃で、赤字が続く事業への批判を

かわした。文化行政でも次々予算を

カット、良き上方文化の土壌を損壊

し続けた。あのユネスコの無形文化

遺産になっている「文楽」を観劇した

時も、「よく分からなかった」と切り捨

て、大幅に補助金を削減したのであ

る。ヒトラーの弁舌は「敵を作って熱

狂を駆り立てる」ように繰り出された

が、その手法は重なってみえた。


以前このブログで引用した米国の政

治学者、ローレンズ・ブリット氏が指

摘した「初期ファシズムの危険な兆

候14」の一部を重ね改めて論考した

い。
濃淡はあるが、維新政治は次の点

で危うさを内包してしている。

労働組合の弾圧と排除△知識層と

学問に対する蔑視△人権の軽視・軽

蔑△詐欺的な選挙△女性差別のま

ん延△国民統合のための敵づくり

△マスコミの統制……。

14項目の多くが「安倍・菅政治」に共

通するが、「維新政治」もその補完勢

力として同じ動きを見せてきた。二度

にわたる住民投票で「大阪都構想」が

否定されたにもかかわらず、その民

意がなかったかのように「広域特別区

制度」を持ち出しているのは、まさに

「詐欺的な選挙」にさせる意図をうか

がわせる。

最近は維新の暴走を監視・批判すべ

きメディアの無自覚ぶりが、さらに極

まって「橋下・松井・吉村」の3人組は

言いたい放題になっている。それが

露骨に出たのが、毎日放送の正月

番組である。視聴者から「政治的公

平を欠く」と批判が寄せられ、調査チ

ームが立ち上がったのは当然だが

、どれだけ自浄作用が機能するか

期待できない。なぜなら、毎日放送

だけでなく、他の在阪各局の報道番

組をみても、相変わらず一様に維新

にすり寄るような番組が多く散見され

るからだ。ジャーナリズム精神の欠

如に暗然とさせられる。

新型コロナのオミクロン株による医

療崩壊は大阪が最も顕著である。人

口100万人当たりの入院・療養患者

は今週6892人と全国最悪となった

。28日はついに新規感染者が初めて

1万人を超えてしまった。こんな第5

波を超える惨状は、維新が医療福

祉行政の予算をカットし続けたことが

背景にある。橋下氏は保健所、医師

、看護師らを削減してきた自らの政

治責任を認めようとしない。維新政治

のせいでどれだけの人が助かるべき

命を失ったことか。それを思えば、「

3人組」が他の野党を批判することな

どできないはずである。
             【2022・1・29】


(次回は都合で2月6日に掲載しま

す)

 


PCR検査は数日待ち、3回目の

ワクチン接種はわずか1・5%…

…。新型コロナウイルスのオミク

ロン株による感染爆発が止まら

ない中、国の無策が際立ってき

た。どの数字も先進国で最下位

。高齢者の約6割が「とても怖い

」と回答(毎日新聞世論調査)、

危機感を募らせている。これで

は菅前政権の方が「ましだった」

と錯覚させるくらいだ。「やってい

るふり」しか見えない岸田文雄首

相には「日米首脳会談の相談な

ど感染防止に手を打ってからや

れ」と言いたくなる。攻めどころ

満載なのに、野党の存在感もまる

でない。

24日付けの毎日新聞世論調査で

は参院選比例代表投票先を聞い

た政党支持率は立憲はわずか9

%で、維新の18%に2回連続でダ

ブルスコアの差を付けられた。こ

のままでは参院選も大惨敗し、解

党さえ論議されそうだ。立憲の議

員がそんな危機感をもっているの

か、疑いが日増しに募る。泉健太

代表が先週末また「参院選は野

党で過半数を目指す」と空疎な発

言をした。与党にすり寄る維新、国

民を同じ野党の仲間とみる認識を

改めない限り、低落傾向は続くだ

ろう。

岸田首相はいつも「専門家の意見

を聞いてから」と繰り返すが、その

政府分科会の尾身茂会長が暴言

を吐いてしまった。「人流抑制より

人数制限。ステイホームなんか必

要ない」と軽視したのだ。。全国知

事会から反発が出たのは当然だ

ろう。尾身提言には「若年層は検

査をせず、症状だけで診断可能」

という文言も入っていた。人任せで

「自助」ばかり強いる。若い感染者

は自分の症状が把握できず、見

捨てられたような気持ちに陥るの

ではないか。

今月中旬までの全国のPCR検査

わずか約17万件、費用を負担する

自治体も増えているが、都市圏で

は寒空に連日数百人の列が続き、

数日待ちのケースも多い。昨夏の

第4波後、検査態勢の充実が最重

要課題になっていたのに、岸田政

権が自治体任せにしてほとんど何

の手も打っていなかったことを示す



ワクチンの3回目の接種もずっと

遅れたままだ。岸田首相はあわて

て「(間隔を)7カ月に前倒しにする

」と表明したが、肝心のワクチンが

足りない。頼りない堀内詔子・ワク

チン担当相を表に出さず厚労相

に釈明させる姑息さだ。軽症者向

けの飲み薬も、供給が足りず医療

機関に十分届いていない。感染を

疑っても、検査ができない現状で

は「発症5日以内服用」が間に合

わず、処方できないケースも出始

めた。

東京都の医師会長は来月半ばま

で感染拡大が続くと予測。恐れて

いた全国の感染者数1日10万人

超えも危惧される深刻な事態だ。

中でも大阪は自宅療養者が過去

最多を更新、1・9万人に達し、多

くの「自宅死」を招いた春の医療

崩壊を繰り返す恐れが強まって

いる。それなのに、吉村洋文知

事は先週
「まん延防止措置」要請を躊躇し

「遅い」という批判が高まった。こ

のため発動が今週まで遅れてし

まった。誤った判断で兵庫、京都

まで巻き込むのは、やめてもらい

たい。

吉村知事の偏狭な意地によって

、関西全体で急がれる危機感の

共有が遅れる事態を招いた。大

阪府の病床使用率は今週50%

に達する見込みで、1日の感染

者数は近く2万人を超えそうだ。

それでも吉村知事は「社会経済

活動を止めない」という名分で「

緊急事態宣言」は発しそうにな

い。昨春全国一の自宅死を招い

た反省が見えない。在阪メディア

が無節操に失態続きの「維新政

治」を持ち上げ続けたツケがま

たさらなる惨状をもたらすかもし

れない。
        【2022・1・24】

通常国会の冒頭から早くもボロを

出してしまった。施政方針演説で

勝海舟の言葉を得意気に使った

岸田文雄首相が誤用していたの

が分かった。就任以来、「自分は

『聞く耳を』持っている」と自負して

いたが、その空疎さがまた際立

った格好だ。新型コロナのオミク

ロン株の感染拡大に対しても前

・元政権の愚行を改める気配が

なく、事実上拱手傍観の様相を

見せつける。野党は「提案型」の

質問など止めて、「追求型」に立

ち戻らなければ、政策変更など

期待しても無視されるだけだろ

う。

岸田首相が引用した勝海舟の「

行蔵は我にあらず」は「自分の

出処進退は自分で決める」とい

う解釈だったと説明されたが、

実際の言葉は「毀誉は他人の

主張、我に与(あず)からず」と

続き、「それをけなす、ほめる

は他人が勝手にすればいい」

という逆の意味だった。首相自

身が十分意味を理解しておら

ず、側近官僚が演説を格調高

く聞こえさせるために使ったの

だろうが、とんだ浅知恵だった

。おまけに、かつて石破茂元幹

事長や福田康夫元首相が使っ

た言葉だったことも判明してし

まった。


今後の国会質疑ではオミクロン

株の感染拡大を招いた岸田政

権の政治責任が厳しく問われ

なければならない。海外では11

月半ば以降、この変異株の恐

怖が専門家らから指摘されて

きたが、当初から無策だった。

最も重要だった水際作戦でも

PCR検査が不可欠と指摘され

ていたのに、漏れの多い抗原

検査との併用に固執してエア

ルゾル感染を防げず、全国各

地で感染者を増やした。

何よりひどかったのは、米軍基

地からの「染みだし」だった。片

務的な日米地位協定のため米

軍に入出国管理の厳格運用を

言い出せなかった。沖縄や岩

国の米軍基地で感染者が激増

しても、米軍兵士はマスクもせ

ず基地外で遊興し、周辺市民

の感染者急増を招いた。今月

に入ってようやく外相が電話で

米国務長官に検疫強化を求め

たが、もう遅すぎた。日米地位

協定の改定を求める好機にす

べきだったのに、岸田政権は「

米国に変更を求める考えはな

い」と表明する始末である。こ

れだけみても、この政権のスタ

ンスがどちらに向いているか分

かる。

特に基地周辺市民の怒りは強

まっている。状況を変えるには、

直接選挙で「NO]を突きつける

しかない。告示された沖縄の名

護市長選挙で政権への鉄槌が

下されるかもしれない。当初優

勢だった自公推薦の現職候補

に野党推薦の新人候補が肉薄

しているという世論調査の結果

が出た。反対の多い米軍普天

間基地の名護・辺野古移設に

対する厳しい審判も重ねて下さ

れるのではないか。

国会は今日から代表質問が始

まるが、野党が手ぬるい質問を

重ねたら、支持率のさらなるダ

ウンは必至だろう。立憲の泉健

太代表は年明けの毎日新聞の

インタビュー記事で、またピンボ

ケの抱負を述べていた。参院

選への取り組みを聞かれ「1人

区では可能な限り一本化を図る

」としながら、複数区で協力を呼

びかけるのは「政策の違いが少

ない『兄弟政党』である国民民

主だ」と答えていたのである。向

かうべき方向を見誤っていると

しか言い様がない。「闘う野党」

のリーダーとしての気概がまっ

たく感じられない。

その国民民主の玉木雄一郎代

表は年明けに小池百合子東京

都知事と会い、東京選挙区で

都民ファーストと一緒になって

候補擁立することで合意した。

さらに、玉木代表は維新と一

緒になって憲法改憲論議を加

速する意向を表明している。

昨年、立憲との合流を拒否し

た玉木代表に「兄弟意識」な

ど欠片もないはずだ。一連の

動きは、国民民主、維新、都

民ファーストによる「政権すり

寄り」とみるべきだろう。立憲

が内部から覚醒して路線転

換できなければ、自公と疑似

野党が一体化した「翼賛政治

」が実現し、一挙に憲法改悪

が成ってしまいかねない。


       【2022・1・19】

新年早々からこの国のメディアの

退廃ぶりを次々見せつけられた。

岸田文雄首相は政権とメディアの

蜜月ぶりを誇示するかのように、

自ら東京・大手町の読売新聞本

社に出向き、ビューラウンジで渡

辺恒雄・主筆らと豪華な食事を共

にした。民主主義の番犬(ウオッ

チドッグ)どころか愛玩犬(ラップド

ッグ)に成り下がった発行部数全

国一の新聞トップのしたり顔が目

に浮かぶ。年末には大阪読売が

大阪府と包括協定を結び、維新

の「広報紙」となった。またNHK

は五輪反対デモを貶めるデマ番

組まで流した。野党第一党の立

憲はネットメディアに資金提供を

していたことも発覚。民主主義の

中枢神経と言うべき「報道の自由

」をメディア自身が放棄したような

一連のニュースに悪寒が走る思

いだ。
19世紀後半、為政者の不正や腐

敗を追及、権力批判にこだわり

続け全米一の大衆紙にさせたジ

ョセフ・ピュリツァーの言葉が今、

改めて胸に重く迫る。

「ジャーナリズムは、国という艦橋

(マスト)にいる見張りである。船

の航跡を記録し、気になるものや

漂流物について報告し注意を促す

。報酬や雇い主の利益を考えずに

、自分を信じてくれる人々の安全

と利益だけを考える」

権力者と距離感を持てなかったら、

「見張り役」は務まらず、監視や批

判はできない。以前、NHKの自伝

インタビュー番組に出た「ナベツネ

」主筆は中曽根康弘元首相を誕生

させた自慢話を延々と述べていた

。そこに権力者とメディアが一体と

なって戦禍をもたらした過去の反

省はみじんも感じられなかった。読

売の記者らはトップが利権の蜜を

分け合う姿をみれば、政権の批判

など書けるわけがない。それどころ

か、既に「機関紙化」している。自民

党の改憲法案を先取りした草案を

紙面で大展開した経緯もある。安

倍晋三元首相は自身の改憲スタン

スを国会で問われ「読売新聞を読

んでもらえば分かる」と答えたほど

だ。

一方で、岸田首相は一見、前・元首

相らの路線と違っているように演じ

ているが、「コロナ」対応の遅れや「

敵基地攻撃」対応、改憲推進などを

見ても、実体は無能な独断政治であ

る。芯が通った政策もなく、左右にふ

らふらし通し。いわば批判勢力への

「抱きつき」戦略によるその場しのぎ

が際立つ。耳障りの良い「新しい資本

主義」などもまだ何の中身も示せてい

ない。実体がないから言葉だけで、

迷走している。


野党勢力もだらしない。「提案路線」に

転換した立憲は政党支持率で維新に

抜かれる始末だ。政権の誤りや不正

を追及できない野党なら、存在する意

味もない。新執行部が生まれても、こ

のままでは参院選も惨敗するのでは

ないか。早くもそれを見越してか、国

民と都民ファーストが「東京で統一候

補を擁立する」と言い始めた。したた

かな小池百合子都知事の国政復帰

への動きだろう。

立憲が福山哲郎前幹事長判断でネッ

トメディア「CLP」に1500万円を資金

提供していた問題もジャーナリズムを

理解していなかった不祥事である。資

金を出した方も責められるべきだが、

報道倫理が重く指弾されるべきは「C

LP」の運営者ではないか。特定政党

から金銭提供を受けて、まともなニュ

ース発信などできないはずだ。初めか

ら政治宣伝(プロパガンダ)だったとみ

られても仕方ない。

猛反省せずに対応を誤ると、立憲に

とっても致命的な支持離れをもたらす

かもしれない。政治とメディアが常に

心がけるべきは「距離感を保てている

か」と自戒することだ。それができなけ

れば、一挙に信頼は失われることを

忘れてはならない。
                        【2022・1・14】

もう誰も維新の暴走を止められな

いのか。今こそ大阪の府民、市民

の判断が問われることはない。大

阪・夢洲(ゆめしま)の土壌汚染対

策に府市が血税約800億円投入

するというニュースに絶句してしま

った。記者会見で松井一郎市長

はシレっとした表情で「市民負担じ

ゃない」と言い張ったが、起債によ

る調達は借金に変わりはなく、ツ

ケを先延ばしするだけだ。在阪メ

ディアは事の重大さに気が付いて

いないのか、批判記事が少ない。

これ以上カジノという「バクチ場」

に巨額の公金を投入するリスク

の拡大を許してはならない。

そもそも松井市長は「IR、カジノに

は税金を一切使いません」と説明

していた。ところが、カジノ業者の

公募でMGM・オリックス連合に決

定した後、予定の地中に国の基

準を超えるヒ素やフッ素が見つか

り液状化の恐れがあることも判明

した。本来なら進出企業に負担さ

せるべきなのに、府市議会に諮ら

ず、唐突に公費整備に転換したの

である。

安倍・菅政権が推進したカジノに

対する風当たりは全国的に強まっ

ており今夏、横浜市では反対派の

候補が市長選で圧勝した。市民の

常識の勝利でもあった。そんな逆

風が吹く中、維新の松井市長、吉

村知事は29年開業時期を定め、

液状化対策440億円、土壌汚染

対策360億円、残置物撤去20億

円などと計上、市の特別会計から

支出することを決定した。財源は

起債で確保するというが、相乗効

果を期待した大阪万博に間に合

わせることができず、利用客がど

れだけいるかまったく見通せない

のが現状なのだ。

さらに、液状化対策に関連して南

海トラフ地震対策でさらなる公金

投入が増大する可能性もある。松

井市長らは元々の公約で「税金は

かからない」としていた。結果的に

ウソをついていたことになる。それ

でも見通しを誤った政治責任をとる

気配もない。「もうメンツでも撤退は

言い出せない」。松井市長のそんな

胸の内が透けて見える。一企業連

合のためこれほどの血税を充てる

のは、全国でも聞いたことがない。

どこまでも続く泥沼に府市民が道

連れにされている。維新と一蓮托

生でいいのかと問いたくなる。

それにしても在阪メディアの感度

の鈍さには辟易させられる。今週

ABCテレビのキャストに松井市長

と吉村知事を出演させたのに、突

っ込んだ質問をまったくしなかった

。各局ともにまるで「維新の愛玩犬

」に成り果てている。特に罪深いの

は、競うように各局が二人を出演さ

せ、まるで「プロパガンダ(政治宣

伝)放送局」になってしまっているこ

とだ。その自覚もないのだろう。

橋下徹元知事も各局をハシゴ出演

し言いたい放題である。「橋下コメン

ト」を詳細にチェックしていると、言い

分が度々変わっているのが分かる

。その都度思いついた「敵」を作って

視聴者の熱狂を駆り立てるのが常

套手段だ。この秋、コロナの第5波

が予想より早く収まったことに言及

、京大の西浦博教授に「見通しを誤

った。学者として責任をとるべき」と

傲慢な物言いで迫っていた。本来な

ら劣悪な環境の中、警鐘を鳴らし続

けてくれた研究者に最大限の敬意を

払うべきなのに、筋違いな攻撃を繰

り返していた。その人間性に何度も

反吐が出る思いにさせられた。

一方で、こんな傍若無人な振る舞い

をする維新政治家らを小気味よく誅

する政治家が最近表舞台に立った。

「れいわ」新撰組の新人、大石晃子

衆院議員である。元大阪府職員で、

「橋下政治」を知り尽くし、大阪弁で

鋭く維新政治のでたらめさを糾弾し

てきた。今回近畿の比例ブロックで

初当選した。橋下氏にツイッターで

「相変わらず、庶民ヅラをして、実は

、既得権の利益になるデタラメ言動

にいそしんでおられるようで」と皮肉

たっぷりな投稿をした。「大阪のジャ

ンヌダルク」との異名がついたその勇

気に大きなエールを送りたい。デマば

かり飛ばす「維新政治」に立ちはだか

れるのは、彼らの手の内を知り尽くし

た大石議員のような政治家である。

維新の流れを逆流させる全国区で

の活躍を期待したい。

         【2021・12・25】

(次回は1月14日に掲載します。今

年もご愛読ありがとうございました。

皆様の新年が良い年でありますよ

うに)

 


「またやってしまった」。国会での

堀内詔子・ワクチン担当相の止

まらない醜態に思わず声を上げ

た。新型コロナウイルスへの3回

目のワクチン接種がいつなるの

かは、多くの国民の関心事だが

、国会でまともな答弁ができない

堀内担当相のあまりのひどさに

怒りがわいてくる。「提案型」にシ

フトした野党第一党の立憲の追

及も手ぬるく、負のスパイラルに

陥っている。オミクロン株の感染

拡大を防ぐ大事な正念場に、不

適格な人物を起用した岸田文雄

首相の任命責任も厳しく問われ

なければならない。

13日の衆院予算委員会での堀

内担当相は自分の仕事をまった

く理解してない答弁を繰り返した

。立憲の長妻昭議員は誰しも関

心のある「3回目の接種で国民

はワクチンメーカーを選べるのか

」という質問をした。堀内担当相

は「モデルナかファイザーでお願

いしたい」と見当違いの答えをし

た後、それぞれの在庫本数を読

み上げるだけだった。目はうつろ

にキョロキョロ。シドロモドロな答え

を連発。状況を認識してないのが

明らかだった。最後までまともな

答弁ができず、ついには後藤茂

之厚労相が釈明する始末だった。

本来であれば、こんな重要な質疑

で責任ある答えできないのなら、

審議を止めるべきだったが、長妻

議員はそれ以上は厳しい追及をし

なかった。何を恐れているのか。

聞いていて本意を疑ってしまった
。立憲の新執行部が「提案型」を

掲げたのが、明らかに影響してい

たように思えた。

堀内担当相は14日の衆院予算委

員会と16日の参院予算委員会でも

立て続けに答弁に窮してしまった。

衆院では「ワクチン担当相の役割

はなにか」とまで聞かれた。参院で

はワクチンの配送スケジュールを

立憲の木戸口英司議員に聞かれ

、逃げるように「自治体と緊密な連

絡をとっていく」と説明するしかでき

なかった。側近官僚のささやきにう

なずく姿ばかりが際立った。あまり

の醜態に野党席から「大丈夫か」「

違うページを読んでいるのか」とヤ

ジも止まらない。

堀内家は山梨の名門で明治の元勲

、大久保利通の血筋につながる。義

父の堀内光雄は富士急急行会長か

ら通産相を歴任、派閥を率いた「義

父の七光り」で政界に進出した詔子

氏は世襲議員の典型である。自民

党が「世襲規制」を強めようとしたと

き、「それなら夫と離婚してでも代議

士を目指す」と言い放ち出馬、決断

力があると支持が広がったというが

、閣僚は威勢だけでは務まらない。

光男氏は宏池会の系譜を引き継い

だ掘内派を結成した政治家で、岸

田首相は派閥を譲ってもらった恩

義がある。今回の詔子氏のワクチ

ン担当相への起用はそれに報いた

情実人事とみられるが、トンチンカ

ンな答弁の連続は強く適格性を疑

わせる。

欧州ではオミクロン株の猛威が押

し寄せ、英国での感染者数は1週

間で13倍に拡大した。ロンドン大

大学院の試算では、来年5月まで

に死者が7万5000人に高まる可

能性まであるという。日本はまだ最

小限に抑えられているが、空港の

水際作戦では、ウイルスがすり抜

ける抗原検査中心で、PCR検査は

不十分。3回目接種が急がれるの

に、堀内担当相は当初2回目接種

から「8カ月後以降」の原則を言い

張ったていた。政府は批判の高ま

りからようやく医療従事者に6カ月

後を容認したが、高齢者は来年2

月まで打てない状態だ。

堀内担当相自身がファイザー社や

モデルナ社と供給交渉している様

子もまったく伝わってこない。しび

れをきらしたのか、3日前には岸

田首相がファイザー社のトップと

電話交渉。わずかだが200万回

確保できたという。役に立たない

担当相ならいらない。早く更迭し

、交渉能力のある人物を立てる

べきではないか。それが焦眉の

急だ。
       【2021・12・20】