PCR検査は数日待ち、3回目の
ワクチン接種はわずか1・5%…
…。新型コロナウイルスのオミク
ロン株による感染爆発が止まら
ない中、国の無策が際立ってき
た。どの数字も先進国で最下位
。高齢者の約6割が「とても怖い
」と回答(毎日新聞世論調査)、
危機感を募らせている。これで
は菅前政権の方が「ましだった」
と錯覚させるくらいだ。「やってい
るふり」しか見えない岸田文雄首
相には「日米首脳会談の相談な
ど感染防止に手を打ってからや
れ」と言いたくなる。攻めどころ
満載なのに、野党の存在感もまる
でない。
24日付けの毎日新聞世論調査で
は参院選比例代表投票先を聞い
た政党支持率は立憲はわずか9
%で、維新の18%に2回連続でダ
ブルスコアの差を付けられた。こ
のままでは参院選も大惨敗し、解
党さえ論議されそうだ。立憲の議
員がそんな危機感をもっているの
か、疑いが日増しに募る。泉健太
代表が先週末また「参院選は野
党で過半数を目指す」と空疎な発
言をした。与党にすり寄る維新、国
民を同じ野党の仲間とみる認識を
改めない限り、低落傾向は続くだ
ろう。
岸田首相はいつも「専門家の意見
を聞いてから」と繰り返すが、その
政府分科会の尾身茂会長が暴言
を吐いてしまった。「人流抑制より
人数制限。ステイホームなんか必
要ない」と軽視したのだ。。全国知
事会から反発が出たのは当然だ
ろう。尾身提言には「若年層は検
査をせず、症状だけで診断可能」
という文言も入っていた。人任せで
「自助」ばかり強いる。若い感染者
は自分の症状が把握できず、見
捨てられたような気持ちに陥るの
ではないか。
今月中旬までの全国のPCR検査
わずか約17万件、費用を負担する
自治体も増えているが、都市圏で
は寒空に連日数百人の列が続き、
数日待ちのケースも多い。昨夏の
第4波後、検査態勢の充実が最重
要課題になっていたのに、岸田政
権が自治体任せにしてほとんど何
の手も打っていなかったことを示す
。
ワクチンの3回目の接種もずっと
遅れたままだ。岸田首相はあわて
て「(間隔を)7カ月に前倒しにする
」と表明したが、肝心のワクチンが
足りない。頼りない堀内詔子・ワク
チン担当相を表に出さず厚労相
に釈明させる姑息さだ。軽症者向
けの飲み薬も、供給が足りず医療
機関に十分届いていない。感染を
疑っても、検査ができない現状で
は「発症5日以内服用」が間に合
わず、処方できないケースも出始
めた。
東京都の医師会長は来月半ばま
で感染拡大が続くと予測。恐れて
いた全国の感染者数1日10万人
超えも危惧される深刻な事態だ。
中でも大阪は自宅療養者が過去
最多を更新、1・9万人に達し、多
くの「自宅死」を招いた春の医療
崩壊を繰り返す恐れが強まって
いる。それなのに、吉村洋文知
事は先週
「まん延防止措置」要請を躊躇し
「遅い」という批判が高まった。こ
のため発動が今週まで遅れてし
まった。誤った判断で兵庫、京都
まで巻き込むのは、やめてもらい
たい。
吉村知事の偏狭な意地によって
、関西全体で急がれる危機感の
共有が遅れる事態を招いた。大
阪府の病床使用率は今週50%
に達する見込みで、1日の感染
者数は近く2万人を超えそうだ。
それでも吉村知事は「社会経済
活動を止めない」という名分で「
緊急事態宣言」は発しそうにな
い。昨春全国一の自宅死を招い
た反省が見えない。在阪メディア
が無節操に失態続きの「維新政
治」を持ち上げ続けたツケがま
たさらなる惨状をもたらすかもし
れない。
【2022・1・24】