北海道・利尻島でも新型コロナウ
イルスの感染クラスターが発生し
た。ウイルスは「GoToトラベ
ル」キャンペーンの旅行客が持ち
込んだとみられ、感染者は14人。
北海道の医師会長は「『GoTo
』を控えて欲しい」と訴えるのに
、菅義偉首相は「見直す状況にな
い」と居直る。各地から上がる悲
鳴に耳を傾けようとしないばかり
か、赤羽一嘉国交相は来年1月ま
での期間延長と予算増を言い出す
始末だ。14日の感染者は1700
人を超え、各地で過去最高になっ
た。冬場の感染爆発の危機感が募
る。人命を軽視し続けるこの政権
を倒さなければ、欧米のように取
り返しのつかない状況に陥る。
既に「GoToトラベル」利用者
の感染者は判明分だけでも、13
8人にのぼり、感染が分かった施
設は31都道府県の84施設にものぼ
る。これらの旅館やホテルは検温
、消毒の徹底など手を尽くして感
染防止対策をとっていた施設が多
い。それでも、防ぎ切れなかった
のである。これから紅葉やカニの
シーズンを迎え、キャンペーンの
中止は大きな痛手になるかもしれ
ないが、クラスターが発生したら
それ以上の打撃になるのは必至だ
。政府が支援すべきは利用客では
なく、感染拡大に防止に協力した
観光業者ではないか。一定期間、
利用人数を減らした業者には持続
化給付金とは別に、経営支援金を
支給すべきではないか。
そもそも、このキャンペーンは手
続きは複雑で一部の人しか利用で
きない。ネットの使用に慣れてい
ないシニア世代から「不公平だ」
という声が上がっている。大手旅
行サイトや旅行代理店ばかりが潤
うばかりである。1兆円を超える
血税が政府とパイプのある特定の
業者だけに流れる仕組みを、メデ
ィアはもっと検証し批判すべきで
ある。
雇用も深刻だ。今年2月から9月
までに非正規労働者が約80万人が
減少した。解雇や雇い止めで職を
失った人に公的支援の手を差しの
ばす時だ。「GoTo」の資金は
こちらの方にこそ向けるべきでは
ないのか。テレビメディアは「G
oToトラベル」で利用客がどれ
だけ得になったかという画像ばか
りをたれ流す。社会の深層で起き
ていることに目を向けない浅まし
い風潮が強まる一方でコロナで弱
い立場に立たされた人の困窮度が
より高まっている。
政府の分科会は「GoTo」を「
今すぐやめる状況にない」と言う
だけで、政府に継続のお墨付きを
与える機関に堕している。自ら警
戒レベルを4段階に設定した上か
ら2番目のステージにあたる県境
越え移動の制限、飲食店・観光施
設の入場制限などの判断を下すべ
き時だ。「今やらないでいつやる
か」だ。お追従だけの専門家集団
は必要ない。
今傾聴すべきは地域の医師会長の
警告だろう。第二波の若者中心の
感染より今回の第三波は年代を問
わない広がりが特徴といい、危機
感が一層募る。
政府のちぐはぐな対応は外国人旅
行客に入国後二週間待機を免除し
公共輸送機関の利用を認める方向
で検討していることにも表れてい
る。欧米の感染爆発を見れば、今
は逆に水際対策を強める時ではな
いのか。五輪開催に固執して入国
緩和の実績を作ろうとしか思えな
い。人命軽視の五輪開催などあっ
てはならないことだ。
【2020・11・15】
