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平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

ふざけた物言いは相変わらずだ。
新型コロナウィルスの「ワクチン
担当」を任じられた河野太郎行革
相は参院本会議で、その根回し下
手を指摘され「『令和の運び屋』
と言われるようにがんばりたい」
と答弁をした。接種の明確な目途
も立てられないのに「丁寧な発信
に努めたい」と虚勢をはる。自宅
待機の患者が激増するなど感染爆
発に至らしめた「コロナ無策」を
野党から追及される菅義偉首相は
河野行革相を起用、「やってる感
」を演出するのに懸命だ。通常国
会冒頭から、連日言い間違い答弁
をして、首相の資質の無さが改め
て露呈、その焦りが自ら負のスパ
イラルを招いている。


河野行革相の答弁は野党議員から
「令和の壊し屋」と言われた挙句
の、逆切れ答弁だったが、流通業
者を蔑視すると受け止められても
おかしくない。慎みのない不快な
答弁で、ワクチン接種の政府内の
混乱をさらけ出してしまった。以
前、外相だった時の会見で「次の
質問どうぞ」を何度も繰り返し、
答えたくないく質問に答えを拒否
する傲慢な振る舞いをしたことを
思い出す。「ハンコ担当」になっ
た時も、地場伝統産業の経営者や
知事らを怒らせる発言をしていた


政府のワクチン接種計画が年明け
まで日程を含めほとんど策定され
ていなかったことにまず驚く。欧
米で接種が始まった映像が流され
、国内の無策が追及されるのが必
至になっていた。その目くらまし
を狙って起用されたのが河野行革
相の起用だったが、やはり調整が
できていなかった。坂井学官房副
長官が「6月までに全ての国民に
必要な数量の確保を見込んでいる
」と21日に会見で述べ、河野行革
相はこの削除を求めた。これに坂
井副長官が反発し撤回しなかった
。結局、「確保を目指す」で妥協
したが、目途さえ立っていない実
態が分かり、河野行革相は大事な
調整手腕が早くも疑われる事態に
陥っている。


「ワクチン接種が政権の生命線」
と言われるが、先行きが見えない
。菅首相の指導力不足に「もう持
たない」という声が党内から出始
めたという。何より何を語るべき
か首相自身が理解できていないこ
とが大きい。信じられないような
言い間違いが絶えず、与党でもフ
ォローのしようがないのが現実だ
ろう。国会の施政方針演説に続き
、代表質問でも言い間違いを連発
した。


「予備費」を「予備軍」と言った
り、「国民投票法」を「国民健康
法」と全然違う言葉に変えてしま
った。官僚の作文を棒読みするだ
けでなく、読めずに意味も分かっ
ていないのが明白だ。国のトップ
として致命的と言っても言い過ぎ
でない。とても首脳会談の場に立
てるような資質もなく、自ら早期
退陣への道を歩み始めた格好だ。


コロナの感染拡大の加速が止まら
ない。自分が住む兵庫県も自宅待
機患者が激増、公立病院で他の患
者を緊急度を優先に選別する「ト
リアージ」が起きている。政府が
緊急事態宣言解除の区切りにして
いる2月7日までに収まる気配は
ない。緊急事態対象の11都府県で
は特に病床が逼迫して、自宅療養
中の15人以上が死亡していたこと
が判明している。最も深刻な東京
では、4週間前の約6倍にあたる
6700人も自宅療養者がいると
される。一人でも多く救うために
も今務めるべきは、野戦病院のよ
うな医療施設を公有地に建設すべ
きではないか。駐車場になってい
る築地の市場跡などが有力候補だ
。感染症法改正審議以前に、菅首
相や小池百合子都知事らに自宅療
養者の救済策を講じさせることが
野党やメディアの急務である。


          【2021・1・23】




何の根拠もなく、2月初めまでに
コロナの感染拡大を抑えると大見
得をきった菅義偉首相の本性を有
権者は既に見破っている。内閣支
持率が33%になり、不支持はダブ
ルスコアに近い57%になった(16
日毎日新聞)。政権寄りの読売新
聞でも不支持が49%と支持の39%
を逆転したのである。自分の言葉
で語れず、棒読みしかできない無
能な首相が避け続けた通常国会が
ようやく開会するが、新たな感染
抑止政策は何も出ていない。自ら
早期退場しなければ「菅おろし」
は必至の局面になった。


「政権機関紙」とも呼ばれる読売
の紙面は予想外に「新型コロナウ
イルス対策への強い不満が表れた
」とこれまでの政権擁護姿勢とは
打って変わって強い調子で分析し
ている。「味方」でさえ見捨てた
ような論調にならざるを得なかっ
たのは、この先支持率がアップす
る要素がないとみているからだろ
う。所信表明や代表質問だけなら
官僚の作文を棒読みで済むが、臨
機応変の答弁能力に欠け、続く予
算委員会では、とても野党の質問
をかわせそうになく、今まで以上
に失態を重ねるのは必至だろう。


その兆候が、13日の「国民皆保険
見直し」発言だった。フリーの記
者の「病床数が世界一多い国で医
療がひっ迫するのはなぜか。感染
症法の改正は政府の仕事では」と
事前質問にない質問をした。菅首
相は珍しく原稿を見ずに「えー、
国民皆保険、そして多くの皆さん
が、その診療を受けられる今の仕
組みを続けていく中で、もう一度
検証して必要なら改正するという
のは当然だろうと思います」と答
え、その場が凍り付いたようにな
った。思いもしなかった重大な発
言に記者は顔を見合わせたという


山田真貴子内閣広報官はあわてて
「大変恐縮ですが、次の日程がご
ざいますので、会見はこれで結ば
せてもらいます」と打ち切った。
質問の意図は、医療法による病床
数の改善策を聞いたのに、首相は
国民皆保険の見直しという国の医
療の根幹に関わる変更を安易に口
にした。質問の意図さえ分からず
、皆保険見直しという胸の内の願
望を唐突に語ってかわそうとした
のではないか。翌日の新聞各紙は
案の定このやり取りを別項で取り
上げたが、官房長官は火消しに動
き首相の「見直し発言」を否定し
た。


このやり取りを見ただけでも、菅
義偉首相の無能さが分かる。それ
以上に危険でさえある。これが外
交だったら、国益を損ないかねな
い発言をしてしまう危惧が募って
しまう。今春、イギリスで二年ぶ
りのG7が開かれるが、こんな人
物を送り込んでは、脈絡もなく何
を口走るか分かったものではない
。与党内でも、徐々にその指導力
を疑問視する声が出始めたという
。4月の衆院の2補選のうち、北
海道では自民候補の擁立を断念し
てしまったのは、菅首相のままで
は勝利できないという判断が働い
たからである。「選挙の顔」にな
れない首相なら、引きずりおろす
力学が働くのは当然だろう。



菅首相に起死回生の一手があるか
考えても、何も浮かんでこない。
それどころか、先日米国のニュー
ヨークタイムス紙が掲載したよう
に「東京五輪中止」の見方が強ま
っている。有力なIOC関係者か
らは「国連に判断を仰ぐべき」と
いう判断まで伝わってきた。国内
の各紙世論調査では約8割が中止
になるという見方をしている。就
任以来、何の成果も出せず、「五
輪強行」だけにすがってきた菅首
相は「中止決定」の時点で、死に
体になる。


なかなか明るい展望が見いだせな
い政治だが、日々強い気持ちを保
ちたい。それには、ぼうごなつこ
さんの風刺漫画「#100日で収
束する新型コロナウイルス」=冒頭

の漫画=が諧謔の精神を高めてく

れる。


          【2021・1・18】


「仮定な質問には答えない」。正
月のテレビインタビューに答える
菅義偉首相の姿に、思わず「『仮
定』のだろう」とつぶやいた。就
任以来、木で鼻をくくったような
答弁を繰り返し、回答を「控える
」と拒否したのは、実に100回
を超えたと北海道新聞が報じた。
新型コロナウイルスの感染拡大が
止まらず、きょう首都圏に続いて
7府県でも緊急事態宣言が出され
るが、答弁能力を欠いて、説明も
出来ない首相の小出しの対策が深
刻な災禍をもたらし続けている。


年末から感染数が急増している大
阪、兵庫、京都の知事らが緊急事
態宣言を国に要請していたのに、
菅首相は先週「週明けに専門家か
ら意見を聞いて判断する」と先送
りしていた。それが、週明けにT
BSの世論調査の内閣支持率が先
月より14・3ポイント下落し41%
になり、不支持が55・9%と上回
ったことを受け、あわてて対応を
急変させた。愛知、福岡などを併
せて宣言する後手後手の対応が極
まってぃる。


国のトップが見通しを語れず、先
々の対応を聞かれて「答弁を差し
控える」を連発するばかりでは、
指導者としての資格はない。感染
拡大を「一カ月で絶対阻止する」
と意気込んでも、専門家の多くが
「無理だろう」と批判し、それを
信じる有権者は少ない。科学的根
拠のない展望は自らの存在感を薄
めるだけだ。首相は、飲食店への
時短要請ばかりを強調、十分な補
償をせず「弱い者いじめ」のよう
な宣言で効果ある行動規制も抑制
しまい、感染拡大の勢いが止まる
気配はない。


それにしても、首相の「言葉知ら
ず」は度を超している。年頭の記
者会見では、延々と「国難」をア
ピールした最後に、何と「以上を
もちまして、私の挨拶に代えさせ
ていただきます」と結んだのであ
る。記者会見を身内の結婚式や講
演会と勘違いしている物言いで、
記者らはさぞ驚いただろうが、そ
の後の質問で一言も突っ込まず、
予定調和の質疑に終始した。前代
未聞の会見になったのに、飼い馴
らされている「ご用記者集団」に
は国民の知る権利の行使を託され
ている自覚もうかがえない。



本来はコロナ対応の特別措置法の
審議のため、年末年始に国会を開
くべきだったのに、それをさせな
なったのは、菅首相がこれ以上答
弁能力の欠如ぶりをさらしたくな
かったからという見方が強い。し
かし、18日からの通常国会では、
いつまで逃げ回るわけにはいかな
い。すぐに緊急事態宣言の当初期
限の2月7日が迫る。仮に感染拡
大が収まっていなかったら、改め
て政府の失態が問われ、「一カ月
で抑える」と大見得きった首相は
どう釈明するのだろうか。その場
合は、一挙に政治責任を問う声が
高まり、自民党内で「菅降ろし」
が表面化するだろう。


今は死者の急増ぶりが不安を募ら
せる。特に大阪は12日までの累計
が690人になり、人口が約1・
6倍の東京の691人に迫る。吉
村洋文大阪府知事は当初評価され
たが、独善的な「大阪都構想」の
住民投票に打って出て、秋以降ほ
とんど有効な対策を打ってこなか
った。そのツケが一挙に押し寄せ
た印象だ。GoToキャンペーン
に同調し、コロナ患者受け入れ病
床も十分増やさなかったせいで、
12月の死者は前月の3倍を上回る
259人にまで急増させてしまっ
た。これは東京の2倍近くで、全
国で最も深刻な状況に陥った地域
になってしまった。


危機を回避するには、一人一人が
身の振る舞いを律して、政治がも
たらす罪悪を見抜く力を強めてい
かなければならない。ドイツの哲
学者、ハンナ・アーレントの言葉
を今一度かみしめたい。


「『思考の嵐』がもたらすものは
、知識ではありません。善悪を区
別する能力であり、美醜を見分け
る力です。危機的状況にあっても
、考え抜くことで破滅にいたらぬ
ように」


   【2021・1・13】


週明けにも安倍晋三前首相の政治
資金規正法違反事件について東京
地検特捜部が不起訴を決定すると
いう。全国の弁護士ら600人も
の告発を受強制捜査もしない大甘
の「忖度捜査」に対し、検察審査
会への不服申し立てが出されるの
は必至だ。安倍政権以来、検察は
次々妥協を重ね、最後は検事総長
人事まで手を突っ込まれてきた。
「政権の腐敗を摘出する」という
本分を忘れた結末である。不起訴
処分を受けて、安倍前首相は証人
喚問にも応じず、幕引きと復権を
目論む。三権分立のバランスを壊
したのは政権だけでなく検察自体
である、と強くその罪を指弾した
い。


今回の捜査で、検察は前夜祭の資
金の流ればかりに焦点をあて、翌
日の「桜を見る会」の出席者に公
金が違法に支出されていた経緯に
ついて調べた気配がない。前夜祭
に招かれた「安倍晋三後援会」の
約800人は貸し切りのバスでホ
テルから新宿御苑に移動、会の始
まる以前に入園し、首相と一緒の
写真まで取った。この後、公費に
よる飲食接待と土産物までもらっ
ていた。誰が見ても、買収・供応
目的だったことが分かる。それが
ばれるのが不都合だから、内閣府
は招待者名簿を廃棄し、虚偽の説
明をしたのである。


検察が内閣府を捜索し原本を押収
、招待者の事情聴取を重ねていた
ら、容易に立件できたはずだ。こ
んな分かりやすい事件の構図にも
及び腰になったのは検察幹部の保
身に原因がある。森友事件での約
8億円の値引き、加計学園へは首
相の親友への違法な税金投入など
いずれもやる気さえあれば、立件
は難しくなかった。


1992年の金丸進元自民党幹事
長による政治資金規正法事件での
検察の大失態がよみがえる。東京
佐川急便からの5億円の政治献金
不記載を略式起訴に終わらせ、検
察批判がわきあがった。検察庁に
ペンキまでまかれるほど世論が猛
反発した。今回も同じ政治資金規
正法事件であり、当事者は国会を
あざむき続けた国のトップである
。金丸氏と同じように安倍前首相
が議員辞職に追い込まれても何ら
違和感はない。


安倍政権発足以来、「国家の私物
化」への検察の及び腰が「安倍専
制」を許してきたのである。安倍
前首相は不起訴の見通しになった
のに気をよくしてか先週末、地盤
である山口に出向いた。支持者へ
の講演会では「憲法改正をなしと
げたい」と復権をアピールした。
国会閉会後、初の集まりだったの
に、国会で33回の嘘をつき続けた
謝罪も釈明もしなかった。検察の
不起訴が復権に道を開こうとして
いる。


野党が証人喚問を求めているが、
自民党は非公開の議員運営委員会
での釈明を主張している。議運委
は一問一答形式の質疑がなく一方
的な説明だけで終わってしまう。
これを許したら、また嘘や言い逃
れを重ねる可能性が高く、批判は
前首相だけでなく与党全体に向か
うだろう。菅首相も一緒になって
虚偽答弁を繰り返してきたのは明
白だ。野党の責任は重大だ。年内
の幕引きを許さないためにも、1
月の通常国会で証人喚問を取り入
れた集中審議を要求し続けるべき
だろう。


野党は安易に妥協しないことだ。
一国の首相が国権の最高機関であ
る国会で嘘を33回もつき続けたと
いう前代未聞の異常事態をただす
には、安倍前首相の議員辞職が不
可欠である。国のトップの恥ずべ
き行為は国会議員選挙に票を投じ
た有権者全体への侮蔑行為にほか
ならない。与党議員も前首相をか
ばうかどうか有権者に見られてい
ることを自覚すべきだろう。来年
の選挙で候補者選択の目安になる
のは間違いない。


内閣支持率の急落で30%台への転
落も目に見えてきた年の瀬である
。安倍前首相と一心同体だった「
ガースー首相」ももう他人事です
まないはずだ。


    【2020・12・20】

(今回で今年のブログを終了しま
す。ご愛読改めて感謝申し上げま
す。年明けは1月13日から掲載し
ます)


うけを狙って自らを「ガースーで
す」と紹介した菅義偉首相の浅薄
さが一層際立った。新型コロナウ
ィルス感染拡大の第三波を招いた
「GoToトラベルキャンペーン」
の停止を表明したのは、内閣支持
率の支持率が急落し不支持が上回
った焦りからだ。数日前、ネット
の生放送で一時停止を否定、「感
染との関連性は低いという提言を
いただいた」と強弁していたでは
ないか。医療現場の窮状を見ない
「コロナ無策」によって、全国の
死者も急増しているのに、キャン
ペーンを続けた罪は計り知れなく
大きい。


誰かの入れ知恵ではなく、「ガー
スー」は首相自らの思い付きだっ
たという官邸情報が流れている。
安倍前首相が側近の経産官僚から
「アベノマスク」「星野源コラボ
」をささやかれ、後に世論の猛反
発をうけた失態と同じ批判を受け
たくないという菅側近官僚の「発
案は自分たちではない」という思
いからのリークだろう。


その通り首相自身だとすれば、リ
ーダーとしてあまりにも緊張感に
欠ける振る舞いで、資質を強く疑
わせる。自分の言いたいことだけ
を伝えてくれるネット放送の画像
をみると、この時は歯をむき出し
て高笑いしている。十分な医療支
援がうけられず、旭川や大阪に自
衛隊員が応援出動しなければなら
なくなった医療現場の職員らはき
っと腹立たしく思ったのではない
か。


これまでにも「雪深い秋田から上
京」「ホットケーキ好き」などと
庶民派リーダーを気取って見せた
が、今回の「ガースー」発言も同
じ延長線にある言葉だろう。ネッ
ト上のあだ名を自ら言えば、好印
象を持たれるのではないかという
自己満足からとしか思えない。記
者会見も打ち切り、ネットに「逃
避」する首相に説明会見を迫らな
い内閣記者会もまた軽く扱われた
ものだ。


新聞の政治欄に1日の首相の動き
を伝える短信を毎朝チェックして
いるが、首相が朝夕食をとる場所
と相手によく疑念を覚える。「ホ
テルオークラ」「ニューオオタニ
」のほか「キャピタル東急」のレ
ストラン「ORIGAMI」など
にほとんど毎日足を運ぶ。賓客の
もてなしなら仕方ない面があるが
、その半数以上が秘書官や側近議
員らである。身内相手に朝から高
級店で食事をとる必要性があると
は思えない。1日に3回も「OR
IGAMI」に出向いたこともあ
る。費用がまさか血税から支払わ
れてないかと聞きたくなる。高級
店好みだった前首相をまねたよう
な分別ない振る舞いを、コロナで
困窮する多くの有権者がどう思う
か想像力も働かないとしか思えな
い。


首相の虚勢はコロナだけでない。
来年度からの高齢者年金が「Go

To」の大幅割引によって物価指

数を大幅引き下げによって、年金
のマイナス改定につながるという
。年金額を調整する「賃金・物価
スライド」制をとっている現行ル
ールが適用されるためだ。後期高
齢者の医療費負担が1割から2割
になることを合わせ、高齢者の活
を追い詰める政策だけがどんどん
実現している。


政府がコロナ感染拡大を防ぐため
と呼びかけた「勝負の3週間」が
過ぎた。この間死者は1カ月で2
倍に増え、新規感染者数は連日過
去最大に増え続け、政府の「負け
」は明白になった。今から「Go

To」を停止しても、効果が出る

のは1月半ば以降と見られ、これ
までの「無策」のツケは余りにも
大きい。PCR検査が今なお広が
らない。検査を断られ症状が急変
し死亡した50代男性の報告例もあ
る。首相の強調する「自助」政策
が新たな犠牲者を出し続けている

       【2020・12・15】


同じ金権体質があるから札付きの
農水族議員を起用したのではない
か。大臣室で吉川貴盛農相と一緒
に鶏卵大手元代表から数百万円を
受け取っていた内閣官房参与の西
川公也元農水相はこれまで何度も
贈収賄疑惑に関与していたのに菅
義偉首相がわざわざ再任させたさ
せた人物である。1年前、東京地
検特捜部から政治資金規正法違反
事件などの容疑で相次いで摘発さ
れた河井克行法相や菅原一秀経産
相らも菅首相の側近だった。こん
な「札付き議員」らを登用できる
のは自らも倫理観が欠如している
表れである。


西川元農相は、利権を買い漁る「
族議員」の典型である。1970
年代、ダム工事業者から賄賂を受
け取ったとされ栃木県警から逮捕
されたのが発端である。以後「疑
惑の経歴」が消えたことがなく、
永田町では「札付き」の利権政治
家として広く知られていた。


2012年には自分の政党支部が
木材加工会社から300万円の違
法献金を受け取り、国会でこの会
社が有利になるような答弁をして
利益誘導をしていた。それでも安
倍晋三首相は第三次安倍内閣で農
水相に抜擢した。


しかし、化けの皮はすぐはがれる
。TPP交渉に日本が初参加する
直前の2013年、西川農水相は
砂糖メーカーの業界団体「日本精
糖工業会」の運営団体から100
万円の違法献金を受けたのが発覚
、2015年2月、農水相辞任に
追い込まれた。汚れた履歴はさら
に続きがあった。


実は今回の鶏卵汚職に結びつく素
地は2015年ごろから作られて
いたのである。農水相を辞任した
半年後、同じTPP交渉にからみ
、日本養卵協会会長から現金を受
け取っていたのだ。


今回の鶏卵汚職で吉川農水相や西
川元農水相らに大臣室でそれぞれ
現金を渡した鶏卵生産大手「アキ
タフーズ」は今年7月、アキタか
ら豪華クルーザーで農水官僚らと
一緒に高級料理の飲食接待を受け
ていたと報じられた。この事件が
一大臣にとどまらず、農水省幹部
多数が関与した大がかりな汚職事
件に発展するのは必至だ。特捜部
は同じように大臣室で業者から現
金をうけとっていた甘利明経済相
を立件せず、見逃し続けた。いわ
ば「安倍一強政治」に検察が手を
貸した見方もできる。そんな汚名
を返上するためにも徹底捜査が必
要である。


菅首相が早々と臨時国会を閉会に
したのは。「コロナ無策」を糾弾
されるだけでなくこの「鶏卵汚職
」の政治責任をかわす狙いもあっ
たとみられる。案の定、内閣支持
率は共同通信の調査で一挙に12・
7ポイントも急落した。コロナで
はどんなに感染が拡大しても「G
oToトラベルキャンペーン」を
止めない。死者や重症者は1カ月
前の3倍にもなって、これまで政
府寄りだった尾身茂コロナ対策分
科会会長も「いったんキャンペー
ンを中止すべき」と言い始めた。


それでも意固地になって続けるの
は二階俊博自民党幹事長と共に、
観光・旅行業界への利益誘導で選
挙の支持基盤を固めるためだ。「
人の命や安全」など二の次にする
酷薄な首相の性情がさらに際立っ
てきた。来年1月中旬まで通常国
会を開かず、メディアや野党の追
及から逃げ回る姑息な政権。何と
しても「どんづまり政権」による
犠牲は少なくしたい思いが募る師
走である。


             【2020・12・10】


「次の予定がありますので……」
。女性初の内閣広報官が昨夜、自
分に仕切る権限があるかのように
菅義偉首相の記者会見を打ち切っ
た。それに抗議もせずに従う内閣
記者会の記者ら。まるで古い中国
王朝の去勢された宦官のように映
り、改めてメディアが骨抜きにさ
れた惨状を見せつけられた。首相
会見はそもそも内閣記者会の主催
のはずだ。内閣広報官に仕切りを
許していること自体が「権力の監
視」という責務を放棄した表れで
はないか。


官邸の山田真貴子内閣広報官は他
にも今秋の着任以来、思い上がっ
た振る舞いを連発している。まる
で自分の立場をまったく理解して
いないと思わせたのが、NHKの
「ニュースウォッチ9」に菅首相
が生出演した10月26日だった。こ
の番組で日本学術会議任命拒否に
ついてキャスターは、菅首相が質
問に十分答えないため何度も問い
ただした。これに腹を立てたのか
菅首相は不愉快そうにスタジオを
後にしたという。驚かされたのは
翌日、山田広報官がNHKの原聖
樹政治部長にかけた電話の中身だ
った。


「総理、怒っていますよ」「あん
なに突っ込むなんて、事前の打ち
合わせと違う。どうかと思います


首相の権威をたてに叱りつけたつ
もりだろうが、このやり取りは週
刊現代などに大きく報じられてし
まった。権力による表現の自由へ
の介入の実例である。今年も日本
は世界の報道の自由度ランキング
が66位になっていることを納得さ
せる。


4日の会見で、安倍晋三前首相が
透明版に原稿を映しだす「プロン
プター」ばかりを読んで批判され
ていたのを気にしてか菅首相は使
わなかった。しかし、冒頭約20分
は手元の原稿を棒読みしながら、
これまでのコロナ対策などを繰り
返すだけだった。過去最大の感染
拡大を招いた反省もなければ、新
たな防止対策も打ち出せず、まる
で発信力にかける演説に終始した


質疑応答に移って幹事社からの質
問にも、手元の原稿に目を落とし
ながら答えていた。、予め質問要
旨を聞き、答えを用意していたの
が丸わかりだった。記者会見を名
乗るなら、丁々発止のやり取りが
あるはずなのに、それはなく「予
定調和の出来レース」の演出だっ
たことをさらけ出した。


山田広報官は「一人一問でお願い
します」と冒頭から注文を付けた
が、これもいつから始まったのか
悪しき慣行だ。山田広報官はずっ
と郵政省、総務省を渡り歩いてき
たせいか、メディアを支配下に見
る思い上がった物言いが目立つ。
言い放し、答え放しでは双方に理
解が深まるはずはなく、先進国で
はどこも記者の追加質問は当たり
前である。歴代首相の中でも答弁
能力の欠如が際立つ菅首相。それ
を守りたい浅知恵としか言いよう
がない。


「時間切れ」という言い訳も不可
解だ。首相が会見後に出席した経
済財政諮問会議は以前午前か午後
早く開催されていた。会見を途中
で打ち切るために会見後に設定し
ていたとしか思えない。こんな姑
息な設定をしなければならないの
は、失政とスキャンダルが止まら
ないからだ。農水相が大臣室で巨
額の札束を受け取っていた「鶏」
事件まで発覚した。


安倍政権から有権者に説明責任を
果たさない政権が長く続いたこと
はない。臨時国会だけでも、菅首
相は「答弁を控える」「答える立
場にない」「答えるべきじゃない
」などと111回も繰り返したと
今朝の朝日新聞が伝えている。首
相が出席する予算委員会は衆参両
院でわずか5日間。野党の会期延
長要求は当然だ。逃げ回る首相は
恥ずかしくないのか。


           【2020・12・5】

ようやく河井案里参院議員の失職
が確定する見通しになった。この
選挙では自民党本部から配布され
た1億5千万円が買収資金の原資
になっていたことが判明している
が、誰が巨額の配布を指示したの
かまだ不明だ。資金を管理してい
た夫の克行被告は口を閉ざしたま
まだが、東京地検特捜部が公選法
違反容疑で調べている安倍晋三前
首相の「桜を見る会」前夜祭の会
計を任されていた秘書が広島で地
元市議らに接触、買収資金の流れ
に関わっていた疑いが浮上してい
る。二つの事件がつながる可能性
が高まった。「モリカケ」の「忖
度捜査」で地に落ちた特捜部の威
信回復には、両事件の全容解明と
立件しかない。


広島の事件を調べている週刊朝日
は先週号で、河井夫妻との関わり
を調べられて広島市議の興味深い
証言を報じた。


「『桜を見る会』で問題になって
いる安倍氏の秘書。案里被告の参
院選でも広島に来ていた。泊りも
しないのに、大きなカバンを持っ
ていたのが印象的だった。河井夫
妻と『桜を見る会』はいずれつな
がるのではないか」(11月25日号


だんまりを決め込む克行被告にも
実刑判決が下されるという見方が
強まっており、破れかぶれになっ
た克行被告が真相をぶちまければ
安倍前首相の政治生命が絶たれて
もおかしくない。なぜなら巨額の
選挙資金は安倍前首相の指示がな
ければ支出されるはずがないから
である。


二人を結ぶキーマンの秘書は「桜
」前夜祭の会計の実務責任者であ
り、特捜部の調べでホテルから発
行された領収書を破棄していた。
安倍前首相の了解なくしてそんな
犯罪行為に手をそめるなど考えら
れない。特捜部が証拠隠滅の疑い
で逮捕してもおかしくない不正な
行為である。まだ強制捜査に入っ
ていないのは、手加減で不起訴に
するかさらなる捜査のためか。仮
に不起訴処分にしても、告発した
弁護士や学者ら600人は検察審
査会に不服を申し立てるのは必至
だ。これ以上検察不信を高めない
ためにも捜査を尽くす必要がある


黒川優前東京高検検事長を重用し
てきた安倍政権。その狙いは「モ
リ・カケ・サクラ」の刑事事件阻
止にあったことが明白になった。
長く不当人事をされ続けた林真琴
検察総長は今こそ意地を示すとき
だろう。


かつて自分の毎日新聞社会部の同
僚で、朝日新聞の司法記者に転身
した村山治氏が今週号の週刊文春
に書いた深層レポートも読み応え
ある。「黒川優遇人事」のせいで
、名古屋高検検事長に転出させら
れるなど一時は検事総長の道を絶
たれていた林氏が政権中枢への不
信を漏らしていた言葉を紹介して
いる。


「官邸による人事介入だ。検察人
事のメカニズムをよく知っている
やつが数年かけて(検事総長人事
への介入を仕掛けてきていたら、
抵抗のしようがない」


一連の人事は上川陽子法相が表面
に立って動かしていた。菅義偉内
閣での再任も「検察封じ」の思惑
があるのは確かだ。全検察が巨悪
に立ち向かう「日本最強の捜査機
関」という昔日の栄光を取り戻し
たいなら、「不正をただす」責務
への覚醒しかない。


   【2020・11・30】

息を吐くように嘘をつく。そんな
言葉がふさわしい米国のトランプ
大統領が退場するかと思ったら、
今度は似たようなフェイク発言を
吐いていた盟友の安倍晋三前首相
がまた性懲りもなく、虚言を繰り
返している。自身が「桜を見る会
」前夜祭の費用負担していたこと
が分かったのに、「もう国会で答
弁させてもらっている」と言って
記者から逃げ回る。東京地検特捜
部は強制捜索もせず任意で事情聴
取するなど、辻褄合わせの捜査を
するから、まるで本気度が見えな
い。「やっている感」にしか映ら
ない。読売、NHKの「御用メデ
ィア」ばかりへのリークも早々の
幕引きを誘導するためか。


安倍前首相は国会の審議で何度も
前夜祭の費用負担について「後援
会としての収入、支出は一切ない
。政治資金収支報告への記載の必
要はない」と強弁を繰り返してい
た。今回少なくとも約800万円
もの補てんが明らかになったのだ
から、それについての説明が求め
られている。それを知らぬかのよ
うに「もう国会で答弁させてもら
っている」と言うのは居直りにほ
かならない。首相が半年に以上に
わたって、国権の最高機関で嘘を
述べ続けていたことになる。議会
制民主主義の根幹が揺らぐ由々し
い事態なのだ。与野党問わず、経
緯をただすのが責務ではないのか
。これを見過ごすのは、もう国会
議員の存在理由がなくなる。


特捜部が読売にリークした意味を
深読みしなければならない。そも
そも読売、NHKの論調は安倍政
権べったりで、他紙より「桜疑惑
」もずっと抑制気味だった。それ
なのに任意の事情聴取が終わった
後、唐突に特報した。安倍前首相
への聴取の可能性もあるというが
、それはあくまでも不起訴での決
着に道をつけるだけのことだろう


安易な幕引きを許してはならない
が、悪性が高いのは前夜祭以上に
「桜を見る会」当日の公費接待だ
ろう。安倍後援会会員だけでなく
、菅義偉首相と知り合いの反社会
的団体関係者やマルチ商法の社長
らが参加していた。菅首相はその
名簿は破棄した説明していたが、
必ず原本は残しているはずだ。数
億円にのぼる公費接待という公選
法違反事件の全容に迫る気概があ
るなら特捜部はこちらに強制捜索
に入るべきではないのか。安倍後
援会の秘書だけの刑事責任を問う
だけになったら、「もう検察など
いらぬ」という有権者の声がわき
起こるはずだ。そうなれば、検察
が自らの首を絞めることにつなが
ると自覚すべきである。


安倍前政権が残した悪弊について
は、昨日驚くべき国会軽視ぶりが
判明した。森友学園への国有地売
却についての財務省の公文書改ざ
んで、安倍前政権による国会答弁
のうち、事実と違う答弁が139
回あったことが衆院調査局の調査
で判明したのである。トランプ大
統領を笑えない出鱈目ぶりだ。安
倍前首相や佐川宣寿元理財局長ら
は「記録は廃棄している」「額を
示したことはない」などと野党議
員を嘘の答弁でごまかしていた。


慢心と増長。この驕りは現政権に
続く。「GoToトラベル」をめぐ
る混乱について、菅首相は「延べ
4000万人の利用者のうち感染
者は百八十人にすぎない」と自分
の都合の良い数字だけを引用、中
止しようとしない。含羞の欠片も
ない「反知性」的な無策を転換さ
せない限り、感染拡大は広がるば
かりだろう。


       【2020・11・25】

記者の質問に答えず、急いで背中
を見せ立ち去る菅義偉首相。その
姿から腹の中が垣間見えるようだ
。「『GoToトラベル』の見直し
はしないですか」と聞かれただけ
なのに、逃げ回る姑息な振る舞い
はコロナの感染拡大への無策を問
いただされたくない思いからだろ
う。臨時国会の審議でも、「お答
えを控える」を連発、寄り添う秘
書官のメモを棒読みするばかりで
、首相の答弁能力がずっと疑問視
されている。中身がないからしゃ
べれないのである。首相としての資
質の無さが一段と明白になり、政
府に有効なコロナ感染防止対策は
期待できない思いが日増しに募る


感染者数が8都道府県で過去最大
にのぼり、重症者も第二波を超え
た。専門家の多くが「GoToトラ
ベル」中止を求めるのに、首相が
耳を傾けないのは、二階俊博幹事
長と一緒に旅行業界に利益誘導す
るため旗振りした政策であるから
だ。「命より利権優先」の政権体
質は隠しようがない。鈴木直道北
海道知事、小池百合子都知事、吉
村洋文大阪府知事らも中止を求め
ないのは、菅首相の意向に沿うこ
とが自らの立場を強めるからだ。


感染者を把握するためのPCR検
査数も増えない。田村憲久厚労相
が飛躍的に伸ばすと言った約束も
まったく守られていない。すべて
が春の第一波に逆戻りした印象だ
が、政府全体が「無策」に知らぬ
顔をして居直っている分、より過
酷な状況に陥る不安が高まる。25
日の衆参両院の集中審議では、日
本学術会議の任命拒否と併せて、
野党に厳しく政策転換を求めても
らいたい。


新聞の首相動静欄から、菅首相が
何を思考しているかがうかがわれ
る。ほぼ連日、ザ・キャピタルホ
テル東急のレストラン「ORIG
AMI」で秘書官らと食事。昼は
自民党の族議員の集まりにせっせ
と顔を出し、地方議員らと話し込
む。19日は朝食を金丸恭文・フィ
ーチャー会長ととった。金丸氏は
竹中平蔵パソナ会長とつながる経
営者で規制改革ばかりを売り物に
する。その後、政権への擦り寄り
で知られ田原総一朗と懇談するな
ど迫りくるコロナ危機へ備える危
機感はまったく感じられない。夜
は自民議員と同じレストランで食
事。この日は「ORIGAMI」
で3回も過ごした。あきれるばか
りの危機感のなさである。「大事
なのは身内と配下の官僚」という
腹の中が見えるようだ。そこに、
この国をどうするのかという政治
理念や志の欠片も感じさせない。


こんな政権に愛想をつかしたのか
、20歳代の国家公務員総合職87人
が自己都合退職をしたことが明ら
かになった。この数は6年前の4
倍にのぼるという。内閣人事局の
人事で政権に忖度したりすり寄る
「ヒラメ官僚」だけが出世する姿
を見せつけられた若手官僚の間で
、失望感が広がっている証しでも
ある。安倍政権から続いた菅政権
の「政策そっちのけ」体質に展望
が見いだせなかったのだろう。河
野太郎行革相は「霞ケ関の長時間
労働が若手の離職の一因になって
いる」と浅薄な分析をしたが、ま
ったくの的外れだ。有為な人材流
出は「保身と利権優先」ばかりが
横行する霞が関という「沈みゆく
船」からの脱出と見るべきではな
いのか。


    【2020・11・20】