助産師の佐藤亜紀です。
とあるトレーニングを重ねてきた産後のお母さんが、その世界では有名な世界に数人しかいない偉い方に「トレーニングが足りないから帝王切開になったのよと言われました」とぽつり。
「あの時もっと頑張っていたら....」と。
お産の現場に20年以上携わってきた私から言わせてもらうと、そんなにお産は甘くない。
2つの命をかけているのよ。
どんなに頑張ったって、思い通りに...理想通りに...進むとは限らないのよ。
順調に進んでたかと思いきや突然、胎児の心音が下がることだってあるし、母体にアクシデントが起こることだってあります。
分娩中に何もトラブルがなかったのに赤ちゃんが産声を上げるのに時間がかかり、「!!!???」と焦った経験もあります。
産後数時間して大量出血から意識をなくしたお母さんもいました。病棟スタッフ大慌て。
そんなこんなで、私は自分が臨床にいてお産に感動したことは一度もありません。
3月に終わったドラマで助産師役をしていた女優の奈緒さんが「お産って感動しますね」的なセリフを言ってたけど、、、私にはないなぁと。
母体と胎児の2つの命をかけて出産に望んだ産後のお母さんにかける言葉としては失礼すぎます。
どんだけ偉いかしらんけど、好きになれない。
妊娠も出産も育児も思い通りに進まないことはいくらでもあります。
頑張ってきた分のお返しが返ってきたら感謝。
報われないことがあっても自分を責めないでほしいです。
頑張ったからこれくらいで済んだ...くらいに気持ちを切り替えてほしいです。
命があって良かった、幸せって。