助産師の佐藤亜紀です。
先日お越しになった母子の話。
ずりばいが変形しているのでアドバイスが欲しいという主訴でした。
おもちゃを使って何ができていて、何ができていないのか、何をやり残しているのかなどなどチェックしようとおもちゃを子どもの前に出すとそのおもちゃを全部ママが私の手から奪い取ろうとします。
全くチェックになりません。
うちの子にそんな意地の悪いことをしないでほしい...と思っているのかどうかは分かりませんが、どうもこのママの行動は子どもの手の中におもちゃを手渡してあげたいように見受けられます。
反射的にと表現できるくらい私の手からおもちゃを奪おうとします....。
「運動発達のチェックをしているので、お願いだから私からおもちゃを奪い取らないでもらえますか?」
とお願いしても、手が出ちゃう...。
きっと親としての優しさでおもちゃを全部手渡してきたのでしょうね。
それが、変形ずりばいの原因です。
そうお伝えすることはしませんでしたが....察してくれたでしょうか?
運動発達の抜けがいくつもありました。
物や親を見たいから顔を動かして追視が始まります。
あのおもちゃを手に入れたいと奮闘するから寝返りが始まります。
このように赤ちゃんの知的好奇心がくすぐられると運動発達が進みます。
それらの運動発達の積み重ねで、いずれずりばいに進んでいくのですが、積み重ね方が足りなかったり抜け落ちてたりすると変形で動き出します。
このママの行動から推測するに、赤ちゃんは一生懸命におもちゃに手を伸ばしたり、おもちゃを取るためにジタバタしたりする経験が極端に少なかったのだと思います。
そうした試行錯誤から得られることってたくさんあるんですけどねぇ。
赤ちゃんにとって何が優しさなのでしょうね。
いま一度、皆さまもお考えくださいませ。