乗馬をするようになってから、以前は大して気にもしなかった乗馬シーンに
目がいくようになりました

2年前の大河ドラマ「天地人」のオープニングに、
直江兼続の愛の前立ての兜を被った武者が
馬に乗っているシーンがありましたが、あれは素晴らしかったです

主演は妻夫木聡でしたけど、彼の乗馬シーンはいまいちでしたので、
あのオープニングの乗馬シーンは完全無欠の吹き替えだったわけですが、
一体どこの誰だったのか今でも気になっています
(「吹き替え」っていうのは「声」じゃなくて、「乗馬シーン」の事ですよ。
乗馬クラブのスタッフとかが危険な乗馬シーンなどを
吹き替えるんです)
最初に気になるのは拳の位置です

私は乗馬を習う時、
「拳はへその下で固定して、上下
に揺れないように!」


と教わりました
手綱をにぎる拳が上下に揺れると、
馬の口の中にあるハミまでガタガタ上下に揺れるので
馬にとっては非常に気分が良くないものなんです

ガタガタしても気にしない馬もいますけど、
気にする馬は首を縦にブルブル振りますね。
ドラマの中で馬を勢いよくスタートさせる時に
「タアッ!」
と声を掛けて、手綱ごと拳が上がってる事があります





演出する上ではカッコよく見えても、
馬は迷惑に思ってる感じがします

乗馬経験があまりない俳優さんであれば、
やっちゃいけないけども、体のバランスが悪くて、
手綱を引っ張り上げて体のバランスをとっているんでしょうね~

私も始めた頃、バランスが悪くてよく拳が上がってました





乗馬の種類にブリティッシュとウェスタンがありますが、
主にブリティッシュで習っている人がやりがちですね

見た目、ブリティッシュは手綱を張った状態で操作しますので、
ついつい体のバランスを拳で補おうとするからです

私はそれを直すために、わざと手綱をゆるゆるにして、
バランスをとる練習をよくしました
ウェスタンで乗ってる人は最初から手綱がたるんだ状態で操作しますから、
手綱に頼る事もないですけどね
カメラワーク
を見ていると、俳優さんの上手下手がよく分かります


馬に乗っているシーンで、
馬の顔
と一緒に映っているシーンがない人はあまり上手ではありません

というか、これはあまりにも練習をしていないんじゃないか、という気がします

馬が常歩(なみあし)しているだけなのに馬と一緒に映らない人は
ちょっとまずいんじゃないかな~と思ってしまいます
(多分、下手すぎて映せないんでしょうね~
「天地人」では当初妻夫木聡が馬に乗っているシーンは
馬と別々に撮っているカットが多かった気がします
)

馬が走っているシーンで、馬に乗り、馬の全身が映っている場合で、
顔も判別できる程度に映っている場合は、
かなりの乗れる人だと思います





顔が分からない場合は乗馬クラブのスタッフとかが吹き替えています

「イ・サン」の主演のイ・ソジンは、清に旅立ったソンヨンを追って馬に乗っているシーンで
かなりのロングバージョンで駈歩(かけあし)をしていました
あのシーンは馬の全身とイ・ソジンの顔と全身が映っていて
すごいな~と思ったものです
「イ・サン」といえば、正祖が綿を作っている村の視察をするシーンがありましたが、
あの村の村長の役の人がかなり乗馬が上手でした
とぼけた顔をしたおじさんでしたが、「トンイ」の時もヨニングンの嫁探しの時に
名門の両班の役で出ていましたっけ
村の視察のシーンでは、5,6人の村の役人が馬に乗って正祖の行列に近づいてきていましたが、
あの時のコースは上りと下りの勾配がでこぼこしていて


、




駈歩だと難易度が高いんじゃないかと思いました

あのとぼけたおじさんはもしかしたらドラマの乗馬シーンを吹き替えているスタッフか、
乗馬クラブのオーナーさんなのかな~と思いました
駈歩で上りの勾配を乗っているのは初心者でも難しくないですが、
下りはよほど上手くないと難しいですからね~

ましてや上りと下りが交互にあるでこぼこを乗ってくるというのは、
相当乗れないと難しいですから~
あと、またがるシーンがまるまる映っている人はかなり乗れる人が多いんですよ。
(乗馬をやっていると嫌でも体が柔らかくなりますから、
乗馬クラブのスタッフさんなんかは背が低くても自力でまたがります

初心者の人でも背が高くて、体が柔らかければすんなり乗ってしまう事もありますけどもね
ただ初心者が馬に近づいて触ったりするのはなかなか難しいので、
馬の扱いに慣れていて、馬にまたがれるというのは相当上手な人だという気がします
)

西部劇の俳優さんやよほど乗馬が上手い人や乗馬クラブのスタッフならともかく、
馬にまたがるシーンというのは画面に出てこないですからね~

私も正直、背が低い事もあり、馬にまたがる時は台が必要です

私が所属しているクラブに背の小さいスタッフがいますが、
その人が馬にまたがる時はキックボクサーのように足が真上に上がります

背が高い人ならもう少し楽にまたがれるかも知れないけど、
そうでない人や自分で乗れたとしてもちょっとカッコ悪い画面になっていると
馬にまたがるシーンはカットされていると思います

乗れる役者さんでも馬にまたがるシーンは割愛されて、
馬上にいるところから映っている事が多いですよね
視聴者は俳優が馬に乗っているところを見れば満足しますからね
馬にまたがるシーンがバッチリ映っているのは渡辺謙ぐらいかな~
(大河ドラマ「炎立つ」に自身の愛馬に乗るところが映っています)
真田広之は大河ドラマ「太平記」で日本の古馬術を相当練習したらしい話を
乗馬の雑誌のインタビューで語っていましたので、
相当上手いと思いますが、残念ながら私は総集編しか持ってないので
いまだ確認できていません
(1991年の作品なので、電線とかが映らないように撮影しているみたいなんですよね

画面がせせこましいし、ダイナミックじゃない

もう少し後になるとCGで画面を加工するようになるので、
画面がダイナミックになるんですが)
そういや韓流時代劇で使っている馬具はどう見ても、ブリティッシュの馬具に見えますね

韓国にもきっと古馬術があると思うんですが、どうなっているんでしょうね?

凝りに凝った演出をするイ・ビョンフン監督のドラマですら、馬具はブリティッシュなものですから、
そこはちょっと気になるところですけどね~
大河ドラマの馬術指導は前は日馬ライディングクラブの日馬伸さんでしたが、
最近はラングラーランチの田中光法さんが多いですね