『人間の境界』ドキュメンタリーのようなリアルを感じる。 | himawari's diary

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鑑賞日 2024年5月8日(水)
 
 
製作年 2023年
 
製作国 ポーランド・フランス・チェコ・ベルギー
 
言語 アラビア語・英語・フランス語など 日本語字幕・英語字幕
 
尺 152分 
 
公開日 2024年5月3日(金・祝)
 
原題 Green Border
 
レイティング G
 
配給 トランスフォーマー
 
 
スタッフ
 
監督 アグニエシュカ・ホランド
 
脚本 マチェイ・ピスク、ガブリエラ・ワザルキェビチ=シェチコ、アグニエシュカ・ホランド
 
 
主なキャスト
 
マヤ・オスタシェフスカ:ユリア
 
ベヒ・ジャナティ・アタイ:レイラ
 
モハマド・アル・ラシ:シリア人家族の祖父
 
ダリア・ナウス:アミーナ
 
トマシュ・ヴウォソク:ヤン(ポーランド国境警備隊)
 
 
概要
 

「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることが できる」という情報を信じて祖国を脱出した、幼い子どもを連れたシリア人家族。 しかし、亡命を求め国境の森までたどり着いた彼らを待ち受けていたのは、武装した国境警備隊だった...。

(引用元:公式サイト)
 
 
感想
 
隠蔽されそうになった、
 
国境で起こった真実を映像化した作品。
 
シリア人難民家族、国境警備隊、活動家など、
 
パートごとにそれぞれの目線から
 
描くというスタイルです。
 
それぞれが抱える辛さ、ジレンマなどが
 
伝わってきます。
 
 
各方面からの攻撃が考えられるため、
 
24日間という短い日程で撮影されたそう。
 
命懸けで製作された作品ですね。
 
いろんな妨害を乗り越えて
 
上映にこぎつけられたこと、
 
本当によかったです。
 
 
「人間兵器」という策略により、難民は
 
嘘の情報に翻弄され、ベラルーシとポーランドの
 
国境でプッシュバックされてしまい、
 
ひたすら非情な扱いを受けることに......。
 
(「人間兵器」は、EUを混乱させるために、
 
多くの難民をポーランド国境へと移送する、
 
ベラルーシ政府の策略とのこと)
 
 
実際に難民経験や支援活動の経験が
 
ある人も出演している本作は、
 
まるでドキュメンタリー作品のよう。
 
「死」を感じる国境付近の様子には
 
胸が痛み、とても辛くなりました。
 
 
無事隠れ家的なところに迎え入れられ、
 
清潔な部屋に歓喜し、得意なラップを歌ったりして
 
平和な時を過ごす少年たちの姿もありましたが、
 
その後どうなったのか、気になりました。
 
 
オープニングはカラーで緑豊かな森。
 
その後モノクロになります。
 
これがとても印象的でした。
 
ベラルーシとポーランドの間には、
 
森や野原などの中の人為国境と、
 
川に沿った自然国境があるそう。
 
原題は「Green Border」ですが、この意味と、
 
これを超えようとした難民たちのことを
 
改めて考えると切ないです。
 
 
本作は、上映館が少ないのが残念。
 
東京では3館です。
 
上映館が少ないせいで
 
集中したのかどうかはわかりませんが、
 
私が観にいった平日の日中の上映回は
 
結構混んでいました。
 
 
過去の難民関連作品で印象的なのは、
 
2021年の『ミッドナイト・トラベラー』という、
 
セルフドキュメンタリー作品。
 
命を狙われ、過酷な旅をすることになった、
 
ハッサン・ファジリ監督とその家族の姿が
 
スマホのカメラで撮影されています。