『パスト ライブス/再会』もどかしさ、愛おしさ、切なさ、献身、寛容、自分勝手、……。 | himawari's diary

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鑑賞日 2024年4月8日(月)
 
 
製作年 2023年
 
製作国 アメリカ・韓国
 
言語 韓国語・中国語・英語 日本語字幕
 
尺 106分 
 
公開日 2024年4月5日(金)
 
原題 Past Lives
 
レイティング G
 
配給 ハピネットファントム・スタジオ
 
 
スタッフ
 
監督・脚本 セリーヌ・ソン
 
 
主なキャスト
 
グレタ・リー:ノラ(韓国名はナヨン)
 
ユ・テオ:ヘソン
 
ジョン・マガロ:アーサー(ユダヤ系アメリカ人)
 
 
 
概要
 

ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。ふたりが選ぶ、運命とはーー。

(引用元:公式サイト)
 
 
感想
 
セリーヌ・ソンは、
 
本作で長編作品監督デビュー。
 
監督自身の経験が基になっているとのこと。
 
 
私自身は初恋に対して
 
全く思い入れはないですが……、
 
それはさておき、
 
初恋ってこんなにも大切で美しいのか、
 
ということを思い知らされます。
 
引きずる思いの辛さも……。
 
あと、韓国人として、移民として、
 
ユダヤ系アメリカ人として、
 
いろんな立場のアイデンティについて、
 
感じるものがありました。
 
 
予告編の、とあるシーンで、
 
表情とBGMの関係から、
 
サスペンス的な雰囲気を
 
一瞬、感じましたが、
 
実際にはそういうのは全くないです。
 
その他、激しく驚くような展開はないので
 
そういうのを求めると、
 
期待はずれになってしまうかも。 
 
 
タイトルからして、再会したら
 
前世について語り合うということは、
 
容易に想像できますが、
 
「縁」の意味を持つ、
 
「イニョン」という韓国の言葉が
 
効果的に何度もに使われています。
 
 
再会して「会いたかった」と、
 
素直に言えるのはステキ。
 
オンラインでは、
 
ヘソンが「君が好きだ」ではなく、
 
「君と話すのが好きだ」と。
 
もどかしくて美しいセリフが多いのも
 
印象的。
 
 
NYでの24年ぶりの再会は、映像的には
 
7日間とは思えず、もっと短く感じました。
 
 
ノラとヘソンは、
 
NYで自由の女神観光をしたり、
 
いい思い出作りになったであろう、
 
ステキな時間を過ごします。
 
自由の女神は、
 
ノラが夫のアーサーとは
 
未だに一緒には訪れていないという…
 
しかも、ノラは訪れていない、
 
という事実を覚えていない。
 
まあ、ノラにしてみれば
 
地元の観光地だから、忘れがちだし、
 
こういうのは、あるあるかも。
 
ただ、アーサーにとっては、
 
ちょっと嫉妬する要素となり、
 
観ていても複雑な心境。
 
 
ノラはヘソンとインターネットで再会後、
 
自分から離れていき、
 
その後アメリカでアーサーと結婚。
 
このあたりをどう捉えるかは、
 
それぞれの考え方、体験、
 
その時の感覚などにより、
 
だいぶ違った印象になるかと。
 
 
上昇志向が強いノラは、
 
アーサーの人柄だけでなく、
 
グリーンカードの為にも結婚したのか?と
 
意地悪な見方もできる。
 
ただ、アーサーは優しすぎるほど、
 
本当にいい人。
 
ノラの気持ちとして、
 
ヘソンが大好きだからこそ、
 
会えない辛さより、
 
いっそ離れる方が楽と思ってしまった
 
気持ちはわからないでもないし、
 
ノラとアーサーは舞台劇メインの作家。
 
2人共通の仕事で、
 
お互いに理解・共有できる心地よさに
 
飛び込んだことも理解できるような。
 
 
アーサーはノラを心底愛していて、
 
彼女の韓国語の寝言を理解したいからと
 
韓国語を学ぶほど。
 
自分の手の届かない部分があると感じ、
 
痛々しいくらい。
 
滞米中のヘソンに対してもとても紳士的。
 
こんな優しい人がいるんだと……。
 
登場人物の中で、個人的には、
 
アーサーの人柄のよさが一番心に残りました。
 
 
「もしもあのとき……」を
 
考えてしまう作品ですが、 
 
「もしも」は現実的には無いので、
 
できる限り、会いたい人に会って、
 
行きたい場所を訪れて、観たいものを観て、
 
後悔しないように生きていきたいな、
 
ということを強く感じました。
 
 
ストーリーそのものは割と淡々としていて、
 
中だるみをちょっと感じるくらいでしたが、
 
もどかしさ、愛おしさ、切なさ、
 
自分勝手さ、献身、寛容、……、
 
いろんな感覚が味わえました。