『オッペンハイマー』第96回アカデミー賞含む最多7部門受賞作品。没入具合は? | himawari's diary

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鑑賞日 2024年3月29日(金)
 
 
製作年 2023年
 
製作国 アメリカ
 
言語 ほぼ英語(その他ちょっとだけサンスクリット語やオランダ語など) 日本語字幕
 
尺 180分 
 
公開日 2024年3月29日(金)
 
原題 Oppenheimer
 
レイティング R15+
 
配給 ビターズ・エンド
 
 
スタッフ
 
監督・脚本・製作 クリストファー・ノーラン
 
原作 カイ・バード&マーティン・J・シャーウィン『オッペンハイマー(上・中・下)』
 
音楽 ルドウィグ・ゴランソン
 
撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ
 
 
主なキャスト
 
キリアン・マーフィー:J・ロバート・オッペンハイマー
 
エミリー・ブラント:キティ・オッペンハイマー
 
マット・デイモン:レズリー・グローヴス
 
ロバート・ダウニー・Jr.:ルイス・ストローズ
 
フローレンス・ピュー:ジーン・タトロック
 
ジョシュ・ハートネット:アーネスト・ローレンス
 
ケイシー・アフレック:ボリス・パッシュ
 
ラミ・マレック:デヴィッド・L・ヒル
 
ケネス・ブラナー:ニールス・ボーア
 
ディラン・アーノルド:フランク・オッペンハイマー
 
デヴィッド・クラムホルツ:イジドール・ラビ
 
マシュー・モディーン:ヴァネヴァー・ブッシュ
 
ジェファーソン・ホール:ハーコン・シュヴァリエ
 
ベニー・サフディ:エドワード・テラー
 
デヴィッド・ダストマルチャン:ウィリアム・ボーデン
 
トム・コンティ:アルベルト・アインシュタイン
 
 
概要
 

一人の天才科学者の創造物は、世界の在り方を変えてしまった。 そしてその世界に、私たちは今も生きている。


第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加したJ・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。冷戦、赤狩り一激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだった一。世界の運命を握ったオッペンハイマーの栄光と没落、その生涯とは。今を生きる私たちに、物語は問いかける。

(引用元:公式サイト)
 
 
感想
 
史上初のIMAXのモノクロ・アナログ撮影など、
 
新たな試みがあったようですが、
 
雰囲気はやはり、
 
クリストファー・ノーラン監督らしいです。
 
公式サイトにあるように、
 
「天才科学者の頭脳と心を五感で感じさせる、
 
極限の没入体験」 というほど没入したか?
 
と言えば、そこまでではなかったですが、
 
激動の時代背景や登場人物は興味深く、
 
豪華なキャスティングも見ごたえがあります。
 
独特の世界観・表現なので、
 
好みが分かれるのは仕方ないかも、
 
といった印象です。
 
 
不穏な空気感を漂わせる、
 
不協和音を用いたBGM、
 
行ったり来たりする時間軸、
 
オッペンハイマーとストローズの
 
それぞれの目線で描かれる、
 
カラーとモノクロの世界。
 
実在の人物を描いているだけあって、
 
前作『TENET テネット』よりは、
 
わかりやすかったです。
 
 
オッペンハイマーは苦悩しながらも、
 
あるシーン以外、
 
激しい感情表現は少ないですが、
 
見開いた青い瞳が独特な雰囲気で、
 
その時々の感情を表しているようでした。
 
このように、苦悩するオッペンハイマーと
 
なんとかオッペンハイマーを陥れたいという、
 
ストローズの心境はネガティブなもの。
 
BGMの不穏なイメージもプラスされて、
 
ずっとヒリヒリ、モヤモヤして、
 
あまりいい気分ではありませんが、
 
この時代にこういう人物たちがいて、
 
何が行われていたのかを知るにはいい作品かと。
 
 
原子爆弾を巡る話ですが、
 
日本に投下された、
 
その街の様子の映像はないです。
 
その代わり、何かが爆発するような、
 
妄想やイメージ的な映像はありました。
 
興行に関する問題とか、忖度とか、
 
そういうものもあるかもしれませんが、
 
オッペンハイマーの目線で描かれたのであれば、
 
投下される様子は見ていないけれど、
 
惨状を知り後悔、苦悩した、ということなので、
 
表現としてはよかったと思います。
 
 
状況が変われば、英雄視されていた
 
オッペンハイマーに対しみんなが手のひら返し。
 
スパイ容疑までかけられる始末。
 
こいうのは時代や国が違っても
 
共通なんだな、と。
 
 
ひどい相手に対しては1ミリもなびいたりせず、
 
強い意志を持ち、時にオッペンハイマーの
 
尻を叩くのは、彼の妻のキティ。
 
オッペンハイマーの支えだっただろう、
 
キティの存在は印象的でした。
 
オッペンハイマーが一時期不倫をしていて、
 
それを知らされるキティは気の毒......。
 
不倫現場の再現というか、妄想というか、
 
そのようなシーンが審問会中に描かれていて、
 
これも独特の雰囲気でした。
 
 
ストローズが、
 
自虐的に言うシーンが何度かありましたが、
 
彼は靴売りから成り上がってきた人物。
 
銀行家としては相当な財を成したようですね。
 
そして原子力委員会委員長に就任しましたが、
 
彼は科学者ではないわけです。
 
オッペンハイマーの能力に対して、
 
嫉妬心があったのでしょうか。
 
オッペンハイマーの元同僚の
 
アインシュタインに相手にされず、
 
無視されたことにもかなりショックを受けたかと。
 
これは怒りの原動力になったかも。
 
それにしても、
 
オッペンハイマーとアインシュタインが
 
同僚だったという、すごい時代です。
 
 
ずーっとモヤモヤ、ヒリヒリする中で、
 
ラミ・マレック演じるデヴィッドが
 
結構スカッとする証言をしてくれて、
 
これはよかったです。
 
キティ以外にもこういう人がいたと、
 
ホッとしました。
 
それと、オッペンハイマーと
 
アインシュタインが会話するシーン。
 
フワッとしていて、夢みたいですが、
 
科学の力について理解し合っている2人の世界。
 
これも印象的でした。
 
 
第96回アカデミー賞では
 
オッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィーが
 
主演男優賞受賞。
 
ストローズを演じたロバート・ダウニー・Jr.が
 
助演男優賞受賞。
 
その他、作品賞・監督賞・撮影賞・
 
編集賞・作曲賞、
 
合計、7部門受賞、でしたね。
 
おめでとうございます!