『ティル』悲劇的な事件に立ち向かう母親の愛と勇気が起こすムーブメント | himawari's diary

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鑑賞日 2023年12月23日(土)
 
 
製作年 2022年
 
製作国 アメリカ
 
言語 英語 日本語字幕
 
尺 130分 
 
公開日 2023年12月15日(金)
 
原題 TILL
 
レイティング PG12
 
配給 パルコ
 
 
スタッフ
 
監督 シノニエ・チュクウ
 
製作 ウーピー・ゴールドバーグ、他
 
脚本 マイケル・レイリー、キース・ボーチャンプ、シノニエ・チュクウ
 
 
主なキャスト
 
ダニエル・デッドワイラー:メイミー・ティル
 
ウーピー・ゴールドバーグ:アルマ(メイミーの母親)
 
ジェイリン・ホール:エメット(メイミーの息子)
 
ショーン・パトリック・トーマス:ジーン
 
ジョン・ダグラス・トンプソン:モーゼ
 
ヘイリー・ベネット:キャロリン
 
 
概要
 

「エメット・ティル殺害事件」 初の劇映画化
アメリカ社会に変革をもたらした名もなき母親の愛と正義――その知られざる真実のすべて
公開されるやいなや、各国の映画祭で賞賛の嵐が巻き起こり、主要60映画祭21部門受賞86部門ノミネートで賞レースを席巻。映画批評サイトRotten Tomatoes では批評家 96%。観客97%の高スコアをたたき出した本作。製作には、『007』 シリーズのスタッフと黒人女優として世界的な人気を誇るウーピー・ゴールドバーグが名を連ね、メイミ ー・ティルを演じた主演のダニエル・デッドワイラーは、数々の映画賞で女優賞を総なめにした。
1955年8月28日にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた 「エメット・ティル殺害事件」 は、アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなったことで知られている。この事件は、14歳黒人少年エメットが白人女性に対して「口笛を吹いた」 という理由で拉致され、激しいリンチを受けて殺されたあげく、遺体は川に投げ捨てられた。愛息を失った底知れぬ絶望を胸に、多くの黒人の生活を脅かすアメリカ社会にたった一人で立ち向かった母メイミーの大胆な行動力は人々に勇気を与え、キング牧師らが率いた公民権運動を一気に加速させる原動力となった。
「エメット・ティル殺害事件」から60年以上の時を経た今だからこそ知ってほしい。これは、息子を愛する一人の母親の愛と勇気の物語であり、同時に、自由と人権を求めて世界を変えた一人の人間の魂の実話である。

(引用元:公式サイト)
 
 
感想
 
とても辛く悲しい事態に立ち向かっていった
 
メイミーの愛の深さと勇気。
 
実話と言うことでおもしろい、とは
 
とても言えませんが
 
作品の質としてはとてもよかったです。
 
 
息子エメットを殺害されたメイミーが
 
覚悟を決めて起こした行動、
 
それに同じ黒人たちが影響されて、
 
「他人事が我々みんなの事」へと。
 
これが大きなムーブメントになるのは
 
とても感動的でした。
 
 
白人が黒人を見下す態度は
 
侮辱罪に問えるほど下品で、
 
あれが日常だと思うと、
 
本当に酷い世界でしかない......。
 
事件については、そんなことで簡単に
 
人を拉致、リンチ、そして殺害できるのかと。
 
しかも、まだ14歳の少年を。
 
お金をもらったからとはいえ、加害者側に
 
黒人が絡んでいたことも衝撃でした。
 
 
白人主導の裁判は、
 
やはり思うようには進みません。
 
起訴すらされない輩もいて、
 
残念な結果ではありますが、
 
この1955年の悲劇的事件とメイミーの行動力が
 
1957年の公民権法成立へと繋がっていきます。
 
そして事件から67年後の2022年に
 
遅すぎるけれどようやく反リンチ法成立。
 
この事件だけでなく、
 
その他多くの犠牲の上に成り立っていることも
 
忘れてはいけないと思わされます。
 
 
キャスト陣の演技には心を打たれました。
 
ダニエル・デッドワイラー演じるメイミーの、
 
母親としての強さと無償の愛。
 
ボロボロになった遺体を、
 
息子だと見極められるのか、と問われ、
 
「母親ならわかる」と、
 
その理由を語る姿が美しかったです。
 
ウーピー・ゴールドバーグ演じるアルマもまた
 
メイミーの母親として、存在感を見せました。
 
 
ヘイリー・ベネット演じるキャロリンは
 
事件のきっかけとなった白人女性ですが、
 
彼女のふてぶてしく、悪びれない態度、
 
更には亡くなったエメットに
 
いわれのない罪まで被せようとするのには
 
かなりムカつき、イラっとしました。
 
余談ですが、ヘイリー・ベネットが
 
昨年公開の『シラノ』の
 
透明感のあるロクサーヌとは
 
まるで違う雰囲気だったので驚きました。
 
 
他に素敵で印象的だったのは、
 
衣装やアクセサリー、音楽。
 
50年代って全体的にオシャレですね。
 
ところで、本作を観た上で、
 
ブラックミュージックに影響された
 
白人が多くいることを考えると
 
また複雑な気分になってしまいます......。