Global blog 〜世界の社窓から〜 -9ページ目

Global blog 〜世界の社窓から〜

アジア、東南アジアに積極展開するインターネットカンパニー
アドウェイズの海外社員ブログです。

前回は、ソーシャルメディアマーケティング企業を見分ける方法を公開しましたが、実際どのくらい売上につながったのかということを分析することは非常に難しいです。

テレビCMや屋外看板広告ですと、広告を実施していた期間の売上を分析すると、上がったな~とかあんまり変わらないな~ぐらいは分かったり、広告直後のアンケート調査で分析することはできますが、ソーシャルメディアマーケティングの場合、ファンとの交流を深めて、その関係値を育てていくベースの部分が大事ですので、すぐに売上に反映させることは非常に難しいと言われています。

しかし、実は数多くのソーシャルメディアマーケティングの事例の中で、売上に直結させる事例もインドネシアに存在するのです。



インドネシアでは近年のコンビニエンスストアが急増していますが、コンビニエンスストアで売られている商品に、Tango Waffle(タンゴワッフル)というお菓子があります。インドネシアに住まわれている方はおそらく見たことはあるでしょう。

図1



このTango Waffleのfacebookページにはいくつかのfacebookアプリがあり、その中でTango CrunchPointsというアプリがあります。

※facebookアプリとはfacebook上で提供されるソーシャルアプリケーションのことで、ゲームやカタログ、クーポン発行などfacebookページ上で様々なアプリを提供することが可能です。

図2


このアプリがどんなものかと言いますと、Tango Waffleを買った時についてくるユニークなコードを入力することでポイントが貯まり、ポイントを貯めてiPadやカメラなどの豪華商品と交換できる、いわゆるポイントリワードです。ポイントは商品購入以外でも貯める方法はあるのですが、メインは商品購入です。

このアプリでは、ポイントの貯め方の説明や、貰える豪華商品の説明はもちろんのこと、ポイント上位取得者を紹介し、参加者を楽しませる工夫があります。


図3



昨年10月から開始して約10ヶ月経つこのプロモーションには76,617人の参加者がいます。そして注目すべきところは、ポイント数です。Poin Terkumpulが今まで取得したポイントの合計なのですが、3位の方が7/27現在までで、約20万ポイントを貯められています。ポイントは1つ約80円のお菓子で、100ポイント貯まりますので、20万ポイント÷100ポイントで、この方はTango Waffleのお菓子を2000個買ったことになります。

このランキングが現在の残りポイント数で順位が決められているため、上位には出てきませんでしたが、ざっと100位まで見てみると20万ポイント以上のポイントを貯めたユーザーがゴロゴロいました。これはかなり売上に貢献したのではないでしょうか。また、このポイントリワードはfacebookという拡散ツールを利用して、豪華商品をゲットしたこと、自分のこれまで貯めたポイント数の自慢などで、どんどん広まっていくと考えられます。

このようなポイントリワードは、日系ですと大塚製薬さんがスマホアプリを使ってポイントを貯めさせるという、インドネシアでは超先進的なことをされています。インドネシア人はポイントを貯めるという面倒臭いことは絶対にやらないと、よく耳にしていましたが、意外とウケるようですね。

引き続きインドネシアの最先端マーケティングを追いかけて行きたいと思います。

前回、前々回と「インドネシア人はモバイルとソーシャルメディアが大好き」について書かせて頂きましたが、
インドネシア人はモバイルとソーシャルメディアが大好き①
インドネシア人はモバイルとソーシャルメディアが大好き②

調査会社や我々の調査したデータは、既に多くの企業が知っており、ソーシャルメディアマーケティングに注力する企業は、ここインドネシアでは非常に多いです。そして、もちろんソーシャルメディアマーケティング支援を行う企業も非常に多いです。

主にどんな支援があるのかと言うと、
■日々のポストのストラテジー構築
■日々のポストのコンテンツ制作(画像・動画などのコンテンツや文章など)
■日々のポストの代行
■ファンからの質問やコメントへの対応
■facebookページ内でのキャンペーン企画・運営
などを対象のfacebookページに対して行います。

しかし、上記のソーシャルメディアマーケティング支援というのは、パソコン一つあればできてしまう事業ですので、質の悪いサービスを提供する企業も少なくありません。激安に騙されて実施すると、とんでも無い結果になることもあります。そこで今回は、ソーシャルメディアマーケティング支援を行う企業の良し悪しを見分ける方法を書きたいと思います。

それはたった一つしかありません。



それはずばり、「話題にしている人(Talking About This)」です。



Talking About This(TAT)とはページについて話題にしているユニークユーザー数のことで、単純な閲覧以外の伝播する行動(ページへのいいね!、投稿へのいいね!・コメント・共有、クエスチョンへの回答、イベントへの返事、ページへの言及、写真へのタグ付け、プレイスへのチェックインや推奨)のいずれかを行った人が含まれます。


図1



日本語であれば上記のように「話題にしている人」と表記されますが、英語だとTalking About Thisと表記されます。この数値がファン数全体のうちどのくらいを占めているかで、ユーザーアクティブ率を計ることができるのです。


Pond’s Indonesiaの例ですと、話題にしている人13,318人、いいね!(ファン数)372,500人で、ユーザーアクティブ率(Talking About Thisの率)は3.6%となります。


このユーザーアクティブ率に基準となる数値があります。弊社アドウェイズインドネシアの場合ですと、3~5%が良いとされる基準値となります。この3~5%の数値ですが、インドネシアではだいたいファン数10万人を超えると、難易度がグッと上がってきます。質の高いサービスを提供するソーシャルメディアマーケティング支援企業ですと、3%は超えてくると思います。ですので、「御社のソーシャルメディアマーケティングの実績を教えて下さい」と言って実際運用されているfacebookページを聞き出し、こそっとレートを計算してみましょう。それでもし3%に達していない場合は、「このアクティブ率は高いのですか?」とか聞いてみましょう。さらに突っ込む場合は、競合他社ブランドの数値を持ち出して聞いてみましょう(笑)。

ファン数の多さに騙されてはいけません。インドネシアではfacebook広告(facebook内での広告掲載)における、ファン一人獲得するのに要するコストが日本よりも圧倒的に低いのです。最近の実数地を見ていると2000~5000ルピア(20円~50円)で着地することが多いです。商品の認知度によって大きく関わってきますので、あくまで参考値ですが。

また、裏技として、facebookのファンを買う方法もあります。Fakeユーザーなので、アクティブになることはありません。これを使った場合ユーザーアクティブ率3%は達成できないでしょう。

ユーザーアクティブ率はキャンペーンで瞬間的に100%を超えさせる事例も多いのですが、ソーシャルマーケティングの事例はまた別の機会に書きたいと思います。

とりあえずは、ソーシャルマーケティング企業が営業に来たら、エンゲージメント率について突っ込んで見て下さい。インドネシアで無くても、その国の競合他社ブランドの数値を参考にしながら攻めてみるのもいいかもしれませんね。
前回の記事では、各調査会社のデータをもとにインドネシア人がいかにモバイルとソーシャルメディアを好きなのか書かせて頂きましたが、今回は自ら調査したデータで示したいと思います。

まず、利用する調査ツールはfacebookの広告管理画面です。ニールセンのような調査会社では、利用頻度や感想などを調査する際、メールなどでアンケートを行うことが少なくないのですが、facebookの広告管理画面であれば、下記のように実際のログやユーザーの登録データから広告を打つ対象者を選定できるため、より詳細なデータを取得することができます。


facebook広告管理画面

図1


このように「インドネシア」と「Mobile Users(All)」にセグメントをかけ、対象のユーザー数を調べることができるのです。この便利な管理画面を利用して、東南アジア諸国のfacebookユーザーのモバイル利用率を抽出し、計算してみました。

東南アジア主要国facebookのモバイル利用率
(2013年7月26日のfacebook広告管理画面より)

図2


な、なんと、インドネシアのモバイル利用率は東南アジア諸国と比べて飛び抜けて高いわけではありませんでした。日本や欧米の数値も算出してみましたが、モバイル利用率に関しては、近年世界的に高まっています。インドネシアのモバイル利用率がトップクラスにあるのは確かなのですが、インドネシアに限らず、世界中のモバイル利用率が高まっているのです。



もう一つの調査方法は実地アンケートです。弊社のスタッフが実際にジャカルタ市内にある4つの大学に訪問して、流行に敏感な女子大生100人に聞いてきました。ここではその中で興味深かった3つの質問を紹介しましょう。


第一問:普段一番時間を使っていることは?

1位 勉強(51人)
2位 インターネット(16人)
3位 友達と会話(15人)

大学生ですから勉強は当たり前ですね(笑)。2位にインターネットが入ってきています。


第二問:一番よく使うネットサービスは?

1位 Twitter(37人)
2位 Messenger(22人)
3位 Facebook(17人)

ソーシャルメディアを代表するTwitterとFacebookが合計で半数を超えています。


第三問:何を使ってインターネット接続する?

1位 Smartphone(37人)
2位 家のパソコン(22人)
3位 フィーチャーフォン(17人)

何とスマートフォンが1位なのです。インドネシアではまだまだスマートフォンユーザーは少ないと言う人も少なくありませんが、近年一気に伸びてきているのです。こちらも先ほどのfacebook広告管理画面を使って、東南アジア諸国と比較してみましょう。

facebookモバイルユーザーのスマホ利用率

図3


注意点としては、棒グラフはインドネシアのモバイルユーザー数では無く、インドネシアのfacebookユーザーの中でのモバイルユーザー数です。それでもこの規模と、もう既に高い利用率を見ると、インドネシアのスマホ市場に大きな可能性を感じざるをえません。また、インドネシアのスマホ利用率は41.7%ですが、アンケートの答えが37%でしたので、なかなか近いデータがとれたことになりますね。



私も日々調査をしていてインドネシアにおけるインターネット市場の変化の激しさに毎度驚かされるのですが、この変化を捉えるか捉えられないかが、企業のマーケティング活動の大きなポイントになるのではないかと考えています。規模が小さく、後発の企業であったとしても、この変化を上手く捉えて実行することで、過去のマーケティング活動に大きくあぐらをかいた大企業への逆襲のチャンスになります。逆に、大手企業が社をあげて注力すれば、二位以下を大きく突き放せるかもしれません。

今後も手を休めず注視していきたいと思います。