何かイベントがある時って、どんなに寝不足でも朝早く目が覚めてしまう。
普段は寝坊してても気分が高揚して、起きちゃうのだ。
この日も朝シャワーを浴びて、それから出かけよう。
東京駅に8時前だから、1時間前に家を出れば間に合うなと思っていた。
思っていたのだ!
当日の朝、枕元で鳴ったのは目覚まし時計ではなく、携帯電話だった。
時計を見る間もなく電話に出るとモリタからだった。
「ウメハラさん、どこにいます?」
受話器の向こうからモリタが問いかけてくる。
まだ家だよ家、何て思いながら、ここで初めて時計を手にする。
7時45分…。
受話器からはモリタの声の背景に駅の雑踏が薄く聞こえてくる。
げげえ!やっちまった‼
時間にしてコンマ0.0001秒。寝坊したことを瞬間的に悟る。
そんなはずはないっ!何かの間違いだ‼ と、思うものの現実である。
ベッドから飛び起きて電話越しにモリタに話し掛ける。
「やっちゃった…。今起きた…」
「嘘でしょ?マジですか?」
前日に『遅刻したらゴメン』なんてメールを送っていたのが、現実になってしまった。
一瞬、『行くの辞めちゃえよ』と、悪魔が囁く…。
いやいや!そんなわけにはいかないっ!
オレが行くの諦めたら、モリタを一人で散策させることになる!
せっかく散策組にしてくれたのに、ここで諦めるワケにはいかない。
大急ぎで着替えを始める。その間に今度はモーリから電話が掛ってくる。
モーリとモリタは今回が初対面だ。待ち合わせ場所に二人が揃っても、
お互いを知らないのだ。
カタノ君が着いていれば心配ないけど、そんな問題ではない!
新幹線は8:04発だ。出発までもう間もない。
着替えを終えて出る準備をする。
荷物を前日に用意しといて良かった。
こういう時って自分でもビックリするくらい機敏に動ける。
家を出ようとすると今度はモーリから電話。
どうやら皆出会えたようだ。
「もう新幹線も出ちゃうんで…」
「先行ってくれ!後から追い掛ける!」
そう言って電話を切った。
東京駅まで約30分。
改築されてから初めて行く東京駅。新幹線の乗り場も分からない。
新幹線のチケットは諦めた。東京駅で購入するしかない。
退院してから初めての旅だから、皆を頼りにしていたのに…。出鼻を挫かれた。
ってか自分で挫いたのか。
とんだ旅の幕開けなのでした。
つづく。