ポンコツ入院日記 その⑧ | 【ウメのひとりごと。】 ま、そんなワケで。

【ウメのひとりごと。】 ま、そんなワケで。

齢39にして16年9ヶ月勤めた会社を退き大冒険を始めました。
どうなるか分かりません。
日記のつもりで。

入院中弟がスケッチブックと色鉛筆を持って見舞いにやってきた。

昔から絵を描くのは好きで、ガキの頃は漫画家になりたいと思った事もあった。

小学生の時に消防車の絵を描いて、消防署に表彰された事もある。

ガキの頃もらった唯一の賞状だ。


「オレも兄ちゃんに影響されたから」


ホントかよ。そんな事聞いた事ねえぞ。

照れくさくそれを受け取ると、翌日から暇つぶしの道具になった。

窓から見える風景を描いて見たり、廊下の風景を描いて見たり。

描こうとしても鉛筆を握る指が心もとない。

以前は引けた曲線がひけなくなってる。

描けたはずの線が歪んでしまう。


これにはすげえショックを受けた。

まず鉛筆がまともに握れない。麻痺の残った右手が思ったように動いてくれないんだな。

箸もロクに持てないから仕様がないっちゃ仕様ががないんだけどさ。

リハビリだと思って描いては消して、消しては描いてを繰り返す。


病室の窓から見える空や、病院の廊下。

以前なら何の苦もなく描けた絵が幼稚園児以下の落書きになってしまう。

こいつと付き合っていくと心には決めたけど、

この先どれだけの物を失っていくのかな?と考えてしまった。

描いては消して、消しては描いてを繰り返していた。


「おはよー。」

退院の日の朝、検温と血圧を測りにきた看護師の田中さん。

これが最後の検温だなあなんて思っていると

「お家に帰ったらゆっくりしすぎと思うくらい、ゆっくりしてね」

お心遣いがありがたい。

「そんな田中さんに」と言って描いた似顔絵を渡した。


倒れる間に比べたら落書き以下だけど、田中さんは喜んでくれた。

「後ろにサイン書いて」と言うので、ミミズが這った字でサインした。


以前とは比べ物にならない幼稚園児以下の絵でも、

喜んでくれる人がいた。

失ってしまったモノもあるかもしれないけど、

得られるモノも、きっとあると思ったのであります。


そんなワケで、本日無事退院致しました。にひひ

そんでもって、『リハビリ日記』(予定)に続くのでありました。



後日、つづく。(後日ねべーっだ!