「14階の屋上より」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

本日は朝から千葉の浦安まで向かう。

 

と言ってもそこでの作業は某飲食チェーン店まで「20型消火器1本納品」という極めて小さな案件。

一応9時からではあったが8:40分頃に到着すると既に店員の方がおられたので9時にはもう現場を出ていた。

 

だが本日のメインはそこから。

先日、数年来のお付き合いがある埼玉方面の同業者の方から首都圏にあるいくつかのマンションの「ロープ作業による外壁打診調査」のご相談を受けた次第。

 

とは言え、ロープ作業の場合、当日の天候などの不可抗力な部分以外にも、現場自体の実施の条件もある。

その為「一度現地を見て頂いてから実施の是非を判断して欲しい」とのことで、先ずは本日、都内の某高層マンションの「下見」に行って来た次第。

 

現場は都内でも千葉よりにある14階建て程のマンション。

管理人の方に挨拶をし、屋上へのカギをお借りした上でいざ屋上へ。

ロープによる外壁打診の場合、基本的に「通常ではどうやっても人の手が届かない部分」を打診対象として考える。

 

例えば共用廊下の壁面などの場合、壁面を叩きつつ廊下を歩いて移動することは誰でも出来る。

それをわざわざロープ作業でやる必要も無いので、それゆえ今回はあくまでも「ロープでなければ不可能」という壁面に絞ってロープ作業の是非を確認した次第。

そちらのマンション、打診対象は建物の正面側、及び反対側(建物の背中側)と判断。

 

正面側は割と近くに頑丈な柵などの構造物もあり、吊元に事欠かない。

だが一方、逆側の壁面は全くと言って良い程、丸環はもとより、その他いも吊元になる構造物が無く、実にさっぱりとした状態。

 

向こう側に見えるタワーマンション側の外壁を降下したいが、見事な程に何もない。

 

しかしこうした事態は当然想定済みで、それゆえ今回はパラペットクランプを持参し、実際に屋上のパラペットにはめ込んでみた。

 

実はこのパラペットクランプ、購入はしたものの未だ実際の降下では使用していない。

なので一抹の不安もあったのだが…

ところがいざパラペットにはめるとこれが思いの外ガッチリと固定される。

 

実際の降下時はメインロープとバックアップ用で2台を設置する

 

 

「おうっ! すんばらすぃ~!!」

 

思わず喜びと興奮の声が漏れ出す。

多少の不安もあったこのパラペットクランプであるが、しかし流石は「ロープ降下専門」として造られたものだけのことはあり、むしろ腐りかけた金属製の構造物にロープを固定するより随分と安心出来そう。

 

因みに私が持つパラペットクランプはクライミング用具などの販売を手掛けるミゾ―というメーカーの品。

窓ガラス清掃の人々の評価も高い品で、そうした意味でも頼れる機材であると確信。

 

メインロープ用、バックアップロープ(命綱)用、一人の作業員当たりで最低2台を使用する形になるが、これなら十分に「ロープによる実施可能」と判断。

なので参考写真と共に今回ご相談を頂いた先方の責任者の方にその旨、メールを入れた。

 

14階の屋上なのでもう少し怖さもあるかと思ったが、いざ地上を除き込んでみると意外とどうってことない。

 

 

そもそも一旦ぶら下がってしまえば5階も10階も殆ど変わらず、しかし高ければ「より景色が良い」ことを思えばある意味、このくらいがロープ作業には一番持ってこいの高さの様にも思う。

これ以上高いと風の影響をかなり顕著に受けると思われ、より技術的にも難しくなるだろう。

 

今月はまだ他にも数件下見の予定があるが、高さ的には今日の物件が一番かなと。

是非ともロープで降下し、この景色を我が物にしたい。

 

嗚呼、決まってほしいこの案件…。