「私、人間なもんで」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

昨日の記事でも少し触れさせて頂いたが…

 

私自身、この仕事で独立して以降、一番最初に雇用した人間は同世代の女子であった

「同世代の女子」というだけで知的レベルの低い者たちはやれ恋人だの、やれ彼女だのと言ってくるが全くそうではない。

本当に純粋に業務パートナーとしての関係であった。

 

「とにかく是が非でも人が欲しい」、そう考えていた私と、当時の職場(消防設備業)でやっていくことに限界を感じ「他で働こう」という決意を固めていた彼女。

その二人がたまたまタイミングよく出会ったに過ぎない。

 

とは言っても当時の私と言えば100%、他社の応援がメインで、尚且つ今にして思うと安い日当で本当に朝から夕方までこき使われていた。(どこぞの歯抜けの社長に)

 

仮にその彼女と一緒にやることになっても、しかし当面はその会社の応援をメインにせざるを得ない状況ではあったが、しかし2人体制になることで「新たな道も切り開いていける」、そんな思いも少なからずあった。

そうした気持ちの中、2名体制となった平成め組がスタートしたのだが…。

 

だが正直なところ、2名となったことで確かにやれる仕事範囲は広がったものの、私自身の仕事の2~3割は彼女の顔色を伺うことであった。

決して人間的な相性が良かったとは思わず、毎度二言目には「なら辞めさせて」という言葉が出て来るので、それを言われるのが怖く、中々言いたいことも言えないことが多かった。

 

2~3名の組織の場合、ほぼ100%「雇用されている側」の方が立場的にも強い。

雇用する側は今後目指すことの全てが「これから」という状況で、それら一つ一つの実現の為にも「とにかく自分と共に働き続けて欲しい」という気持ち一色。

 

丁度その頃、唯一の従業員から「辞めたい」という要望を出された知り合いの社長が「もう死にたいですよ…」と弱々しく語られていたことがあったが、その気持ちは痛いほどによく分かる。

 

「気に入らなけりゃ辞めちまえ!」

言葉の良し悪しはさておき、そんな台詞が吐けるのは最低でも常時20~30人の人員を抱える経営者である。

 

とは言え、我慢しきれずに怒鳴ることも当然あった。

だが「怒鳴る」くらいの元気が持てるならまだ良い方で、こちらがただただ哀しくなるようなことも時折言われた。

中でも忘れがたい言葉がある。

 

ある時、現場から帰宅途中の車内での会話の中、当時多少の繋がりがあったある会社について、私が「先ずは☆社を抜くくらいに成長しないと!」と将来への目標を語った時のこと。

直後、彼女は「出来るはずないじゃん」と呟いた。

 

彼女と一緒にやっていた3年間の中で正直その言葉が一番堪えたし、また許せなかった。

「☆社」は当時で社長以下、7~8名ほどの人員を抱えていた。

業界の準大手の協力会社で、その準大手の傘下の協力会社の中では確固たる地位を築いていたが、しかしそんなもん、ハッキリ言ってたかが知れたもの。

 

それを「出来るはずない」と、まるでウチには成長の可能性が無い様な言い方をされたこともそうだが、そもそもそれ以前に「ならどうして「☆社」を抜けるはずもないと思う人間の下で貴女は今働いてるの?」ということである。

 

「どうせ近いうちに辞める」、それを既に心に決めていたからこそ、そうした言葉が言えたのだろうと。

その言葉を言われた時のショックは我ながら大きく、当時は当時でこのブログ上でその想いを書き綴った。

 

当然その日は揉め、最終的に向こうが詫びてきたが、でもやはりその言葉は当時の彼女の本音であったのだろう。

それが分かるから尚の事悔しく、また哀しい事でもあった。

 

 

だが現在、少なくとも当時のその☆社については抜きつつある、と確信している。

☆社が今どれほど成長しているのかは知らないが、しかし少なくとも「大きくなった」という話は伝わっては来ない。

それどころか「何名かの主力が抜けた(辞めた)」という話を人伝に聞いたくらいである。

 

☆社や、その☆社の社長に比べれば私の方が遥かにこの業界のチャレンジャーだ。

進化を恐れず、より多くのこと、そして更なる新境地に向けたステップを確実に踏んでいる。

当時彼女が言った「出来るはずない(☆社を抜けるはずがない)」という言葉。

しかし早くもそれを覆しつつある。

 

私は彼女との魂の勝負に勝ったのだ。

彼女が考えていた以上に、仕事に賭ける私の魂は強く、そして熱かったのだ。

 

最後も散々毒を吐いて辞めていったその彼女。

結局都内の同業他社に行ったようだが、しかし皆様よくご存じの通り、私は己の感情に実に正直な人間である。

 

辞めていった者に対し「次の職場でも頑張って」などとは口が裂けても言う気はない。

むしろその新たな職場で「途方もない失敗を犯して退職を余儀なくされればいいのに」と常々考えている。

 

「心が狭い」と思われても良い。

「広くあるべき時」に広い心でいられたらそれでいい。

常に心が広いのは単に警戒心の無い愚か者である。

 

「安易な者」がこちらの心に駆け込んできた時に備え、そいつを刺し殺す為の刃物は常に隠し持っておくべきだ。

 

人間は感情抜きで語れない生き物。

他者を憎む心、そして恨みの念。

 

そうした己の憎悪と真正面に向き合えてこそ、人は更なる高みを目指して頑張れるのだと本気で考えている。

☆社如き、抜き去る準備はもう出来ている。

 

さあ、いつかのパートナー。

自分は今の方が遥かに充実しているよ。

ババァ、夏を前にくたばっちまいな。

 

そう、「夏」を前に。