「ある意味、真っ当」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

本意ではないが「防災管理点検資格者」について調べてみた。

 

少し前にお付き合いのある会社の社長さんから「村田さん、防災管理点検資格者ありますか?」と聞かれた私。

 

その際は「持ってません」と答えて話は終わったのだが、しかしその後も2度にわたって全く別の取引先から立て続けに同資格の有無について聞かれた。

さすがに3度も「持ってません」と言うのも何だか情けなく感じて来る。

 

改めて説明するとこの防災管理点検資格者、大規模な建物の「防災管理に関しての状況を点検する資格」ということになる。

規模が小さな建物の場合、防火対象物点検者という資格が必要で、これについては最近もこのブログ上で「無駄な業務をする資格」として取り上げたばかり。

 

「物件の防火・防災管理上の問題点を「お金を頂いている身分」である我々業者側が指摘をするなど出来るはずがない」と。

「見なかったことにして」と顧客から言われたら「じゃ今回は」と即座に答えるのが顧客側から見て「優秀な業者」である。

 

 

「防災管理点検資格者」と「防火対象物点検資格者」

似た様な名前の両資格であるが、物件の規模に応じて「どちらかの資格が必要となる」というだけで基本的に作業内容も変わらない。

早い話が防災管理点検資格者も「無駄な業務」である。

 

一方で顧客側も無駄であることを理解しつつも、しかし「消防に言われたから…」と渋々専門業者に依頼している部分もある。

無駄な資格、無意味な作業であろうとも、しかしそれをやることで「次の仕事」に繋がるのであれば資格の取得自体は考えてみてもいい。

 

そこで本日、改めてその防災管理点検資格者の受講資格について調べてみた次第

因みに同資格、2日間の座学講習のみで取得可能だが、受講する為には「防火対象物点検資格者として3年以上」などの条件がある。

 

がしかし、何せ昨今のこの手の講習は事前に提出する「受講資格の証明書類」の手配が面倒。

先日、若頭のダイゴローが「防火設備検査員講習」を無事修了したが、申し込む際には確か5~6枚の書類をPDFにまとめ、主催者側にメールで送ったと記憶している。

 

特に受講者本人が「経営者」の場合、尚の事面倒で「取引先との発注書や入出金のコピー」までも添付を要求される…

そう長らく解釈していた私だが、しかしその防災管理点検資格者の受講資格証明の欄に以下の様な記載があった。

 

「受講申請者が経営者(代表者)の場合、上記に代わる書類として「履歴事項全部証明書」、「保守契約書」、「工事請負契約書」、「発注書」の写し等」と。

 

何だかこの文章を見る限り代表者である私の場合、一番目の「履歴事項全部証明書」の用意だけで事足りる気がする…。

 

防火対象物点検資格は3年前どころか10数年前に取得しており、実際の業務も何度かしてきている。(嫌々ながら)

「もしや」と思い、以前から取得を考えていた「特定建築物調査員」の受講資格も改めて確認してみた。

 

するとこちらは代表者が受講する場合に用意すべき書類として「履歴事項全部証明書」ではなく「登記事項全部証明書」となっている。

 

もはや何が何だかよく分からなくなってきたが、要するに「登記事項全部証明書」=「履歴事項全部証明書」という解釈で良いらしい。

だとすると少なくとも防災管理点検資格については私は受講証明書類も簡単に用意できる。

 

法人化が令和2年(2020年)の12月なので「3年以上」という条件は「平成め組代表者」としてだけでも既に問題無く満たしている。

 

特定建築物調査員は「甲種消防設備士取得から5年」なので、こちらも満たしてはいるものの、しかし前述の「履歴事項全部証明書」でそれを証明出来るのは来年の12月以降、ということになる。

 

一方で従業員が同講習を受講する分にはその証明書類を用意できる

だとするととりあえずダイゴローに特定建築物調査員を取得させ、私が防災管理点検資格者を取得すれば当面、資格の有無で頭を悩ます必要は無くなりそう。

ならもう、取るしかない。

 

それにしても…

私がこの仕事を始めた当時はそうした講習の受講に際しそんな煩わしい書類の提出など一切求められなかった。

 

消防設備業界の「負の遺産」と言われる消防設備点検資格者についても、当時は会社の代表者がハンコ一つ押せば全て「OK」。

昨日入社したコテコテのど新人でも「工事補助経験5年ありま~~す」とふかしをコキまくって受講させるなど、もはや業界の常識であった。

 

実際の話、15年以上前に点検資格者を取得した人の中で、当時本当に実務経験を満たして受講した人物など精々5人に1人程度であろう。

何せ二十歳の人間を「工事補助歴5年」として書類を提出しても軽くまかり通っていた。

当時は主催する側もそんな書類、一切見ていなかったのだろう。

 

では何故、今はこんなアホみたいに書類の提出を求めて来るのか?

これについては数年前にも触れたことがあるが、恐らくは2009年の民主党政権下で行われた「事業仕分け政策」と考えて間違いない。

 

公益団体の活動の無駄を徹底的に省くことを念頭に行われた同政策の中で「消防設備点検資格者講習の是非」についても対象となり、危うく同資格が消滅しかけたことがある。

 

これにビビった安全センター側がそれまでの怠慢とも言える実務経験の確認から一転して、事前の経験確認を徹底する様になった。

そうすることで「決して無駄な事業ではございません!」と政権側へアピールする狙いがあったものと思われる。

 

民主党政権は瞬く間に崩壊したが、しかし余程心胆寒からしめられたのか、以後も引き続き事前の書類チェックは厳しく行っている。

とは言え、本来はこれが普通なのだが。

 

消防設備士試験については相変わらず「工事補助歴5年」と代表者が書いてハンコを押せば甲種試験が誰でも容易に受けられる。

実際私も嘘の経験を書いてあげたことがある。

 

結局その者は試験に落ちたが、しかし一度受験すれば仮に不合格となってもその受験票自体が次回の甲種試験を受ける際の「受験資格の証明」となるので、実務経験証明書を身近に書いてくれる方がいれば受験する本人にしてみればありがたい話だろう。

とは言え、近い将来やはり設備士試験の受験資格証明も今より厳しくなるのは必然と言えよう。

 

ある意味、この消防設備業界は真っ当な成長をしているとも言える。

かつての嘘と偽証に染まった体質から少しは抜けつつある。

 

とは言え、防火対象物点検や防災管理点検が無駄で無意味な業務である事実は変えようがないが。

 

 

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