「もっと寡黙でいてくれ」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

嫌いなタイプの居酒屋、というのがある。

 

それは主にチェーン店などではない個人経営(1人のオーナーが数店を経営する場合も含む)の居酒屋にありがちなのだが…

客の輪の中に何とかして参加しようとしたがるオーナーのいる店、である。

 

去年の年末、私とダイゴロー共通の十年来の友人夫婦らと、4人で三軒茶屋で呑んだ。

皆が初めて行く店でその友人夫婦がネットで探し、予め4人分の席を予約してくれていた。

時期が時期だけにかなり混雑していたのだが、しかし予約組の我々は何事もなく着席。

 

だがぱっと見、その店内はお世辞にも衛生的とは言えず、いきなり出鼻をくじかれる。

加えて出て来た刺身も値段の割にちゃちく、内心「こんなもんボッタクリだろ」とも思ったが、とは言え折角友人たちが予約してくれた店。

その感情は心の浅い所に仕舞い込んだ。

 

そして「開宴」から1時間程経った頃、50代半ばくらいと思しきこじゃれた格好をした一人の男性(オッサン)が店に入ってきた。

 

だが店に入るなり「常連客」と思われる集団と何やら談笑を始め、その後も何かにつけ店内の客に話しかけていた。

どうやらこの店のオーナーらしい。

 

その様子を見て「こりゃ面倒くさい系のオーナーだな…」と感じ、私は「睨みつける」とまでは言わずとも、時折眼光を鋭く飛ばし「オッサン来るな」という雰囲気を醸し出す。

私はこの手のオーナーが本当に嫌いである。

 

時折、ラーメン屋などでも客にやたらと話しかける店主がいる。

恐らくそうした店主たちは「皆から何でも相談される兄貴分」のような存在に憧れ、自分で自分を必死になって演出し、皆から何とかそう思って貰おうと頑張っているのだろう。

だがそんなもの、ハッキリ言って七面倒くさいだけである。

 

私は飲食店のオーナーたるもの、店では寡黙であるべきだと考えている。

あくまでも「客から話しかけられたら言葉を返す」べきであり、自分からあれこれ客に話しかけるのは「マナー違反」の様にも思える。

 

でその前述の三茶の居酒屋のオーナー。

他の3名は気付いてなかったが、途中から明らかに「我々4人の会話の輪に入ろう」と画策しているのが見て取れた。

 

なので私も警戒の視線をやや強め、気持ちは「オッサン来るな」から「来たらシバくぞ」にレベルアップ。

相変わらず外の客たちには何やかんやと話しかけ、どうやら「まだ話していない客」は我々のグループだけとなった。

 

とは言え、我々の宴もそろそろ佳境。

「さすがにもう諦めるだろう…」と思いきや、オーナーの様子を伺うと相変わらず「我々との会話の機会」を摸索しているらしい。

 

「どうせもう二度と来ない店だし…」と思い、私も少しばかり微笑む様子を見せるなどし、あえて警戒を緩めてオーナーの出方を伺う。

程なく、友人夫婦がメニューにあった「カレーボール」について「カレーボールって何ですか?」と近くにいた店員に尋ねた。

 

店員が「カレーボールというのは…」と話し始めたその時、背後にいたオーナーがチャンス到来とばかりにこちらに近づいて来て「カレーボールっていうのはですね~」と、店員の言葉に被せる形でとうとうこちらに話しかけてきた。

 

だが説明しかけた店員の話を遮って話し始めたその態度が妙にムカつき、私は3人には分からぬよう一瞬後方からオーナーを睨みつけた。

 

するとそれに気付いたオーナーは一気に言葉のトーンを下げ「…下町のおでんなどでたまに出て来る魚のすり身を使ったものですけど… まぁ大したもんじゃないです…」と早々と説明を打ち切った。

 

 

「お客と親しくなりたい」というその気持ちは分からなくもない。

だが全ての客がそうした接客を望んでいる訳ではない。

客の態度を察知し、それに合わせた接客をするのが一流である。

 

ましてやオーナーたるもの、店の奥で店内の繁盛ぶりを密かに喜ぶのが本来あるべき姿である。

安易に客の輪に入ろうと試みるな。

 

 

 

 

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