「真っ二つ」 | 消防設備士かく語りき

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川崎の消防設備士、平成め組代表のブログ

 

 

本日は私とタケに加え、数年来の付き合いであるベテラン外注のKさん、そして同じく最近応援依頼をしまくっている「橋本一派」のリーダーを伴い関東某所の小学校の点検へ。

 

同地域の小学校、元請会社から仕事を依頼されるようになって既に3期目辺り。

全体では60校近くある大型案件であるが、ウチで任されているのは現在9校ほど。

 

いずれの学校も大分やり慣れてきたこともあり何事も無ければ4名で2時間もあれば事足りる。

こうした公共施設関連の仕事は基本的に毎年入札で業者が決まるものだが、元請会社が入札に強く、今後も依頼が見込めるので有難い。

 

午前と午後で1校ずつ回る形ではあるが、午前の学校については規模が小さかったこともあり4名で90分程度で完了。

長過ぎる程の昼休憩を取った後、2校目の小学校へ。

こちらも「まぁ2時間とかからず完了するだろう」と見込み、いざ作業開始。

 

だが作業開始から程なく「ジリジリジリ~!!」と、突然館内に自火報のベルが鳴動。

当然ながら作業開始前に受信機は確実に遮断をかけている。

にも拘らず一体何故…?

 

だが不思議なことに本来全館鳴動のはずのベルであるのに音をよく確認してみると鳴動しているのは校舎の半分のみ。

ベルばかりか非常放送もけたたましく鳴動し続け、とにかく皆で音の出所を必死になって探す。

 

状況から考えて「他にも受信機がある」としか思えず、しかし前回の点検時には主事室の1台を遮断したのみで問題無く点検出来ていたはず。

とは言えもはや他の原因など考えられず、とにかくベルが鳴動する校舎側の各部屋をひたすら見て回る。

 

するとある1室から放送盤の鳴動音が…。

がしかし扉は施錠中で、尚且つカギがどこにあるのか不明。

結局20分以上、ベルや非常放送が鳴動し続ける羽目に。

 

ただ幸いなことに本日は休校日で校内にいるのは我々と主事の方の5人だけ。

加えて鳴動し続ける非常放送も「屋上」や「校庭」などの回線は無いらしく、外には殆ど音も聴こえず、周辺住民から消防に通報などはされずに済んだ。

程なくそれらしいカギを主事の方が持って来てくれ、ようやく部屋の中に。

 

 

するとそこには前回の点検時にはなかったはずの受信機と非常放送盤が。

主事の方曰く、「つい最近業者がその部屋に何か大きな機器を取り付けていた」とのこと。

よくよく話を聞くとそちらの学校、校舎を部分的に順次建て替えを行う予定らしく、工期は何と2030年までなのだと言う。

 

確かに敷地の一部にプレハブの仮校舎らしき建物はあったが、点検前の話では「まだ使用していない」とのことであったので、まさか私も新しい受信機が設置されているとは思わなかった。

 

部分的に建て替える予定だからかは定かでないが、改めて全体の警戒を調べて見るとキレイに校舎を真ん中辺りから2つに分け、片方は旧来の受信機に、もう片方は新設された受信機に取り込んだようである。

 

私の経験上、こうした場合、仮設校舎に一先ず感知器だけ設置し、消火栓などについてはパッケージ型を仮設置することで感知器、消火設備双方の警戒を取るのが一般的と言う認識だが、そちらの学校については果たして今後どの様な形で建て替えを行っていくのか全く読めない。

 

新しい受信機を設置した側の校舎とて、2030年までに取り壊すのは確かで、その間だけの運用なのか、あるいは新たに建設した校舎に移設するのか、いずれにせよ途方もない工事が今後待っているのだろう。

 

2030年まで工期があるとなれば、今後も点検で来る度に校舎内の感知器の個数や警戒区域などが変更している可能性もある。

 

となると同物件、ハッキリ言って超ド級に面倒な案件となってしまうが、とは言え「この学校だけやりたくないです」とは言えず、もはや毎回作業が長引くことを想定し、常にこの学校だけは「1日1校」で予定するか、あるいは「午後」に組み込んだ上で人員を増員して臨むしかない。

 

(パナソニックの放送盤、マイクが内部でジャックの差し込み式から変な形のコネクターに変更されたらしい)

 

地域にもよるが、こうした入札案件の厄介なところ大規模な改修工事の場合、それはそれで入札で業者を選定する。

それゆえ大掛かりな工事が実施されてもそうした情報が点検を請負う業者に伝わって来ないケースも多々ある。

 

確かに受信機の警戒番号を良く見れば「受信機が別に設置された可能性」にも気付けたかと思うが、しかし通常、作業開始前にいちいち受信機の警戒窓と、点検表の一覧表を照らし合わせるなどしない。

 

ましてや受信機の警戒も放送の警戒も「校舎をキレイに真っ二つ」にするなど19年間の業界歴の中でも過去に経験が無い。

 

さすがの私も意表を突かれた…

と言うか、今回は意表に加え全身108ヵ所の秘孔さえも同時突かれたと言おうか…。

もしも今日が平日で、生徒も教職員も校内にいたと思うともはや寒気すら覚える。

 

さすがに消防設備のこうした大掛かりな改修工事をする場合、役所の担当窓口から点検業者に連絡の一つもあって然るべきではなかろうか。

 

入札次第ではあるが、恐らく今年の夏休みも点検があると思われるが、しかしこれだけの規模の工事ともなれば当然夏休み期間中に一気に進めるに違いない。

だがそうなると、もはや点検どころではなくなるのではないかと危惧している。

 

元請会社の担当者の方にどう説明すれば良いのか…。

中々悩みどころではある。

 

 

 

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