『上祐史浩からアレフ信者へのメッセージ2007』 はじめに・目次

 これは、上祐史浩が、2007年にオウム・アレフ教団を脱会する際、いまだ教団に残るアレフ信者たちに対し、教義や教団の運営の問題などについて、これまで考えたことを伝えるために書いた文章です。(2007年3月17日作成) 

 

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 すでにご存じの通り、私と代表派(上祐派、M派)のメンバーは、20年間お世話になった、オウム・アレフを脱会しました。

 そこで、自分が脱会し、新団体を作る上で、教義や教団の運営について、これまでに考えたことをお伝えした上で、脱会しよう、と思います。

 それは、旧団体や、現在の「A派(反上祐派)」と呼ばれる人たちの教義・実践とは違った実践をするという決断ですから、皆さんの中には、少なからず、反発や違和感があると思います。

 しかしながら、旧教団が一連の事件に至り、さらに、それから12年の間、断続的に崩壊を続けている現実を見れば、「宗教的にも、社会的にも、現実的にも、このままで良いのか」と感じている人は少なくないでしょう。

 また、そうでない方も、自分とは違った考え方を知ることは、もし、本当に衆生に対する慈悲の実践を行おうとするのであれば、大きな意味があると思います。

 ともかく、いろいろな意味で、一度は読んでいたただければと思います。

 

                                                  2007年3月17日 上祐史浩

 

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           目 次

【1】グルを絶対と見る教えの解釈の過ちについて
 ・グルを絶対と見る教えの正しい解釈
 ・事件は過去の問題ではない
 ・伝統的密教の帰依の法則について
 ・密教を実践する弟子側の責任
 ・密教経典を総合的に検討した結果として
 ・自分が知っていた教団の一連の事件への関与など
 ・今後の社会との対応について
 ・他人の失敗の例から学ぶ必要がある
 ・密教は、「グルが完璧である」という客観的事実を主張しているのではないこと
 ・グルに弟子の悪業が投影されたと考えるべき場合もあること
 ・密教的な実践をする弟子には、帰依すべきどうかを判断する重大な責任があること

【2】ポワ、五仏の法則等の密教法則の解釈の過ち
 ・ポワについて
 ・五仏の法則について
 ・文字通りに解釈する場合の様々な問題
 ・事件後も帰依している本当の理由
 ・信じることと、知っていることの違い
 ・信じたいから信じているのではないか

【3】愛著の結果としての元代表への盲信
 ・愛著を背景とした盲信
 ・間近で元代表を見ていた元高弟の見方
 ・盲信せずに、教団の現状をありのままに見る
 ・元代表や自分自身への愛著のあまり、盲信したのではないか
 ・超能力、神秘的な現象に対する無智・免疫の不足 
 ・信じた本当の理由は何か
 ・多くの信者にある入会・出家前の社会での不満・傷
 ・全ての人々の存在が、私たちへの愛である
 ・教団と社会の間で続く対立を解消するために
 ・自信がないのではなく、楽をしたいから自立しない


【4】元代表の復活や旧教団の予言について
 ・元代表の復活の願望について
 ・旧教団の予言の分析
 ・元代表の予言は、逆成就している
 ・教団と日本社会の接点
 ・私たち日本人の信者の潜在意識、カルマが投影された元代表の予言

【5】新団体: グルイズムを超えた修行法・宗教観
 ・グルイズムを超えた修行法について
 ・ダライ・ラマ法王が強調する、師ではなく教えへの信
 ・グルがいない場合の修行法を説くヨーガ根本経典
 ・全ての人々がグルである、という教え
 ・一元の思想による崇拝の対象の大転換=全ての存在が師であること

【6】新団体: 二元論を超えた一元論の実践へ
 ・旧教団の問題、善悪二元論について
 ・善悪二元論による被害妄想
 ・善悪二元論による誇大妄想、盲信・狂信
 ・一元論的な教え・思想の実践
 ・善悪二元論がもたらす堕落、怠惰、無智
 ・教団信者に共通する心理的な傾向
 ・真の叡智としての新しい宗教を推進すること
 ・贖罪としての人類の平和・幸福への貢献
 ・新団体の大前提である、事件の被害者・遺族の方々の賠償の継続・改善

【7】仏法から見た今後の信仰実践の道
 ・仏法は、社会に対する慈悲の実践を前提とする
 ・二つの選択肢:新団体か、個人的な実践か
 ・現在の教団の根底にある、元代表=キリストの信仰を越える
 ・元代表の家族の人々に対する帰依について