「お城紀行」の投稿で、暫く中断していましたブログテーマ『城郭建造物の「櫓」の内「平櫓(一重櫓)」』を再開します。

 

「平櫓(一重櫓)」については、「はじめに」をブログで掲載していますのでどうぞご覧ください。

 

「平櫓(一重櫓)」の「はじめに」↓

※全国の「平(一重)櫓」の概算数、その出所、算出に当たっての自分自身の定義等を記載

 

「平櫓(一重櫓)」は、単独で建っている例はそんなに多くなくて、複合「天守」に付随する単層(一重)の「付櫓」や「多門櫓」、「二重櫓」「三重櫓」「櫓門」に付随する「続櫓」や「多門櫓」に多く見られます。

 

従って、「櫓」の中では、「三重櫓」や「二重櫓」とは違って、見た目が少し地味な「平櫓(一重櫓)」ですが、色々と歴史やエピソードなどもあるかと思いますので、併せてお届けしていきたいと思います。

 

現在の所、「櫓」類は全国で概算総計は約286基(内、「現存」134基、「復元、復興、模擬」152基で、その内、概算数字ですが「平櫓」148基、「2重櫓」113基、「3重櫓」25基あると思われます。

 

 

今回は、「出石城」と「備中松山城」の「平櫓(一重櫓)」をお届けします。

 

出石(いずし)」(兵庫県豊岡市)

1574年に「山名家」が「有子山」に築いた「有子山城」は、「豊臣秀長」によって攻められて落城し「但馬山名家」は滅亡します。

 

その後「豊臣政権」下で「小出吉政」等が城主となり、1604年には「小出吉英」が山裾に「出石城」を築城して統治しますが、1696年に「小出家」は所領没収となり、「藤井松平家」を経て1706年に「仙谷(せんごく)家」が入封します。

 

1835年には、お家騒動「仙谷騒動」が原因で5万8千石から3万石へ減封されました。それでも以降、幕末・維新まで「仙谷家」が統治し続けました。

 

現在「出石城」において「平(一重)櫓」が見られるのは、1968年に建てられた復興「西隅櫓」に付随する「続櫓」です。

 

「西隅櫓」は「東隅櫓」と共に「稲荷曲輪」跡に建ち、「西隅櫓」の方だけに「続櫓」が付随します。外壁は「白漆喰総塗籠め」で、屋根は東側と南側に「入母屋破風」が付きます。

 

復興「西隅櫓」に付随する「続櫓」(北から) ↓

復興「西隅櫓」に付随する「続櫓」(入母屋破風が2つ付く、東から) ↓

復興「西隅櫓」に付随する「続櫓」(入母屋破風が2つ付く、東から) ↓

復興「西隅櫓」に付随する「続櫓」(右側に見える続櫓、西から) ↓

復興「西隅櫓」に付随する「続櫓」(「本丸」跡から見下ろす) ↓

 

 

備中松山」(岡山県高梁市)

戦国時代以前には、「高橋家」が築城して「秋庭家」や「上野家」等が入城しましたが、戦国時代に入り、「毛利家」の傘下で「三村家」が整備を行いました。「三村元親」は「織田信長」方に寝返えりましたが、「小早川隆景」によって攻められ自害しました。

 

「関ケ原の合戦」後は、幕府直轄地となり「小堀家」が城代として入り、麓に「御根小屋」が建てられました。1617年には「池田長幸」が入城したのを皮切りに、「水谷勝隆」が「天守」を建てて大修築を行います。

 

しかし、「水谷家」は3代続くも嗣子なく廃絶となり、「赤穂城」の「浅野長矩」が城の受取りを行い家老であった「大石良雄」が城番となって滞在しました。

 

続いて、1695年から譜代大名の「安藤家」「石川家」を経て1744年に「板倉勝澄」が5万石で入封して、「板倉家」は幕末・維新まで統治を続けます。

 

「備中松山城」に築かれた櫓は、「天守」後方に建つ「小天守」替りの「二重櫓」以外は10櫓全てが「平櫓」でした。現在その中で、二基の「平(一重)櫓」が復元されています。

 

どちらも「本丸」跡に建ち、一つは「五の平櫓」で現在は管理事務所として使用され、もう一つは少し長めの「六の平櫓」で現在は内部に資料展示がされています。

 

両「平櫓」共に「下見板張り」で、中央に庇付きの入口を設けています。また「石落とし」や「出格子窓」が「二の丸」跡から目立ちます。

 

復興「五の平櫓」(管理事務所として使用、「本丸」跡側から) ↓

復興「五の平櫓」(大きな「石落とし」、「二の丸」跡側から)と重文「天守」 ↓

復興「五の平櫓」(大きな「石落とし」と「出格子窓」、「二の丸」跡側から) ↓

復興「六の平櫓」「五の平櫓」と重文「天守」(「二の丸」跡から) ↓

「鎬馬出」の左に復興「六の平櫓」(「出格子窓」が二箇所見える) ↓

復興「六の平櫓」(「本丸」跡側から)

復興「五の平櫓」「六の平櫓」(重文「天守」から見下ろす) ↓

 

 

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