[もう一度観たい映画] 「シェルタリング・スカイ」が浮かぶ | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?



今日の「もう一度観たい映画」は…






シェルタリング・スカイ


ベルナルド・ベルトリッチ監督作品


デブラ・ウィンガー、ジョン・マルコビッチ出演



1990年公開のイギリス映画



さて、この映画、僕は好きな映画の五指に入れるかもなぁ〜


映画には「鑑賞者と同じ目線」の共感型の映画と、「未だ見ぬ知らぬ世界」へと誘われる未体験型映画とある、と思う


この「シェルタリング・スカイ」はその後者であります


「私たちは観光者ではない、トラベラーよ」と、こだわるアメリカ人夫婦を通じて、習慣も道義も宗教も違う、全く異質の価値観の世界へと迷い込む映画…


砕け散る普遍的なるもの…


矯正される価値観と圧倒的なる新機軸…


とにかく、全てが未知…とも言える映画かと



解説・あらすじ 〜Yahoo映画〜


>ベルトルッチ監督による、エキゾチックなラブ・ストーリー。第2次世界大戦後まもない1947年、ニューヨークから北アフリカへある夫婦が旅行にやってくる。かつて2人を取り巻いていた活気が薄れ、愛も夢もなくなってしまったことに気づいた夫婦は、この北アフリカで何かを発見できるのではないかと考えていたのだ。しかし、旅行を続ける内にかえって2人の関係は険悪になってゆく……。


なんとも退廃的というか、厭世的というか…





倦怠期のアメリカ出身の中年夫婦が砂漠を旅するうちに現実から切り離され、粉々に打ち砕かれてゆく…というか、生も死もわからないほどの境地に辿り着き、逆に、生まれ変わってしまう…というか、この世界の最も深い断崖に堕ち、その裏側を覗きこんだ挙句、生還した時、なにを見出したのか…⁇ 


といいますか…


あのね、非常に哲学的な作品だと思う





示唆と喩えに満ちた言葉に溢れてる、かと


まぁ、あとね、撮影がとにかく素晴らしい





壮大にして、無慈悲、残酷なる、砂漠の永遠…


あぁ、これ、絶対に映画館で観るべき作品だよなぁ


僕はビデオだったけど、もったいなかったなぁ


撮影監督は名キャメラマン、ビットリオ・ストラーロだよな


マジで、これぞ映画っ‼︎ という圧巻の映像美だと思う


また、坂本龍一さん作曲のメインテーマの悲哀と儚さが超秀逸…



サントラ即買いしましたぁ



♫戦場のメリークリスマス のメインテーマも素晴らしいけど、いい勝負しとる


で、監督は「ラストタンゴ・イン・パリ」「ラスト・エンペラー」のベルトリッチであります


実に、緻密にして、繊細…


僕は驚いたわけ


映画を一度観て、こりゃもっと奥まで知りたい…と感じて、ポール・ボウルズの原作小説を読んだわけ


そしたら、浮かぶ、浮かぶ…


映像が、めくるめく…


映像が、湯水の如き脳内に溢れる…


で、初めて実感したわけよ


原作小説を映像化するって、こういうことなんだ…と


この、演出力と映像力はまさに圧巻っ


また、さらに原作がよかったわけ


1940年代に書かれた小説なんだけど、映画では描き切れない慟哭の模様を仔細に噛み締められたんだ


昔の角川映画ではないですが、みてから読むか、読んでからみるか…じゃないけど、映画と原作小説のその両方を、ここまで、骨の髄まで味あわせでいただいたのはこの「シェルタリング・スカイ」が1番だったかなぁ、と


これってつまり、そのどちらもが超極上…ってことだな


あぁ、素晴らしい相互鑑賞だったなぁ〜っと


類を見ない相乗効果の感激と興奮…でありました


で、原作者であるポール・ボウルズご本人もご出演されていて、これが実に味わい深いのであります


理屈では語りきれない世界の「無慈悲」と「美しさ」が浮き彫りになる映画…かなぁ




キット と ポート 


二人は引き裂かれ、究極の奈落へと堕ちます


この、圧倒的なる過酷…の意味は⁇


果たして、これは絶望なのか⁇


あるいは…⁇


んんん


あぁ、絶対に、もう一度観たい映画…であります


御愛読感謝