これ、昨日から話題になっている、「亀田一家、協栄ジム訴える」のつづき…
>ボクシングの亀田興毅、大毅兄弟の所属事務所「亀田プロモーション」(東京)が、出場した試合の分配金が支払われていないなどとして、試合当時に在籍していた「協栄ボクシング」(同)と興行主の「協栄ワールド」(同)に計約1億180万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。
(中略)
訴状によると、亀田兄弟が協栄側と結んだ契約では、出場した試合の利益の67%が分配されることになっていたが、07年4~7月に行われた4試合について一部しか支払われていないとしている。
「読売新聞」には、このように出ていた…
これ、どの試合をさすのか?
07年の4~7月って…
亀田興選手が戦った相手は…
07年5月23日 VS イルファン・オガー
07年7月28日 VS セサール・ロペス
亀田大選手が戦った相手は…
07年4月30日 VS クリストファー・テポラ
07年7月28日 VS ファーペッチノーイ・グラティンデーンジム
が、この新聞記事に該当する期間内に行われた試合ですねぇ…
で、協栄ジムと結んでいた契約というのが、「出場試合の利益の67㌫を分配する」というモノだったそうで、それらの概算が『1億180万円』だそうで、ははぁ…って改めて唸ってしまったわけであります。
また、内藤戦前後に協栄ジムに「貸し付けた?お金」の返還も同時に求めている…とかなんとか別の新聞に記述があった覚えもありますが、さて、これらの格下相手(ファーペッチノイのみ、格上とも言えそう)の『前哨戦』を合わせるとそんな金額になって、また、そんな「ファイトマネー」の契約があるんだぁ…と改めて感じたわけです。
もっとも、これは亀田兄弟だからなし得た「異例中の異例契約」だと思うわけですが、しかし、こうしてこのような数字を改めて眺めると、「そりゃぁ、負けられないわなぁ…」って感じたわけです。
つまり、「失敗したら稼げなくなる」…ってことにどれだけ躍起になって来たかが浮き彫りにされているニュースでもあるのだなぁ…って感じますねぇ。
また、協栄ジムサイドもこの亀田大×内藤戦前のこの時期は「金を産む木」として亀田一家を特別扱いしていたわけで、また、そのような通常ありえないような契約を認めるしかなかったのだとすると、この支払い問題の真相は別にして、やはり、『リスク回避』と『ビジネススタイル』に関しては双方の利害が一致して行われていたわけだから、これに関しては今更ながらファンがしらけるのは無理もない…
急所に当たらなくとも倒れる対戦相手たち…なんて揶揄される亀田兄弟の世界前哨戦の対戦相手…
そういえば、今日、立ち読みした「ボクシングマガジン」のインタビュー記事、WBA世界フライ級チャンピオンのデンカオセーン(10月に亀田大選手との防衛戦に臨む予定)の声の中に、「亀田大選手のビデオは観ましたか?」の問いに、「はい、でもどれが決定打だったかわからないかったけれど…(苦笑)」みたいな発言もありましたね…
さて、しかし、「本当に強いボクサー」ならば幾らでもお金は稼ぐべきなのだ…
そして、そうでなければならない…
ただ、亀田兄弟に関して言えば、「本当に強い」かどうかが解らないままだからなんだか嫌になっちゃう…
しかし、その父・史郎氏によるビジネス手腕は抜群だったわけですね…
また、TBSという巨大メディアがその増長に加担、ボクシングの「切実」を霧の彼方に隠してしまったわけですが、改めて感じるのは、「普通のボクサー」たちはどのような環境で戦っているのか…?ということであります。
このようなニュースを読まれた一般の方々に、「へぇ、ボクサーって意外と儲かるんやな」なんて勘違いをされても嫌な心地が残る…
一般的に、「ボクサーは儲からない」が定説にはなっていますが、改めて、過去にちょっと書いたボクサーの「ファイトマネー」に関する記事を再収録しておきます…
以下はそれです…
========================================================================================
血の滲むような厳しい練習と連日仕事をこなしながら選手たちは極限まで自分を追い込み続けているわけでありますが、ジムによって様々なケースもあると思いますが、場合によってはそのファイトマネーが「観戦チケット」で支給される場合もあるなんてよく聞きますよね…
試合前のボクサーたちですが、身も心も研ぎ澄まし、さらに、それとは別にチケット販売の営業活動まで励めと言うのは非常に酷というものではないか…とは常々感じておりました。
で、ファンが応援するボクサーの負担をいくらかでも補うことができ、さらに、確実にチケットを入手できるのであれば、これは双方にとって非常に都合が良い…
最近はそれぞれが「自分」を紹介する「ブログ」を管理しているボクサーも多いので、これを是非もっともっと活用して貰い、さらにファンの気持ちが、直接選手に還元できるようになればより良い環境に近づくのではないか…?とは素直に感じたわけであります。
とは言え、例えば、地方の選手が後楽園ホールのリングに上がると決まったとして、僅か数千円のチケット代よりも交通費の方が高い…なんて捩れ現象もありそうだし、にも拘らず、その僅かなファイトマネーでさえチケットによる支給なんてあってもおかしくないわけで、選手たちの過酷は日々のトレーニングと減量苦のみに非ず、すなわち、「現実世界」との戦いはリングの上以上に実は壮絶を極める…なんてのは言い過ぎではないかもしれない。
で、インターネットをちょっと徘徊して見つけたコラムがこれ…
これは新田ジム会長で、元東洋太平洋バンタム級チャンピオンの新田渉世さんのコラム…
切実であります…
「赤字覚悟」で命懸けて戦う選手たち、そして、そんな選手を抱えるジム会長とプロモーターの関係性…
これは絶対にみなさまに目を通していただきたい内容であります。
で、みなさまが素朴に感じているある疑問…
とどのつまり、選手たちの「ファイトマネー」って一体幾らくらいなの?
これは実は僕もよくわからないのでありますが、あるサイトにまとめられていたものを見つけたので、ここにご紹介しますと…
…これは、ダイエット用品販売のコーナーがあって、その下の方にファイトマネーの目安が載ってます。
以下、その一部抜粋…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○基本のファイトマネー 4回戦 --- 6万円
6・8回戦 --- 10万円程度
10回戦 --- 15~20万円
○日本タイトルマッチ チャンピオンで50~150万円
挑戦者は20~30万円程度
※そのファイトマネーの33%はマネージメント料として、その他保険料などもかかる為に、4回戦の時点で手取りは3万円くらいしかないそうです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
…だそうでありますが、もちろん、選手個人による人気度合いや様々な条件によって変わるものでありましょう。
ただ、間違いなく言い切れることがある。
それは、ズバリ、「ボクサーの生活は苦しい」…であります。
仕事との両立は本当に厳しいでしょうねぇ…
日本チャンピオンがレジを打ちながら暮らしている…とか、そういうのは嘘ではないようであります…
「世界チャンピオンになったら都心に家を建てて、そんでスーパーカーを乗り回して」…なんてのは実は昔話。
そう、なんと言ってもあの世界チャンピオンを想い出す…
WBC世界フェザー級チャンピオンになった福岡の越本隆志選手、韓国の世界王者・池を地元に呼んで世界戦を開催、そして、見事戴冠を果たすも、そのファイトマネーは「¥0」であった…
しかし、チャンピオンになったのだから、これから稼ぐぞ…だったはずですが、その初防衛戦も地元福岡で開催するも、こちらも確か「¥0」だった…
借金しながら世界チャンピオンになる…とは、これ、あまりにも惨すぎる話であるが、残酷なようですが、「人気商売」であり、そのファイトを通じて観客を動員しなくてはならないわけで、それは陣営の戦略と責任であるから、単純に気の毒だ…と言い切ってはいけない… これも現実であります。
※ここにある方から越本さんのファイトマネーに関してご指摘を頂いたので貼っておきます。
<自分は福岡在住なのですが越本会長の防衛戦はまたファイトマネー0円の危機にもなりましたが、相場より低いものの数百万程度はもらえたそうですよ。余談ですが越本会長は現在、地元にて興業時、高校生以下は入場料無料など底辺拡大のために尽力してらっしゃいます。>
辰吉選手と薬師寺選手が戦ったときには双方1億7千万円が保証された…なんて上の「日本一のボクシングジム~」にありますし、また、畑山選手なんかもかなり大きなファイトマネーを手にしているでしょう…
で、今をときめくWBC世界フライ級チャンピオンの内藤大助選手、その世界戦での挑戦者としてのファイトマネーは確か100万円だなんて報道されていて、あの初防衛戦で亀田次男を迎え撃ったわけですが、チャンピオン・内藤選手が1千万円で、なんと、挑戦者の大毅選手が1億円を手にした…なんて記事もありましたね…
あの一家ぐるみの反則タイトルマッチでファイトマネーが1億円かぁ…
そう言えば、亀田興毅選手のデビュー戦は1千万円だった…なんてのもあったよな。
僕は件の一家には批判的な立場でありますが、この認知度拡大へのただならぬ努力に関しては、やはり唸るところありますね…
それはそれとして…
さて、選手たちがその「切実に見合う報酬」を確実に得るべきだとは思いますが、それは当然として、つまり「ファイトマネー」や「その他の権利」がさらに手厚く保障され、そして、選手たちの「一生懸命」が報われないというこの「理不尽」が少しでも早く緩和されることを願ってやみません。
======================================================================================
さて、亀田一家がお金を稼ぐのは自由であるし、その手腕やビジネススタイルは賞賛されてもいい…と思うのですが、問題は真剣勝負の「質」があまりにも悪いからいただけないわけですね…
そして、そんな彼らが脚光を浴びる一方で、地道にして険しいボクサーとしての本道を歩む選手たちの「環境」をもう一度見つめなおしたい…と感じた次第であります。
御愛読感謝
つづく