ボクシングの聖地、後楽園ホール…
改めて、本当に奇妙な空間だなぁ、と感じる…
その血飛沫と青春の迸りと、そして、命懸けの殴り合いを観るために、僕はそこへ度々足を運ぶわけですが、なんでまたこうも魅せられてしまうのか、不意に、僕自身困惑することも度々でもある…
来る6月24日(水)、あるボクサーが再びのタイトルマッチを目指し、このリングへ上がる・・・
日本フェザー級3位、秋葉慶介 11勝2KO5敗4分…
自らを「勝負師」と呼び、漫画「ドラえもん」に登場するガキ大将「ジャイアン」のテーマで入場する32歳…
今をときめくWBC世界フェザー級チャンピオン、粟生隆寛選手が日本チャンピオンだった頃、初めてのタイトルマッチのリングに上がったのは07年の7月7日、七夕祭りの夜であった…
その時の判定負けのスコアは「93-97」「94-97」「95-97」のユナニマスデシジョン…
それ以降の戦績は1勝1敗2分…
この数字に彼の悶えを僕は見るが、しかし、その対戦相手は元日本チャンピオンで今年現チャンピオンの松田選手を苦しめた梅津選手に、一階級上の上位ランカー川村選手との対戦も含まれる…が、ランカーという肩書きに見合った痛快な勝利からは少し遠ざかってしまった印象は拭えない…
特に、同僚の榎洋之選手がWBAチャンピオンのクリス・ジョンに挑んだ試合のセミファイナルで登場した試合では、ノーランカーであった小野澤選手相手に引き分け…
その意気込みは空回り、小野澤選手のアウトボクシングの前に、得意のワンツーが突き刺さることはなく、世界戦のリングを温めきることは出来なかった…
心と体のギクシャクが秋葉選手を苦しめていることは知っている…が、そうは言っていられない。
一旦決定した再起戦はアクシデントの怪我で流れてしまった…が、再び、同じカードで迎える勝負試合はいよいよ二日後だ…
再びのタイトルマッチへの切符をもぎ取れるかどうか、それはこのリングに掛っている…
もう32歳だ、やり直す時間は残り少ない…
とにもかくにも、ただ、勝つしかない…
そんな秋葉選手のベストバウトはいつかの小林生人戦だったか…?
ジャッジ三者がフルマークで支持したあの試合は、当時、無敗で挑んだ日本王座挑戦失敗後の再起に燃えていた小林選手が相手であったが、素晴らしい内容であった…
願わくば、もう一度あの頃の闘争心と、なにがなんでも…を取り戻し、悔いの残こすことのないよう、「三十路の矜持」を、「勝負師の矜持」を爆発させてほしい…
さて、対する7勝2KO6敗の東上選手であるが、ここ5戦は1勝3敗1分の戦績の28歳であるが、僕はここに彼の苦悩と意気込みを感じないわけにはいかない…
思えば、地方ジム所属であってかつての秋葉選手が角海老ジムへの移籍を果たし、そして、待望の日本ランクを勝ち取ったのは06年9月であり、それは29歳の出来事である…
つまり、「あの頃」の自分との戦いでもある…とは言えないだろうか?
間違いなく、強敵である…
自らの闘争心を充実させ、いつかの自分を取戻せなければ苦戦必至…と見る。
東上選手はあの頃の自分、「なりふりかまわず」勝ちに来る、そのボクシング人生を賭けた「勝負試合」、ランク獲りの一戦となるのだ…
それは東条選手にとっての「タイトルマッチ」でもあるのだ…
僕はこの試合にはある特別な想いを胸に生観戦を予定している…
華々しくチャンピオンベルトの賭けられた試合ではなくとも、ここにあるのは「ボクサー人生」を賭けた「ボクサーの矜持」を賭けた『男』の戦いの匂いをプンプンと感じるからだ…
泥臭くて、必死な、なりふりかまわない戦いを期待している…
また、メインの日本ライト級ランカー対決、「加藤×熊野」も同様にそのような匂いを漂わせている…
平日興業であるけれど、お時間のある方は是非後楽園ホールへ足を運んでみてはいかがであろうか…?
そして、「勝負師」に頼みがあるのだ…
なぜ、かくも「ボクシング」がこうも僕の魂を揺さぶるのか、もう一度教え欲しいのだ…
そのファイトと生きざまを通じて、もう一度、奮い起させてくれ!!!
御愛読感謝
つづく