小松則幸選手のご冥福をお祈りいたします… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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ボクサー 小松則幸さん心肺停止…滝で修行中 亀田戦控え 毎日新聞



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これはなんという悲しいニュースでしょうか…?


元東洋太平洋フライ級チャンピオンで、あの全盛期のポンサクレックにも挑んだ現日本フライ級ランカーの、小松則幸選手がお亡くなりになってしまった…


来月、世界ランカーの亀田大選手と戦う予定となっていて、これは背水の陣であり、多くのボクシングファンがその頑張りに期待を寄せていた矢先の出来事…でありました。


新聞等を読んでみると、これは完全に事故のようで、精神修行の為に京都のお寺へ赴き、そこである滝の存在を知った小松選手は関係者の方々とそこへ訪れ、不意に、姿が見えなくなったという…


そして、その後に心肺停止状態で滝つぼで発見されたそうで、足を滑らせたか、何かそういうアクシデントに見舞われてしまったようです…


しかし、なんとも言えない物悲しさが込み上げてまいります…


かつての小松選手はそのタフネスとど根性で無類の強さを誇っていたのですが、当時日本チャンピオンだった内藤大助選手との日本初の日本&東洋太平洋ダブルタイトルマッチに挑み、中盤TKOで破れてしまったわけですが、それ以降、やや試合で実力を発揮できなくなっていました…


この敗戦で東洋太平洋チャンピオンから陥落し、その後、当時日本チャンピオンだった吉田健司選手に挑むも、これは吉田選手のラフファイトに巻き込まれる形で負傷判定負けを喫する…


その後は外国人タイ選手を相手に調整を続けるも、度々窮地に立たされる、あるいは、薄氷の勝利を辛うじて手に入れる…という内容の試合が続き、最新試合は今年の2月9日、タイの元世界チャンピオンのラタナポンに僅か1Rで3度倒されてTKO負けを喫していた…


そして、5月に亀田大選手との試合が決まった矢先の、この訃報でありました…


しかし、その全盛期におけるトラッシュ中沼選手との2度にわたる激闘は伝説となっています…


改めて、小松則幸選手を想う…


かつての輝かしい栄光と、最近の不本意な試合成績の狭間で揺れ動いていたであろう小松選手の胸中を想うと、なんとも奇妙な切なさが湧き上がってくる…


かつての強かった頃の自分と、現在の思い通りにならない自分…


その「隙間」をいかにして「埋める」か、また、そこにかつてあったものは取り戻せるものであるのか…?


苛立ちと焦燥感は尋常ではないもの…であったのではないか?と、想う…


そして、日本で最も有名なボクサーと言っても過言ではない、亀田大選手からのオファーを受けたことで、その精神世界はただならぬ領域で苦悶していたことだと想像する…


亀田大選手に関しては、このような評価をよく聞く… 6回戦レベル、あるいは、温室培養された特殊な選手、捏造の産物… しかし、前の試合、元世界暫定チャンピオンであったワンディー・シンワンチャーをボディーブローで蹲らせてTKO勝利し、その評価をやや上げたものの、とは言え、総じての評価は「まだまだ真の実力はわからない」…という印象がその大多数か… 


そんな一方で、ここに来て小松選手が戦うと決定し、多くのボクシングファンの期待が集まるようになっていた…


叩き上げのかつての名東洋太平洋チャンピオンに、ボクシングの恐ろしさを亀田大に教えてやれ…、あるいは、その「化けの皮」をはいでやれ…という気持ちが僕自身込み上げてきたのを否定はしない…


ボクシングはどの試合も「絶対に負けられない」…ってことは当たり前でありますが、しかし、この亀田大戦は特に特殊な多くの想いがそれに拍車を掛けていたように想う…


そのプレッシャーでありますが、小松選手にとって、ある種の異常な性質の感触を秘めていたことは間違いない…


ボクシング好きとして、何とかこの「切実」を取り戻してくれ…という気持ちになる一方で、最近の小松選手の大苦戦ぶりを知っているだけに、非常に複雑な気持ちにもなっていた…


歴戦の戦いによって蓄積したダメージを危惧する声も多く、最近のある種の打たれ脆さや、極めて深刻な反射神経の衰退は誰の目にも顕著であった… それはかつての強かった頃の小松選手を多くの方が知っているからでもある…


そして、そんな最近の小松選手の「不本意」に目をつけた亀田陣営にある種の「厭らしさ」を感じた方も多かった…


例え「天地がひっくり返ろうとも」負けられない戦い…を控えたボクサーの気持ちを想う…


小松選手は、どんな気持ちで「修行」していたのだろう…?


もしかしたら、ボクサーとして…以上に、「男」、小松則幸としての『自分』を再び取り戻したい…という想いが相当に強かったのではないか…?と、僕は感じる。


亀田大選手に勝利すれば、世界ランクを再び手に入れることが出来、また、話題性も得られ、多くのファンにその復活を印象付けられることは間違いない…


しかし、それ以上に、ここ数戦の「自分の不出来」が許せなかったのではないか…? 


不甲斐ない結果を出してしまった自分が許せなかったのではないか…?


一刻一秒でも早く、「自分」を取り戻したかったのではないか…?


その京都の寺に紹介されたと言う山道を想う… そして、そこに聞こえたであろう水の音、滝の音を想う… 恐らくは狭くて急斜面な、その小径を想う…


ワラにも縋る想いで山道を歩いていたのだろうか…?


あるいは、何か手応えを感じながら山道を歩いていたのだろうか…?


かつての自分でもない、今の自分でもない、何か、「新しい自分」は、この精神修行で見つけられたのだろうか…?


少し、不謹慎かもしれないけれど、僕は小松選手の「気持ち」がどの場所まで進んでいたのか…?という部分に何かこだわってしまう…


願わくば、小松選手がこれらの精神修行や、あるいはここ最近の猛練習で「新しい自信」や「新しい自分」を発見し、それに手応えと実感を手に入れてくれていたら…と激しく感じました。


しかし、ボクシング好きには本当に辛いニュースとなってしまいました…


小松選手、本当にお疲れ様でした…


あなたのガッツ、ど根性、絶対に忘れません…


心よりご冥福をお祈りいたします…


最後に、いつかの内藤戦、動画を貼っておきます…


小松則幸×内藤大助 東洋太平洋&日本フライ級タイトルマッチ Youtube