河野×相澤の勝敗を分かつ『鍵』…について | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

昨晩は徹夜でした… 仕事で時間が繋がってます…

が、今週末は日本・東洋太平洋スーパーフライ級タイトルマッチ チャンピオン・河野×挑戦者・相澤…

仕事の隙を見つけたら、妄想開始します…が、眠い、だるい、鼻水が落ちてくるぅ… ガホゲホォ…!!

セミは東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ、チャンピオン・サンティリャン×挑戦者・佐々木…

ガホゲホォ…!!  これもおもしろいはず…  ガホゲホォ…!!

楽しみでありま…ガホゲホォ…!!  御愛顧感謝

…から追記します!!!!


現日本・東洋太平洋の2冠王の河野選手と元東洋太平洋チャンピオン・相澤選手のサバイバルマッチ…


この好カードを予想する前に、それぞれの前戦を振り返りましょう…


菊井×河野4


WBA4位 WBC7位 日本スーパーフライ級王者 

河野公平 19W7KO3L


×


OPBF1位 フィリピン同級王者

エデン・ソンソナ 17W2KO1L


日本を代表する突貫型ファイター河野選手は強烈である。何と言ってもあのプロスパー松浦を破ったあのファイトが忘れられない。技巧派でスマートなあのプロスパーを粉々にしてKOしたのだが(名城選手との世界挑戦者決定戦で敗れた後だったからそのモチベーションを指摘する声もあったが)、あれは強烈でありました。その後は世界ランカー連続撃破で勢いに乗っていた自信満々の日本王者・菊井選手を破りって戴冠、初防衛も果たしてのこの東洋太平洋王座吸収狙い…


まさに、キャリアの中でも最も充実の時期にあると思われる河野選手に死角はなし…と僕は思っていたのだが…


1R ゴングが鳴った。王座を争うはフィリピンのナショナル王者でなんと18歳のサウスポー… 河野、いつものように前に出る…とその18歳の腕から繰り出されたのはまるで鞭のような変幻自在気味なジャブ・フック… あれは、まさに、天才・ツニャカオを思い出させるなんとも芸術的な軌道ではないか…!? と、突っ込んだ河野をタイミングよく突き飛ばしたソンソナ、河野いきなりダウン!? ざわ!? スリップの裁定… うそ、ダウンに見えた。 ソンソナ、さらに凄いスピードで真下から突き上げるアッパーカットまで持っていて、そこに絶妙な距離感を保つフットワークまで兼ね備えていると来たもんだ… 一方、河野の武器は強引なアタックでその技術を粉砕するラッシングパワーと気迫である… しかし、あのソンソナまだ18歳か!? これは天才だな… 不穏な空気を感じた。 ソンソナの手数有効打をとる。 ソンソナ10-9


2R 河野の突貫を捌きながら中間距離から絶妙なワンツーを放つソンソナ… 縦に下から、そしてサイドから強烈なボディーフックを放つソンソナ… しかし、河野は引かない。あの鋭い攻撃にひるむ気配なし。また、今夜はディフェンスがよい。ソンソナの鋭いコンビネーションを曲芸のようなダッキングでするするかわしながらプレッシャーをかける…!! 河野のボディー打ちから右ストレートを見舞った。技巧ではソンソナだがパワーでは河野… ここは河野の有効打をとる。河野10-9


3R 両者危険な距離でフックの応酬!!! 強烈にスリリングな瞬間!!! ソンソナのボディー打ちが印象に残るも、その後突き刺さった河野の右ストレートがソンソナの左まぶたをカットした!! 河野、自分のナックルをアピールしてそのカットが有巧打であることをアピール… 河野10-9


4~10R ソンソナのリズム感に自分の流れを掴み切れない河野。 距離を保たれ、打ち込もうとすれば跳ね返される展開。しかし、ソンソナのアウトボクシングを河野の気迫が押しつぶし始めた。河野の右がモロに当たり始めた。ソンソナの打ち終わりに叩き込む右クロスに場内は大いに沸いた。しかし、18歳とは思えないソンソナの度胸と技巧は驚異的だ。河野の右をかなり貰っているのに下がらないし果敢に出てくる。そして、そのフットワークも衰えないし、手数も減らないのだ。一進一退の展開もあるのだが、ここぞで好印象を残す河野の右がこの勝負を決定的なものにしたが、しかし、ソンソナのがんばりにも脱帽であった。 7Rのみ10-10としたが、それ以外は河野のラウンドとしました。


そして、不意に思い出したのが、あの「マルコム・ツニャカオ×ロリー・松下」の東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ…


あの天才肌のツニャカオが鞭のようなリードパンチを駆使するも、それを掻い潜ってダウンを奪い、さらに戦意まで喪失させた(結果は負傷判定勝負となりスプリットでロリーが勝利…)あのロリーの『気概』であり、また、プロスパーを撃破し、さらにこのリングで下がることを徹底的に拒否し続けた河野の『気概』が、その展開も含めてピタリと一致したことに感動した…


芸術的な巧さを駆逐する『突貫魂』と『気迫』…


これもまた、芸術的である…


11R 河野、前に出続けるも有効打が生まれず。ここは細かくとも手を出し、当てたソンソナのラウンド。ソンソナ10-9


12R そうだ、ツニャカオはロリーにしつこく攻められて「嫌になっちゃった」が、ソンソナは生き生きと戦い続けた。巧くて根性があって、そして、打たれ強くて、スタミナも十分あった… それだけ素晴らしいボクサーにポイントで上回っているであろう河野公平と言うボクサーであるが、どう表現したらよいのだろう。動きもスムーズでないし、目を見張る技術があるとも言い難い。しかし、『強い』のだ。この説得力の気持ちよさは何だ?


ボクシング観戦が辞められなくなる理由に、この「魂のほとばしり」を生で味わえること…があると感じる。


そして、日本人が伝統的に愛する「大和魂的潔さ」を感じるからだ…


坂本博之さん、川島勝重さん、そして、古くはファイティング原田さん…


「赤裸々な魂」を捧げながら… また、そういう「戦い方」しかできないボクサーが僕は好きなわけだが、河野選手、それを感じますね… やばいです。


最終12R、両者死力を尽くしました。スタミナも素晴らしかった。最後まで懸命でありました… 互角10-10


higege91の採点 118-112 で河野公平選手の勝ち!!!


公式の採点 115-113(ソンソナ) 115-113(河野) ざわ… 割れてます… 118-110…以上、2-1のスプリットデシジョンで勝者、東洋太平洋スーパーフライ級新チャンピオン、河野公平ー!!!!


やりました、2冠達成…


しかし、毎回思いますが、河野選手の応援団は団結力があって凄いですね…


これは強いわけだ… 


次はチャンピオンカーニバルで最強挑戦者を迎え撃って「世界」へアピールしたい…とインタビューで答えていた河野選手。


ムニョスと戦いたいとか言っていたような…


しかし、あれだけ巧いボクサーを粉砕したのだからその強さは間違いない… あのムニョスも粉砕できるかもしれない…


世界が待ち遠しいです。



…と言う天才肌の若いフィリピン選手を持ち前の突貫で撃破したと言う内容が河野選手。


で、この試合ですが、「見方」によると『ソンソナの判定勝ち』を唱えた方も多い内容でありました… まぁ、僕は生観戦していますが、会場の声援に救われた部分はあるかもしれませんが、しかし、「強烈な有効打」の印象は確かでありましたし、正直、「才能・技巧」はソンソナに軍配は上がったかもしれませんが、『勝負』は河野選手の勝ち…で揺るがないものであったと僕は思っております…


で、対する挑戦者、相澤選手の前戦を振り返る…


2007 9 24 後楽園ホール 

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ 




チャンピオン アレクサンドル・ムニョス(ベネズエラ) 30W27KO2L

 

×


挑戦者 WBA同級6位 相澤国之

13W10KO1L1D





1R いきなりフットワークを駆使、ムニョスと距離をとる相澤… ムニョス、距離をじりじりと詰めながら相澤に向かってジャブを丹念に繰り出す。いきなり、レフェリーが相澤の消極性をなじる。相澤の左が浅くヒットするも、終始攻め続けたムニョスのラウンド。残り10秒の右が有効。しかし、ここで早くも「パワーの差」に僕たち観客は歴然としたものを感じる。生でムニョスを見たのは有明の「名城戦」だが、あれは客席からリングが遠かったせいもあって、これほどのものとは正直驚きました。テレビ画面からもわからない「ハードパンチ」…正直、空振りする一発一発で「危険性」を感じるほど… 相澤に懐勝負を期待していたのだが、それは叶わぬようだと実感… ムニョス 10-9


2R ムニョスはコンスタントに左を繰り出し、そして、右強打を叩き込む。相澤、その強打の打ち終わりに踏み込んで左を突き刺すも単発に終始。相澤、ムニョスの強烈なワンツーをガードの上から食っても弾き飛ばされる。両者、決定的な有効打はなかったが、積極性とアグレッシブでムニョス ムニョス10-9


3R ムニョスの左アッパーが空を切る。そのパンチの軌道を見て観客がどよめく… あんなのがまともに入ったらお終いだな… ダイナミックなムニョスに対し、相澤は相変わらずの消極的な距離重視の体制。それに対してチャンピオン・ムニョスは少々イライラ… で、大きなパンチも目立つ。いきなりの右アッパーからワンツー!! 相澤、喰った!! ムニョスが倒しにかかる!!やばい、相澤、腰の引けたカウンターの左で迎撃するもこのままではどうしようもない… 客席から大きな声が飛ぶ!!!


「相澤ー、そんなきれいなボクシングしたって勝てねぇぞー!!!」


そうだ、その通りだ。…が、では何ができるか?真っ向勝負か?絶対に倒される。そうとしか見えない展開。相澤、ムニョスの有効打により右瞼カット。ムニョス 10-9


4R ムニョスの乱打の前に防戦するのが精一杯… フットワークを駆使するも、徐々に逃げ場を失い、その相澤のエリアがどんどん狭くなって行くのがわかる。厳しい。ムニョス 10-9



5R 相澤の左がよく出た。小さくともムニョスの頬を弾く。ムニョスお得意の大きな右アッパーの打ち終わりに右ストレートを合わせる。有功打。また、ムニョスのフルスイングを見極め、細かくパンチを見舞う。ここへきて初めて有功打数で上回った。しかし、ボディーに全く攻撃できないのが気になる。これではムニョスの体力が落ちることは期待できない。相澤10-9


6R 手数のムニョスに対して、前のラウンドからやや距離感と攻撃のバランスが取れてきた相澤… 見栄えのよい相澤の単発右ストレートとアグレッシブのムニョス。ここは互角とした。 10-10


…今日のラウンドガール 


7R これ、よく見えなかったのですが、相澤のパンチにバランスを崩したムニョスがおっとっと… 追撃の相澤、さらに右をクリーンヒットさせた。しかし、後半はムニョスが手数とアグレッシブで相澤を圧倒。そのコンビネーションは全部重いのだからたまったもんじゃない。ここはおまけの相澤としました。 相澤10-9


8R 相変わらずの劣勢ムードにあるが、少しずつ攻撃できるようになった相澤だったが、ムニョスのスタミナは落ちることなく相変わらず手数旺盛でアグレッシブ。そして、いきなり繰り出される左右アッパーが強烈。相澤、決定打こそ許さなかったが、攻勢は奪われる。 ムニョス10-9


9R ムニョスの激しくズシーンと重いワンツーが相澤を跳ね飛ばし、さらに赤コーナーに詰まったところでバランスを崩した場面でタイミングよく左を喰いダウン… ダメージの深刻さは感じられないが、これでますますもって厳しい情勢。ポイント挽回は厳しい。立ち上がって再開するもムニョスのパワーボクシングの前に相澤は単発狙い。これでは勝機が見えない。

ムニョス10-8


10R 深刻なダメージこそ負わないものの、ムニョスのハードパンチとその手数の前に隙を突くしかない相澤のボクシングは負けるのを待つ展開… じれる。 しかし、ここで玉砕戦法を望むのはどうかとも感じる。とはいえ、正直僕はストレスを感じてしまった。ムニョスの左右ボディー連打に背中を丸める相澤。音が違う。打って出なくちゃ可能性はゼロだ。ムニョス10-9


11R と、ここでムニョスが下がり、相澤がじりじりとにじり寄る展開に… ムニョス、スタミナ温存か… これは名城戦のようなアウトボクシング。迎撃ボクシング。相澤、打って出るもムニョスの強打に弾かれる。思うような距離で戦えない。ここでもっと強引に言ってほしかったが、それではむざむざとあの恐怖のアッパーの餌食になるか? ムニョス10-9



12R もうKOしかない相澤が打って出た。危険な距離でスリリングなパンチ交換。チャンピオン・ムニョスも勇敢に打ち合う。…と、ここで、ムニョスがひざを突いた。…あ? 相澤がニュートラルコーナーへ行くよう指示を受ける。しかし、カウントはとられていない。ダウンではない。…が、チャンピオン、疲れている。相澤がここで初めて「挑戦者らしい」ボクシングを始めた。やや打ち疲れたムニョスにカウンターを見舞う、…が、同じ数だけ強烈なパンチを返される。相澤の右ストレートにムニョスがまっすぐ下がる。効いてる…が、チャンピオンの意地は崇高な領域にある。打ち返す。跳ね返す。挑戦者の気持ちとチャンピオンの気持ちを比べる。チャンピオンの気持ちの方が強い。だから跳ね返す。このラウンドに限って言えば、ムニョスは苦しそうだった。そして、僕は思わず叫んだ。


「相澤、今しかないぞ!!」


試合終了を告げるゴングが鳴った。有功打数でムニョス 10-9


higege91の採点 118-110でチャンピオン・ムニョス、初防衛成功…


公式の採点 118-109 120-107 120-106 以上、3-0のユナニマスデシジョンで、勝者WBA世界スーパーフライ級チャンピオン、アレキサンドル・ムニョス~!!!


…完敗であった。


そして、僕の胸に去来したもの、それはチャンピオン・ムニョスの『勇敢な姿』であった。


これは相澤選手がアウトボクシングを主体に臨んだせいもあるが、これがそのパワーの前に跳ね返された時、その先に可能性を見つけられそうになかった時、もう少し思い切って戦って欲しかったというのが僕の本音だ。それは残酷なようだが、そこに感じられるモノ、目に見えて浮かび上がるもの、それが『挑戦者として必須の気持ち』ではなかろうか…?


そして、最終12R、打ち疲れが見えたムニョスがひざを突いた時、僕は思わずムニョスがんばれ…と言う気持ちを抑えることができなかった。それほど『勇敢』だった今日のムニョス…


いかがであったでしょうか?


厳しい観戦記になってしまいましたが、チャンピオンの壁は厚く、強固であった…


トレーナーの福田さんが果たせなかった夢…であるが、それを二人一緒に掴む事はできなかった。


そして、僕はこんなことを書きながらも、そりゃぁあのムニョスの豪快なパンチを味わってみたら迂闊に攻められるはずがない…とも感じているのだが、しかし、それが「気おくれ」となってしまった以上、勝ち目が見えず、悲しかったのだ。


これが『実力の差』…だとマジマジと痛感するほかなかったのであります。残念でした。


さて、相澤選手、いま、どんな気持ちなのでしょうか?


目一杯やった… それは認める。でも、『限界』まで戦えたか…?と言えば、違ったのではないだろうか?僕にはそう見えた。


それは最終12Rのムニョスの疲れ方と効き方を見たからだ。触れることはできなかったが、感じることだけはできたはず…


チャンピオン・ムニョスの果敢で勇敢な印象が強く残った。


更なる「心の戦い」…の進化を期待したいと感じました。


辛いのはわかってますが、それではチャンピオンの強さを認めるだけになってしまうじゃないですか…?



…と言う内容でした。


この両者が激突するわけですが、ボクサーとしての勢いと、目で見て分かる『勝負魂』…を比べた時、これは断然河野選手に軍配が上がります…


間違いない…


また、河野選手が撃破したソンソナですが、この若い天才的なボクサーの技術とアマエリート・相澤選手の技術を比べた時、正直、その「滑らかさと淀みなさ」に関して言えば、それ、ソンソナの素晴らしさの方が強い印象が残る…で、これを執念と魂で突き破った河野選手の『メンタルの強さ』と、『豪快な突貫精神』、『猛烈な前進とスタミナ』…が相澤選手を凌駕する…と言う予想が一般的ではなかろうか…?


また、前日本チャンピオンの菊井選手を破って戴冠した河野選手であり、この菊井選手と王座決定戦を争って敗れた過去を持つ相澤選手…


これも勝敗予想の材料とするならば、ある意味、非常に説得力のある明快なデータとなる…


両者が対決した菊井選手ですが、それぞれ充実期にあったし、どちらかと言えば、その戦いに勝利して一皮剥け、完全にブレイクしたのは相澤戦であったことを考えると、チャンピオンとしてさらに強くなった菊井選手を撃破した河野選手の方がさらに評価を上げて然るべき…


さて、しかし、河野選手有利と予想するも、相澤選手が「変わる」ならば分からない…


際どい勝負を自ら挑む勇気を体現出来るならば、勝負は互角となるはず… 


例えば、内藤大助×ポンサクレック3…における、内藤選手の相打ち覚悟のギリギリの「右クロス」…


あんな『捨て身の攻撃』が実践できたならば、勝負は分からなくなる… 


これ、河野選手は打てる… そういう際どい勝負を生き残ってきたのが河野選手だと言える…が、相澤選手、あの前のムニョス戦の如く逃げ腰の消極策を選択したならば、KOされてもおかしくない…


これが『間違いなく勝負の鍵』となる…


見ている観客の魂さえも削ってしまうような戦いを期待します。


御愛顧感謝


つづく