坂本博之選手に捧げるバラード… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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「KOキング」坂本が引退 世界戦4度の人気ボクサー

 ボクシングの元東洋太平洋ライト級チャンピオンで、世界王座に4度挑戦した坂本博之(角海老宝石)が現役を引退することが23日、分かった。来年1月6日に東京・後楽園ホールで10回戦に臨み、これが最後の試合となる。
 35歳の坂本は「平成のKOキング」の異名を取り、強打で鳴らした右ファイター。2000年3月の3度目の世界挑戦で、1ラウンドに2度ダウンを奪いながら逆転TKO負け。同年10月の4度目は畑山隆則(横浜光=引退)との壮絶な打撃戦が話題となった。
 少年時代は養護施設で育つなど悲運のイメージがあり、人気があった。晩年は腰痛でブランクが多かった。戦績は46戦39勝(29KO)7敗。


以上、(共同通信社)より転載…


 坂本選手、本当にお疲れ様でした…


 今思えば、初めて後楽園ホールに行った時のメインイベントはあなたでした…


 ボクシング…と言う究極のスポーツの醍醐味と儚さと理不尽と感動と…その全てを身をもって教えてくれたのはあなたでした…


 僕の中で、あなたの存在は圧倒的です…


 リアルタイムであなたを見てきました…


 自分の不甲斐なさに絶望しそうになるとき、僕はいつでもあなたのことを思い出しながら生きてきたと言っても過言ではありません…


 世界王者にはなれなかったけれど、多くのボクシングファンの方々の心の中で、また、あなたの戦いをテレビ画面の中で見た方々の心の中で、そして、ずーっと支援し続けていらっしゃる恵まれない子供たちの中で、あなたは世界王者以上の存在として、刻み込まれていると思います…


 勇気


 闘志


 強靭さ


 儚さ


 根性


 強打


 そして、感謝…


 みんなあなたが身をもって教えてくれたもの…


 かけがえのないもの…


 ラストマッチ… 必ず応援に行きます… 絶対に勝ってくださいね!!!!


 そして、最後に、過去にあなたについて書いた記事を再収録して、終わりにしたいと思います。


 本当にありがとうございました。

わが心の殿堂入りボクサー・坂本博之、35歳 3 年7ヶ月ぶりの勝利について…

坂本、やったぞ!! 3年7ヶ月ぶり  

<ボクシング:スーパーライト級10回戦>◇14日◇東京・後楽園ホール

 元東洋太平洋ライト級王者の坂本博之(35=角海老宝石)が再起戦を飾った。坂本はタイのライト級10位マンコントーン・ポンソムクワーム(20)と対戦。強烈な右フックを連発して計4度のダウンを奪い3回1分4秒、KO勝ちした。03年7月に椎間板(ついかんばん)ヘルニアの手術を受け、昨年5月の柏樹戦で2年7カ月ぶりにカムバックしたが5回TKO負け。「誰もが引退すると思う中での一戦。この一戦は重かった」と02年6月のナンアーム戦以来、1323日ぶりの勝利に安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 肉体改造を試みた。腰周囲の筋肉を鍛えるため、相撲のしこを練習に取り入れた。また毎週1度は筑波大に足を運び、インナーマッスルを鍛えた。今年12月に36歳を迎える年男。通算45戦目を白星で飾り「50戦ぐらいやりたい」と現役続行への手応えを口にした。


 以上記事抜粋



 よかった。これほど嬉しい勝利はない。上記記事にもあるが、2年7ヶ月ぶりの復帰戦は完璧なKO負けだった。壮絶な最後であった。大手術(腰のヘルニアの手術)を経ての復帰戦で、あの「世界の坂本」があんなふうに負けるなんて…って正直思った。


 それほどまでに僕たちの頭の中にある坂本博之とは『屈強』な男で、また、『悲運』な男である。


 平成のKOキングをはじめて見たのは10年前ほどの後楽園ホールで、初めての後楽園ホールだった。


 韓国ランカーかなんかを壮絶なKOで破った試合だったが、それは「衝撃」だった。背中を丸めて、グングン前へ前へ詰め、重い連打から1撃必殺のフックは切れ味抜群だった。かすっただけでも相手はなぎ倒されていった。日本王者、東洋太平洋王者になった。


 その後4度の世界挑戦はいずれも実らなかった。悔しかった。


 ボクはその中でも畑山戦が印象深い。打ち合い続け、前のめりに倒れた坂本をブラウン管で見たとき、歯が震えてガチガチ音を立てたのを覚えている。それ以来、坂本は「苦難の道」をさらに深く歩み続けることになった。


 復帰するもOPBF王者・佐竹政一にも最終12R、残り時間数十秒でKO負け…。


 この後、例の腰の手術を施す…。


 2年7ヶ月のブランク。


 そして、日本ランカー・柏木崇との対決。KO負け。


 強い坂本を知っているファンには「辛く長い」時間であったが、その数億倍、いや、どんな数字にも換算できない「悔しさ」が坂本の中にはあった事だと思う。当然な話だ。


 痛みを分かち合いたい…。その喜びを共有したい。それはボクシングに限らず、ある特定の選手やチームを応援するものの気持ち・想いの形だ…。


 坂本は自らその重圧ともなりかねない人々の心を、そして想いをその拳に語りかながら宿して闘い続けてきた。


 自分の中の自分の姿と、自分を信じる誰かの中の自分の姿を、これほどまでに重ね合わせようとしたボクサーはそうはいない。


 それほどまでに「ストイック」って、ありですか?


 これほどまでに「切実」って、いいんですか?


 そんなにも「強い」のに、もっと「強く」なるって、どんな「強さ」なんですか?


 坂本が一時孤児院で暮らし、その施設の子供たちを支援し続けている…って言う事実はわりと有名な話だ。幼い坂本とその兄弟が貧しく、雑草や川魚を食べて飢えを凌いだ…って言う話もわりと有名である。


 坂本のボクシング…、というか、その「拳」にはそんな自分を救ってくれた「ボクシング」というスポーツへの愛情と感謝が込められている。さらに、そんな自分の姿を見ている施設の子供たちの視線を一身に浴び、それを「自覚」し、それを「闘志」というエネルギーに変換し、その強打の一つ一つに、その剛打の一撃一撃に込められているから「見ているだけで観客を熱く」させるのだ。その「変換」という一語が、坂本博之というボクサーの「強さ」を紐解く『鍵』となるのではないのか…、と思う。


 声援、応援、支援にこれほどまでに誠実に、さらに真正面から応えようとする姿は本当に凄まじい。  


 自分の胸に手を当ててみる。


 すぐに「諦めて」ないか?


 すぐに「嫌」になっていないか?


 すぐに「逃げ出して」いないか?


 …ぐ。


 「理想」を貪欲に追求しながら、その糧を「支援者・応援者」たちの「心」の中に見出し、真正面からそれを受け止め、その「心」を一滴の無駄なく「闘志」に『変換』できるアスリートは、坂本博之がその「最高峰」であると思う。


 みんな応えようとするが、ここまで勝敗に関係なく支援者の「心」を『ファイト』に「結実」させ続けるボクサーを僕は知らない。


 倒しっぷりは最高に「豪快」で、その負けっぷりも究極的なまでに「豪快」なボクサー・坂本博之。


 ボクはあなたのその『誠実さ』が大好きだ。


 未来永劫ずっと応援します。


 だから、さらに「わがまま」を言わせて貰います。


 ボクのこの「心」もあなたの「闘志」の一部に『変換』して下さい。


 そして、この弱すぎるボクの心に、渾身の右フックを叩き込んでください。


 御愛読感謝


 つづく