東のホープ・粟生隆寛、リングで零した『涙』の理由…6・3 日本対メキシコ対抗戦!!! | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

 粟生VSフランシスコ1


 写真ではわからないかもしれない。


 …が、無敗の東のホープこと、粟生隆寛が試合終了直後に涙を流した。


 その『理由』は試合内容を振り返りながら考えてみたい。


  粟生 隆寛  11W 7KO 無敗 日本Fe級2位

  http://ameblo.jp/higege91/entry-10007797025.html    

  過去記事VSリチャード・カリーリョ


  VS

 

  フランシスコ・ディアンソ 20W 17KO 6L

 

 いよいよ日本王座挑戦を控えての前哨戦にあたるこの試合。某人気選手とは違う「実力者」との対戦を重ねる粟生は巧さに加えて柔らかさが武器の技巧派。サウスポーながら最近は「右」で相手を倒すなど、そのカウンターセンスに一層の磨きがかかってきた。ここはベテランのフランシスコをどう料理するか…? に、注目が集まっていた。


 しかし、闘いと言うものは蓋を開けてみなければわからないものである。


 1R 左構えの粟生は落ち着いている。一方のベテラン・フランシスコは褐色のファイター系ボクサーでガードを高く上げて左を突いてくる。ガツガツ…と前進してくるフランシスコの打ち終わりに見栄えのいい右を合わせる粟生。…っと、フランシスコ尻餅をつく!! ダウンか!? …スリップ。 粟生の有効打を採る。

 粟生 10-9


 2R 大きなパンチのフランシスコに対して的確な左右パンチを当てる粟生。 しかし、フランシスコはファンサービスに余念がない。大きく両手を広げ、さらに自分の胸を叩き強さをアピール。そして、お辞儀攻撃だ。愛嬌のある選手だなぁ… 粟生 10-9


 3R …しかし、このフランシスコ、相当な曲者であった。フランシスコ、もみ合いから粟生をマットに投げつける。粟生、たまらず倒れる。さらに体を押し付け腕を絡めてのラフファイト。自分の戦いが出来ない…というか、粟生の中にこれまでなかったボクシングだったのではなかろうか?しつこく接近、後頭部への加撃等ベテランの老獪振りを発揮。しかし、終盤は粟生が巧く捌いて有効打を当てる。 粟生 10-9


 粟生VSフランシスコ2

 

 4R ガチャガチャの接近戦!! 粟生がロープを背負ったところでフランシスコの大きな右が思い切りクリーンヒット!! あれ、粟生の動きが極端に鈍る。 き、効いてる!! 足も止まった!! ヤバイ!? 粟生、押されただけで膝が折れる!! スリップ…の裁定だがこれはマズイ。 多分、意識飛ばされてる。 何とか凌いだ? …というか、ゴングに救われた感が残った。 し、深刻な状況だ…。 フランシスコ 10-9


 5R 粟生、まるで柔道術のようなフランシスコの投げ技の前に倒される!? おお!? フランシスコ、倒れた粟生に対してレフリーの死角を付いて『足蹴り』 !? 会場からもさすがにこれは大ブーイング!! さらに無防備な状態で大きな右を喰う!! やばい…っていうか、粟生、もうグロッキー状態だ。 ここもゴングに救われた感が残る。 しかし、酷いなフランシスコ!! フランシスコ 10-9 (減点はなかったがあの足蹴りは問答無用に反則負けでもおかしくない…のだが、レフリーには見えなかったようだが、リングサイドのジャッジは見ていたはずだが何のお咎めなしとは…)


 6R しかし、フラフラ状態だった粟生、ここから盛り返す!! 普段のキレとフットワークが復調…とまではいかないが、ガチャガチャくるフランシスコに距離を保って右から左を打ち込み始める。見た目的なことだが、このRでやっと「正気」に戻ったような気がする。粟生 10-9


 7 8 9R 最初は愛嬌のあるフランシスコに苦笑していた観客だが、グローブタッチをする…と見せかけて攻撃、さらに相変わらずの柔術攻撃に敵意が増す。しかし、苦しい窮地から帰ってきた粟生、必死の攻撃を敢行!! ワンツーも決まり始め、スタミナが尽きた感のあるフランシスコももみ合いで膝をつく状態。へろへろだ。フランシスコのラフファイトに慣れてきた粟生、積極的に見栄えのよい左ストレートを突き刺す!!

それぞれ粟生 10-9


 10R 押し合いへし合いの『泥試合』の様相を呈してきた終盤だったが、粟生は倒しに掛かった。しかし、中盤はグロッキー状態寸前までダメージを受けた粟生だったが、よくぞここまで盛り返したな。フランシスコをダウン寸前まで追い詰めるも倒すには至らず…。 粟生 10-9


 公式の採点 98-95 98-94 99-92 

 Higege91の採点 98-92 


 以上、3-0で粟生隆寛の勝ち!!!


 …で、試合直後、粟生は思わず『涙』を流した。今日のブログの冒頭の写真はわかりづらいかもしれないが、涙を流していた。メキシコのベテラン・フランシスコ、まさに老獪極まりない戦術を尽しに尽くした揚句、粟生を抱き上げてその勇敢ぶり?を称えたのだが、なんとも変なボクサーであった。しつこく接近、死角があれば反則攻撃、グローブタッチと見せかけていきなり加撃、さらに「足蹴り」まで披露・・・。


 粟生はアマエリートである。さらに負けなしである。だが、時折ダウンは喰っている。しかし、体制を崩した場面でスリップ気味のダウンが多く、今回はダウンこそ奪われなかったものの、ここまで『効いたー!!』っていう状態は初めてではなかろうか?


 メインとしての気負いが不甲斐ない内容に終わった為にその涙腺を刺激したのか? 


 あるいは、「慢心」をズバリ晒されて悔しくてたまらなかったのか?


 もしくは、『意識』を飛ばされるほどの状況をなんとか脱して辛うじて掴んだ『勝利』に思わず安堵の涙が零れ落ちたのか…?


 どれも当たっていて当たっていないような気がする。


 確か前にも試合後に涙を流していたような。ヨネクラジムの中堅選手と戦って、ダウンを奪われて奪い返した試合があったが、判定勝に悔し涙を流していたような…。


 比べてはいけないのかもしれないが、あの亀田興穀も初めてKOを逃した試合で涙を流していた。


 注目期待される選手は一般人にはわからない『プレッシャー』を抱えているものだ。


 一概には語れないが、実力派若手NO1の粟生隆寛だけに、背負ったもの、あるいは、封じ込めなければ闘えないような『心の戦い』が大きく関わっているように感じたHigege91…。


 負けて強くなる…とはよく聞く言葉だ。今回は勝つには勝ったが、『薄氷の勝利』であったことも事実だ。


 4Rのフラフラの粟生を観て、僕が負けを覚悟したほどだった。フランシスコがもっと的確な攻撃でまとめてきてたら倒されていたと思う。


 今夜の涙は、粟生にとって、敗北に限りなく近い「辛勝」であったことの証明だったのもしれない。


 お、負けて強くなる…といえば!!


 下田 昭文 12W7KO1L

 http://ameblo.jp/higege91/entry-10008749861.html

 過去記事VS瀬藤幹人 

 

 VS 


 ヘラルド・マルチネス 27W20KO6L2D WBCバンタム級12位

 

 …の戦いだ。


下田VSマルチネス


 現WBCバンタム級王者・長谷川穂積も今夜はリングサイドにいた。その長谷川の初防衛戦の相手がこのマルチネスであった。長谷川は7RTKO勝利であったのだが、今夜の下田、序盤から飛ばしに飛ばす!!


 1Rにいきなりの左ボディーストレートでダウンを奪うと、2 3 4Rと計4度のダウンを奪う圧倒的なセンスを見せ付けまくる。かつての非力感は多少改善され力強くなった。


 世界挑戦経験もある現役世界ランカー・マルチネスに対してフルマークでダウンを4度も奪う完璧に近い試合内容であった。5R、有効打によりマルチネスの瞼がカット。7R負傷TKO勝利…となったのだが、7Rに関して言えばマルチネスの有効打が当たってきていたので、残りRが楽しみな展開だったのだが試合終了にはちょっと残念だった。


 …にしても下田、思い切りとカウンター勘のよさ、さらにそのスピードは群を抜いている。


 綺麗なダウンシーンは芸術的だった。


 瀬藤とのリマッチも面白いが、この際、さらに上を目指してがんばって欲しい。


 世界ランク獲得間違いなしだ!!


 しかし、7Rに喰らったマルチネスの左フックカウンターはやばかった。ああいうのは試合が1撃で終わるので気をつけて欲しいかなぁ…。って言っても、そのファイトスタイルがより積極的になったから仕方ないか?


 リナレスVSペドロ


 …で、もう一つの日本対メキシコ10回戦!! フェザー級対決!!


 ホルヘ・リナレス 20W 12KO WBA3位 WBC4位

 http://ameblo.jp/higege91/entry-10010850394.html

 過去記事VSサオヒン・シスタイコンドー 

  

  VS


  ペドロ・ナバレッテ 17W9KO 2L 3D


 巧い、早い、鋭い…のリナレスの登場!! 世界挑戦は目前だ。


 今回は序盤KOあるか…!! って期待してたのだが、このペドロ、しつこくて打たれ強くて勇気のあるボクサーであった。

 

 リナレスは前回のやや消極的に見えたサオヒン戦よりも積極的だったし、随所に左リードから光のような高速連打を打ち込むも、このペドロ、顔色一つ変えずに手数で押してくるボクサーであった。


 打ってもひるまない、止まらない…で、リナレスも2戦続けてKOを逃すも、


 公式の採点 97-94 98-94 99-92

 Higege91の採点 100-90


 …の3-0で勝利をおさめた訳だが、消化不良とまではいかないにしろ、手強い相手であった。


 しかし、こんなに強くても倒せないんだなぁ…って思ってしまうが、このペドロ、本当に勇気のある諦めないボクサーであり、勇猛果敢であった。


 空転空転…の連続にもめげることなく前へ出てパンチを振るい続けた。


 リナレスの左ボディーカウンター、右ストレート、さらに連打を浴びるも下がらない…どころか手数も減らない戦いぶり。


 しぶとい…


 とは、まさに彼の為にあるような言葉に思えるほどであった。


 矢代義光も勝つには勝ったが…であった。4Rに2度のダウンを奪い、もう一息…まで漕ぎ着けるも、5R以降は熊谷謙志の踏ん張りど根性の前にあわやKO負け寸前のシーンまで作られる決定力不足を露呈。


 強い…には違いないが、5R以降の停滞と消極振りが気になった。


 77-74 78-73×2 …の3-0であったが、課題が見えたか?


 ふぅ


 今夜は若手助手のM君とMちゃんも一緒に観戦。


 二人とも大喜びであったが、国別対抗戦…って企画は面白いし、今後も続けて欲しいと思う。


 今回は帝拳ジムの看板選手だけでまかなったが、日本のその他ジムの実力者を戦わせることが出来ればさらに幅も広がって面白いと思う。


 ああ、疲れた。


 なんたってトリプル10回戦ってなると終盤息を抜く暇ないものですね。


 しかし、粟生君、曲者つながりの剛なる変則・日本王者・渡邊一久へ挑戦する前にいい経験が積めた…と思ってさらに精進して欲しい。


 さすがに渡邊選手はあそこまで「老獪」ではないですから、涙を無駄にしないようがんばって欲しい。

 

 そして、夢の実現、世界王者へ向かって邁進して欲しい。


 御愛読感謝


 つづく