元世界王者を『オッチャン』呼ばわり… ビックマウスの向こうに隠した「本当の心」について…  | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

 浪速の闘拳”のビッグマウスはこの日も健在だった。会見は、中央に亀田が所属する協栄ジムの金平桂一郎会長を挟み、向かって右側に亀田と父親の史郎トレーナー、左側にアランブレットがマネージャーを伴い陣取ったが、会見が始まるや亀田は早くもアランブレットに得意のメンチ切り。金平会長を挟んでいるため距離はあるものの、険しい表情で威嚇し続けた。
「コンディションは最高。今までで一番いい」と豪語した亀田は、対面したアランブレットの印象を聞かれると「印象? ないなぁ。普通のオッチャンや」と元世界王者を“オッチャン”呼ばわり。対戦相手へのメッセージを求められると「コイツ、よう計量オーバーするからな。キッチリ調整合わしてこいよ」と翌日の公開計量に向けて警告し、さらに「5ラウンド以内で倒す。それ以上はもたへんと思う」と、横に座る本人にキッパリと断言してみせた。

 一方、亀田の発言を静かに聞いていたアランブレットは「コンディションはとてもいい。体重に関しても問題ない」と返答。亀田の印象については「特にない。試合をして初めて分かる」と、淡々と語った。これを聞いた亀田は「元気あらへんな、気合が足らへん」と挑発したが、アランブレットは「ボクサーはリングで戦うもの」と意に介さず、「とにかく試合を見てほしい。結果は見てもらえば分かる」と大人の対応に終始した。
 その後フォトセッションとなったが、両者は距離を保ったまま。業を煮やした亀田は「最高のコンディション作っとけ! リングに上がれるカラダ作っとけ!」とアランブレットに吐き捨て、早々に会見場を後にした。

 以上、記事参照 


 世界タイトル前哨戦…、亀田興穀VSノエル・アランブレッド…。


 その勝敗予想は昨日書いた。しかし、なんとも「健気」に映る亀田興穀…。まだ19歳なのだ。世間の注目を一身に浴びながら元世界王者で現役ランカーと戦う19歳…。


 好き嫌いは別にして、実に健気だ。僕にはそのように映る。


 勝ってくれなくちゃ困る人間がこれほど多いボクサーはいない。スポンサーが次から次から現れ、最近の記事ではそのスポンサー料は合わせて3億円とも言われている19歳…。この程度のプレッシャーをはねのけられなくてなにが世界だ!!…とも言えるが、全くもって「吼えれば吼えるほど」、健気に映って仕方ない。


 本調子でも、絶好調でも、負けるときは負ける…。それがボクシングである。1っ発の「ラッキーパンチ」で意識はすっ飛んで「自我」なぞは消し飛ばされてしまうのだ。無意識でもボクサーは闘う…とは言うが、そんな『限界』を垣間見ないと勝てない勝負であるかもしれない。また、距離を測られ、ピシピシ…とジャブを細かく浴び続け、ポイントを奪われ、焦りが焦りを呼び、極めつけのカウンターなんぞを喰らい、フラフラになって、それでも前へ前へ…と前進しながら1っ発狙いのフックを振るい続け、更に被弾し、頬を腫らし、瞼を腫らし、視界を奪われ、やがては『自我』、『ココロ』までそのダメージが蓄積して行き…、そして…!!


 …なんてならなければいいなぁ、と思う。しかし、あり得ないこともない。


 ボクサーVSファイター…っていうタイプ別の最近の試合と言えば、徳山VS川嶋 2 と 3 がある。2は1Rエンジンの掛からぬ徳山に川嶋のフックが炸裂してTKOで決着。3は突進して振り回す川嶋を最後まで裁ききっての徳山の完封判定勝利…であった。…で、試合は観てないが、先日の名城VSプロスパーの場合、ボクサータイプのプロスパーを終始攻め続けたファイター名城が、押しに押して判定勝利…。ふむ。しかし、パターンはあくまでパターンであって、勝負は揺れ動く方位磁石の如く、右に左に震えながらも、やがてはある1方向を指し示すのだ。勝者を、指し示すのだ…。


 HIGEGE91は中差~大差での亀田の判定勝の予想を立てたが、ちょっとぐらついてきてしまった。


 KO決着?5R以内に倒す?…相変わらずの「ビッグマウス」の向こうに、まだまだ少年の亀田興穀の、鉛の塊のような重圧と、孤独に恐怖する少年のカケラが見え隠れしているように感じているのは、よもや僕だけではあるまい。


 胸に手を当てて思い出してみる。僕が19歳だった頃…。そうだ、グラフィックデザインに興味をもち、漠然と線と点と色彩の世界を志し、しかし、こんなものはつまらない…と自覚するまで時間はそうは掛からなかった。もの足りない。…そんな折、偶然観たジョン・カサベテスの映画『アメリカの影』、そして『フェイシズ』…。

映画の世界に憧れ、名画坐に入りびたりの日々…。…が、僕の19歳だ。…つ、つまらん。ま、負けた。闘うなんて考えたこともなかった。あがくにはあがいていたし、悶えに悶えてはいた…が、目的もなく、ただ、揺れていたに過ぎない…。


 特殊な家庭環境と、熱血破天荒な父親の存在もあろうが、それを信じ、選択し、走り続けてきた亀田興穀・19歳…。僕には戦えない。自分を信じられてはいなかった。…が、震えながらも、恐怖しながらも、「己が拳を信じ」戦いの幕開けを待つ亀田興穀…。きっと、子犬のように震えている。あの辰吉丈一郎もそうだ。試合前には恐怖で逃げ出したくなると包み隠さず話していた…。そりゃぁそうだ、全てが粉々に打ち砕かれてしまうかもしれないのだ。自分だけではない。家族もろとも…なのだ。


 こうなったら、亀田パパの『暴言』はさておいて、浪速の闘拳を応援するほかあるまい…。


 …仕事がやばい。…ぐっ、マジでヤバイ。…でも、やっぱり観たい。


 さいたまスーパーアリーナ…。車で40分。たぶん当日でも入れるだろうな。テレビで見るのはつまらないな。どうしようかな。


 …うぼっ!!


 つづく